『第25回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 2日目編
 
配信日:8月2日
 



 全日本選抜競輪は大会二日目を迎えた。今日は6Rから始まる二次予選とスタールビー賞がメインの一日。激しいファイトがぶつかり合うG1ならではの熱戦が繰り広げられた。予報では天気が快方に向かうとのこと。最高峰のレースから目が離せない。
 明日の場内では地元名産品の即売会や、LOVE9によるミニライブなどを開催します。先着1,000名様にはオリジナル扇子をプレゼント。ぜひ本場で熱い戦いを観戦してください。




スタールビー賞・ダイジェスト
 最内の井上昌己がスタートを取って正攻法に構え、紫原政文が続いて九州ラインが前受け。両者に単騎の石丸寛之が付けた。中団には浅井康太―山口幸二の中部コンビが入り、ラインの長い北日本勢は、佐藤友和―伏見俊昭―岡部芳幸―成田和也の布陣で後方となった。
 赤板前に佐藤が上昇を開始すると、浅井も抵抗を見せる。佐藤は一旦引いてすぐに踏み込んだが、浅井も真っ向勝負で一歩も引かず、佐藤を突張って主導権を守った。最終ホームでは浅井―山口の後位を井上―紫原が確保。伏見は佐藤を無理に追わずに紫原後位に入って態勢を立て直す構え。先行した浅井に対し、好位に入った井上が最終バックから一気に仕掛けると、最後は直線で浅井をとらえて1着をさらった。2着には外コースを強襲した伏見が入線。井上マークの紫原は山口のブロックで伸びを欠き3着に。
ゴール



ゴール
井上昌己選手
井上昌己選手





<1R>
三宅達也選手
三宅達也選手
    先行した三宅達也の後位がもつれる展開に。最終的に番手に入った望月裕一郎が逃げ粘る三宅をゴール寸前で捕らえた。
 「武井(大介)君が番手で粘る競走をするのは分かっていました。武井君が落車して自分が番手に入る形になったけど、けっこう余裕はあったし、何とか差せましたね。前の頑張りのおかげです。今日からの補充なんですが、脚は軽く感じました。特別での勝ち星は久しぶりだから嬉しいですね」
三宅達也(写真)は微差の2着に敗れたが、表情は明るい。
 「初手で中団になって、武井君が来たけど、仕掛けそうになかったので、引いてから巻き返しました。武井君はやっぱり粘りましたね。出切ってからはペースで踏みました。山口(貴弘)君にも合わせられたし、感触は良かったです」


<2R>
菅原晃選手
菅原晃選手
   菅原晃(写真)の4回転ギアが炸裂。松崎貴久の先行を豪快にまくって快勝した。
 「栗田(雅也)君が先行すると思っていたし、予想外の展開になりましたね。雨が酷かったけど、レースの流れは見えていました。内が空いていたから三番手をすくって、そこからまくって行きました。調子もいいと思います」
 菅原のまくりに切り替えた坂上樹大が2着。
 「松崎さんがあんなに駆けてくれるとは思わなかった。雨で周りがほとんど見えない状態で、気付いたらもう(菅原に)並ばれていた感じ。今日は全く余裕がなかったです」


<3R>

佐々木則幸選手
佐々木則幸選手
 金山栄治の先行を佐々木則幸が四番手から力強くまくり切るも、この後ろにスイッチした前田拓也が直線鋭く追い込んだ。
 「金山さんが先行してくれて、展開が向きました。まくりを止めたかったけど、ちょっとスピードが違いましたね。でも、ハコを飛ばして上手く切り替えることができました。余裕はなかったんですが、1着が欲しかったから最後は全力で踏みました」
 佐々木則幸(写真)は「こんなにあっさり中団を取れると思っていなかった。あとは自分のタイミングで仕掛けたんですが、車の出は良くなかったですね。切り替えられて完ぺきに抜かれてしまったし、まだまだですね」と2着にも気を引き締める。


<4R>
荻原尚人選手
荻原尚人選手
 人気の近畿コンビを粉砕したのは竹内智彦だ。荻原尚人の仕掛けに乗り、直線でしっかり伸びてG1初勝利を達成した。
 「荻原は前受けだったら番手勝負の作戦だったんですけどね。まさか先行してくれるとは思ってなかったので焦りましたよ(苦笑)。いつもだったら踏み直すんだけど、今日は4コーナーから(荻原が)タレちゃいましたね。この1着は僕にとって大きいですよ」
 荻原尚人(写真)はレースを振り返り「ハコで勝負するつもりもあったんですけど、中団で併走しても仕方ないので、引いてから追い上げるつもりだったんです。そしたら稲垣さんが踏んでなかったので、思い切って叩き切っちゃいました」と苦笑う。


