『第23回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 2日目編
 
配信日:12月2日
 


スタールビー賞・ダイジェスト

 スタートでポンと飛び出したのは佐藤友和。有坂直樹が続き、三番手から手島慶介-三宅伸の即席ライン。この後ろに単騎の岡部芳幸が入り、山崎芳仁-斎藤登志信-神山雄一郎-飯嶋則之となるが、神山は1周目から斎藤のアウトに車を合わせ、山崎後位が併走となる。
  赤板では動きなく打鐘と同時に山崎が踏み上げると、番手戦は神山に軍配。岡部も同時に踏み上げて中団確保を狙う。斎藤が再び追い上げて神山のアウトに止まると、最終ホーム手前で佐藤がスパートして山崎を叩く。ここでペースを上げずに中団以降は大渋滞。後方から岡部がまくり上げると佐藤もこれに合わせてスパート。岡部は出切れずも、一瞬の有坂の踏み遅れで、佐藤後位に入り込んだ。四角は佐藤、岡部、有坂の順で回り、ゴールまでスピードが衰えなかった佐藤が押し切り、岡部が2着。伸び欠いた有坂を手島が交わして3着。山崎はまくるタイミングを取れずに終わった。

ゴール
表彰式
ゴール
表彰式



 熊本競輪場で行われている第23回読売新聞社杯全日本選抜競輪は二日目が終了。本日は「スタールビー賞」をメインに、明日の準決勝進出を賭けた優秀戦、二次予選などが行われた。
  中野浩一・緒方浩一、井上茂徳、吉岡稔真ら各氏によるトーク&予想会や熊本選手会主催のチャリティーオークション、先着1000名様に2008年競輪カレンダーのプレゼントら連日大盛況のイベントが明日(3日)も本場で行われます。こちらの方もどうぞお楽しみに。


<1R>
宗景祐樹選手
宗景祐樹選手
  1レースは松田優一が先行すると、番手絶好の宗景祐樹(写真)が抜け出した。
  「松田が頑張ってくれたおかげです。昨日、同じような展開で遅く踏んで失敗しただけに、今日はいつも通りの感覚で前を抜いた。それがしっくりきましたね」
  中団キープの高谷雅彦も昨日と似たような展開となったが、今回はきっちり連対を果たした。
  「昨日も四番手だったし、レース中に失敗しないようにと色々考えていた。うまく軌道修正ができたかな」


<2R>
石毛克幸選手
石毛克幸選手
   2レースは金子貴志が緩急付けた走りで後続を翻弄すると、そのままペースで押し切った。2着には三角から仕掛けた石毛克幸(写真)が入線する。
  「金子さんが上手かったというのもあるけど、それよりもここは本当に仕掛けどころが難しい。まくる前にひと呼吸を置かないとうまく仕掛けられないね。難しかったけど、2着だったから良しとしないと」
  番手戦に出た内田慶は一丸安貴から金子の番手奪取に成功。しかし、結果は3着に終わり「内競りで少し重かったが何とか凌げた。最後はハンドルを投げて2着かな? と思ったんですが、金子さんを抜きに行くタイミングが少し早かった。あれさえうまくいけば2着に入れたと思う。まだまだ修行が足りませんね」と今後の課題を掲げる。


<3R>

 3レースは今日から補充参戦となった中塚記生が、先行した高城信雄ラインの三番手から直線を鋭く伸びて1着をさらった。
  「絶好の展開でしたね。高城君に感謝ですよ。最後は外からでも抜けるかなと思って中割りしなかった。今回は補充だし、緊張感もなく走れました。気負いが無い分、それが良い結果に繋がったと思います」
  逃げた高城信雄は惜しくも4着で確定板ならず。「逃げ切れる展開で、逃げ切れないのが…」と、現状を口にする。


<4R>
 4レースは、離れた中団四番手から直線で外を強襲した松岡貴久が地元でGI初連対を決めた。
  「山内さんも余裕がありそうだったし、アタマまでは無理ですね。バックの向かい風がキツかったし、車間が詰まった勢いで外を踏みました。ケガをしてから久々にハンドルを投げましたよ。ケガをしてから脚自体は問題ないけど、自転車がしっくりこない状態が続いてる。でも、今日は恵まれました」


<5R>
松永晃典選手
松永晃典選手
   5レースは先行態勢に入った峠祐介をホームから五十嵐力が一気に巻き返す。これで番手絶好になった松永晃典(写真)が快勝。
  「五十嵐君は行くって言ってくれたし、信頼してました。自信を持ってたみたいですね。ホームからカマして行ってくれたのが良かった。五十嵐君とワンツーは初めて。良かったです」と久々の1着に笑顔を見せる。
  峠後位から五十嵐ラインの三番手に切り替えた稲村成浩が3着に。
  「峠もすんなりペースで駆けられると思ってただろうけど、昨日の分もあって五十嵐が早めに来ましたね。2着かと思ったけどしょうがないです」


