『第28回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 初日編

配信日:2月8日
 今年最初のG1、第28回 全日本選抜競輪が今日から開幕した。午前中は雪も舞う肌寒い1日となったが、バンク内ではトップスターたちが熱い戦いを繰り広げた。注目の特選は深谷知広、武田豊樹に平原康多が快勝。明日は「スタールビー賞」をメーンに2次予選で準決勝進出をかけたサバイバルレースが展開される。
 明日はイベントも盛りだくさん。ルンルンランランステージにはお笑い芸人「銀シャリ」が登場(6、10R発売中)。出会いの橋エリアではレッドヒーローショー(11:00~、14:00~)も予定されています。明日もぜひ松山競輪場で迫力あるレースをお楽しみください。
敢闘宣言をする浜田浩司選手
敢闘宣言をする浜田浩司選手
開会式後ファンにプレゼントをする代表選手
開会式後ファンにプレゼントをする代表選手
雪も舞う厳しいコンディションの中で勝ち上がりが争われた
雪も舞う厳しいコンディションの中で
勝ち上がりが争われた
<1R>
桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
 今年のG1初戦でまず白星を挙げたのは鈴木謙太郎だった。「けっこう、かかってましたね」と自らが振り返るように、力強く逃げ切って2次予選に勝ち上がった。
 「1レースで周りを見てから走れないし、緊張しましたね。しかも1番車で期待もされてましたから。早いレースなので昨日の夜から集中してた。今日はゆっくり寝ますよ」
 打鐘過ぎに内をすくって鈴木の番手を奪った桐山敬太郎(写真)が2着に食い込んだ。
 「抜けると思ったけど、抜けなかったですね。今日は3番手は最低限取るつもりだったし、稲川(翔)君も内を狙ってたから締めながら番手まで行きました。4回転にギアを落としたし、今回は8割方自在でやる。うまく反応できてよかったです」
 3着に続いた渡邉晴智は「桐山の頑張りです。僕はついて行っただけ。さすがですね」と桐山の走りを褒めちぎった。

<2R>
芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 逃げる北津留翼に鈴木裕が襲いかかる。そこを2コーナー手前から吉田敏洋がまくり上げたが、中団から合わせて踏んだ芦澤大輔(写真)が1着をゲットした。
 「被るか被らないかギリギリのところでしたね。でも、そこで反応するだけの体ではありました。1レースで(鈴木)謙太郎が勝ったのを見てたのでよかったです」
 芦澤に続く形で2着に入った吉田敏洋は「狙ってた訳じゃないですから」と前置きしてからレースを振り返る。
 「キック(鈴木裕)の後ろにそのまま付いていってもよかったけどね。1コーナーから行きたかったけど、タイミングが取れなくてキツかった。でも勝ち上がれたんでね」

<3R>
志智俊夫選手
志智俊夫選手
 矢口啓一郎が先に動いたことで川村晃司は仕掛けやすくなった。打鐘過ぎ4コーナーから前に出るとペース駆け、番手の志智俊夫(写真)が絶好の展開を生かした。
 「ずっと風があって、追い風はなかったし川村君が強かった。どんどん掛かっていったんで。あれならまくられないと。自分は(番手で)すんなりだったんで。脚の感じも大丈夫だし、疲れも取れていると思う」
 逃げた川村晃司は2着に粘った。
 「展開的には楽に先行できたけど、風がキツくてもつかな?って感じでした。ラインでワンツースリーだったし、最高の出だしだと思う。よかったです」

<4R>
神山拓弥選手
神山拓弥選手
 G1初出場の田中晴基が臆することなく果敢に風を切って主導権。中団のインに詰った神山拓弥(写真)だったが、まくった松岡健介ラインに乗って内を進出。最終4コーナーでは番手の加藤圭一を弾いて、直線で鋭く追い込んだ。
 「かぶりっぱなしで、外は踏めなかった。前の加藤(慎平)さんの動きを見て、外はどうかなっていうのがあって。その分、後ろの人に悪いことをしてしまいました。組み立て自体は間違ってないと思う。脚の方は普通ですかね」
 逃げ粘って2着と健闘した田中晴基は、いつもの笑みで目を細める。
 「結構、緊張しましたよ、お客さんも近かったし。今日はもう(先頭に)出た時点で、先行をしようと。バックは風が強かったけど、自分の感じはよかった。初めてのG1なんでチャレンジ精神で、思い切っていきました。2次予選も先行したいですね」
 最終バックでは最後方に置かれた小川圭二だったが、うまくコースを縫って3着に届いた。
 「9番手は慣れっこ(笑)。そこから(三宅達也が)仕掛けて行ってくれるだけありがたい。その後は(三宅)伸さんの動きを見てからでした。自分としては余裕もあったし、4コーナーでは前を抜けるかなって」

