真夏の熱き戦いが戻ってきた! |
平原康多のGI初優勝で勢いがますます加速する |
|
平原康多 埼玉・87期 |
全日本選抜競輪は85年にそれまでビッグレースのなかった真夏に新設された。以来、夏季開催が定番となっていたが、第17回大会から11月開催に移り、第21回大会から12月開催へ、そして本年度から再び夏季開催へ戻ってきて、文字どおりの熱き戦いが繰り広げられることになった。
中心となるのは日本選手権の武田豊樹に続き、高松宮記念杯では平原康多がGI初優勝を決めて乗りに乗っている関東勢だ。
高松宮記念杯では武田と平原の二枚看板に引っ張られて4人が優出。決勝戦も4人がしっかり連係して平原の優勝を援護し、ラインの重要性を改めて知らしめる結果となった。こうなると武田や平原は、後半戦のビッグレースでは関東から3人目のグランプリ出場者を出すためにラインをグイグイ引っ張っていくだろうし、関東の選手にとってはGI優勝のチャンスが大きく膨らんでくる。
|
|
村上義弘 京都・73期 |
1月・大宮で記念初優勝を飾った矢口啓一郎や近況勝ち星が増えている志村太賀にも大駆けの魅力が十分で、そろそろ大舞台のレースに慣れてきたはずの木暮安由の活躍も期待できる。今回も関東勢がラインの厚さと結束力の強さを見せつけるだろう。
勢いの良さなら村上義弘も負けていない。日本選手権では土付かずの3連勝で決勝進出。4月・川崎記念は完全優勝、その後も優勝こそないが日本選手権の頃の勢いを持続しており、対戦相手や展開に関わらず常に1着を狙える状態にある。関東勢と比べると近畿勢はライン的にはかなり見劣りするが、村上は孤軍奮闘の走りで勝ち上がっていくだろう。 |
|
|
中部勢の攻勢がここから始まる! |
完全復活の小嶋敬二が惜敗続きの借りを返す |
|
山田裕仁 岐阜・61期 |
地元開催のGIに中部勢が盤石の構えで臨む。この2年余り、中部勢からはGI優勝者が出ていないが、怪物パワーの蘇った小嶋敬二、西王座戦を優勝した加藤慎平、2月・静岡と5月・平塚の記念を優勝した山田裕仁といったベテラン勢の復活が続き、若手も永井清史が共同通信社杯・春一番を優勝、浅井康太が高松宮記念杯でGI初優出と明るいニュースが多い。
機動力でも選手層厚さでも関東勢に匹敵するものがあり、タイトル奪取の望みは高い。
高松宮記念杯でも中部勢は3人が決勝進出を決めており、今回も地の利を活かしての大挙の勝ち上がりが十分に期待できる。
決勝戦では山崎芳仁の意表を突くイン粘りで浅井康太と小嶋敬二の連結が外れてしまったが、今度こそはの意気込みで同じ失敗は繰り返さないずだ。
大垣の総大将・山田裕仁がしっかりと中部勢をまとめ、地元ファンの声援に応える走りでラインでの上位独占を狙ってくる。 |
|
小嶋敬二 石川・74期 |
特に、小嶋はSSシリーズ風光るでも、優勝の二文字が目の前に迫った瞬間に外強襲の伏見俊昭にさらわれて悔しい思いをしているだけに、ここできっちり借りを返しておきたいはず。小嶋も11月には40歳の大台を迎えるが、蘇った怪物パワーは健在で高松宮記念杯でも先行と捲りで2勝を挙げており、今回もベテランの技とパワーで順調に勝ち上がっていくだろう。 |
|
山崎芳仁 福島・88期 |
今年初めの競輪祭までは圧倒的な強さを誇っていた北日本勢だが、日本選手権では決勝進出者がゼロで、高松宮記念杯でも決勝進出は山崎芳仁のみで、かつての勢いはどこかへ行ってしまった。
それでも、SSシリーズ・風光ると全プロ記念のスーパープロピストレーサー賞を連勝した伏見俊昭の強さは誰もが認めるところだし、山崎芳仁も高松宮記念杯でようやく復活を遂げた。
初日青龍賞では平原‐武田の関東ラインや別線の佐藤友和らを相手に先行で2着に粘って伏見とのワンツーを決め、準決勝でも堂々と逃げ切っており、今回も山崎‐伏見の黄金コンビを中心に北日本勢の反撃が期待できる。 |
|
渡邉晴智 静岡・73期 |
南関東勢からは、渡邉晴智、新田康仁、7月・寛仁親王牌でGI初Vの海老根恵太のSSトリオがやはり侮れない。 渡邉は近況1着が少ないのが気になるところだが、さすがに安定した成績を維持しており大崩れも少ない。
6月・京王閣記念の準決勝でめでたく通算300勝を達成。決勝戦では海老根恵太の捲りに乗り、直線ではインを突いて2着に食い込んでおり、一瞬のチャンスを逃さない巧みなコース取りと鋭い差し脚は健在だ。高松宮記念杯でも準決勝で山崎芳仁をぴったりマークして決勝進出を果たしている。
新田も復調気配が見えており、近況は自在に動いての一発が多く静岡コンビのワンツーが今回も十分に狙える。 |
|
|
本来のスピードが戻った北津留翼が押し切り狙う! |
勝負強さが持ち味の井上昌己の一発が侮れない |
|
北津留翼 福岡・90期 |
九州勢は北津留翼のスピードに期待したい。競輪祭で決勝進出を決めて地元ファンの大声援を受けたあと、低迷状態がしばらく続いていたがここへきてようやく復調してきた。
5月・別府記念では九州勢を連れて連日逃げまくり、決勝戦は3着と健闘。高松宮記念杯は準決勝で敗れたが、一次予選は捲って1着、二次予選Aは石丸寛之、佐藤友和らを相手に逃げ切っており、競輪祭の頃のスピードが戻ってきている。
今回も紫原政文や小野俊之らの援護を受けてタイミングよく駆けていけば、平原康多や村上義弘らを相手に逃げ切った競輪祭の準決勝のように、堂々の先行勝負での勝ち上がりが十分に狙えるはずだ。
|
|
井上昌己も地元・佐世保の共同通信社杯・春一番を3連勝で勝ち上がったが、決勝戦で4着に敗れてからは勝ち星から縁遠くなってしまった。
それでもやはり、井上の最大の持ち味である勝負強さを侮るわけにはいかない。昨年のグランプリ覇者がいつまでも凡走を続けているわけがなく、7月・寛仁親王牌では優出した。復調の兆しが見えてきた荒井崇博や北津留翼とともに、今回は必ずや九州勢躍進の原動力となってくれるだろう。
|
|
石丸寛之 岡山・76期 |
中・四国勢はこのところやや元気がない。S級S班の石丸寛之と三宅伸の2人も、決して不調ではなく常に好勝負を演じているのだが、あと一歩足りないというレースが続いている。
あと少しの伸びと、あと少しの展開の助けがあればお馴染みの岡山ワンツーを決めてくるだろうし、今回も強力な関東勢や中部勢を相手に見せ場を作ってくれるだろう。
濱田浩司や渡部哲男の動きも悪くない。濱田は松宮記念杯では2勝を挙げており、4日目特選では北津留翼、飯野祐太を相手に大ギアパワーを爆発させて四国勢で上位を独占している。
渡部も近況はこれといったヒットははないが安定した成績を維持しており、先行・捲りだけでなく、自在に動いての連絡みも増えてきている。 |
|
|
|