『第24回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 2日目編
配信日:12月7日
初日特選から勝ち上がった9名によって争われるスタールビー賞が今日のメイン。第24回全日本選抜競輪は2日目を迎えてますますヒートアップする。準決勝のメンバーが決定すると、明日の戦いを前に作戦を練る選手達で検車場のテンションは急上昇。大詰めを迎えたシリーズの行方に注目したい。 開催中毎日のお楽しみ「未確定車券(5千円分)抽選会」、明日の景品は電動アシスト付き自転車です。トークショーは植木通彦さんと中野浩一さんの対談。また、開門時には準決勝3レースの3連単車券をプレゼント(先着2,016名様)。ぜひ西武園競輪場にお越しください。
スタールビー賞・ダイジェスト
スタートで加藤慎平が踏み上げる。荒井崇博を受けて、荒井―加藤が前団。その後ろに武田豊樹―神山雄一郎の茨栃コンビが入り、渡辺一成の後ろは内が佐藤友和、外に渡辺晴智で併走状態。以下は伏見俊昭―有坂直樹の北日本勢が続く。
赤板前の四角で佐藤は車を下げるとすかさず踏み上げて、正攻法の荒井を押さえ込む。そのまま打鐘前に誘導を佐藤が交わすと、荒井は車を下げる。六番手まで引いた渡辺一が打鐘過ぎに一気に仕掛けて主導権を取り切った。渡辺晴まで出切り、佐藤は三番手、荒井が六番手、そして武田は八番手に置かれる。最終ホームから早くも荒井が巻き返すと、あっさり佐藤の横を通過し、そのまま逃げる渡辺一に襲い掛かる。好回転でまくった荒井が渡辺一を飲み込み加藤が巧追走。加藤を佐藤が追うも、渡辺晴が切り替えて加藤を追い掛ける。加藤の後は併走となったが、内の渡辺晴が有利で外の佐藤は一杯。ゴールまでスピードが衰えない荒井が押し切り、加藤が2着で即席ラインでワンツー決着。
ゴール
表彰式
<1R>
紫原政文選手
一次予選で敗れ、負け戦回りとなった
紫原政文(写真)
だが、二日目は菅原晃の先行に乗ってきっちりと1着をゲット。GP出場に向け望みをつないだ。
「菅原君は良いタイミングで4コーナーから行ってくれた。周りも『1着を取らないと駄目だ』と言ってくるから緊張しましたよ。付いていて後ろから誰も来なかったから、残し気味に踏もうと思っていたけど、志智君が早めに踏んできたので(松本)大地が『踏んで!』と言ったので前に踏みました。三人で決まってよかった。自分もGPにわずかな望みがつながったからよかったし、欲も出てきたね」
明日以降も背水の陣となるだけに、レース後はいつも以上に入念にクールダウンする。
菅原晃
は大役を果たし、ホッとした様子で引き上げてきた。
「後ろが(GPの権利が掛かる)紫原さんだし、それは意識しますよ。ジャンからホームまで、向かい風が強くてキツかった。寒かったし、バンクが重たくて脚が回らなかったね。2着に入りたかったけど、ラインで決まってよかった」
<2R>
飯野祐太選手
飯野祐太(写真)
が落車の不安を払拭する力強い走りを見せた。レースは後ろから押さえて先行。金子貴志のまくりを許しバック線を取られたものの、番手に俊敏にスイッチしゴール寸前で差し返した。
「師匠(平沼由充)が番手を退かしてくれたおかげです。まだ打撲した膝と腰に痛みがあるけど、レースが始まってしまえば忘れてしまうので大丈夫だと思います」
平沼由充
は3着。師弟ワンツーはならなかったが、番手を退かす好プレーで弟子を援護した。
「ひと振りしてからの追い込みだったし、山内君に蓋をされていたんで、飯野がコースを空けるのを待っていた分踏み遅れたね。空いたコースを踏んで、最後は飯野を押す感じになった。2着に入れば明日は特選レースなんだけどね。悔しい」
<3R>
中村浩士選手
昨日はカマシ失敗で大敗した
石橋慎太郎
だが、今日は積極的な競走で力を出し切った。着外に沈んでしまったが、「今日は先行でどこまで…というレースをしたかった。ダービーの時みたいに、色んな先行をやっていきたい。伊東記念から調子は今一つだったんですが、直前もいつもと違うスケジュールで調整してきたので、そのあたりの影響があるのかもしれません。また一から出直しますよ」
石橋の仕掛けに乗った
中村浩士(写真)
が快勝した。
「あんなに早く行ってくれるとはね。気持ちが嬉しかった。二走続けて落車でしょう。気持ちが凹みかけたけど、もう一度立て直せて良かった。一着は何よりの薬です」
<4R>
友定祐己選手
菅田壱道の先行を猛然とまくった村上義弘に、さらに友定祐己が襲いかかる壮絶な展開となった。勝ったのは村上の番手から踏んだ
