『第23回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 3日目編
 
配信日:12月3日


 第23回読売新聞社杯全日本選抜競輪はいよいよ三日目に突入。本日は決勝戦進出を賭けた準決勝3個レースが行われ、各レースともに熾烈を極める好勝負となった。山崎芳仁、小嶋敬二、佐藤友和らV候補の強者が接戦を制して勝ち上がり、9名のファイナリストが出揃った。明日、今年最後のGⅠ王者が決定する。
 最終日も中野浩一・緒方浩一、井上茂徳ら各氏によるトーク&予想会や先着1000名様に2008年競輪カレンダーのプレゼント、面白ケイリントークショーなど場内イベントは満載。是非とも本場にお越しいただき、臨場感あるレースをお楽しみください。


<4R>
富永益生選手
富永益生選手
   4レースはホームで吉川誠に押さえられた稲垣裕之がすかさず巻き返してひとまくり。最後は稲垣マークの富永益生(写真)が交わしきった。稲垣も2着に粘り、3着に岩見潤が入りラインで連独占を決めた。
 「1着だったけど、昨日失敗したせいで緊張感が切れたからか、身体の反応がイマイチだった。稲垣君とは初めての連係だったけど、GⅡを獲っている選手だし全て任せていました」
 稲垣裕之は「吉川君をペースで駆けさせたくなかった。仕掛けたのはホーム過ぎからで、迷いは無かった。結果的に良い位置からまくれましたね」と今日のレース運びに納得。


<5R>
紫原政文選手
紫原政文選手
   5レースは石橋慎太郎と吉田敏洋の二分戦。吉田が先制し石橋がまくりを放つと、2センターで吉田マークの島野が猛ブロック。島野が石橋をもっていきポッカリとインコースが空くと、中部コンビ追走の紫原政文(写真)が一気に突いて1着をさらった。
 「島野のブロックは凄かった。あれで前がいなくなってしまい焦った。あと、石橋のまくりのスピードが良すぎて対応ができなかった。ああなったら行くしかないと思って前に踏みました」
 吉田敏洋は「二分戦だし、石橋の動きだけ気にしているだけで良かった。2着に粘れたし、ある程度レースを作れた。展開が徐々に向いていますね」と手応えを感じ取った様子。


<6R>
石丸寛之選手
石丸寛之選手
   6レースは石丸寛之(写真)が後方からひとまくり。競りとなった後続は離れたが、2センターで前団をまくり切り今シリーズ初白星を挙げた。
 「連日9着が続いたし、この1勝は本当に嬉しい。お客さんの声援もありがたかった。今日は競りもあったし、タイミングが取りづらかったけど、踏み出してからは自分の力が出せたと思う」
 海老根恵太は内に詰まり万事休すかと思われたが、インコースを掻い潜って2着に入線。しかし「内に詰まって終わるのが嫌でとっさの判断で内に行ったが、内容的にはあまり良くなかった…」と普段とは違うレース展開にやや戸惑い気味だった。


<7R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
   7レースからは特選競走。地元の松岡貴久が主導権を握りレースを作ると、番手の荒井崇博(写真)が直線で追い込んで1着。
 「松岡がしっかり先行して頑張っていた。しかもうまく踏んでいましたね。金子さんも来なかったし、追っていて楽だった」
 中団を確保した金子貴志が三角過ぎからまくり追い込み気味に踏み込んだが、惜しくも届かず3着に。
 「番手が荒井だったし、合わされるのが嫌だったから脚を溜めてまくり追い込みで行こうと思った。番手まくりの事を考えなければ、自分のタイミングで仕掛けられたかもしれない」
 九州コンビを追走した宗景祐樹は2着に入線する。
 「もしもの時のために自力を出せるようにギアを上げたけど必要なかったですね。松岡君は(競走得点が)100点だと思って少し侮っていました。カカってましたよ。荒井も余裕がありそうでしたね」


<8R>
中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
   8レースは地元の中川誠一郎(写真)が意地を見せた。先行した矢口啓一郎ラインの三番手を確保すると、最後は2センターから一気に踏み込んで1着をゲットした。
 「昨日のレースで落ち込んだが、とりあえず1着取れたし良かった。今日は誰かが斬っても、最後に斬れば矢口さんの三番手が取れると思った。でも、志智さんが来なかったのは意外でしたね」
 レースの主導権をにぎり2着に粘った矢口啓一郎は「三番手がもつれたのもわかっていたけど、誘導が退避してからはよく分からなかった。バックを先頭で通過できれば最低でも3着、もしくは逃げ切れるかと思った」と残念がる。


<9R>
村上義弘選手
村上義弘選手
   9レースは二車で先行した五十嵐力―村本大輔の南関コンビの三番手を追走した村上義弘(写真)が、直線に入ると一気に抜け出して快勝。番手の山内卓也と共に連対を果たした。
 「山内が良い位置を取ってくれたね。位置も取れたしあとは流れに応じてと思った。昨日、不甲斐ないレースをしてしまい、久しぶりに悔しくて眠れなかった分、今日1着が取れて良かった」
 山内卓也は「五十嵐が前を取った時点でカマシと分かったから、良い位置を取りたいと思っていた。今日は全て村上さん任せでした。直線では、内にいた村本さんには勝ったと思ったけど、外の7(山田敦也)に抜かれた!と思った。それだけに2着で良かった」


