『第30回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 2日目編

配信日:2月13日
 静岡競輪場を舞台に開催されている第30回読売新聞社杯「全日本選抜競輪(G1)」は、13日に2日目を迎えた。初日特選でシンガリに敗れ、2次予選まわりを余儀なくされた深谷知広は薄氷を踏む2着で準決にコマを進めた。また、2日目のメーン優秀「スタールビー賞」は、武田豊樹ら豪華な顔ぶれによってハイスピードバトルが演じられた。レースは武田が先行策。新田祐大が、まくりで圧巻のパフォーマンスを披露し連勝を飾った。3日目にはファイナル進出をかけて、準決の3個レースで火花が散らされる。
 本場では開催中の毎日、予想会や先着ファンサービス(3日目は3000人にキットカットをプレゼント)などを行っています。また、3日目には「トータルテンボス」による爆笑お笑いライブ、初心者向け競輪講習会(ゲスト・平成ノブシコブシの徳井)なども予定されています。静岡競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
ガールズレーサー トークショー佐藤摩弥、小川美咲、木村沙友希
ガールズレーサー トークショー
佐藤摩弥、小川美咲、木村沙友希
公営競技 トークショー渡邉晴智、木村武之、森 且行
公営競技 トークショー
渡邉晴智、木村武之、森 且行
スタールビー賞 レース経過
 号砲で武田豊樹、中川誠一郎、村上義弘、新田祐大、佐藤友和の5車が一斉に出るが、中川が正攻法に構える。隊列は中川―大塚健一郎の九州コンビが前受け、新田―佐藤の北日本勢、川村晃司―稲垣裕之―村上の京都トリオ、武田―平原康多の関東勢の形で落ち着く。
 青板周回の3コーナー過ぎから武田が上昇。赤板で新田も合わせて動くが、前受けの中川が車を下げずアンコになりかけたところで無理せず中団に下げる。武田は中川との併走から2コーナー過ぎに誘導を斬って先制。後方7番手となった川村だが、打鐘から一気に巻き返す。後方の様子を警戒していた武田は、合わせるように4コーナー前から中バンクを走行しての突っ張り先行。川村が叩けず最終1コーナーで苦しくなると、稲垣が自力に転じまくる。だが、8番手に置かれた新田が最終2コーナからまくり上げると、稲垣のさらに上を圧巻の高速まくりで通過。一気に前団を飲み込む。番手の佐藤は踏み出しから離れ気味で付け切れず、新田は3コーナーで出切るとあとは一人旅。2着に4車身差の圧勝劇で「スタールビー賞」を制した。切り替えた平原が2着、直線突っ込んだ中川が佐藤をタイヤ差交わし3着。


ゴール
ゴール
スタールビー賞表彰
スタールビー賞表彰
<1R>
芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 2日目から補充参戦した郡司浩平が主導権を握るなか、牛山貴広が中団からまくって力勝負。郡司は自らブロックにいくが、これを堪えた牛山に軍配。最後は芦澤大輔(写真)が追い込んで1着を手にした。
 「今日(2日目)はまくり追い込みでもなんでもいいと任せてました。朝は苦手だけど、牛山さんが頑張ってくれたので。初日に負けたぶん、気持ちを切り替えて、少しでも上のレースを目指そうと。うまくいってよかったです。感じは昨日よりは今日の方が良かったです」
 牛山貴広は2着で茨城ワンツーを決めると、「芦澤君と初めて決まってうれしい」と喜ぶ。「何度も連係してるけど、いつもお互いどちらかが7、8、9着ばかりだったので。今日はすんなり中団が取れたのがよかったですね。ここは早めに行かないとまくりが決まらない感じだったので、今日はいつもより早めに仕掛けました。郡司君はバックで踏み直してたし、合わされたのは自分の力がその程度なんだってこと。でも、ワンツーが決まったのでよかったです」。
 「2センターで郡司君がもって行ったときに、前が詰まったので」と話すのは、後方から追い込んで3着に入った桑原大志。「今日は落ち着いてコースを踏めました」。

<2R>
志智俊夫選手
志智俊夫選手
 後ろ攻めの高久保雄介が、合わせて出た上原龍を押さえて主導権。逃げた高久保との車間を空けた番手の志智俊夫(写真)は、まくった阿竹智史をきっちり止めて追い込んだ。
 「(阿竹のまくりは)止まってないでしょう…。高久保が頑張ってくれましたね。自信はないけど。昨日より今日の方が当たりが良くなっている」と、目を細めた。怪我明けの今シリーズだけに、勝ち星が一番のクスリだろう。
 内容の濃い競走も高久保雄介は、ゴール前で失速。4着に沈んで力不足を痛感。出直しを決意する。
 「あれが僕の持ち味の出るレースですから。ちょっと前なら、あれで粘れていた。ギア(規制)も脚もですね…。初心に返って、デビューしたころの気持ちでまた頑張ります」

