『第37回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 2日目編

配信日:2月21日

 22年のGIが開幕。取手競輪場を舞台に開催されている第37回読売新聞社杯「全日本選抜競輪(GI)」は、2月21日に2日目が行われた。メインの「スタールビー賞」では、平原康多が追い込みで松浦悠士をとらえて連勝を飾った。また、二次予選まわりとなっていた地元のS級S班、吉田拓矢は5着に敗れて、地元勢は二次予選ですべて敗退した。シリーズもいよいよ勝負どころ、2月22日の3日目には、ファイナルをかけた準決の3個レースで激しいバトルが展開される。
 なお、今シリーズは開催中の4日間、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、事前抽選に当選された方のみの限定入場となります。ご迷惑をお掛けしますが、ご協力とご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

STR賞 レース経過

 号砲でいち早く郡司浩平が飛び出して正攻法の位置を確保。深谷知広-郡司-和田真久留-鈴木裕の長い南関ラインが前団を占め、以下は古性優作、平原康多-佐藤慎太郎、山崎賢人-松浦悠士となって周回を重ねる。 青板3コーナーで山崎が上昇を開始。赤板1コーナーで山崎が前団を押さえ、平原-佐藤、古性も次々に西コンビへと切り替える。6番手まで下げた深谷だったが、呼吸を入れることなく打鐘目掛けてすぐさま反撃を開始。深谷の強烈ダッシュに山崎は合わせ切れず、4コーナーでは南関勢の主導権へと変わる。だが、山崎を捨てて5番手に切り替えた松浦が間髪入れず2コーナーでまくって出る。追ってくる平原-佐藤、古性を従えて上がってきた松浦は、番手の郡司が対応できないほどのスピードで南関勢をひとのみ。最後は3コーナー過ぎに先頭に立った松浦と追う平原の一騎打ちとなるが、ゴール前のハンドル投げに勝った平原が息を入れる間もないような激戦を制した。

<6R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 赤板2コーナーから山降ろしで加速をつけた山田諒が主導権を握る。車間を空けながら浅井康太(写真)が続くが、飛び付いた野原雅也が浅井を弾いて番手を奪う。逃げる山田に野原、東口善朋となる。坂口晃輔のアシストもあり浅井が4番手に入ると、後方から原田研太朗が仕掛ける。原田が前団に迫り、最終2コーナーで東口のブロックを受けた園田匠が落車。出切った原田に野原、東口が切り替えて、浅井も4番手から外を追い込む。東口は1位入線も失格で浅井が繰り上がった。
 「粘られるっていうのを想定してなくて、それが頭になかったんで(野原に)番手を取られる形になった。東口さんの後ろに入ってから、原田君が(最終)ホームから行ったんで少しヤバいかなと。そのなかで東口さんの(失格になった)行為と自分が勝ち上れる走りをした。修正点はあるけど、ほんの少し良くなっているかと思います」
 8番手に陥った原田研太朗だったが、打鐘の4コーナーからの反撃で前団をのみ込む上々の動きを見せた。
 「この風だったらもつれると思ったんで、そうなって良かった。菅田(壱道)さんが切らなかったんで迷ったけど、(後方に)引いて良かった。(仕掛けてからは)余裕がなくて、(最終)バックからはすごい風でいっぱいでした。昨日(初日)よりかはいいと思う。バンクのモガき方とかもわかってきた」

<7R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 村田雅一が欠場になり8車立て。ラインが2車になった寺崎浩平が坂井洋を押さえて主導権。新田祐大(写真)は5番手に追い上げて、ペースを上げた寺崎の先行でレースは流れる。最終2コーナー手前で坂井がまくり、稲川翔のけん制を乗り越える。が、さらにその上を新田がまくって、成田和也とワンツー。
 「想定というか予想していた感じとまったく違った。取鳥(雄吾)君が先に誘導を切る形になったので、そこが思っていたのと違いましたね。流れを見ながら積極的に仕掛けようとは思っていた。坂井君が行きたそうにしていたので、あとは取鳥君が仕掛けてくるかって感じで。思ったところから踏み込みました」
 成田和也は、新田の踏み出しにきっちりと対応して2着。
 「(新田が)良くジャンで追い上げてくれましたね。あれで1つ前(のライン)に入れた。(前回の)伊東で(新田と)走れて気づいたこともあったので、落ち着いて仕掛けを見て走れました。スピードある選手がいたので、2人で勝ち上がれて良かったです」

