『第23回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 初日編
 
配信日:12月1日


 第23回読売新聞社杯全日本選抜競輪がいよいよ1日から熊本競輪場で開幕した。明日の二次予選、優秀競走への進出を賭けた争いは、各レースともに白熱したものとなった。メインレースの特選3個レースは岡部芳幸、山崎芳仁、神山雄一郎が制し、それぞれ明日の優秀戦に向けて弾みを付けた。
 明日(2日)も場内では、すぴRiTsによるお出迎えや模擬レース、名輪会によるトークショー、中野浩一・緒方浩一、井上茂徳、吉岡稔真ら各氏によるトーク&予想会や熊本選手会主催のチャリティーオークションなど様々なイベントが行われます。ぜひとも本場にお越しください。


<1R>
 1レースは志智俊夫が、先行した吉川誠の番手に飛び付くと、2センターで吉川後位から抜け出した。
 「飛び付きは作戦の中のひとつ。本来なら富(弥昭)さんが早めにくると思ったけど、来なかったから粘った。脚のデキはまずまずだし、仕上がりは初日だしこんなもんでしょう」
 志智ラインの三番手を選択した原司が直線外を強襲して2着に入る。
 「四角では早めに踏んだし、俺自体脚に余裕があった。内は伸びないなと思って外に行ったのが良かったですね」


<2R>
山口富生選手
山口富生選手
   2レースは後方七番手からまくった金子貴志のライン三番手に付けた山口富生(写真)が外を突き抜けて1着をさらった。
 山口は「2センターで脚に余裕があったし、富永が大外にいったけど、俺も落ち着いてコースを探せた。直線が長かったけどよく伸びたね。近況がボロボロで不安だらけだっただけにこの1勝は大きい」と久々の充実感あるレースに安堵の表情を見せる。
 2着には金子マークの富永益生が入線する。
 「後方だったし、コースは自然と外になった。車も出たし、身体も良い感じで動く。ここに来る前にとか言って特別な練習をしなかったのがいい結果に現れたかな」


<3R>
 3レースは先制した松田優一を三宅達也がまくると、バック過ぎで松田が三宅の番手にはまる展開に。最後は松田マークの阿部康雄が四角過ぎに抜け出して快勝。
 「松田は頑張ったけど、今日は車の出がいまひとつだった。バック辺りでどうなるかな?と思っていたら三宅が一人でまくってきた。更に豊田さんの気配も感じたしね。俺は落ち着いていたけど。最後は後ろの豊田さんに食われるかなと思ったけど、何とかなって良かった。それにしても九州地区は相性いいね」
 豊田知之は三宅達也から離れると、松田ラインを追走して2着に入ったが「(関東三番手の)広川(貞治)君のところで口が空いていたから入った。三宅に悪いことしたね」と苦笑い。
 辛うじて3着を確保した三宅達也は「いい仕掛けだった。思い切って行ったのが吉と出ましたね。豊田さんと一旦離れてしまったけど二人で勝ち上がれたし結果オーライでしょ」と納得。


<4R>
山田敦也選手
山田敦也選手
   4レースは中団キープの高谷雅彦が最終2センターから仕掛けると、マークの山田敦也(写真)が中割り強襲を決めて快勝を果たす。
 「高谷さんは絶対に外へ行くだろうし『空いてくれと!』思っていたらコースが出来たんで迷い無く内にいった。ああいう展開は得意だし、良い感じで踏めました。GI初勝利を勝ち上がりのレースで決められて嬉しい」
 四国コンビを追走し、直線で鋭く伸びて2着に入った紫原政文は「前を残しながら踏みたかったが、内、外を気にしてしまい自分自身に余裕が無かった」。3着の室井健一は「ノリを残そう、残そうと思っていたけど、直線が長くてうまく残せなかった…」とそれぞれレースを振り返る。


<5R>
大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
   5レースは人気を集めた九州コンビがワンツー決着。ゴール前で差されて2着になった中川誠一郎だが、地元GIで勝ち上がりを決めてホッと胸をなで下ろす。
 「久しぶりに緊張したけど、それが良い方に出ましたね。踏み上げられたし、かかってる感じもありました。調子も良いですね。本音は勝って勝者インタビューをバンクでやりたかったけど、とりあえず勝ち上がれて良かったです」
 勝った大塚健一郎(写真)は、中川の落ち着いたレース運びをまず絶賛した。
 「(中川は)いつもとレース前の表情が違ったし、武井(大介)に当たられても落ち着いてた。かかってましたよ。吉永(和生)さんは来ると思ってたし、しっかりその次の動きまで考えてました。松山記念のあとは少し競輪から離れてリフレッシュできたし、色々やりたいことをやれた。地元地区だし、意識だけを高めて来た感じですね」
 3着に続いた吉岡篤志は「外に吉永さんがおったし、バックはエラかった。ちょっと重かったけど、今日は展開一本やね」と笑顔でレースを振り返った。


