『第30回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 3日目編

配信日:2月14日
 静岡競輪場を舞台に開催されている第30回読売新聞社杯「全日本選抜競輪(G1)」は、14日に3日目を迎えシリーズも後半に突入した。ギア規制が実施されてから初めてとなるG1シリーズも、日を追ってヒートアップ。輪界屈指の強豪の走りに静岡競輪場のスタンドも沸いた。ファイナルのキップを巡る準決の3個レースでは、それぞれ平原康多、稲垣裕之、桐山敬太郎が白星で優出を決めた。いよいよシリーズも大詰め。節目の第30回のタイトルをかけて、最終日の第11レースで決勝の号砲が鳴らされる。
 本場では最終日も予想会や先着ファンサービス(3000人に全日本選抜オリジナル瓦煎餅をプレゼント)などを行っています。また、「トータルテンボス&はんにゃ」による爆笑お笑いライブ、「中村アン」のトークショーなども予定されています。静岡競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
スピーチーズ ライブ
スピーチーズ ライブ
平成ノブシコブシ 徳井と競輪講習会
平成ノブシコブシ 徳井と競輪講習会
トータルテンボス お笑いライブ
トータルテンボス お笑いライブ
スリリングなレースに熱狂
スリリングなレースに熱狂
<1R>
内藤秀久選手
内藤秀久選手
 強制帰郷(予定7~9着)を逃れるべく、敗者戦も白熱。1レースは中団を取った海老根恵太だったが、大西祐の反撃に合わせ、ホームから叩きに出て主導権。海老根は敵の攻撃を封じると、最後は内藤秀久(写真)が差し切った。
 「海老根さんは行ってしまうとやっぱり強いですね。出切ったんで、あとは僕たちが海老根さんに自信を持ってもらうために、どう守り立てるかだけでした。自分の技量でズブズブだけにはならないようにしっかりと。ライン3人で決まったのでよかったですね」
 海老根恵太が逃げ粘って2着。レース後は激しく息を切らすが、今日は積極的なレースを展開し、疲れは心地良い。
 「変なところで行かれて後方になったら終わりなんで、それだったら思い切って行こうと。前も合わせて踏んでたからキツかったですね。それにしても距離が長く感じました」

<2R>
石丸寛之選手
石丸寛之選手
 合わせる相川永伍を高橋陽介が、力ずくで叩いて先行策。松岡貴久が中団に追い上げ、最終ホームで相川との併走でペースが落ち着いた。中団の隊列が短くなり、単騎の石丸寛之(写真)に出番。十八番のまくりが炸裂した。
 「マッサージもして仕上げてきたし、調子は悪くなかったんですけど。(2日目までは)なんか思い切り踏めなかった。自信を持って行けば良かった…。今日はギアとシューズを換えてやった。(単騎だから)付いている人もいないし、伏見(俊昭)さえ乗り切れればと思った。点数も落としたくないし、このあと(地元の)玉野記念もあるから、明日もう一発いきたいですね」
 逃げた高橋を利した伏見俊昭だったが、石丸を止められずスイッチ。直線で踏み込むも、松岡に食われて3着。
 「石丸さんのスピードが良かった。(高橋)陽介は初日のぶんも頑張ってくれたんだけど。直線でけん制しても(石丸は)止まらないですよね」

<3R>
小倉竜二選手
小倉竜二選手
 小倉竜二(写真)が3日目にしてようやく真骨頂を見せた。レースは郡司浩平が主導権を握るなか、自身のラインは中団を確保。好展開となったものの、目標の阿竹智史が勝負どころで伸びを欠く。しかし、小倉は落ち着いて2センターで内に降りると、コース取り良く踏んで最後は自慢のハンドル投げで1着を手にした。
 「(7番手の)藤木が来たから(阿竹を)無理矢理行かせたけど、位置取りで脚を使ってたみたいで出なかったね。でも、4番(朝倉佳弘)が振ったのが見えたから、コースを突いて行きました。ゴール前であれ(ハンドル投げ)が出ないと走った感がないよね。2日間レースを走った感じがしてなかったんで今日はよかった」
 松坂英司は番手絶好も惜しくも2着に。
 「郡司君が頑張ってくれたし、レース前にかなり気合が入ってましたよ。だからスタートでけん制があったんで、(郡司に)脚を使わせないように(自分が誘導を)追いました。あれで脚にきましたね」