<10R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
   10レースからは準決勝。競走は2名が落車するなど波乱の展開となった。最終1センターで渡部哲男が佐藤友和を叩くと、番手の佐藤慎太郎が渡部マークの合志正臣と接触し合志と山田裕仁が落車。一人になってしまった渡部の番手に佐藤友がはまると、最後は三角まくりで快勝。佐藤慎も2着に入り北日本コンビがワン・ツーを決めた。
 佐藤友和(写真)は「渡部さんに叩かれたし、レース展開としては最悪。叩かれたときヤバイと思っていたら後ろで『ガシャン』と音がした。それで自然と番手にはまれた。入ってからは落ち着いて仕掛けられました。明日は気負いなくいつも通りの競走ができれば…」と明日の大一番に向けて気合を入れる。
 佐藤慎太郎(写真)は1コーナーでのプレーが審議対象となったが、判定はセーフ。一瞬やきもきしながらも、何とか決勝へ駒を進めた。
 「レース中は俺自身もアウトかなと思った。でもぶつかって落ちたし、流れで避けたと見てくれればセーフでしょう。今回はツキがあったね。最近のデキはひどいだけに決勝まで上がれるとは思わなかったですよ」
 3着には東北コンビの三番手を回った渡邉晴智が入線する。コンディションが万全ではない中で、しっかりとチャンスをモノにした。
 「前二人のおかげ。脚にも余裕があったし、落車にも巻き込まれなかったし流れも良かった。今回はよく勝ち上がれたなと改めて思う。運だけでここまで来た感じですね」
 その後、新田康の決勝進出の知らせを受けると「やっと新田とGⅠの決勝に乗れる。本当に嬉しい!」と改めて喜ぶ。
 後方に置かれた武田豊樹は2センターから仕掛けたが、惜しくも届かず4着に終わり確定板ならず。
 「落車もあったし、良い位置から仕掛けられなかった。流れだから仕方ないけど…」と消化不良のレース展開に残念そう。
 渡部―合志の後位からの組み立てを選択した山田裕仁は、落車に巻き込まれ見せ場を作れないまま終わり「あれを避けても余分に脚を使ってしまうわけだし、勝負になったかは分からない。落車の影響は無いし明日も走る」と淡々とレースを振り返る。


<11R>
平原康多選手
平原康多選手
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
   11レースは後ろ攻めの平原康多(写真)が中団の小嶋敬二を打鐘前からフタをして動かない。小嶋も車を下げず、そのまま最終ホームを通過。2コーナー手前で前受けの岡部芳幸が中バンクに上がると、内を突いて小嶋が先行する。濱口高彰が付け切れず番手に入るかに見えた岡部に平原が追い上げ番手を奪取、そのまま直線鋭く抜け出した。
 「後ろ攻めになったらああしようと決めていました。フタしたまでは作戦どおりだったけど、岡部さんより先に動くつもりだった。そこは失敗しましたね。でも、神山さんも決勝に乗れて結果オーライ。特別だし勝ち上がらないといけませんからね。今回は勝負するつもりで来てたし、体の状態もすごくいい。明日も楽しみですね」
 小嶋敬二は内に封じ込められる最悪の展開を逃れ、2着で決勝進出を決めた。
 「平原が出たあと流すだろうという前提でカマすつもりだった。でも、ああなったからね。岡部も平原に飛び付きたいだろうから、一回は上に上がる。そこを突っ込むつもりでした。今日は半周しかモガいてないけど、連日バックは取れてるし、動きはいいと思います」
 平原の動きに続いた神山雄一郎(写真)は3着で昨年の全日本選抜以来の決勝進出。
 「今日は平原に任せてたけど、(バックで)岡部にからまれて大変でしたよ。それでも3着に入れたからね。初日から良かったし、それをキープできてますね」
 前を取った岡部芳幸にとっては予想外の展開になった。
 「ずっとあのままだし、少し展開が難しかった。あそこから平原を出させてもキツいし、もう駆けるしかないと思ったら内から小嶋さんが来て…。全然分からなかった」
 濱口高彰は、「あれはとっさに反応できない。状態が良かっただけにもったいない」と悔しがる。


<12R>
新田康仁選手
新田康仁選手
兵藤一也選手
兵藤一也選手
   12レースは最終ホームから叩いた山崎芳仁が流したところに友定祐己が追い上げる。番手の有坂直樹をキメて番手を奪うかに、そのまま内から山崎を抜いて先頭へ。友定が緩めたところを、新田康仁(写真)が一気にまくると、兵藤一也の追撃を振り切った。
 「理想は昨日(スタールビー賞で佐藤)友和がやった戦法。あんな感じのレースにしたかったけど、前がモツれてくれたし、僕は脚を使ってなかったから。千葉記念の落車で肋骨が折れてたけど、11月を休んでここに向けてやれた。体調は問題ないですね」
 2着には兵藤一也(写真)が入り、初のGPへ大きく前進した。
 「今年はダービーしか決勝に乗ってなかったので良かったです。新田さんは緩んだらカマすと言ってくれたし、踏み出しが良いから付け切ることだけ考えてました。すごい勢いでしたね。抜けると思ったけど、抜けなかった。明日は(前を)抜けるように頑張ります」
 予想外の展開をしのいだ山崎芳仁は何とか3着で決勝戦に駒を進めた。
 「友定さんが内に斬り込んで来るとは誤算で、ビックリしました。でも、それからは冷静に上手く立て直せたと思います」
 山崎の番手を奪うまでは作戦どおりだった友定祐己だが、「流れを見てだったけど、流して押さえ先行ならハコに行こうと思ってた。でも、山崎が踏まないからバックを踏み切れず出てしまった。それでも、もう一回来たら飛び付こうと思ってたけど、山崎は来ないし、新田さんは来るし」と苦笑い。
 友定の追い上げに遭った有坂直樹は「(山崎が)流し過ぎ」と言葉少なに検車場をあとにした。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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