<6R>
 6レースはほぼ先行一車となった矢口啓一郎が主導権を握ると、ペースで駆けてそのまま押し切った。
 「今日は展開とかよりも、番組的にも先行するメンバーだったですからね。自然と流れがこちらに向いた。本当にここは直線が長いですね。四角で顔を上げたらゴール線が見えないんだから(笑)」
 最終的に矢口の番手を取りきった岩津裕介がそのまま2着に流れ込んだ。
 「いつも通りのレースをしただけ。力は十分出し切れました。一旦、後ろの友定さんと離れてしまったけど、結果的に2、3着で決まって良かった」


<7R>
石橋慎太郎選手
石橋慎太郎選手
   7レースは地元の松岡貴久が先制するが、三角から石橋慎太郎(写真)がまくりを決めて快勝。石橋マークの望月永悟も流れ込み、静岡コンビがワン・ツーを決めた。
 「当初カマシ先行も頭にあったけど、中団を取れたし、松岡君との叩き合いになるのも嫌だったので、中団キープから仕掛けました。高城(信雄)さんの仕掛けに合わせて踏めたし、落ち着いて動けた。コンディションは結構良いですよ」
 望月も「石橋のダッシュが良いので、いつ踏んでも対応できるように踏み出しに集中していました。頑張ってくれましたね」と石橋の健闘を称える。
 西川親幸と松岡貴久の地元コンビはともに着外に沈んだ。西川は「石橋のまくりを止めようと思ったらすでにヨコに二人いたし、スピードが違った。地元で見せ場を作れず残念」。松岡も「プレッシャーや緊張は全く無かったのですが…。バックを取れてレースを作れたけど、力不足だったですね」とそれぞれ反省の弁が口をつく。


<8R>
 8レースはまくった海老根恵太が室井竜二のブロックで外に浮かされると、俊敏に立ち回った海老根マークの村本大輔が直線を鋭く伸びて1勝を挙げる。
 「落車にも巻き込まれなかったし流れはいいのかな。海老根は三番手に入った時点で、慌てて仕掛ける事もないから終始落ち着いていましたよ。僕自身も落ち着いてレースが見えていた。前回からギアを上げてみたけど、それがしっくりして良い感じです」
 2着強襲の山田裕仁はバック過ぎで後方に置かれる苦しい展開だったが、2センター過ぎから仕掛けて鋭脚を発揮した。
 「位置的にヤバイなと焦ったけど、直線勝負で行こうと思っていたから、脚はしっかり溜めていた。一走してみて状態が良いのもわかった」
 3着に入線した室井竜二が失格判定となると、海老根恵太が繰り上がり、二次予選への切符をゲットした。
 「三番手に入れたけど、道中はきつかった。仕掛けももっと早いところから行かなきゃいけない。四角のブロックも相当効いた。スピードが一気に止まりましたからね。でも繰り上がりでチャンスができたし、明日も頑張ります」


<9R>
合志正臣選手
合志正臣選手
   9レースは巧みな位置取りを見せた島野浩司が1勝をゲットする。
 「吉田(敏洋)が1センターで五十嵐(力)君とハウスしたみたいで咄嗟に内に行ったけど、落ち着いて対応できた。最後も上手く良い位置に入れたし、直線でもコースはしっかり見えていました。GI戦での1勝だけにこれは凄く大きいし、明日以降へのヤル気に繋がりますね」
 稲垣裕之の先行に乗った合志正臣(写真)は「四角では内と外を気にして、何とか稲垣を残せるように気をつけて踏んだんですが…。最後は直線を思い切り踏ませてもらった。だけどもうひと踏みが足りませんでしたね。これで1着が取れないのが今の状態なんでしょうね。それでも何とか勝ちあがれた。地区が違うのに目一杯行ってくれた稲垣のおかげですよ」と自身の状態を分析しながら、しきりに稲垣に謝意を表す。
 後方に置かれながらも最後、大外を踏んで3着に入った内藤宣彦は「位置が悪かったし、直線に入るまでは半分諦めていた。まさか3着に届くとはね。自分自身が一番驚いています」。


