『第29回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:2月12日
 今年最初のG1シリーズ、第29回読売新聞社杯全日本選抜競輪はいよいよ最終日を迎えた。降雪により1日遅れで始まった今節。波乱を予兆するかのように、2日目は上位選手が脱落するなど高配当が多く飛び出した。そんなサバイバルレースを勝ち抜いた9戦士による決勝戦は落車のアクシデントが発生し、これを避けた村上博幸が追い込んで優勝。今年最初のG1覇者に輝くとともに、暮れの競輪グランプリの権利を獲得しました。
お笑いステージ「ネゴシックス」ほか
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地元選手会に挑戦スピードチャレンジ
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ファンから花束を受ける決勝メンバー
ファンから花束を受ける決勝メンバー
中野浩一、山口幸二トークショー
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決勝戦 レース経過
 やや見合ったスタートから誘導員を追ったのは北日本コンビ。新田祐大―齋藤登志信で正攻法に構えると、3番手以降は平原康多―神山雄一郎―浅井康太―山賀雅仁―脇本雄太―松岡健介―村上博幸の並びで落ち着いた。
 赤板前から各ラインのけん制が始まる。前受けの新田や平原、浅井はしきりに脇本の動きを確認。車間を切っていた脇本は赤板過ぎから一気に踏み上げると2コーナー過ぎから先頭に立つ。合わせて踏んでいた新田は引けないと見るや、脇本の番手でイン粘り。2センターで番手を取り切ると、浮いた松岡を村上が3番手に迎え入れる。一本棒になったことで平原は早目の巻き返し。5番手で齋藤のけん制にあったが、力任せに前団に迫ると、2センターからは松岡に合わせて番手から出ていた新田と一騎打ちの態勢に。しかし、4コーナーで新田が平原を押し上げると、平原、神山に浅井まで落車。松岡後位から新田にスイッチしていた村上は空いた内を逃さず直線一気の突き抜け。見事に今年最初のG1を制した。2着入線の新田だったが審議の結果失格に。落車を避けた松岡、齋藤の順で2、3着に繰り上がった。


ゴール
ゴール
表彰式
表彰式
近畿勢に囲まれる村上博幸選手
近畿勢に囲まれる村上博幸選手
<1R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
 赤板からレースが動いて隊列が何度か入れ替わったが、最終的に山田英明がホームからカマして主導権を握ると、番手の荒井崇博(写真)が追い込んで勝利した。
 「(相手の出方により)突っ張るか引くかは山田の判断に任せてました。出切ってからは後ろから誰も来てなかったんで大丈夫かと思ったけど、直線に入ってみたら横まで一気にきてた。せっかく山田が行ってくれたのにヤバいと。反応できてなかったね」

<2R>
濱田浩司選手
濱田浩司選手
 渡邉一成がカマして主導権を握ったが、中団に位置した濱田浩司(写真)が大ギアを生かしてグングンと番手を上げていき、直線で前を捕えて先頭でゴールした。
 「ちょっと海老根さんと併走になったところが中途半端だったですね。上原(龍)君が出切ってから結構踏んでたので、無理矢理行っても渡邉(一成)君のまくり頃になってしまうんで。併走になって後ろには申し訳なかったけど、外で我慢してから思い切りいきました。最後2センターで渡邉(一成)君が踏み直してきたんでキツかったですね。今回は2勝できたし、2日目、3日目と着は悪かったけど思い切り力を出し切れたので。今回はプラスになったと思う」

<3R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
 小嶋敬二(写真)が初日に続き、逃げ切りで2勝目を挙げる大活躍。レースは一旦は菅田壱道の番手で粘る素振りを見せた小嶋だったが、強引に内を抜けて主導権を握ると、菅原晃の反撃をしのいで堂々と押し切った。
 「(突っ張りを)狙っていた訳ではないけどね。あそこで引いても、(菅田の)内にいても菅原のカマシ頃になってしまうんでね。それだったら行ってしまった方がいいと思ったんでね。勝ち上がりで2勝したかったけど、頑張った分だけ結果が出たんでよかった」
 菅原晃はホームからカマしたものの、あと一歩及ばず2着に終わる。
 「小嶋さんの動きが気になったけど、それに関係なくしっかりホームから仕掛けられたんで。調子が悪かったら反応できてないと思うし。昨日も先行して残れたので今回はよかったですね。次が楽しみです」