<3R>
竹内雄作選手
竹内雄作選手
 竹内雄作(写真)が後ろ攻めから押さえ、赤板で先頭に立って主導権を握る。竹内はマイペースに持ち込むと、終始一本棒にして敵の反撃を完封。そのまま並んだ順にゴールし、竹内が会心の逃げ切り勝ちを収めた。
 「昨日、これをやらないといけなかったのに。出切ってからずっとペースで行けたので。風が強かったみたいだけど、必死だったのでまったくわからなかった。でも、バックは流れたので、そこで休みを入れながらペースで。最後もしっかり踏めました。いつも飯野(祐太)さんにやられてばかりだったので、勝ててよかったです」
 番手の東口善朋は、流れ込みの2着が精いっぱい。
 「竹内君はうまくペースで駆けてたし強かったよ。最後、抜ける感じはまったくなかった。(上がりタイムが)11秒5なんですか? それは無理ですよ(苦笑)」

<4R>
齋藤登志信選手
齋藤登志信選手
 強い風がバンクを舞う中、高橋陽介が相川永伍をけん制しながらレースを支配。早めの巻き返しを試みた山田英明を突っ張り、番手の齋藤登志信(写真)にとっては絶好の流れ。齋藤がきっちりと勝機をモノにした。
 「風がきつくて、後ろがどうなっているのかもわからなかった。風でレースの組み立てにしても計算ができないですね。僕はもう前の高橋君が頑張ってくれたのと、大槻(寛徳)君が後ろにいたおかげです」
 最終ホームで外に浮いた山田英明は、小野俊之のアシストもあって4番手に入ってからの立て直し。追い込みで2着に届いた。
 「高橋さんは外併走から行ったんで、一回あそこで止まると思った。向かい風だったし、自分が行くならホームと思ったんですけど…。1車しか進まなかった。そこからは中団が空いていたのもわかったし、小野さんが入れてくれたんで。バックでは前が流れたんで、仕掛けどころがなかった」

<5R>
坂本亮馬選手
坂本亮馬選手
 吉本卓仁が後ろ攻めから押さえると、海老根恵太と藤木裕で中団を争う展開に。このもつれをしり目に吉本がマイペースに持ち込むと、最後は坂本亮馬(写真)が差し切って勝利した。
 「あれだけ行ってくれたから、絶対に止めようと思ってました。でも、来なかったんであとは抜くだけでしたね。直前、吉本さんは不安そうにしてたんで『力を出し切りましょう』と声をかけたんです。逃げれば強いんですよ(笑)。良い先輩です」
 吉本卓仁は2着に粘り込んだ。
 「後ろのことは全部見えてました。あとは早すぎても遅すぎてもいけないんで、うまくタイミングをとって仕掛けました。直線に入ったら(坂本)亮馬は絶対に(追い込んで)くるから、何としても自分が残らないとと思った。亮馬に差し込まれたし、掛かりがいまひとつでしたね」

<6R>
園田匠選手
園田匠選手
 ここからは準決勝進出を争う2次予選。九州コンビは後方に置かれて、園田匠(写真)は最終バックで9番手の最後方。菅原晃がインに包まれると、3コーナーからコースを縫って直線で鮮やかに突き抜けた。
 「菅原さんが前々に踏んで、ああいうレースを作ってくれたのは大きいですね。車体故障もあって恵まれたけど。自分にはこのギアが合っているんで、後方に置かれても落ち着いてできた。それに流れもあったと思います。悪い時なら、あれで自分も突っ込んじゃってたと思います。ギアが合っているぶん余裕もある。1着も取れたし、仕上がりがいいんで準決も楽しみです」
 カマした稲毛健太ラインを受けて小松崎大地は絶好の3番手。車間を詰めながらまくって出るも、南修二のブロックで不発。佐藤慎太郎は南のインを突いて3着で入線。審議の結果、南の失格で2着繰り上がりで、準決進出を決めた。
 「(小松崎)大地には走る前に南が仕事するから、3番手に入ったら落ち着いていけと言ってたんですよね。だけど、(小松崎は)まっすぐな男だから、俺も付いてるし早めに行ってくれた。大地も(初日で連係した早坂)秀悟もいい選手に育ってくれたし、自分は連日前のおかげです。ただ、勝てばいいってわけじゃなくて、お互いの仕事をしっかりとやってっていうのがありますし。自分は状態もいい」
 ラインの南が失格で4着から繰り上がった稲毛健太だけに、手放しでは喜べない。
 「なにも考えてなかったけど、先行した方がいいのかなと思ってああなりました。自分は中団を取るっていう走りの選手でもないんで。風が強くて重かった」