<5R>
山口富生選手
山口富生選手
 後ろ攻めから小嶋敬二が先行。番手の山口富生(写真)がゴール寸前で逆転した。
 「小嶋が強いし、ラインワンツーで何より。後ろがもつれてる感じだったけど、来ても僕のところ。そこは対処できればと思ってた。恵まれましたね。久々に(G1戦で)勝ち上がれたし、感じとしても悪くない」
 小嶋敬二も逃げて2着なら納得の表情だ。
 「車番が悪かったので、スタートは後ろ攻めかなと思ってた。だから後ろになったら早めに行くわと富生には伝えてました。誰か来ても2車だし待ってみて、来なければ駆けようと。風がキツかったね。今回はいい感じに仕上げてきたし、差されたけど内容もよかった」
 小嶋ライン3番手を奪った菊地圭尚が3着に続いた。
 「小嶋さんが駆けちゃえば4番手でもよかったけど、ホームでも駆けないからそれなら1車でも前にと思った。体が反応した感じですね」

<6R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 打鐘過ぎに阿竹智史を突っ張った新田祐大は稲垣裕之の巻き返しも合わせ切る。番手に稲垣が入ったことで逆転を許したが、動きは光った。
 「阿竹さんが思ったより早く押さえに来たし、引くと何もできないと思って突っ張りました。稲垣さんのカマシは見えたので、合わせて踏んだけどむこうは山おろしだから行かれると思った。僕がもっとスムーズに踏んでればラインで決まったかもしれないですね」
 勝った稲垣裕之(写真)だが、「1着だけど、レースは完全に(新田に)やられてるんで。それでも入れてもらえたんでね。今日はあれに尽きます」と濱口のアシストに感謝しきり。
 その濱口高彰はいつもの笑顔でレースを振り返る。
 「稲垣君は行くと思ったけどね。みんな見てるし、あそこは入れないと。僕は4着までに入れればって気持ちだから気楽だった。感じもいいですね」

<7R>
宗景祐樹選手
宗景祐樹選手
 一気に仕掛けた牛山貴広が出切ったかに見えたが、菅原晃が内から再度踏み込んで合わせ切る。菅原を迎え入れようとした小野俊之との連係が外れ、単騎の先行となった菅原に牛山後位から切り替えた宗景祐樹(写真)が鋭く伸びて1着をさらった。
 「出させてくれると思ったけど、車輪がかかってましたね。出切ってれば面白い展開になってたと思う。3コーナーで(菅原に)軍配があがったので菅原に切り替えた。今日は牛山が頑張ってくれたおかげ。俺の状態は普通だと思います」
 逃げた菅原晃は2着に。
 「今日は先行しか考えてなかった。牛山が来たときにヤバイと思ったけど、何とか合わせきれましたね。3~4コーナーの風がキツくて、あそこで来られたらヤバかった。でも最後まで踏み切れたし、調子はいいと思います」
 3着には小野後位から柏野智典が伸びた。
 「ホームで新田(康仁)さんが来ると思って、ジャブを打っておこうと思ったら止まってくれた。あれで気持ちが楽になった。あとはコースだけ、コースだけと思ったけど、最後も楽でしたね」

<8R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
 中団から先に動いた海老根恵太(写真)は矢野昌彦を受けて、再び中団を確保。吉本卓仁のまくりに合わせてバックから踏み込むと、番手の林雄一を振り切った。
 「(矢野が)ずっと踏んでたし、キツかったですね。合っちゃうかなと思いました。合宿の成果も出たし、最近は練習とレースがかみ合ってきました。松山のバンクも好きですね」
 林雄一は海老根の走りを絶賛した。
 「自分で動いて位置を取ってまくれるなら海老根さんは最強ですよね。あのまくりはそう簡単には抜けませんよ」
 関東3番手から伸びた諸橋愛が3着に食い込んだ。
 「海老根がまくったその外も来るかなと思ってビクビクしてたけど、2車でよかった。最後も意外に伸びましたね。めげずに練習をやってた成果が出ましたよ」
 地元の濱田浩司は4着で何とか2次予選に進んだ。
 「3着ぐらいまで行きたかったけど、難しいですね。吉本君は無理やり行ってくれたし、すごい世話になりました。何とか4着って感じですね。今日は体が硬かったけど、明日はもう少しいけると思う」