<8R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 打鐘の2センターで渡邉雄太を叩いた新山響平が、大方の予想通り先行策に出る。北日本の3車が出切り、7番手の山田英明が最終ホーム手前から仕掛ける。山田のスピードが良く、止めにかかった守澤太志が落車して、山田、小川勇介も巻き込まれる。最終2コーナー過ぎからまくった渡邉が、援護がなくなった新山をとらえる。渡邉を和田健太郎(写真)が交わして南関ワンツー。
 「道中、打鐘のところで(渡邉)雄太が踏んでくれて、新山も叩くのがキツかったと思う。雄太が踏んでペースをつくってくれたおかげ。特別になにかをしたわけではないけど、昨日(初日)が良かった。体調うんぬんより、7車と9車で流れの違いもありますからね。(9車立ては)追い込みにもチャンスがもらえるかなと」
 一度は脚を使わされた渡邉雄太だったが、落車のアクシデントに巻き込まれずにまくった。
 「ヒデさん(山田)がすごい勢いでいってビックリしたけど、なんとかなった。(落車を避けて踏んでからは)行けたかなと思いました。(久々のレースだが)調子は悪くないし大丈夫」

<9R>

嘉永泰斗選手
嘉永泰斗選手
 打鐘の3コーナーで清水裕友が先頭に立つが、そこに長島大介が襲い掛かる。関東3番手の鈴木竜士は連結を外して、長島、諸橋愛を嘉永泰斗(写真)が追って、最終2コーナー手前からまくり上げる。井上昌己はからまれて離れ、諸橋愛のブロックをしのいだ嘉永が一次予選から連勝。GI初出場ながらも、全国のファンにアピールした。
 「(GI初出場で連勝で)ちょっとビックリしてます。小松崎(大地)さんが切った上を切ってレースをつくろうと思ってたら、突っ張られた。それで一呼吸おいて、誰か(のライン)に付いていこうと。うまくスイッチできたんで、イケるかなと。踏み出しも良かった。(初日にGIの)初戦で1着が取れたんで、気持ち的にだいぶ余裕がもてるようになった」
 後方になった小松崎が最終バックからまくりを打つ。山崎芳仁は小松崎マークから、直線の入り口でスムーズに外に持ち出して伸びた。
 「嘉永君を突っ張ったから来ないだろうと思ったら、(嘉永が)すぐに来たんであれが誤算でした。(小松崎)大地が行けるか見てたら進んでた。あとは自分は外か内かで、(最終)4コーナーに入ったんで大地には悪いけど踏ませてもらった」

<10R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 突っ張り気味に踏んだ眞杉匠を強引に押さえた山田久徳が先頭に立つ。4番手で態勢を整えた眞杉は、好位確保も打鐘でスパートする。眞杉が主導権を奪い、山田の飛び付きを制した宿口陽一、木暮安由まで関東ラインが出切る。両ラインのやり合いを脚をためて見ていた太田竜馬(写真)が、最終1センターから踏み出す。前団に迫った太田、逃げる眞杉、宿口の3車が横一線でゴールを通過。太田がわずかに関東の2人をとらえた。
 「道中は想定していた感じじゃなかったんですけど、(仕掛けて)行くタイミング的にはあんな感じかなって。慌てても今日(2日目)は風が強いですし、ひと踏みにかけました。途中はヤバいかなって思った。出も悪かったので。風の具合だと思うんですけど」
 敢然と主導権取りに出た眞杉を利した宿口陽一は、太田のまくりに屈して2着。
 「いつも通り眞杉君が前を取って突っ張るか、引くかの判断は任せていました。カマシでキツかったんですけど、木暮さんは残念でしたけど2人で勝ち上がれたので良かった。太田君のスピードが鈍く見えたので、(ラインで)決まるかなって思った。感覚を修正したいですね。(山田に)粘られるのは想定内だったので、そこは対応できました」

