『第28回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 2日目編

配信日:2月9日
 初日とは打って変わって晴天に恵まれた松山競輪場。第28回 全日本選抜競輪は今日で2日目を迎えた。注目の「スタールビー賞」は深谷知広が見ていた選手もため息をもらす豪快なまくりでシリーズ連勝。明日は準決勝3個レースでシリーズのベスト9が決まる。
 明日は笑い飯によるルンルンランランステージ(6R、10R発売中)や地元、松尾智佳選手によるガールズケイリントーク(7R発売中)、ゴーバスターズショー(11:00~、14:00~)、地元選手会によるチャリティーオークション(4R、8R発売中)などイベントが目白押し。明日もぜひ松山競輪場へご来場ください。
ルンルンランランステージ「銀シャリ」ライブ
ルンルンランランステージ「銀シャリ」ライブ
レッドヒーローズ ステージ
レッドヒーローズ ステージ
スタールビー賞・レースダイジェスト
 号砲が鳴り、一瞬のけん制はあったが深谷知広がスタートを取り正攻法。金子貴志、浅井康太が続いて中部勢が前団。中団4番手の位置を欲しがった中川誠一郎だが、平原康多が譲らず、武田豊樹、神山雄一郎と続いて関東勢が中団を形成。脇本雄太、村上義弘の近畿コンビが後方に構え、単騎の中川誠一郎が最後方に付け周回が進む。
 青板2センターから脇本が上昇を開始、中川は近畿勢を追う。脇本は赤板で誘導を斬って先頭。平原が中団、深谷は後方へ下げ一本棒で打鐘を通過する。隊列はそのままに最終ホームを向かえたところで中団の平原が一気の仕掛け。2コーナーで脇本を捕らえるが、平原ラインに続いた深谷のまくりがすかさず飛んでくる。平原マークの武田はバックで車を振り深谷をけん制するが、深谷は余裕を持ってそれを乗り越え、一気に先頭に立つ。武田はそのまま切り替えて深谷を追うが、差は詰まらない。深谷が力強く押し切りスタールビー賞を制した。切り替えて深谷を追った武田が2着。金子は深谷から離れ気味になるも、懸命に前を追い3着入線。


ゴール
ゴール
スタールビー賞表彰
スタールビー賞表彰
<1R>
牛山貴広選手
牛山貴広選手
 牛山貴広が打鐘過ぎから一気に前を叩いて主導権を奪うと、番手の稲村成浩がゴール寸前抜け出した。
 「群馬のみんなは勝ち上がってるし、負け戦でもしっかり頑張らないとね。ホームはいい感じで流してたし、牛山君が強かった。今日は牛山君のおかげです」
 牛山貴広(写真)は初日の反省をしっかりと生かした。
 「昨日、武田(豊樹)さんに組み立て面でアドバイスをもらった。今日はそれをしっかりとやれた感じですね。あの辺りが見えてる武田さんはやっぱりすごい。状態も悪くないです」

<2R>
飯野祐太選手
飯野祐太選手
 三宅達也、飯野祐太の順で斬った上を中村一将が叩いて先行。坂上樹大を飛ばして飯野祐太(写真)が3番手を確保すると、直線外を踏んで突き抜けた。
 「3番手を取り切って後ろを見たときに山田(裕仁)さんの内に差し込んでしまった。ちょっと大事にいきすぎて、後ろに迷惑をかけましたね。感覚はそこまでよくないけど、今日は気持ちで走りました」
 2着には前々に攻めて最後は最内を踏んだ三宅達也が食い込んだ。
 「一将さんと山田さんの間を狙ってたけど、空いたので内に。あそこはだいぶ上手になってきました。4コーナーで(斎藤)登志信さんを持って行ったけど、(飛ばないので)強いですね。でも3着までに入れてるんで、よしですね」

<3R>
松岡健介選手
松岡健介選手
 矢野昌彦が朝倉佳弘を連れて主導権。取り合いになると思われた3番手だったが、栗田雅也が下げて最終ホームでは松岡健介(写真)が楽にキープ。まくりで関東勢を飲み込んだ。
 「今の自転車が前に出ない。ただクイックには動けるんで、位置が取れれば無理に動かないでと。今日もまた合わされたと思いましたよ、よかった」
 番手の東口善朋が、直線で猛追するも及ばずの2着。
 「力勝負と思って、思い切り抜きにいったけど抜けなかった。ここまで万全の調整できたつもりだったけど、初日にしても気持ちの余裕がなかったし。僕が弱かった」
 2車のラインではなす術がなかった、朝倉佳弘は反省の3着。
 「松岡さんをもっていくと、東口さんが入ってくると思って、ちょっとしかけん制できなかった。(車間を)空けようと思った時に、(松岡に)来られてしまって…。ダメですね」