伊藤保文
。
「(村上は)止まる気がしないね。まくり切るのに時間は掛かるだろうけど、絶対に出切れると思いましたよ。飛び付かれないように気を使って仕掛けてくれたし、村上の気持ちがありがたい」
惜しくも届かなかった
友定祐己(写真)
は、「諦めずに踏んで良かった。外、外で苦しかったけどね。それにしても伊藤さんは余裕ありすぎ。まくりの番手で外をけん制しながら踏むんだから。あれじゃ勝てませんよ」
<5R>
井上昌己選手
5レースは
井上昌己(写真)
がまくって快勝。昨日は終始内に詰まって凡走したが、今日は巧く中団を取ると落ち着いてバックからまくり出た。
「今節は誘導のペースが上がるんで前を取りました。今日はすんなり中団が取れたことに尽きるね。出脚が良かったけど、2センターからがすごく重たかった。まくりなのに苦しかったですよ」
先まくりを喰らった
桐山敬太郎
だが、井上の三番手にスイッチして3着入線。
「今日は後方に置かれたら、バックを取るくらいの早めのまくりで行こうと思っていた。井上さんに合わせられたけど、三番手が空いているのが見えたんで付いていきました。今日は作戦ミス。押さえてきたのが赤板過ぎだったら、一緒に上がった方が良かったね」
<6R>
永井清史選手
力と力のぶつかり合い。二次予選最初のレースは希に見る好勝負となった。意地の先行を見せた
永井清史(写真)
は「新田祐大、北津留翼の二人と対戦するときは気合が入ります。まずは準決勝に勝ち上がれてホッとしました。(山口)幸二さんに抜かれなかったのは初めてかもしれません」と笑顔を見せる。
山口幸二
は3着。武井大介のイン粘りをしのいで勝ち上がりの権利を守り抜いた。
「(加藤)慎平が、『永井はすごくタレるから気を付けてください』と言ってたので、今日もどうやって残すかだけを考えてたんですけど、話と全然違う。それに、武井が粘ったのでいらない脚を使ってしまって、ゴール前は余力が残ってませんでした」
まくり強襲で鮮やかに1着をさらった
新田祐大
。前検日の弱気なコメントからはほど遠い抜群の仕上がりだ。
「練習できていないのは本当なんですけどね。今日は『止まっちゃったら仕方ない』という気持ちで仕掛けたらタマタマ行けた感じです。準決勝も、自分の着にこだわるんじゃなく、今日と同じように開き直って仕掛ければ恵まれるかもしれません。親王牌の時もそんな感じでしたから」
<7R>
石丸寛之選手
一旦は石丸寛之にまくられてしまったが、浅井康太の番手からうまくスイッチして
山田裕仁
が抜け出した。
「(石丸が)一人で来てたのは見えたので、浅井を入れようか迷ったけど、まだ岡部もいるしシビアに行かせてもらいました。今回は狙っているのは一つ(優勝)だけですから。それだけの状態だという確信もあります」
抜かれた
石丸寛之(写真)
だが、力を出し切る競走で納得の表情。
「出脚は良かったですね。中団の岡部さんに動く気配がなかったので、無理矢理行った感じ。タイミングを取って行った訳じゃないんで、豊田さんは付きにくかったでしょうね。昨日、無理して4着に入った甲斐がありました。明日も『初日が全てでした』とコメントできるように頑張ります」
3着の
岡部芳幸
は「3コーナーは危なかったけど、踏んでいたから乗り越えられた。あの位置なら石丸の仕掛けと(中川)誠一郎の動きが両方見られるので、冷静に走ることができるんです。頭と体と自転車がかみ合ってない感じはあるけど、レースになれば問題ないですね」
<8R>
兵藤一也選手
後ろ攻めの渡部哲男が押さえると、菊地圭尚がホームからカマして先行。番手の
兵藤一也(写真)
がゴール寸前で捕らえて1着となる。
「菊地は出切ってしまえば粘るんでね。後ろから誰も来なかったし、俺は付いていただけ。今日は展開が向いたしラッキーだったね」
菊地圭尚
は連日力を出し切るレースを見せ、好調をアピール。
「ジャンの4コーナーからは向かい風が強くなるんで踏んで来ないだろうから、そこから仕掛ければ出切れると思った。昨日、駆けてみて感じも良かったし。周りが皆強いから小細工しても仕方ないし、思い切って行ったのが良い結果につながっていますね。このまま、良い流れに乗っていきたい」
三宅伸
が3着で準決進出。目標の渡部哲男が内に詰まったが、バックで車を外に持ち出し、ベテランらしいコース取りで鋭く伸びた。
「7番(幸田光博)が切り替えていたし、市田も5番手には引けないだろうから自分の所に来ると思った。バックでは後続が4車来ていたんで、哲男を入れられないしね。最後は阿部(康雄)さんが外を行ったんで、退かしながら自分は内をいきました」