<5R>
吉永和生選手
吉永和生選手
   吉永和生(写真)が獅子奮迅の活躍を見せた。菊地圭尚の番手を取り切ると、まくってきた吉田敏洋にスイッチ。最後は力強く差し切った。
 「内容は120点のレースですね。どちらも先行力のあるラインだったので、コメントも“先行の番手へ”としか言えなかった。僕がどちらへ行くか決めたらレースの流れも変わってしまうでしょうからね。こういう形で勝てたのは嬉しい」


<6R>
加倉正義選手
加倉正義選手
   二次予選最初のレースでは村上義弘が痛烈なまくりで1着。
 「北津留君があそこから突っ張るとは思わなかったので反応は遅れてしまったけど、その後の対処はしっかりできましたね。あそこで下げてたら勝負にならないし、海老根のまくり頃になってしまう。うまく中団を確保できましたね。ギアは、今の僕の力やメンバー構成を考えながら決めていきたいと思います」
 2着の加倉正義(写真)は「北津留をもっと大事にしたかったけどね。アイツが勝ち上がれるかどうかは九州にとっても大きいから。無理に突っ張らなくても良かったんだけど、積極的に行ってくれたんで本当に嬉しい。真後ろが村上とは思ってなかったので、まくりが見えてから体が動かなかった。苦手の雨の中、勝ち上がれたのは自信になります」
 海老根恵太は最悪の展開を脱し辛くも準決勝に駒を進め、「いやぁ、今日は真剣にキツかった。無理矢理みたいに踏んで何とか届いてくれた」と胸をなで下ろす。


<7R>
平原康多選手
平原康多選手
   石橋慎太郎が柴崎淳を突っ張って先行。ハイペースの展開となったが、三番手をキープした平原康多(写真)が2コーナーからまくって完勝。力の違いを見せ付けた。
 「今日は前々に踏んでいこうと思っていました。先行しているより、きついレースでしたね。いつ柴崎が来るのか見ながらだったし、よく出て行けたと思います。兵藤(一也)さんと決めたかったので、(渡邉)晴智さんにからまれないように、外、外を踏みました。今日はギアが重く感じたので下げます」
 完ぺきマークの兵藤一也が2着に流れ込み、関東コンビで連独占を決めた。
 「平原がいいレースをしてくれました。付いてて余裕はあったけど、内から誰か来ないかだけ気にしていました。ワンツーが決まって良かったです」
 このラインを追う形となった村上博幸が3着で準決勝に進出した。
 「最終バックで三番手、平原君の位置に自分がいるのが理想だったけど、あんなにみんなが早く動くと思わなかったし、対応しきれなかった。でも、結果的にいいところを回れたから良かったです。今日はかなりきついレースでした」
 石橋慎太郎は果敢に主導権を奪って見せ場を作った。
 「出てから少し流しても良かったんですが、そのまま持つところまで踏んで行った方がいいかなと思いました。あとは後ろの晴智さんに任せればいいだけですからね」


<8R>
市田佳寿浩選手
市田佳寿浩選手
   先行態勢に入った武田豊樹を松岡健介が一気に叩いて主導権奪取。市田佳寿浩(写真)が番手絶好のチャンスをきっちりモノにした。
 「健介と一緒に勝ち上がれなかったのは残念だけど、自分では精一杯やったつもり。戦える状態まで戻ってきたし、GIの準決勝が久しぶりという感じはしない。気力も充実しているので、何ら気後れすることもない。明日は近畿から1人でも多く決勝に乗れるように頑張る」
 初手からこの近畿コンビを追走した新田康仁が2着に食い込んだ。
 「初手で後ろになってしまったけど、自分から動いたから脚を使いますからね。健介が動くと思っていたし、それに乗っていっただけ。自分のレースはできていないんですが、ツキはありますね。でも、流れも大事だし、明日もしっかり頑張ります」
 武田豊樹の仕掛けに乗った稲村成浩が3着に突っ込んだ。
 「打鐘で武田君がいい勢いで踏んでくれたけど、出てから一呼吸置いたところを松岡君に行かれてしまいましたね。でも武田はどんな展開になっても、外を踏んでくれるし、そのスピードをもらって中を突っ込むしかないかなと。アタマまではいけなかったけど、あの位置から3着なら悪くないでしょう。自分1人だけ勝ち上がってしまい、何か申し訳ないです」


