『令和6年能登半島地震復興支援競輪 第39回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:2月12日

 岐阜競輪場で開催された令和6年能登半島地震復興支援競輪・第39回読売新聞社杯「全日本選抜競輪(GI)」は、2月12日に最終日が行われた。決勝は新山響平が主導権。番手に入った北井佑季マークから、直線で追い込んだ郡司浩平が21年以来、2度目の全日本選抜V。その21年以来となる通算3回目のGI制覇で優勝金4000万円(副賞含む)を獲得。年末に静岡競輪場で行われる「KEIRINグランプリ2024(GP)」の出場権を一番で手に入れた。

決勝競走出場選手特別紹介
決勝競走出場選手特別紹介
決勝1番車、新山響平選手
決勝1番車、新山響平選手
決勝2番車、古性優作選手
決勝2番車、古性優作選手
決勝3番車、清水裕友選手
決勝3番車、清水裕友選手
決勝4番車、浅井康太選手
決勝4番車、浅井康太選手
決勝5番車、松谷秀幸選手
決勝5番車、松谷秀幸選手
決勝6番車、北井佑季選手
決勝6番車、北井佑季選手
決勝7番車、南修二選手
決勝7番車、南修二選手
決勝8番車、山田英明選手
決勝8番車、山田英明選手
決勝9番車、郡司浩平選手
決勝9番車、郡司浩平選手

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると勢い良く5車が飛び出すも、他の様子を伺いながら古性優作が誘導員を追う。古性-南修二の近畿勢が前団、清水裕友-山田英明の西勢は前中団。新山響平-浅井康太がこの後ろ。北井佑季-郡司浩平-松谷秀幸の神奈川勢が後攻め。
 赤板前に後方の北井が上昇を図ると、3番手の清水が先に動いて前に出る。すかさず北井が先頭に出ると後方の動きをしきりに警戒。2センターから踏み上げるも、後方となった新山が一気にスパート。新山のスピードは良く最終ホームで出切るが、浅井は口が空いてしまい郡司のけん制を受けて後退。新山の後位にハマった北井がバックからまくり上げるも、新山もそれに合わせて踏み直す。5番手から清水がものすごい勢いで前に迫る。北井が新山を捕らえて4コーナー先頭で回ると、北井の後ろから郡司が直線抜け出して、清水の追撃を振り切って3年ぶりのGI制覇。鋭くまくった清水は2着まで。3着には先まくりを放った北井が入った。







<4R>

山田久徳選手
山田久徳選手
 前受けの小林泰正は、山田久徳(写真)、根田空史の上昇を阻んで赤板で突っ張る。小林がペースを握り、8番手でタイミングを取った根田は2コーナー過ぎにカマす。南関勢が主導権を握り、3番手に小林が飛び付く。単騎の3人が後方に置かれて、一本棒で最終ホームを通過する。2コーナー手前で5番手の山田、3番手の小林がともにまくりを打つ。小原太樹のけん制でスピードが鈍った小林だったが、逃げる根田をとらえて、その上を山田が踏み上げる。ゴール前で小林を交わした山田が1着。
 「根田も周りの動き待ちみたいなところもあったんで、落ち着いて脚をためてと。無理やり中団を取ろうと思ったら内とかだけど、最終日なんで脚を確かめてっていうのもあった。まくりの上をまくれたし、4日間、そんなに悪くなかった。今回はフレームを新しくして、前のフレームと比べるといいところも悪いところもあるけど、(方向性としては)間違ってないかなって思います」
 南関コンビを受けて3番手まくりの小林泰正が2着。レースをつくり、好位を確保した立ち回りは、十分に評価できる。
 「基本的には“全ツッパ”の作戦でした。あとは根田さんが2車で来るくらいのスピードとタイミングなら出させてと。山田さんも脚を使わず中団を取ってだったけど、あんまり自分のデキも良くなかった。2日目からちょっと体調が良くなかった。そのなかでできるかぎりのことはやりました」