<6R>
佐々木則幸選手
佐々木則幸選手
   6レースは人気を集めた佐々木則幸(写真)が後方からひとまくりで快勝。見事、期待に応えた。
  「出脚が悪かったので、トップスピードに乗せるのが大変だった。一角がかなりしんどかったですね。でも、二角過ぎからは勢いを乗せられた。今日は本命を背負っていたし、ヘタなレースはできないと責任を感じていた。今日悪かったら帰ろうと思っていたくらい。だけどまずまずの走りができたし、明日に繋がればいいですね」
  萩原孝之にからまれながらも香川雄介が何とか2着をキープした。
  「ノリは踏み出した感じがものすごく悪かった。まあ、俺のことが嫌いなんかもしれんけど(笑)。でも、山おろしでかかって行ったし、結果的にはやっぱり強かった。からまれたけど何とか凌げてホッとしました」


<7R>
平原康多選手
平原康多選手
   7レースからは二次予選。3名のみが準決勝へ進出できるだけに、各者の激しい攻防が続いた。細切れ戦となったレースは、ホーム過ぎから主導権を握った平原康多(写真)がそのまま後続を振り切って快勝する。
  「今日は緩むところがあれば行ってやろうとずっと考えていた。顔見せから山田さんが三番手を主張したのが気になったけど、細切れだし誰かが動かなければレースが始まらないですから。2車だけど先行に迷いは無かった。また今開催は物凄く調子が良いだけに、昨日が凄く悔しかった。その悔しさを今日にぶつけた感じです」
  三番手を確保した山田裕仁は2着に入線し「今日は細切れ戦だし、何が何でも先行ラインの三番手が欲しかった。それで粘られたり絡まれたりしても仕方ないと覚悟していました。来るなら中川か平原と思っていたし、ある程度描いていた展開になった。落ち着いて位置が取れ、あとは前を交わすだけだったけど、それは無理だったね」と作戦通りの展開となって満足げ。
  平原マークながら着外に沈んでしまった阿部康雄は「2車だし、後ろに山田がいたから焦ってしまった。それに平原の踏み直しも凄くて、結局車間が詰まらなかった。残念だよ」とがっくり。


<8R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
   8レースは小嶋敬二(写真)が先行すると、パワーあふれる走りを披露して別線を圧倒。後続を力でねじ伏せた。
  「昨日先行したときはバックでスピードの乗りが悪かったけど、今日はペースで駆けられた。連日先行して、勝ち上がり戦を勝てたわけだし、状態は良いと思うよ。でも、何で毎日先行しているんだろうね(笑)」
  中団四番手からまくって2着の友定祐己は「小嶋さんか石橋君、どちらが先制するにせよ、とにかく中団で勝負したかった。初日を突破できてホッとしたし、準決にも乗れて嬉しい」と笑みが絶えない。
  中近コンビの三番手を選択した大塚健一郎が3着を確保して鋭脚を披露。
  「小嶋さんのカカリも凄いので、とにかく付いて行って最後は自分の感覚だけを頼りに突っ込みました。コースを探すとかする余裕は全然無かった。三番手だったし、前田さんもずっと仕事をしていたから、最後の最後まで待って踏んだ。結果的に3着だし良かったですよ」


<9R>
白戸淳太郎選手
白戸淳太郎選手
   9レースは矢口啓一郎が先制すると、石丸寛之が豪快なまくりを放ったが、最後は後方8番手から仕掛けた白戸淳太郎(写真)が大外を強襲し1着をさらった。
  「石丸君が先にまくった時、山口さんと最後方に置かれてしまったけど、焦りは全然無かった。むしろ(石丸君が)失速してくれれば俺にもチャンスがあるなと冷静に思っていた。僕は早く動いて失敗するパターンが多かったけど、今日はじっと我慢して仕掛けられた。石丸君が伸びなかったのも分かったし、落ち着いていました。でも、まさか1着とは…。自分自身が一番ビックリしていますよ」
  合志正臣は直線に入るとインコースを猛然と突っ込み2着に入線。地元戦で執念を見せた。
  「前の井上に任せていたし、コースを間違えなければ何とかなると思っていた。今日はフレームを前に使っていたものに戻し、ギアをかけて正解。こんな身体なのに準決まで上がれるとは思わなかった。気力ってすごいなと改めて思いました」
  好位を確保した井上昌己は、仕掛けるタイミングを逸したが、辛うじて3着に入り準決進出を果たす。
  「石丸さんがまくってきたのに気が付かず、少し反応が遅れてしまった。もっと良いタイミングで踏んでいれば紫原さんと三人で決まったかもしれない…」と反省の弁を付く。