<7R>
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 原田研太朗が赤板で早めに前を押さえ、さらに三谷竜生が打鐘過ぎに叩きに出ると、このタイミングを待っていたかのように早坂秀悟が全開でカマして一気の主導権。ライン2車で後ろを離していくと、最後は菊地圭尚(写真)が追い込んで勝利した。
 「踏み出しのときに見てしまって車間が空いたけど、何とかリカバリーできましたね。最後は後ろから来ているのがわかったけど、ここまできたら(早坂を)残さないとと思って。後ろと前を見ながらのレースだったけど、うまくいきました」
 立ち遅れたものの、桐山敬太郎が北勢に追いついて2着を確保。ただ、自分だけ準決勝進出を決め、「石井(秀治)さんに申し訳ない」と、喜びは半分といったところ。「せっかく僕が前を回らせてもったのに。最低でも(積極的に動いて)自分が2着に残るような展開でないと石井さんも(3着以内に)来れないんで。脚の方は申し分ないんで、明日また頑張ります」。
 ゴール前は接戦となったが、逃げた早坂秀悟が3着に踏み止まり準決勝進出。
 「菊地さんのおかげ。うれしいですね。(冬期移動先で一緒に練習している)小嶋(敬二)さんにも、あれしかないって言われてたので。うまくいきました。でも、最後は脚がいっぱいでした。静岡(競輪学校)で練習させてもらっていることが今回、モチベーションにつながっているんだと思います」

<8R>
岡田征陽選手
岡田征陽選手
 赤板の1センターで根田空史が中バンクまで上がると、その隙を逃さず岡田征陽(写真)が俊敏にインをすくって4番手を奪取。「あれで決まりましたね」と、振り返った岡田は、逃げる山田久徳を射程圏に入れてまくり一気で準決勝へとコマを進めた。2着にも諸橋愛とのワンツーに満足気。
 「日に日に感じは良くなっていますね。(4番手からは)自分のタイミングで行きました。あんまり待ってしまうと、(村上)博幸さんにもって来られてしまうんで。その前にと思いました。準決も楽しみです」
 岡田がまくり切って、直線は関東勢でのマッチレース。諸橋愛が岡田を交わして1次予選に続く1着で連勝を飾った。
 「ツキがありますよ。今日は山田君があそこまで吹かすとは思わなかったけど、あれだけ吹かせば(岡田)征陽が行きやすくなるんで。よかったです。だけど、その前に征陽が内に行ったところで、自分は離れてしまったところもあるし。あれがなければもう少し余裕もあったと思いますよ」
 京都コンビに付けた内藤宣彦は、村上博幸がブロックで大きく外に膨れると内からしぶとく3着に入った。
 「最後は本当に申し訳ないけど、あれしかなかったですね」

<9R>
天田裕輝選手
天田裕輝選手
 前受けの柴崎淳が車を下げ、打鐘から巻き返して主導権。天田裕輝(写真)は叩かれたが、味方の援護を受けて3番手をキープすると、落ち着いて追い込んで1着を手にした。
 「(柴崎を)突っ張るつもりで踏んでたんですけど、風がきつくて行かれてしまいました。神山(雄一郎)さんに助けてもらいました。(3番手の神山拓弥まで)3人で決めたかったけど、今日はラインに助けられました。感じは普通ですかね」
 マークした神山雄一郎が2着に入る。
 「伊藤(保文)君は止められなかったけど、西岡(正一)君が踏み遅れてたし、コーナーに入るところだったんで退かして(天田を)3番手に。でも、自分はあと1車抜かないと勝ち上がれないから必死だった。後ろ(の神山拓)を気にする余裕はなかったよ。余裕があったら外を踏んでただろうしね」
 柴崎に乗った伊藤保文が3着を確保した。
 「柴崎は最後きつそうだったけど、よく行ってくれました。(天田に)3番手に入られてしまったんで厳しかったですね」

