『第25回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 最終日編
 
配信日:8月4日


 全日本選抜競輪は8月4日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。期待された地元勢は準決勝で全滅したが、注目の決勝戦には山崎芳仁、伏見俊昭のゴールデンコンビをはじめ、GI連続優勝を狙う海老根恵太や平原康多ら豪華メンバーが勝ち上がった。レースは平原康多が先行したが、山崎芳仁が豪快にまくって快勝。1月の競輪祭に続き、今年2つ目のGIタイトルを獲得した。


決勝戦・レース経過
 号砲と同時に各車が飛び出すが、加倉正義が外を勢い良く踏んでスタートを取った。初手の並びは石丸寛之―加倉、市田佳寿浩―村上博幸、山崎芳仁―伏見俊昭、海老根恵太、平原康多―兵藤一也の順で落ち着いた。
 周回が進み、青板周回のバックから平原が早めに上昇を始めて前を押さえると、赤板過ぎに山崎が誘導を交わして先頭に立った。山崎がペースを緩めると今度は市田が先頭に立ち、更にジャンで石丸が前を押さえたところで隊列は一巡した。すると、八番手に置かれた平原がカマして主導権を奪う。市田は石丸の内を突いて巧く三番手を確保。五番手は石丸と山崎で併走となった。平原が軽快に逃げる一方、外併走の山崎が2コーナーから山おろしを掛けてスパートするとスピードをグングン上げて平原に迫った。2センターで平原が自分で外をブロックするも山崎の勢いは止まらない。伏見はこのあおりで前輪がハウスし、後退してしまう。最後は2センターから空いた内をスルスルと抜けた市田と、まくった山崎との直線勝負となり、力で勝った山崎が1着でゴール線を駆け抜けた。2センターで外を踏んだ村上がしぶとく伸びて3着に入る。
表彰式
歓喜の瞬間
表彰式
歓喜の瞬間
ゴール
ゴール



<3R>
山口貴弘選手
山口貴弘選手
   栗田雅也と東口善朋で激しい主導権争い。絶好の流れとなった山口貴弘(写真)が上がり11秒1の好ラップでまくって快勝した。
 「いい展開になりましたね。まくった感じもすごく良かったです。昨日、先行したのが良かったのかな。今回は初日にも大敗したのが痛かったですね。でも、だいぶ状態は戻ってきました」
 同県の山口のまくりに続き幸田光博が2着に入った。
 「二日目の落車の影響はないと思いますよ。山口君に付いていく分には楽だったけど、いざ抜きにいくと車が出ませんね。前々回の岸和田でも連日、栗田(雅也)君を抜けていないし、最近はマークの決まり手も多くなってきている。脚が落ちてしまったのかな」


<4R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
   荒井崇博(写真)が今シリーズ初白星をマーク。まくった中川誠一郎をゴール前できっちり差し切った。
 「(中川)誠一郎には打鐘で落ち着けって感じでした。矢口(啓一郎)君も松崎(貴久)さんも脚を使っている展開だったから、誠一郎ならまくれると思いました。踏み出しのスピードも良かったし、後は(山内)卓也さんにからまれないように付いていった。4コーナーからの踏み直しも凄くて慌てて抜きにいきました」
 まくって2着の中川誠一郎は「矢口(啓一郎)君がかなり飛ばしていたので、七番手でも大丈夫だとは思ったんですが、松崎(貴久)さんが中団から早めに仕掛けてくれたので、絶好の展開になりました。ギアを上げたからちょっと重かったし、粘りもイマイチでしたね」とレースを振り返る。


<5R>
山口富生選手
山口富生選手
   山口富生(写真)が地元の特別でようやく1勝を挙げた。伊藤正樹のまくりに乗って直線鋭く追い込んだ。
 「(伊藤)正樹が最高のタイミングで仕掛けてくれましたね。最終日だし、最後は思い切り踏ませてもらいました。1着なんで嬉しいです。とりあえず開催が終わってホッとしました」
 まくった伊藤正樹は直線で末を欠いて4着。
 「地元が後ろなんで、多少、早めに仕掛けようと思っていました。まくり切れたから悪くないでしょう。今回は三日目からの補充でしたが、いいレースができたと思います」


<6R>
竹内智彦選手
竹内智彦選手
   伏兵の竹内智彦(写真)が俊敏なレースさばきを披露。佐藤慎太郎マークから内に斬り込み、アタマまで突き抜けた。
 「流れでタマタマですよ。外でも良かったかもしれませんが、そこしかないと瞬時に判断しました。今回はGIで2勝もできたから上出来です」
 好位置確保からまくりを仕掛けるも高木隆弘のけん制に合って失速してしまった佐藤慎太郎は「早めに踏んでしまった。後で振り返ると、もう少し待ってからまくればよかったですね。高木さんはやっぱりヨコの動きが超一流ですね。一発で止められてしまいました」と悔しさを隠せない。


<7R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
   地元・大垣で優参失敗に終わってしまった山田裕仁だが、最終日をしっかり1着で締めくくった。
 「佐々木(則幸)君が良いタイミングで斬ってくれたから、吉田(敏洋)君も先行しやすかったと思う。ペースで駆けていたし、強かった。ラインで決まって良かったです」
 2着に逃げ粘った吉田敏洋(写真)は納得の表情を浮かべる。
 「いい形になったし、感じ良く駆けられました。初日、二日目は疲れから切れがなくて重かったけど、昨日、今日と軽く感じました。調整方法を少し考えないといけませんね」
 中部ライン三番手の有賀高士が3着に流れ込んだ。
 「初手の位置取りも前から三番目という理想的な位置が取れた。吉田君も打鐘過ぎからの600メートルの先行だし、残りますよね。自分はしっかり三番手の仕事も出来たし、この結果は仕方ないですよ」