<10R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
   10レースは正攻法の武田豊樹が引いた七番手から最終ホームで一気に主導権を奪う。僅差の2着に敗れたが、まずは勝ち上がりを決め、話題は明日のレースへ。
  「レースが空いてたし、初日はどうかな? って感じだったけど、今日は1周駆けて前半より後半のタイムを上げられるように意識しました。結果、0.2秒上がってましたね。2着になったけど、良いと思いたいし、踏んだ感じは悪くない。でも、勝負は明日。雨みたいだから、また違うレースになるだろうし、頑張りたいですね」
  ホームから志智俊夫の内をすくった三宅達也が四番手を確保。その後位から岩津裕介(写真)が鮮やかなスピードを見せ、アタマまで突き抜けた。
  「三宅さんのホームでの判断が最高だったし、あれで助かりました。それにあそこが一番伸びるコースですからね。調子も流れも良いです。去年(の全日本選抜)は準決5着だったので、明日期待します」
  武田後位を回った兵藤一也は伸び切れず、さらに外を志智に強襲される。それでも何とか3着で準決勝の切符を死守。ホッとした表情でレースを振り返る。
  「ラインで決めたかったけど、直線が長いからね。ゴールしてヒヤッとしました。ヤバかったけど、準決勝には乗れたので。落車の影響ですか? 周りが見ての判断だし、何とも言えないけど、自分ではないと思いますよ」


<11R>
成田和也選手
成田和也選手

   11レースは6着以内で準決勝進出が決まる優秀競走。一見、容易に思えるこの「6着権利」が選手心理には多大な影響を及ぼした。レースは村上義弘が自らのスタイルを貫き先行勝負。うまく3番手を確保した成田和也がまくり出ると、4コーナーで村上後位の後閑信一がブロックし、内には小倉竜二が斬り込むなど大混戦に。インコースの選手が絡み合う中、大外を新田康仁が駆け抜けて1着をさらった。
  「出切るつもりで踏んだんですけどね。僕が先行するつもりもありました。(佐藤)慎太郎が前と車間を空けていたので、入れるかなと思って降りたんですが、さすがに無理でしたね。外を踏んで思ったよりも伸びた感じ。ここ2日間はうまく動けているし、心配だったレース勘も問題ありません」
  2着には渡部哲男が強襲した。一時は8番手に置かれるピンチも強引にまくり上げてしのいだ。薄氷を踏む思いのレースに「中途半端なレースをしてしまいましたね。荒井さんが離れ気味だったので、自分で踏んでいくのかなと思ったんだけど、気配が感じられないので先に踏ませてもらった。小倉さんも準決勝に乗れたんでホッとしてます。それにしても車が良く伸びてくれた」
  成田和也(写真)は後閑信一のブロックをかいくぐり3着。巧みな位置取りが光ったレース運びに周囲の評価も高まった。
  「あの位置は狙ってました。後ろの新田さん、渡部君の動きは気になったけど、自分のタイミングで踏めました。それにしても後閑さんのブロックが効いた。体は当たってないんですけど、避けるときに前輪が飛んでしまいました。危なく止まっちゃうところでしたよ。結果も悪くないし、今日は思った通りのレースができました」


<12R>
ああ
佐藤友和選手
佐藤友和選手

岡部芳幸選手
岡部芳幸選手
   12レースは先制した佐藤友和(写真)に対し、岡部芳幸が単騎カマシで反撃。岡部は空いた番手に入り佐藤に詰め寄ったが、佐藤が力強さを発揮して何とか振り切って快勝した。
  「岡部さんが来るのは分かっていました。ただ、一人なのか、手島さんらと一緒なのかは分かりませんでしたが。突っ張りきってからもずっと岡部さんを見ていたし、合わせきる事ができた。踏み応えもあったし、今日はギアを上げて正解でした。賞金額? 圏内にいる人たちは全員勝ち上がったでしょ。だからリードしたとは思っていません。ただ、そういう目標があるから気合が入るという事はありますね」
  今回は単騎戦を選択し果敢な攻めで見せ場を作った岡部芳幸(写真)は「友和にうまく合わせられてしまったね。カマしたのは山崎が踏むと思ったけど、こなかったから結果的にああなっただけ。だけど無我夢中だったし、展開は良く見えていなかった。番手に入ってから友和を抜こう、抜こうと思ったけどあれは抜けない。あいつ強かったよ」と佐藤の強さに脱帽。
  反撃及ばず着外に沈んだ山崎芳仁は「後ろの競りは特に気にならなかった。岡部さんの動きは『あっ、カマシか』と思い少し驚いた。僕自身バックで仕掛けようと思ったが、三宅さんが下がってきたのが気になってしまった」とレースを振り返る。
  佐藤マークの有坂直樹は「友和が強かった。カマシてきて平面ダッシュをされてしまい、口が空いてしまったところで岡部に入られた。友和に申し訳ないことをした」と反省し「明日はしっかり頑張る」と明日以降へ向けて気合を入れ直す。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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