<9R>
木暮安由選手
木暮安由選手
 打鐘過ぎに内から安東宏高をドカして逃げる北日本勢を追った木暮安由(写真)。藤木裕のまくりに合わせて踏み込むと、反撃を退け1着入線した。
 「1車でも前に踏めば、4着までに入れると思った。藤木君が来てたのは分かったし、一番点数のある選手なのでそこだけ意識して集中してました。周回中から脚も軽かったし、いい流れできてますね」
 バック9番手から大外を伸びた安藤宏高が3着に強襲した。
 「(小川)勇介と連結を外したのが…。あそこは油断してました。伸びた? 外を踏めたのはよかったと思います」

<10R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 深谷知広後位の競りは村上博幸の落車という意外な形で決着がつく。神山雄一郎が単独の番手回りとなるが、逃げた深谷知広(写真)は上がり11秒1の好ラップで他を寄せつけなかった。
 「ハウスして後輪が重くなったので落車があったのは分かりました。かかっていく感じはあったし、感じは悪くない。いつも風の強い豊橋で練習してるし、風は気にならなかった。軽かったですね」
 深谷マークの神山雄一郎が2着に。
 「自分ではよくやったと思うけど、相手(村上)が転んでしまったんで。深谷が強かったですね。でも自分の感じもよかったです。G1に向けて、しっかり調整してこれたと思う」
 前受けから3番手を確保した中川誠一郎がそのまま3着。
 「後ろでガシャンといったので、踏んどけば3番手はあるかなと思ってました。空けてから後ろに合わせて出ようと思ったら、どんどん口が空いた。普通なら突き抜けてる展開だけど、深谷が強かったんでしょうね」

<11R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
 渡邉一成がカマシ先行。浅井康太のけん制で外に浮いたかと思われた武田豊樹(写真)だったが、2コーナー手前から踏み込むと力強く前団を飲み込んだ。
 「井上(昌己)君の動きが僕をすんなり出させてくれるのか(と思ったけど)、読みが違った。それで仕掛けが中途半端になってしまった。その苦しい中で1着が取れたし、あそこで抜かれると抜かれないでは大きな差ですから。一成君の絶好のカマシをまくり切れたのは自信になりますね」
 2着には武田を追った浅井康太が食い込んだ。
 「一成さんのダッシュもよかったし、カマしたときは武田さんの動きを見てました。武田さんが行ってしまったので付いて行った感じです。冷静に対応できたかな? 復帰戦はこんなもんでしょう。(勝ち上がれて)だいぶホッとしました」
 浅井マークの金子貴志は3着。
 「浅井君のおかげ。レースに集中してたし、すごいダッシュで一気に展開が動きましたね。番手の動きも思ったよりいいと思います」

<12R>
平原康多選手
平原康多選手
 佐藤友和が脇本雄太を叩いて奇襲に出るが、脇本は最終ホーム過ぎにすかさず反撃。平原康多にはまくられたものの、3着に残って村上義弘と「スタールビー賞」へコマを進めた。
 「(佐藤友に)完全に不意打ちを食いました。後ろが村上さんだし、すぐに出ていったけど、バックの向かい風を2回受けてきつかった。先行ができなかったし、今日は組み立ては10点ですね。それでも(スタールビー賞に)乗れたし、最低条件はクリアできたと思います」
 間髪を入れずに来た平原を止め切れなかった村上義弘だが、平原に続いた野田源一をブロック。2着に入りまずまずのスタートを切った。
 「ワッキー(脇本)が頑張ってくれた。平原君のスピードがすごくて、そこは止められなかった。前回、前々回と比べると、自分も全体的にちょっと重く感じましたね」
 「ホッとしました」とは、平原康多(写真)。最終ホームで野田と絡みながらも、2コーナーからは圧巻のまくり。近畿コンビを鮮やかに飲み込んだ。
 「体はそうでもなかったけど、バンクは重かったですね。野田さんところをしっかりキメてから、自分の仕事はできたと思います。後ろが2車いるんで、ラインでしっかり決めたかったですね」
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