<9R>
山口貴弘選手
小嶋敬二がまさかの不発に終わる。レースは中団を取った
山口貴弘(写真)
が後方の小嶋に合わせて自力まくりを敢行。北津留翼をひとまくりした。
「手島さんが後ろに付いてくれて、バックで行くタイミングを教えてくれたんです。それがなかったらもう少し遅めだっただろうし、小嶋さんが来てかぶってしまったでしょう。レース前、北津留君はシューズが壊れたのか履き替えていたんです。それを見て、もしかしたらまくれるのかなと思ったら気持ち的に楽になった。まくれたし調子は絶好調です」
池尻浩一のブロックを凌ぎ、
手島慶介
が2着。準決進出を決めたが、仕上がりに不満を漏らす。
「自分でいつでもまくろうとは思っていたんですけどね。気持ちが入っていないというか、気持ちと体が合っていない感じ」
なお、レースは岩見潤が4コーナーで内を強引に突っ込み、4名が落車する大アクシデントが発生した。これを間一髪避けた
稲村成浩
が3着に入る。
「4コーナーで3着はあるかなと思ったけど、あれでシューズが半分脱げてしまって(苦笑)。回していて靴がフレームに当たってしまったけど、何とかゴールまで持ちこたえました。もうちょっと(横を通るのが)遅かったら自分も落車でしたね」
<10R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁(写真)
が前受けから八番手まで車を下げると、ホームからカマして余裕の逃げ切り。圧巻の横綱相撲で完勝した。
「昨日は荒井(崇博)に内をすくわれて、一回腰砕けになった状態から仕掛けたけど、今日はいつもの自分の仕掛けができたから。松岡さんが駆けてしまったら1コーナー過ぎから仕掛けたけど、まだ駆けてなかったんで」
成田和也
は山崎を交わせなかったが、後ろを気にする余裕も見せた。
「後ろに長塚君がいたのが分かったんで、無理して抜きに行って中を割られるよりは、しっかりと内を締めることに集中しました。今日は自分は付いていっただけ。山崎君が強かった」
<11R>
小倉竜二選手
圧倒的な人気を集めた
平原康多
。先行勝負で勝ち上がりを狙ったが、濱田浩司に突っ張られてピンチに陥った。それでも必死に踏み込んだが4着が一杯。地元で初のタイトル制覇の夢は潰えた。
「濱田さんが捨て身の仕掛けでしたね。あれならまくりに構えた方が良かった。展開なんでしょうがないです…」
平原と濱田が踏み合う絶好の展開を生かし切った
海老根恵太
。久しぶりにビッグレースで存在感ある走りを繰り広げている。
「昨日、先行したおかげですかね。濱田が4回転だから、突っ張りもあるのかなと思っていたのが良かった。脚の感じはいいですね。もちろん、勝てたのは(鈴木)誠さんが中団をさばいてくれたおかげですけどね」
小倉竜二(写真)
も満足げな表情。
「濱田君はいつも行ってくれるし、よく頑張ってくれました。あそこから突っ張ってるから3コーナーぐらいからは苦しそうでしたね。僕もローリングに付き合って、酔わされちゃったけど、何とか2着に入れて良かった。感じは悪くないです」
<12R>
荒井崇博選手
北日本勢の作戦に注目が集まったスタールビー賞だが、ほぼ別線のような走りとなった。
佐藤友和
は「昨日、コメントを変更した通りの走りですね。先行してるのが渡辺君なので、できるだけ遅く仕掛けたかったんだけど、その気持ちを荒井さんにうまく突かれてしまった」。
見せ場なく終わってしまった
武田豊樹
は、明日の戦いに備えて入念に自転車を整備する。
「今日みたいなレースは難しいですね。僕から動いて先行勝負に出れば良かった。北日本の動きに振り回された感じです。脚の感じは、初日の先行で把握できている。平原が負けてしまったので、関東の代表として決勝に乗れるよう頑張ります」
豪快なまくりで
荒井崇博(写真)
が強豪達をまとめて料理。「ホームで詰まったので、そのまま踏みました。やっぱり空気が冷たいので苦しいですね」と会心のレースにも言葉は少ないが、秘めた闘志は隠せない。
荒井に付けた
加藤慎平
も強さを認める。
「荒井は強かった。抜ける感じじゃなかったですよ。どんピシャのタイミングでしたね」
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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