<4R>
金子貴志選手
金子貴志選手
 四国勢分断に出た後閑信一と番手の池田憲昭がもつれて、打鐘の2センターでペースが落ちる。チャンスをうかがっていた金子貴志(写真)は、その隙を逃すことなく大ガマシ。同県の山内卓也と3番手以下を大きくちぎって、あとは2人だけの世界。金子が山内の追い込みを振り切って鮮やかな逃げ切り。
 「ゆるんだところで行こうって思ってたし、流れの中で力を出し切ろうと。あれで(仕掛けを)待っちゃうと苦しくなってしまうんで。(打鐘の2センターで)かなり上にあがったんで、そのだ性を生かしてと思いました。久々に脚にきましたね」
 山内卓也が直線の入り口で交わしにいくも、金子の二の足に4分の1輪差まで詰めたところがゴール。
 「(金子のダッシュは)強烈ですね、あれに付いていけてればいいと思う。自分は焦って早く抜きに行きすぎた。4コーナーを回ってから抜きに行けば良かったですね。金子さんはチャンスがあればカマシに行くって言ってたし、自分たちにいい展開になりました」

<5R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
 松川高大が後ろ攻めから早めに動いて行ったが、隊列はひと回りして結局は元通りの8番手。しかし、すぐに最終ホームからカマしていくと、逃げた山田久徳を力でねじ伏せシリーズ2勝目を挙げた。
 「8番手になってしまったけど、あそこしかないタイミングで行けました。踏み出した時に前がちょうど詰まったのでよかったですね。あとは岩津(裕介)さんのブロックを警戒して上の方をいきました。勝ててうれしいですね」
 「悔しいですね」と、漏らすのは2着の岩津裕介(写真)。松川の番手にスイッチし、最後の直線で懸命に詰め寄るも2分の1輪差届かず。
 「今日は山田君は先行もするし組み立てもうまいので、どの位置からでも頑張ってくれるから任せてました。でも、松川君のスピードが良かったね」

<6R>
飯野祐太選手
飯野祐太選手
 いったん高久保雄介に併せ込んだ飯野祐太(写真)が、赤板すぎに先頭に立って先行態勢を取る。高久保の早めの巻き返しを阻むように打鐘手前でペースを上げると、そこからは圧巻のパフォーマンス。長い距離を踏んで、後続完封の逃げ切り勝ち。
 「今日はもう先行しか考えてなかった。逆にそれで思い切りいけたと思います。ジャン前のところは8、9割で行きました。あそこでゆるめると(高久保が)来てしまうんで。(最近は)ちょっと消極的なレースばっかり続いていたし、思い切ったレースができるかどうかですね。脚の感じは悪くないし、あとは気持ちの問題だと思います」
 大槻寛徳は、まくった高久保をけん制して直線勝負も2着まで。飯野の強さをたたえて、納得の顔で汗をぬぐう。
 「(飯野は)強い。あんなにデキが良かったんなら、(連日)もったいなかったですね。自分は最低限のことはしようと。(高久保を)止められるような感じだったんで。中村(浩士)さんとラインで決めたかったけど、(ワンツーで)よかった」

<7R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 赤板で山田英明、打鐘で松岡健介が順番に押さえていくと、すぐさま柴崎淳が叩いて最終主導権。最終バックを通過し、池田勇人、山田がそれぞれまくってくると、これに合わせて番手の吉田敏洋(写真)が追い込んで勝利した。
 「初日に続いて(柴崎)淳が頑張ってくれたね。初日から3日間目標がいるのは珍しいし、こういうときに確実に勝っておかないと。その瞬間、瞬間でできることを見つけていかないといけないね。最後は横に並んでしまったので(前に踏んだ)。淳にあとは残ってくれと必死でした」
 山田はブロックで飛ばされたが、その後ろから井上昌己が鋭く2着に迫る。
 「山田君はベストのタイミングで行ってくれたね。良い感じで行ったけど3コーナーの上りだったし、ブロックがすごかった。油断してました」