<4R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
 佐藤友和(写真)が最終日にしてようやくらしさを見せた。レースは後ろ攻めから押さえて先頭に立つと、一本棒に持ち込んで主導権。三谷竜生が後方からまくってくるが中団まで。最後は追い込む佐藤康紀を振り切ってゴールした。
 「初手は前になるかと思ってたんで、後ろ攻めは予想してなかったですね。押さえに行って(三谷に)突っ張られるかと思った。出切ってからは1コーナーから徐々に踏んでいく感じ。おそらく来るならバックだろうからね。3コーナーに入ってしまえばこのバンクはまくれないので、とにかくそこ目掛けて踏みました。
 三谷竜生は後方まくり不発に終わり、「今日は僕の気合が足りなかった。ジャンで突っ張るか悩みながらいってしまったんで」と悔いを残した。

<5R>
 このレースは北日本勢が上位を独占。後ろ攻めの野田源一が前を押さえ、さらに坂本亮馬が出たところで山崎芳仁が一気に叩いて主導権。バックでは志村太賀が内にすくっていくが前は遠く万事休す。結局は前団で勝負ありとなり、3番手から内藤宣彦が突き抜け1着を手にした。高配当を配給した内藤は「抜いてしまって申し訳ありません。ホント申し訳ありません(苦笑)」と恐縮しきり。
 山崎芳仁は今日もパワーを発揮して2着に粘り込んだ。
 「出し切る展開に持ち込めば何とかね。今回も調子は良かったんで初日、2日目が悔やまれますね」

<6R>
小倉竜二選手
小倉竜二選手
 中川誠一郎が単騎で押さえたところを牛山貴広が叩いて主導権。バックで藤木裕がまくってくると、番手の諸橋愛がこれを好ブロック。藤木は失速したが、その後ろから小倉竜二(写真)が2人の間を縫って追い込むと、最後は得意のハンドル投げで交わして勝利した。
 「ケツを上げたときにちょうど(ブロックが)来たんで危なかった。最後に投げてなければ抜けてなかったね。落車は大丈夫だった。あれ(ハンドルなげ)が出だしたら良くなっている証拠なんで」
 諸橋愛は惜しくもゴール寸前で交わされ「ゴール直前まで勝ってたんだけどね。最後に上手く肘を引っ掛けられました」と悔しがる。
 桐山敬太郎は中川の番手にはまる予想外の展開になす術なく終わる。
 「番手にはまって訳が分からなくなってしまった。こういうこともあるんですね。前々回に落車したけど、今回は思ったより動けてたんで、また次頑張ります」

<7R>
石井秀治選手
石井秀治選手
 ジャンで叩きに出た池田勇人と、突っ張ろうとした松岡貴久で踏み合ったところを、石井秀治(写真)が強烈なまくりを放って快勝。最終日にG1初勝利を挙げた。
 「今日は展開に恵まれました。ジャンで一回一緒に上がる素振りを見せておけば、池田君も強引に押さえると思ったし、伏見(俊昭)さんもそのラインに付いていくと思ったんで。そこからは引いて慌てずいきました。そうだ!特別初勝利なんですね。嬉しいです」
 池田勇人が2着に入り、成清貴之は懸命に前を追うも最後は一杯となり3着に。
 「石井はすげえ強いよ。ペースが上がっているところを早めに行っちゃうんだから。あれじゃ先行してるのと一緒だよ。俺は1周ずっと離れてた。最後後閑(信一)さんと当たって終わりました」