<6R>

井上昌己選手
井上昌己選手
 赤板1センターで先頭に立った北津留翼を吉田有希が押さえる。茨栃ラインを追った河端朋之が、反応良くそのままカマして主導権を握る。打鐘2センターで出た河端に岩津裕介。3番手の吉田は車間が空いて最終ホームを通過する。5番手でも前が遠い北津留は、2コーナーから仕掛けてスピードに乗せる。岩津は外に振るも、北津留が直線の入り口でまくり切る。九州コンビの勝負は、北津留マークの井上昌己(写真)が外から差し切った。
 「(北津留)翼が落ち着いてました。(まくりが)すごかったんで交わせると思わなかった。あれを交わせているので、状態は悪くないのかなと。(競走得点も上がってきていて)日々の積み重ねもあるし、練習に対する姿勢というか集中力がある感じですね。ガムシャラにやる時期は過ぎたし、1本、1本をしっかりとっていうのは、長い目で見たらいいんだと思います」
 「パッとしない部分もあった」と、シリーズを振り返った北津留翼だが、まくりの破壊力は抜群。
 「(井上)昌己さんに力勝負して負けたんで、まだまだ頑張らないといけないですね。作戦とは違ったけど、うまく回れたかなと。あと50メートル遅く先頭に出られていたら先行できていたかなって思います。前を見たら(吉田が3番手で前と空いていて)スペースがあったんで追い上げていった。そのあともう1回加速したかったんですけど、岩津さんのけん制もあってできなかった」

<9R>

谷口遼平選手
谷口遼平選手
 赤板過ぎに前受けの眞杉匠が坂本貴史の上昇を阻んで、犬伏湧也は7番手でタイミングを取る。2コーナーの山降ろしで犬伏が仕掛けて、先行態勢の眞杉もペースアップ。犬伏が爆発的なパワーで眞杉を最終ホーム手前で叩き切るが、小倉竜二は遅れながら追いかけていっぱい。小岩大介は離れて、3番手には眞杉匠。5番手の坂本、8番手の谷口遼平(写真)がまくり、眞杉も懸命に合わせて出る。小倉は後退して、犬伏が2番手以下をちぎる。犬伏を目がけて谷口が迫り、直線へ。失速した犬伏をとらえた谷口が1着で、好配当をメイクした。
 「何回も前に行こうとはしたんですけどね。みんなが脚を使っていたので、最後に仕掛けられましたね。バックの追い風に乗って仕掛けられました。GIで1勝できてなんとか次につなげられれば」
 徳島勢の3番手だった小岩大介は、犬伏の踏み出しに離れて最終ホームは7番手。バックでは9番手も、直線で鋭く追い込んだ。
 「付いていきたかったんですけど…。バックを踏みながらのところだった。ちぎれて迷惑を掛けてしまいましたね。そのあとは風も強かったですし、混戦だった。自力のある山崎(芳仁)さんの後ろに入ったので、仕掛けた時にスピードをもらってと思ってた。諸橋(愛)さんがどっちのコースを行くかでしたけど、たまたま空いた。今回から新車なんですけど、GIでこれだけ走れればもうちょっといけそうです」

<10R>

嘉永泰斗選手
嘉永泰斗選手
 嘉永泰斗(写真)、山口拳矢の順番で出て、8番手の深谷知広はタイミングを計り赤板2コーナーから踏み込む。南関勢が出切って山口も飛び付くが、俊敏に反応した坂井洋が3番手に入って最終周回へ。隊列が短くなったところを嘉永が、1センターから仕掛ける。3番手の坂井が、嘉永に合わせて出る。守澤太志は連結を外し、坂井、嘉永が逃げる深谷との差を縮める。横一線のゴール勝負は、深谷がわずかに遅れて、外の嘉永が坂井に踏み勝った。
 「(坂井)洋さんが思ったよりも早くスイッチしてきて、展開が向いたんで行くところができた。(最終)バックで和田(健太郎)さんと洋さんが横に動いてたんで、コースを迷ってしまったところもあります。もう洋さんが出る感じだったので、あとはツケマイでいって抜けるかどうかなって。全体的に脚力アップしていかないと。まだまだ全然ですね」
 嘉永とのまくり合いには4分の1輪、屈した坂井洋だが、俊敏に立ち回った。
 「(周回中の並びが)嫌な順番だった。(山口)拳矢が冷静でしたね。(3番手に入ってからは)結構、詰まってきていたけど、登りでは行きたくなかった。(今シリーズは)体の反応が悪くなかったけど、(練習中に)落車してから、まだ痛みがあってフルに踏み込めない。一歩目が力が入らないです」

