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 GP出場を懸けた今年最後のGI戦が岸和田競輪場で開催される。今年の競輪界をひっぱってきた武田豊樹と小嶋敬二の2大先行が今回も中心となるが、10月に復活の記念優勝を飾った村上義弘と吉岡稔真の走りにも注目が集まる。

グランプリ出場のラストチャンス
村上が相性抜群のバンクで完全復活を目指す
 
村上義弘選手
村上義弘選手
 村上義弘は昨年の全日本選抜で不運の落車に見舞われた。その後は年末のグランプリで元気な姿を見せているが、鎖骨骨折は思っていた以上に重症で、落車の影響は長く尾を引くことになった。
 今年は松戸ダービーは優出しているが、高松宮記念杯と寛仁親王牌は二次予選で敗れており、成績がふるわないなかでも相変わらずの徹底先行を貫いていたが、村上の持ち味である強靭な粘り脚は見られなくなった。それでも、捲りに関しては夏頃からスピードが戻ってきて、8月のふるさとダービー豊橋では準決勝を捲りの1着で通過、10月の京都向日町記念でも準決勝と決勝で捲りの1着と全国のファンにようやくの復活を印象づけた。
 しかし、これで完全復活も間近と見ていいかどうかは判断のむずかしいところだ。GIのタイトルを狙うには記念でコンスタントに優出、常に優勝が狙えるぐらいの調子と脚力が必要だが、次場所の観音寺記念では準決勝で敗れており、完全復活にはもう少し時間がかかりそうだ。それでも岸和田は新人リーグの頃から1度も優参を外していない相性のいいバンクということなので、今回もグランプリへ向けての力走が期待できる。
 
吉岡稔真選手
吉岡稔真選手
 吉岡稔真についても同様のことがいえる。10月の京王閣記念で3年8カ月ぶりの記念優勝を飾ったが、観音寺記念の準決勝では勝負どころで内に詰まって力を出し切れずに敗退している。
 捲りのスピードに関してはまったく問題のない状態までに戻ってきているが、まだまだ展開に注文がつく状態で今回の勝ち上がりも展開次第ということになりそうだ。
 
強力先行を擁する中部勢の大逆転も
神山と後閑の援護を受けて武田がGI初優勝を狙う
 
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手



 小嶋敬二が絶好調だ。手がつけられない強さというのは、まさに今の小嶋の状態をいうのだろう。ライバルの伏見俊昭や村上義弘が調子落ちになっているので、よけいに小嶋の強さが際立って見える。今の小嶋は7、8番手に置かれる展開になってもまったく動ずる気配がなく、憎らしいほどの余裕を見せてパワー捲りを決めている。
  小嶋はすでにグランプリ出場権を手に入れているので、今回はもちろん優勝を狙っていくが、中部勢をブンブン引っ張ってグランプリに仲間を送り込みたいとういうのが本音だろう。現状のままでは、今年のグランプリは中部勢が小嶋ひとりになってしまう気配が濃厚だからだ。昨年の全日本選抜競輪でも小嶋は中部勢を引き連れての連日の先行策に出ていたが、今年は昨年以上の積極的な仕掛けになるだろう。武田豊樹との対戦になっても真っ向からの先行勝負を挑んでいき、強引に武田を叩いていくシーンが見られそうだ。
 
 
金子貴志選手
金子貴志選手



 金子貴志も相変わらず好調で、今もっともタイトルに近い男のひとりといえる。オールスター競輪決勝では労せずして番手に割り込んできた神山雄一郎にゴール前で差し込まれて惜しくも準優勝だったが、仕掛けのタイミングもスピードの乗りも申し分なかった。共同通信社杯競輪は決勝で無念の失格だったが、初日特選と準決勝で2勝と好調を維持しており、小嶋ともども今回も優出が期待できる。
 そして、小嶋と金子の強力先行を擁する中部の選手たちには、まだまだグランプリ出場の望みはかなり大きく残っている。賞金での出場はもはや絶望的だが、山田裕仁、加藤慎平、幸二・富生の山口兄弟らには土壇場での大逆転の可能性がある。昨年の全日本選抜競輪で高城信雄のカマシ先行に乗った内林久徳が、GI初優勝とグランプリ初出場を決めたように。
 
 
武田豊樹選手
武田豊樹選手



 武田豊樹がグランプリ初出場に向けて爆走中だ。11月5日現在の賞金ランキングでは7500万円近くを稼いで6位につけており、8200万円で5位の伏見俊昭を射程圏内に捉えている。すでに出場権を獲得している5人を除いた順位では3位になり、このままの順位でいけばほぼ大丈夫だが、伏見を抜いて2位に浮上なら完璧だ。武田は今年の後半戦に入ってからはビッグレースでの優出がなくなり、仕掛けが消極的で末の粘りも鈍っていた時期はあったが、10月の京王閣記念では決勝は6着だったが、勝ち上がりでは武田らしい豪快な先行が見られ調子は上向きになってきている。
 グランプリを意識しすぎるとつまらないミスを犯してしまう不安もあるが、現在の状態ならば高松宮記念杯以来のGI優出はもちろろん、先行押し切りでの初タイトルも十分に狙える。武田にぜひともグランンプリに出場してほしいと願っている神山雄一郎と後閑信一の手厚い援護が期待できるのも好材料だ。
 