<10R>
岡部芳幸選手
岡部芳幸選手手島慶介選手
手島慶介選手
   10レースからは特選競走。レースはライン細切れ戦の攻防となったが、最後はバック八番手の岡部芳幸(写真)がまくり、大外を突き抜けた。
 「武田はトリッキーに動いて脚を使うと思ったからあまり動きは気にしなかった。だけど細切れの時の(渡部)哲男が怖かったので動きをずっと警戒していた。後方に置かれたけど別に焦りは無かったし、後ろが(斎藤)登志信だったんで落ち着いていた。結果的に二人とも3着以内に入れたわけだし良かったですよ」
 2着の手島慶介(写真)は「武田さんは行く気満々だったけど、何度かタイミングを逃したみたい。良いタイミングだったら関東三人で決まったかもしれない。僕自身は内に行ってたまたま1着が取れた」とラインでの決着が叶わず、やや表情が複雑気味。
 小嶋敬二は展開上2車ながら“先行”となってしまった。
 「打鐘を過ぎて誰か来るかな?と思っていたら誰も来なかったので流れで先行になった。すぐに誰か来ていれば三番手に入れたんだけど。あと、武田を出させると四番手からまくるのはキツイと思ったからね。二角手前までは流せたけどバック向かい風だし、三番手に武田がいたしかなりきつかった」
 武田豊樹は「先行できる展開だったんだけど…。状態が悪くないだけに残念だった」と言葉少なにレースを振り返る。
 渡部哲男はまくり届かず4着に終わったが「突っかかって行った分、タイミングが取れなかった。でも直前の体調不良からしたら今回は不安なく走れそう」と明日以降へ意欲を見せる。


<11R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
有坂直樹選手
有坂直樹選手
   11レースは山崎芳仁(写真)が圧巻の力強さを発揮した。バック後方八番手に置かれ、万事休すかと思われたが、大ギアを炸裂させて豪快に直線を突き抜けた。
 「もっと早めに行けたけど、ホームで内に詰まったりして何度かタイミングがずれた。でも新田さんの動きを見て仕掛けられたりと、終始落ち着いていました。スピードに乗せてからはいつも通りの踏み応えがあったし、状態も良いです」
 2着に流れ込んだ有坂直樹(写真)は「二角で離れそうになったけど何とか付いていけた。だけどあと半周あってもあれは抜けないよ、強い」と山崎のパワーに舌を巻く。
 3着の三宅伸は「俺はレースが良く見えていたし、脚にも幾分の余裕があった。負けても仕方ないパターンだったし、3着に入れて良かった」と笑みを浮かべる。
 まくり不発の新田康仁は「自分のタイミングで仕掛けられたけど、それがかえって山崎にスピードを与えてしまったね」と敗因を分析する。


<12R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
佐藤友和選手
佐藤友和選手
   12レースは井上昌己が平原康多の仕掛けを突っ張って先行。外併走の平原が健闘むなしくバックで失速すると、マークの神山雄一郎(写真)は井上ラインにスイッチ。最後は自らまくり出て快勝した。
 「井上もホームから全開だったし三角ではかなりきつかったと思う。バック過ぎで切り替えた手前、しっかり勝たないと平原に悪いし、後ろに飯嶋もいたしね」
 後方からまくった佐藤友和(写真)と神山追走の飯嶋則之が同着でそれぞれ2着を分け合った。佐藤は「ローラーに乗っている感じでレース中脚がずっとふわふわしていたので、スピードに乗せたとき違和感があった。最終的にそれがきつかったけど、良く言えば脚が軽いわけだし調子自体は引き続き良いと思う」と話し、飯嶋は「今日は神山さんの後輪だけを見ていたので展開がよく分からなかった。神山さんのおかげです。ワンツーなら尚更嬉しいですね。」とそれぞれレースを振り返る。
 佐藤友のまくりに乗った佐藤慎太郎は惜しくも4着に終わる。
 「もうワンテンポ早く踏めれば3着もあった。飯嶋のコースを見すぎてしまった。あれが敗因。今回は反応や判断がいまひとつ悪いね」
 平原康多は「井上さんは突っ張らないと思った。計算違いですね。状態がいいだけに悔しい」と話し、荒井崇博も「平原を止めたので、あとは友和の仕掛けだけをずっと気にしていたが、神山さんの動きは考えていなかった」とそれぞれ想定外の展開に翻弄された様子だった。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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