<9R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   木暮安由が後攻めから押さえて先行。人気の山崎芳仁(写真)は内に包まれる展開となったが、空いたインコースを踏み上げてまくり切り、ピンチを切り抜けた。
 「内になってしまったし、前が駆けないと思ったから、1車でも前に行こうと内をしゃくっていきました。そうしたら一番前まで行けたし、結果的に成功しました。大ギアの方が自分は俊敏に動けるので、そんなに不安はなかったです」
 最終バックで山崎の後位に切り替えた宗景祐樹が2着。
 「木暮君が内を空けたから、山崎君に来られたのは仕方ないですね。木暮君を入れても良かったんですが、あそこでバックを踏むのは厳しいですからね。山崎に行かれて冷静じゃなかったし、あまり周りも見えていなかったです」
 3着の石毛克幸は「すんなり三番手でいい展開と思ったけど、山崎君が内から来てびっくりしました。でも、レースは見えているし、状態はいいと思います」と笑顔が絶えない。
 渡邉一成は山崎の動きに付いていけず、4着に入るのが精一杯だった。
 「山崎さんが内に行って、付いていければ2着でしたからね。反応できなかったのが敗因です。体調が良かっただけに、もったいなかったです」
 先行した木暮安由は「今日は前々勝負を考えていました。後ろから押さえて誰も来なかったので、ホームで腹をくくりました。1コーナーで上に上がって、そのあおりで後ろがゴチャついてくれればと思ったんですけどね。まさか内から山崎さんに来られるとは。経験の差ですね」と完敗を認める。


<10R>
加藤慎平選手
加藤慎平選手
   小嶋敬二が中川誠一郎に叩かれると、加藤慎平(写真)が最終バックから自力まくりを敢行。前団を一気に抜き去り、マークの濱口高彰とワンツーを決めた。
 「小嶋さんが絶対に合わせてくれると思ったんですけどね。考えるより前に身体が動いた感じ。最後はバタバタになってしまいましたけどね。状態はいいと思います」
 2着に続いた濱口高彰は「中部3人で決められれば最高だったんですけどね。小嶋君が叩かれて厳しいと思ったけど、判断良く慎平が仕掛けてくれた。慎平はさすがですね」。
 6着で敗退した小嶋敬二は「突っ張ろうと思えば突っ張れたけど、1車だから出してもいいと思った。でも、荒井(崇博)がすぐに来ましたね。ちょっと中途半端なレースになってしまった」と判断ミスを悔やむ。


<11R>
永井清史選手
永井清史選手
   地元中部勢が完ぺきなレース運びを見せた。永井清史(写真)は強烈なダッシュで主導権を奪う。
 「最高のレースでした。今回は先行で戦い抜くつもりですし、山田さんが1着、僕も勝ち上がれましたからね。明日も勝負です」
 山田裕仁からは笑顔が絶えない。ほぼパーフェクトのレースに「僕は何も考えてないし、永井が好きなように走れば大丈夫だと思っていたんで、気は楽でしたよ。状態は悪くないと思う。いつもなら昨日みたいな小嶋の仕掛けに付いていくのは厳しいんだけど、そういう感覚はなかったからね。それにしても永井君は本当に強い。これからの選手は羨ましいね。あとはペース配分だけ。しっかり反省会をして、彼の中にイメージが残っている内にアドバイスしました」
 中割りで2着に突っ込んだ有賀高士は「さすがメダリストのダッシュ。三番手はキツイですよ。踏み出しで半車輪ぐらい空いてしまったので、追い付くまでは“このまま追い付かないんじゃないか”という恐怖で一杯でした。最後は落ち着いて踏めた。せっかく準決勝に乗れたので、明日もしっかり頑張りたい」


<12R>
ああ
山口幸二選手
山口幸二選手
   スタールビー賞を制したのは井上昌己。三番手からまくって楽勝? の展開だったが「いやぁきつかったですよ。浅井が早い段階からペースを上げて引きずり回しでしょう。正直、踏んだ時はまくれないかもと思いました。しっかりクールダウンします(苦笑)」と大きく息を切らしながらローラーへと向かった。
 突っ張り先行の浅井康太は「今日は作戦でした」とレースを振り返る。
 「出させるつもりはなかったですね。今日はそういうレースをしなきゃ駄目だと思ってたんで」
 山口幸二(写真)は着にこそ絡めなかったが、表情は明るい。
 「今日は浅井がタテの競走をしてくれたね。それでも友和を止めに行くあたりは、彼の本能なんだろうけど(苦笑)。明日は勝負やね。何より最終レースにしてくれたことが光栄だし、責任感を感じます。今まで、山田の後に走るなんてなかったからね」
 2着の伏見俊昭はしきりに反省の言葉を口にする。
 「岡部さんが最終ホームで入れてくれたんで助かりましたね。もっと早く仕掛けたかったんだけど、前に井上がいて躊躇してしまった。後ろにラインの2人がいる訳だし、もっと早く踏むべきでしたね。今日は自分に余裕がありませんでした」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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