 
充実著しい海老根の一発大駆けが台風の目だ
四国勢を引っ張る佐々木の先行力も侮れない
 
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
 伏見俊昭は9月のいわき平記念で優勝、10月の松阪記念で準優勝しているが、近況の調子はあまりいいとはいえない。いわき平の3連勝の勝ち上がりは連日北日本の若手の先行に乗ったものだったし、松阪記念の準決勝の1着も引地正人の先行を番手捲りしたものだった。伏見がラインの先頭を走る時は、後方待機のままでなにもできずに終わってしまうレースが少なくなく、仕掛けのリズムが微妙に狂っている感じだ。
 
海老根恵太選手
海老根恵太選手
 一発大駆けが期待できるのが海老根恵太だ。海老根はふるさとダービー豊橋でビッグレース初優出を達成すると共同通信社杯競輪でも優出、9月の千葉記念では武田豊樹の先行を捲って優勝と、近況の充実ぶりには目を見張るものがある。近況は捲りに回るレースが多いが、鋭いダッシュが武器のスピード先行も健在で、今回は勝ち上がり戦で台風の目となりそうな気配がある。
 
佐々木則幸選手
佐々木則幸選手
 佐々木則幸はオールスターの準決勝で落車して1カ月半近く欠場しているが、復帰戦の観音寺記念では以前と変わらぬ力強い走りを見せており体調面に不安はない。決勝は6着に敗れたが、初日特選は逃げ切りで香川雄介とワンツーを決め、準決勝も先行で押し切っている。今年は四国勢にやや元気がなかったが、佐々木や渡部哲男らの先行主体で頑張っている選手を目標に、四国勢の奮起を期待したい。
 
徹底先行を貫いてきた村上が悲願のGI初優勝
全日本選抜競輪の思い出

  村上義弘は94年のデビュー以来先行一本で頑張ってきた。何度も何度も試行錯誤をくりかえし、先行に自信を失いかけたときもあったが、徹底先行のスタイルを崩すことはなかった。そして02年の全日本選抜競輪で、8年8カ月にわたる苦闘の道のりがようやく報われた。決勝戦は神山雄一郎―戸邉英雄が前受け、3番手が小野俊之―合志正臣、5番手が市田佳寿浩―渡邉晴智―松永晃典、8番手が村上義弘―渡会宏和で、打鐘から市田が前団を抑えてそのまま先行する。村上が市田ラインを追って4番手を確保、神山は内に詰まって後退。すかさず小野も4番手に追い上げてくるが、間髪を入れずに捲って、村上が小野ラインに切り換える。直線では捲り切った小野と大外を捲り追い込んできた村上のマッチレースとなり、村上がゴール前で捉え悲願のGI初優勝、小野が2着、戸邉が3着だった。

表彰式

 
バック追い風に乗れば先行も十分に粘れる
競りはインも外も互角に戦える
岸和田バンクの特徴

  岸和田は風の強い日が多いバンクだ。浜風と山風の吹き具合いによって仕掛けのポイントが変わってくるが、通常はバック追い風で、先行はその風に乗っていける。
 さらに3年前からバンクに滑り止めのウォークトップを手塗りにしたためか、軽い走路のスピードバンクに変わった。それ以前は2角からの捲りや追い込みがよく決まる印象だったが、現在は先行も粘れるバンクになっている。
 02年に第18回全日本選抜が開催されたときの決まり手を見てみよう。全47レースのうち1着の決まり手は逃げが5回、捲りが20回、差しが22回、2着は逃げが13回、捲りが8回、マークが12回となっている。ちなみに先手ラインの選手が1着を取ったレースが21回、スジ決着が19回、スジ違いの決着が28回である。
 直線は長いが、先行は打鐘で抑えて、ホームから駆けるオーソドックスなパターンで十分に粘れる。捲りもカントがきついバンクなので、2角から仕掛けて3、4角を粘りきれれば直線で一気に抜け出すことができる。
 また、直線でのコースはインも中も大外もよく伸びるので、追い込みにとっても走りやすいバンクとなっている。

 周長は400m、最大カントは30度56分00秒、見なし直線距離は56.7m。大阪湾から吹きつける浜風が強く、通常はバックで追い風だが、ホームで追い風になった時には天候が崩れる前触れ。普段は浜風だが、天候が悪くなると山からの風に変わる。競りはルール上では内有利だが、カントがきついてので内も外も互角に戦える。バンクレコードは88年9月に坂本勉がマークした10秒6。

岸和田バンク

 
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