<4R>
三谷将太選手
三谷将太選手
 最終ホームから稲川翔が巻き返す。室井健一にからまれながらも稲川を追った三谷将太(写真)は新田康仁のまくりもブロックして稲川とワンツーを決めた。
 「稲川さんがあんなに早く行くとは思わなかった。クランクを戻してよかったですね。奈良記念に向けて伸ばしてみたけど、急に伸ばしてもダメでした」
 まくり上げた新田康仁だがわずかに届かず3着に。
 「しょうがないですね。感触は悪くないけど、波に乗り切れないです」

<5R>
吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
 上原龍が主導権を握るが、中団にはすんなり吉本卓仁(写真)が。吉本は2コーナーまくりで前団を飲み込むと、ラインで上位を独占した。
 「後閑(信一)さんの番手まくりを警戒してたけど、早めに行って正解でしたね。1着が取れてホッとしました。調子も悪くないですね」
 園田匠が2着に流れ込んだ。
 「卓仁が仕上がってますね。あれを抜ければ僕も本調子なんだけど。今回からシューズを換えて、ダッシュはいいけど、ケツを下ろしてからがまだまだですね」

<6R>
藤木裕選手
藤木裕選手
 ここからは2次予選。このレースは初日に落車した村上博幸の当日欠場で8車立てとなってしまった。これで小野俊之はすんなり藤木の番手回り。「小川(圭二)さんも自分の後ろについてくれたし、自分のすることをしようと思ってたけど、すんなりでラッキーでした」とまくった藤木に続いて準決勝に進出した。
 豪快なまくりを決めた藤木裕(写真)だが表情は冴えない。
 「打鐘のところで突っ張れていないので、いいレースはできていない。楽にまくったように見えたかもしれないけど、ホームで(佐藤)友和さんがいいペースだったのでヒヤヒヤした。脚は問題ないですね」
 3着には逃げた佐藤友をマークした伏見俊昭が食い込んだ。
 「友和と2人で決まったと思ったけどね。バックで、3コーナーでも1度後ろを確認したけど、来る気配がなかったので大丈夫だと思ったけど…。藤木のスピードが違いましたね」

<7R>
市田佳寿浩選手
市田佳寿浩選手
 各ラインが目まぐるしく動いて、最終的には打鐘過ぎから濱田浩司がカマシ先行。岡田征陽のけん制で小倉竜二が離れ、単騎になった濱田を矢口啓一郎が追う。矢口が追いつきざまに濱田を捕らえたが、直線鋭く伸びた市田佳寿浩(写真)が1着をさらった。
 「今日は稲垣(裕之)に任せてた。バックぐらいで稲垣は接触してたし、キツかっただろうね。僕は(1月向日町F1で)落車があったし、いい状態ではなかったけど、最後は伸びたのでよかった」
 好位を占めた矢口啓一郎は2着で準決勝に駒を進めた。
 「濱田さんはギアがかかってるからバック過ぎまでペースが上がっていって追いかけるのに脚を使った。今日は前々に攻めたのがよかったです」
 菊地圭尚後位から市田に続く形で伸びた内藤宣彦が3着に。
 「9番手だしダメかなと思ったけどね。市田を追いかける格好になったから3着までいけたかな。市田のスピードをもらう感じだったけど重かったです」

<8R>
新田祐大選手
新田祐大選手
 川村晃司をけん制しながら打鐘過ぎに出た新田祐大(写真)は、溢れる自信でそのまま先行策。反撃に出た川村を合わせると、二の脚で後続を振り切って完ぺきな逃走劇。
 「自分が掛かるのが遅くて、(佐藤)慎太郎さんには迷惑を掛けてしまった。自分としてはいい調子だと思うけど、今日も自分の力だけじゃないことを感じました。敵が強くなるにつれて、組み立てももっと難しくなるし。まずは準決も力を出し切って」
 川村が力尽きると、南修二は最終2センターで内の佐藤をキメて2着をキープ。
 「川村さんが出切ったら、そのまま付いていくし。あかんかったら慎太郎さんとの勝負だと思っていた。初日に落車をしたけど、体は全然大丈夫。準決に乗らないと面白くないですからね」
 福島コンビを追走した諸橋愛は、外の桐山敬太郎を弾いて踏み場をキープし3着に脚を伸ばした。
 「自分で桐山君をどかしにいってコースを作っているし、苦しい中でも冷静でした。前だったらあれで桐山君に押し込まれて終わっていたと思う。それに運もありました」