<10R>
浅井康太選手
浅井康太選手
 青板の手前から守澤太志がレースを動かし、いったんは6番手まで下げた脇本雄太が赤板で巻き返すも守澤に突っ張られ後退。浅井康太(写真)に迎え入れられて4番手に入った脇本は、今度は打鐘の2センターから反撃を始めて主導権を奪取。浅井は後ろにスイッチした山崎芳仁ら後続をけん制しながら、直線で脇本を楽に交わして1着。
 「突っ張られたけど、脇本君はもう一回行ってくれるでしょうし。脇本君も信頼してくれてるから、自分も信頼していました。北日本勢も2段駆けがあるし、その中で(脇本と)ワンツーだから判断良く仕事ができたと思います」
 別線の厳しい包囲網を打ち破った脇本雄太が、2着に逃げ残って人気両者での決着。
 「まだ守澤さんが見てないと思って赤板から仕掛けたけど、守澤さんに見られてましたね。スピードも合ってしまったし、このままじゃ粘られると思って一回待ちました。だけど、ああなっても気持ち的にビビらなくなりました」
 山内卓也が踏み出しで離れ気味。山崎芳仁は脇本ラインの3番手にスイッチして最終2センターで外を踏むも3着まで。
 「守澤が頑張ってくれたし、自分は3着までに入らないとって。その気持ちだけだった。本当は(最終)バックから(まくって)行きたかったけど、行く勇気がなかった。小さかった…」

<11R>
飯嶋則之選手
飯嶋則之選手
 松川高大が後ろ攻めから押さえて主導権を握る。中団を取った木暮安由が最終2コーナーからスパートしていくと、荒井崇博も番手から早めに追い込み、さらに後方から深谷知広も迫ってゴール前は大接戦。最後は中のコースを踏んだ飯嶋則之(写真)が1着を手にした。
 「今日は木暮君が『中団からいきます』と言ったんで、あとはすべて任せてました。木暮君は迷ってたみたいだけど、2コーナーから早めに行ってくれましたね。1着が取れてすごくうれしいです」
 7番手から猛然とまくり、深谷知広が2着。かろうじて準決勝進出を決めたが、本調子を欠く今シリーズは歯切れが悪い。
 「初日に(打鐘過ぎの)4コーナーから車がまったく出なかったから、今日も弱気になってしまいました。今は点数通りの脚しかないですね」
 写真判定の末、まくった木暮安由が3着に入る。
 「4着かと思ったけどね。中団を取ってから早めにいけばラインで決まると思ったんで。あとは深谷君の動きを見ながら。最後、内に飯嶋さんがきたときに力が抜けてしまったけど、勝ち上がれたんでよかったです」

<12R>
平原康多選手
平原康多選手
 メーンは、打鐘で先行態勢を取った武田豊樹の後ろの隊列は一本棒。3コーナーから7番手の川村晃司が巻き返すが、武田は腹を固め突っ張り先行。
 「後ろから押さえても次が誰も来なかった。あそこで先行から逃げているようじゃ、(ラインの)前を回る資格はないですから」
 武田に付けた平原康多(写真)は新田祐大のまくりを止められずも、最終3コーナーで新田を追って2着。
 「(新田は)止めようがないスピードだった。この風の中で8番手から押さえてレースを支配した武田さんがすごかった。最後まで援護したかったけど、あそこまで頑張ってくれてたんで自分はなんとか連に絡もうと思って踏みました」
 前団のもつれを見極めて極限まで脚をためた新田祐大が、まくりで一気にエンジンを点火。次元の違うスピードを披露し後続をちぎった。
 「まくりの行きやすい展開にはなったけど。そうじゃない展開も考えていた。先頭に立つレースを考えていたのが、結果として(まくりで)瞬時に力を出すことができた。パフォーマンスを出せる状態になっていました。(初日から)1、1着でしっかり自分らしい走りができたけど。川村さんが突っ張られてもやめないで踏んでいる時に、稲垣(裕之)さん、村上(義弘)さんが内に行こうか、外に行こうか見ていた。その時に僕も見てしまいました。すかさず行けていれば、(佐藤友和と)ワンツーが決まっていたかもしれない。そこは反省したい」
 関東ライン後位にいた中川誠一郎は、前に踏んだ平原を追いかけながらゴール前で佐藤を交わして3着。
 「武田さんの上を近畿勢が行けば、自分はその上を行くつもりでした。そしたらなかなか川村さんが行かないから、そろそろ武田さんも突っ張るだろうって思った。自分の反応と判断は良くなっている。疲れも抜けてきていると思います」
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