<11R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 三谷竜生が切って出ると、北津留翼は近畿ラインに続く。そこをすかさず叩いて松井宏佑(写真)は、比較的、脚力を消耗することなくすんなりと先行態勢を取る。赤板2コーナーでインを進出した吉田拓矢が3番手に押し上げるも、三谷との併走になる。3番手の取り合いをしり目に松井のペース駆け。北津留も後方で動かない。外併走からまくった三谷を松坂洋平がけん制して、北津留も不発。松井が後続を退けて押し切った。
 「風が強くていけるかなと思ったが、自分らしく先行して押し切れて良かった。追い風で気持ち良く(スピードに)乗せて、バックで踏み切って、いい感じで駆けることができた。先生(松坂)と決まって良かったです。トレーニングの先生でプライベートでもお世話になった恩があるので、ちょっとは返せたかなって思います。SSの吉田拓矢君を相手に逃げ切れたのは自信になった」
 2車のラインだけに決して楽ではなかった松坂洋平だが、後続との間合いを計り松井とのワンツーを完結させた。
 「(松井の)気持ちがうれしかった。僕の後ろが併走になったので、内は空けらないと、それで脚にきていた。しっかり締めてワンツーを決めたいと思っていた。(松井は)アマチュアの時、一緒に練習をやっていた後輩で(ワンツーは)うれしいですね」

<12R>

平原康多選手
平原康多選手
 山崎賢人ラインが赤板1センターで飛び出して、平原康多(写真)、佐藤慎太郎に単騎の古性優作も追走する。6番手まで下げた深谷知広は、打鐘手前から巻き返す。ペースを落としていた山崎は合わせ切れず、遅れ気味の鈴木裕も含めて4車の南関ラインが出切る。最終1センター過ぎに切り替えた松浦悠士は、自力に転じてそのまままくる。車間を空け始めた郡司浩平は対応できず、松浦が南関勢をとらえて、平原康多が追いかける。松浦のスピードも鈍らず、2人の直線の攻防はゴール勝負に持ち込まれる。平原が最後のハンドル投げで差し切った。
 「(周回中は南関勢が前だったので)半分は突っ張るのかなと。それで古性も自分より前にいたんじゃないかと。(山崎)賢人はちょっと踏み出しが遅れた。(最終1センター付近の)あそこが自分と古性と(仕掛けた松浦の)3人がかぶったポイントだった。鈴木が遅れてきたんで、みんなタイミングがズレてしまった感じでした。自分は(調子は)悪くないと思います」
 最終1コーナーでは難しい判断に迫られた松浦悠士だったが、そこから自力を繰り出して抜群のスピードを披露した。
 「スタートの並びが誤算だった。深谷さんが前だったんで、山崎君にはキツいレースになった。深谷さんを突っ張ろうという感じで思い切り踏んでいた。4番手に迎え入れようと思ったんですけど、鈴木さんが時間差できたんで入れられなかった。それで詰める勢いで行きました。踏んだ感触は良かったけど、(最終)3コーナーの風で止まった。でも、いつも郡司君に合わせられるんですけど、結構、楽に出られた。差されたけど、出足は良かったです」
 最終4コーナーで、内には郡司、外からは単騎の古性。平原マークから内、外にソツなくプレッシャーかけて3着に入った佐藤慎太郎の動きも悪くない。
 「風が強かったんですけど、自分にまったく余裕がないとかはなかった。ゴール勝負ができてるんで、状態はいいのかなと。いい状態はキープできてると思います」