<9R>
長塚智広選手
長塚智広選手
 中団確保から南関ラインをまくった芦澤大輔に続いた長塚智広(写真)が1着。「顔見せで(芦澤が)頑張りそうだったので付けた」と芦澤マークを選んだ経緯を説明すると、「頑張ってくれたのでよかった」と続けた。
 2着の芦澤大輔は「流れがいい」を強調したが、連日前々に攻めて動きは上々だ。
 「顔見せで連係することになりました。SSの選手に任された以上はしっかり走るつもりだったし、おかげさまで力になりました。昨日もまくりが出てるし、状態はいいですね」
 田中晴基の逃げに乗った海老根恵太は僅差の3着争いを制した。
 「全部、晴基のおかげです。引いて行かせてもいいと思ったけど、突っ張ったので。芦澤も来てるので行かないとと思った。突っ張っての番手はキツいのに、3着に残れたから感じはいいです」

<10R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 吉田敏洋が先行態勢に入り、中団には井上昌己が。7番手に置かれた鈴木謙太郎だったが、4角山おろしで鮮やかに前団を飲み込んだ。
 「吉田さんにペースを上げたまま斬られたのでタイミングが取りづらかった。前も踏んでたし、キツかったですね。3コーナーからはポジションを直す余裕もなくて苦しかったけど、ワンツーが決まってよかったです」
 踏み出しで離れた山崎芳仁(写真)だったが、追いつくとゴール前で逆転した。
 「離れたけどギアを上げといてよかったです。上げてなかったら吉田あたりにさばかれて終わりだったと思う。タイミングを取ってたのに千切れてしまったけど、結果的にサッと出られてよかったです」
 東ラインを追った井上昌己がゴール寸前で齊藤努を捕らえて3着に。
 「あの展開からモガき合いになると思ったけどね。(鈴木の)スピードが強烈でしたね。踏み出しがよければもっといい勝負ができたんだろうけど、まだまだです。でも(競輪祭で落車して)2カ月でG1の準決勝に乗れれば上出来です」

<11R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
 後ろ攻めから小嶋敬二が動く。中団の神山拓弥が渡邉一成にフタをすると、小嶋が意を決して打鐘過ぎ4コーナーから踏み込む。渡邉のまくりは届かず、番手の志智俊夫が連日の好展開を生かした。
 「小嶋さんが先行してくれたし、恵まれました。上手かったですね、さすがです。僕の脚も変わらずいい。G1は準決勝にもなかなか乗れないし、この勢いで(決勝進出を)モノにしたい」
 小嶋敬二(写真)は連日の先行策で2着に粘った。
 「先行したくなくて待ってたのに、誰も来ないからしょうがない。4コーナーでは駆けてたし、来ないなと思った。結果的にはあれでよかったね」
 まくり不発の渡邉後位から内にコースを選んだ成田和也が鋭い伸びで3着に突っ込んだ。
 「外は行けなそうだったので。コースが見えてるってわけじゃないけど、何とか食い込めたって感じですね」

<12R>
金子貴志選手
金子貴志選手
 「スタールビー賞」はド迫力のレースになった。脇本雄太が主導権を握ると、平原康多が中団を確保。ホーム過ぎから平原が巻き返し、近畿コンビを飲み込んだが、7番手から仕掛けた深谷知広が武田豊樹のけん制も構わず豪快にまくり切った。
 「あれ以上待っても誰もでないと思ったので前を取りました。あそこで突っ張ってもね…。位置を取る走りもできないので、引くしかなかったです。でも行けるところから行こうと思ってました。準決勝は浅井(康太)さんが番手ですか? 決められるように頑張ります」
 2着の武田豊樹は早くも準決勝に視線を移した。
 「平原君が先まくりを打ってくれたけど、深谷が強かったね。後ろの金子君が離れるくらいだから。僕も止めたかったけど、あれだけ外では。でも、勝負はこれからだからね」
 金子貴志(写真)は深谷の強さに驚きの表情。
 「ワッキー(脇本)もけっこう踏んでたし、(まくった)平原もすごい加速してた。こんなとこ行けるのかと思ったけど強烈でしたね。後ろにいてもキツかったです」
 村上義弘は「車間を空けて様子を見ようってところで平原が来た。連日伸びてないし重いですね。しっかり明日頑張ります」。勝負の準決勝へ、修正を図る。
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