<8R>
芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 芦澤大輔(写真)が意地を見せて1着を手にした。レースは川村晃司の番手がもつれる展開に。一旦芦澤は番手を攻めたが、園田匠もこれに加わると、芦澤は落ち着いて中団を確保。後ろから金子貴志が迫ると、芦澤が先まくりを放って勝利した。
 「連日不甲斐ないレースをしてたし、G1で何やってんだろうと自分でも情けなかったので今日は自分にプレッシャーをかけて前々に勝負しました。三谷(将太)君に遅れてしまったのはダメだけど、そこから落ち着いていけたので。園田さんが離れてきたし、後ろから金子さんがまくってきたんで出るしかないと。必死でした」

<9R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
 このレースは「あそこしかないと思っていきました」と話す吉本卓仁が、稲垣裕之の番手を攻める展開に。これで隊列がゴチャ付いたところを、柴崎淳がダッシュ良くひとまくり。最後は番手の岩津裕介(写真)が抜け出して勝利した。
 「ペースが上がってたんで、柴崎君は半分まくりに構えるかなと思ったけど、一本棒になる前に早めに行ってくれたね。コーナーで外を踏んでくれた分、最後僕は伸びました」
 友定祐己は一旦は離れたものの、立て直して2着に入る。
 「俺がちゃんと付いていれば3人で決まったのに。悪いことをしました」
 合志正臣は切り替え策から3着に入る。
 「卓仁が頑張ってくれてたけどね。遅れたんでホームで切り替えさせてもらいました」

<10R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 深谷知広(写真)が準決勝のうっぷんを晴らす圧巻のレースを展開した。小埜正義が赤板で前を押さえると、引いた深谷がホームから一気にスパート。深谷のパワーに誰も太刀打ちできず、後続を引き離してそのまま押し切った。
 「昨日の反省を生かして今日は思い切っていこうと思ってました。今日は力を出し切れました。今回はレースで甘さが出てしまいましたね」
 稲川翔は切り替えてきた新田康仁にからまれ離れたものの、辛うじてこれを凌いで2着を確保した。
 「今日は2着に入れたけど情けないですね。しっかり付いていかないといけない。今後の課題になったし、次はしっかり付いていきたい」
 小埜正義は手も脚も出ず9着シンガリ負け。
 「出切るまで全開で踏んで、新田さんまで出切れたのが分かったんで一回流した。そしたら凄い歓声が聞こえたので(深谷が)来たのが分かったから、思い切り踏んだけど間に合わなかった」

<11R>
松岡健介選手
松岡健介選手
 注目の決勝戦は脇本雄太が主導権を握り、新田祐大が番手にはまる展開に。最後は新田、まくってきた平原康多との力勝負かと思われたが、4コーナーで落車のアクシデントが発生。これを避けた村上博幸が優勝した。ここでは惜しくも敗れた選手のレース後をレポートします。
 新田祐大は2着入線も、押し上げで痛恨の失格を喫した。
 「スタートで誰も出たがらなかったので自分が取りました。今日はたまたまあの展開になりました。番手を取り切ってから、出るタイミングに失敗しました」
 松岡健介(写真)は連係が外れて自力に転じたものの力及ばず。繰り上がって準優勝となる。
 「今日はペースを落としたら平原や新田君にカマされるから、カマして押さえる作戦でした。そうすれば平原も先に斬りづらいだろうし、粘られないかと。博幸に入れてもらえたんでまくったけど、そのときにはもう平原が来てて僕は終わりました。でも博幸が勝ってくれたんでよかった」
 齋藤登志信が3着で表彰台入り。
 「新田は優勝する気持ちがあったろうから、俺はそのようにレースを流してあげようと思ってた。彼に1つでも(タイトルを)獲ってもらえればと。せめて俺が(新田の)後ろに付いていてあげればよかったけどね」
 山賀雅仁は初のG1決勝を「悔しいけど、楽しかったですね」と話す。「あの展開では優勝はない感じでした。もっと楽かなと思ったけど、脚も溜まらなかったし。転ばなかっただけ運がよかった。この失敗を次に生かして頑張ります」
 落車した平原康多は「あそこで張られて我慢できないのは弱いですよ」と一言。
 神山雄一郎は最後コースがなく、落車に巻き込まれた。
 「2センターで内を行ければよかったけどね。あのゴチャゴチャの展開では…」
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