<8R>
浅井康太選手
浅井康太選手
   山田裕仁に続き、山口幸二も1着締め。ファンの期待にきっちり応えた。
 「やっと終わってホッとしました。今日も一番人気になっていたし、ちょっとは期待に応えられたかな。今日は浅井(康太)が落ち着いて仕掛けてくれた。昨日の落車でちょっと身体が硬くなっていたし、やっと抜けた感じ。最後は必死でしたね。これで競輪が終わるわけじゃないし、次からも頑張ります」
 新田祐大との同期対決を制した浅井康太(写真)。ゴール前は地元の山口に差されたもののトップスピードの高さは光った。「丸々一周踏みっぱなしですよ。新田君と踏み合う形になってしまったから、菅原(晃)さんにまくられてしまうと思ったくらい」。準決敗退に終わった今開催を振り返り「中部地区の開催だったし決勝には乗りたかった。でもまた練習して、次のGI・オールスターで頑張ります」と前向きに話した。


<9R>
成田和也選手
成田和也選手
   小嶋敬二と武田豊樹の壮絶な踏み合いを追いかける形でまくり1着の成田和也(写真)。上がりタイムはバンクレコードにコンマ1秒まで迫る10秒6だった。
 「前の2人が良い目標になりました。踏んでる時はそんなにスピードが出ている感じでは無かった。準決は残念な結果になってしまったけど、GIでいいところまで戦える感じはつかめましたね。このところ配分が詰まっていて、脚の貯金を使い果たした感じ。この後は久し振りにゆっくり出来そうなのでまた一から練習して、オールスターで頑張ります」
 武田豊樹は小嶋との踏み合いを制して2着。力勝負は見応えがあった。
 「たぶん小嶋さんとの先行争いになるんじゃないかと思っていました。でも、あの展開で成田君は来るんだから脚がありますね。今回は調子自体は全然悪くなかったし、また気持ちを切り替えて頑張ります」
 3着の小嶋敬二は「いいレースができたと思います。今回は調子が良すぎて、二次予選は冷静に見すぎて失敗してしまった。レースの組み立てだけですね」と今開催を振り返る。


<10R>
加藤慎平選手
加藤慎平選手
   人気の中部ラインで上位を独占。永井清史の先行に乗った加藤慎平(写真)が余裕の差し切り勝ち。
 「永井の気持ちが伝わってきたし、精一杯援護しました。バックでかなりかかっていたので、大丈夫かなと。前のレースで先輩たちが勝っていたし、僕もきっちり続くことができました。準決勝は悔しかったけど、今回は戦えるデキだったし、次につながると思います」
 永井清史も4日間、先行勝負で持ち味を出し切った。
 「今日はペースで踏めたし、バック追い風で最後までタレなかった。ワンツーが決まって良かったです。今回は4日間、先行で力は出し切れたと思います」
 最終ホームで永井を突っ張るかに見えたが、引いてまくり勝負になった北津留翼は「突っ張るつもりだったんですが…。バックからもまくろうと思ったのですが、自分が動くと脚を使っていない(渡邉)一成さんの展開になってしまうと考えてしまって。動いておけばと思うとちょっと悔しさの残る一戦ですね」。


<11R>
市田佳寿浩選手
市田佳寿浩選手
平原康多選手
平原康多選手
   決勝は山崎芳仁が制した。前々勝負で平原康多の三番手を確保した市田佳寿浩(写真)が関東勢が牽制して空いた内を、判断良く突いて2着。クールダウンを終えて冷静に競走を振り返った。
「石丸(寛之)君はギアを上げていたのでまくり勝負だろうと思っていた。先行するのは山崎(芳仁)君か平原君のどちらかだから、三番手は確保したかった。位置取りも巧くいったし、前の動きも良く見えていて内側のコースが空いた瞬間に踏めました。全部巧くいったと思ったが、山崎君とのスピードの差を感じてしまった。ギア三枚分は違いますね。その辺の対応を考えて次の競走に臨みます。一歩、一歩階段を登れてる手応えは感じている」
 市田を追走し、初めてのGI決勝の舞台で表彰台に上がった村上博幸は「市田さんの後ろで勉強させてもらいました。次のオールスターでも決勝に乗れる様に練習してきます」。
 二車でも果敢に先行勝負し、9着に終わった平原康多(写真)は「2車では兵藤(一也)さんも仕事をやりづらいですよね。三車なら三番手が内を閉めていてくれるから先行しても、もっと残れたと思う」と援軍手薄になってしまった決勝戦を振り返る。「今開催はオーバーワークで来たので初日、二日目は重かったけど、ギアを71に落とした三日目からは本来の動きに戻った。オールスターまで配分が空くので、またしっかり練習してきますよ」。
 7着の伏見俊昭は「だいぶ余裕はあったんですけどね。ニュートラルに入って態勢を立て直しているところでハウスしてしまった。情けないです」と敗因を語る。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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