<11R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 脇本雄太に併せ込まれて包まれた松井宏佑は、赤板1センターで松浦悠士(写真)が空けた内を縫って先頭に出る。松浦が3番手になり、脇本は前団との車間が空いた7番手で打鐘を通過する。先行態勢の松井が徐々にペースを上げて駆けて、脇本は最終ホーム手前から反撃に出る。松浦は落ち着いて脇本のスピードを見極めるように、2コーナー過ぎからまくる。流れるように加速した松浦が、直線で抜け出してシリーズ2勝目で締めた。
 「松井君か脇本さんが出れば中団からでしたけど、(スタートで)来たのが佐々木(悠葵)君だったので。(赤板過ぎは)上に上がらないと飛び付けないですし、(内を空けて松井の動きを)誘ったのもあります。あとは脇本さんがどこから来るかでしたけど、松井君もかなり踏めていたので合わせ切るかなって感じでした。(最終)3コーナー2センターで外を踏めればなって思っていた。和田(真久留)君も余裕がなさそうだったので、重かったですけど行きました。(まくり切れる自信は)全然なかったですけど、いけたので。2日目、3日目が良くなかった。コンディション的な部分もありますけど、力が足りないなって思っている。どうやって上げていくかを考えながらですね」
 松浦のまくりに懸命に食い下がった園田匠が流れ込んで2着。
 「松浦君が余裕そうだったので、自分も勘違いしそうになりましたけど、松井君はかなり掛かっていた。ちぎれなくて良かったです。落車明けだったんですけど、GIでこれだけ車券に貢献できたのは、これからの弾みになりますね。まだ完ぺきっていう状態ではないですけど、だいぶセッティングも良くなってきている」

<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 神奈川トリオで出切って赤板2コーナーを迎える。4番手に清水裕友、6番手に古性優作でレースの流れは落ち着いて打鐘。北井佑季は慌てることなく絶妙なペースをつくり、後方の新山響平が3コーナーで仕掛ける。北井も合わせて踏み上げるが、新山のスピードが良く最終ホーム過ぎに叩き切る。しかしながら、浅井康太は付いていけず、郡司浩平(写真)のけん制もあって外に浮く。新山を北井が追いかけて、郡司、松谷秀幸、清水。もつれた6番手から古性が抜け出すが前は遠い。空いた車間を詰めながら3コーナーで北井が番手からまくる。清水も踏み上げて神奈川勢に襲い掛かる。清水に合わせるように追い込んだ郡司が北井を交わし、清水を退けて優勝。通算3度にGI制覇を遂げた。
 「ホッとした気持ちとうれいしい気持ちとありますね。ラインに助けられての優勝ですし、自分だけの力だけじゃここに立てていなかったと思う。去年はGIになるとなかなか決勝にも乗れず、苦しい1年だった。今年に向けて気持ちを入れ直してやっていた。ここに来る前も体調も自転車の出も良かったので自信をもって入れました。初日の自力のレースはなにもできずに終わってしまいましたし、2日目、3日目は番手でしたけど持ち味を出せずに終わっていた。勝ち上がりに関しては、反省しかないですね。(レースは)北井さんが行けるところからって感じでした。タイミングも良かったですし、出てからも踏みすぎず流しすぎずいいペースだった。新山が来ても対応できるスピード域でした。(最終)バックぐらいではかぶらないようにと思っていたんですけど。そこでは北井さんも仕掛ける間合いを取っていましたし、自分も付いていくことをと。北井さんも合わされている感じもあったので、早めに外を踏んでも内を突かれてしまう可能性もあったので我慢しながら。最後は清水君が見えてからでした」
 赤板過ぎに先に切って出た清水裕友は、神奈川ラインを受けて4番手。新山に遅れた浅井、古性にも割り込まれることなく最終バックに入り、まくり追い込んだ。
 「(最終)3コーナーで食ったと思ったんすけどね…。最後は郡司さんの底力に負けました。(打鐘は)遅ければ粘りもありましたけど、巻き返しが怖かったんで引いて様子を見てって感じでした。チャンスやったんで悔しいですね」
 落ち着いて新山の番手に入った北井佑季は、車間を詰めて3コーナーで新山をとらえにかかる。新山に合わされながらも意地でまくり切って、初めてのGIファイナルは、見せ場たっぷりの3着。
 「(新山に)行かれちゃったっていうことは力が足りないっていうことだと思う。(初めてGI決勝は)冷静には走れました。(新山の番手に)飛び付くのに脚を使いました。道中も踏みすぎることなく踏まなすぎることもなく。しっかり自分なりに気持ちをもって4日間戦えたので、悔いのないレースはできました」

次回のグレードレースは、高松競輪場開設73周年記念「玉藻杯争覇戦」が2月17日~20日の日程で開催されます。
今シリーズは全日本選抜競輪の直後ながら、グランプリ2023を制した松浦悠士をはじめ佐藤慎太郎、山口拳矢のSS班3名が参戦。他にもグランドスラマー新田祐大、犬伏湧也、町田太我など快速自慢の健脚がそろいます。
熾烈なスピードバトルが繰り広げられる4日間となりそうです。

2月5日時点の出場予定選手データを分析した、高松競輪「玉藻杯争覇戦」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

プロスポーツ号外版は"こちら"