<8R>
野田源一選手
野田源一選手
 「調子はいいですけど、組み立てがどうかなって感じですよね」と、振り返った野田源一(写真)が苦笑い。単騎での戦いで、最終バックまさかの9番手。苦しい展開に陥るも、最終3コーナーから踏み出すと、大外を回して前の8人をごっそり飲み込んだ。
 「(吉本)卓仁のラインに付いていこうかと思ったんですけど、卓仁が三谷(竜生)を入れたんで突っ張られることもあるかなって。それで(吉本の仕掛けに)付いていかない方がいいと思った。でも、結果9番手なんでどうですかね…。毎度、毎度の9番手。(ラインに)付いていったり、自分でインを切ったりしないと、いい位置は取れないっていうことを再確認しました」
 吉本ラインを受けて3番手に入った三谷竜生は、最終2コーナーからまくりを打って2着。
 「吉本さんも荒井(崇博)さんが付いているし、(先行は)あるかなっていう感じでした。そこからは小松崎(大地)さんの動きは見てなかったけど、あそこで自分が行かないと(後ろから)来るだろうし。(まくり切って)行けたのは良かったけど、最後は差されているんで」

<9R>
合志正臣選手
合志正臣選手
 竹内雄作が赤板から先頭に立つと、そのままペースを上げて主導権を握る。中団の坂本亮馬、7番手の根田空史が伸びを欠くなか、志智俊夫が番手から有利に抜け出して1着に。昨日に続き2連勝。
 「まだ2周半も残ってたけど、竹内君が頑張ってくれましたね。いつも全然前に迫れずに、付いていてやっとだったので。本当なら(竹内と)一緒に(特別優秀へ)上がらないといけなかったんですけどね。こういうレースを勝ち上がりでやりたかったですね」
 中部の3番手を回った佐々木則幸が2着でズブズブ決着となり、3着には九州3番手回りの合志正臣(写真)が入った。合志は「調子が良ければアタマまで行ってたのに」と悔しがる。「最後に(菅原)晃が内にいくと思ったけど行かなかったので、そこしかないと。行ったときに(坂本)亮馬とぶつかてしまって失速した。そういうところがまだまだなんでしょうね。昨日、ペースが速いレースをしたぶん、今日は楽でした」

<10R>
平原康多選手
平原康多選手
 赤板を迎えても動きは見られず、隊列が崩れたのは1センター。8番手から上昇する脇本雄太に合わせて、早坂秀悟もスパート。主導権を握った早坂に菊地圭尚が続いて、3番手に木暮安由。村上義弘のアシストを受けて脇本は6番手からの立て直し。早坂が敢然と風を切って逃げ、最終2コーナーから木暮がまくりを始動した瞬間に落車のアクシデントが発生。木暮は菊地と接触して落車。目標を失った平原康多(写真)は、早坂の番手から発進した菊地を追走しての追い込み勝ち。
 「あれ(落車)で脚にきたっていうより、よく避けられたなって思います。完全に乗り上げたと思ったし、ギリギリの感じでした。アイツ(木暮)の気持ちもすごく伝わってきたし、無理やりでも行ってくれた。(菊地の)番手まくりは計算してなかったけど、それがなかったら自分で行くつもりでした。初日にサドルをいじって失敗したんで、昨日、今日と(前回の)大宮の位置に戻したら感触は良くなった」
 岡田征陽が平原に続いて2着。一昨年7月の寛仁親王牌以来となるG1優出を果たした。
 「(落車で)危なかったけど、避けた時点で(決勝進出が)決まったと思った。恵まれたけど、感じ自体は悪くない。日に日に良くなっているし、今日が一番感じが良かった」
 審議対象だった菊地圭尚だったが、セーフ判定を確信していたように口を開く。
 「審議はね、うちの審判長(山田敦也)が大丈夫って言ってくれたんで、そう思っていました(笑)。(木暮との)接触でガクンときて止まったけど、そこからは無我夢中で踏みました。今回はここに来るまで感じも良かったし、気持ち的に余裕もあった。(早坂)秀悟が頑張ってくれたし、一緒に(決勝に)乗るのも時間の問題でしょう。うれしいです」

<11R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 2段駆けの布陣を敷く近畿勢。稲毛健太が後ろ攻めから吹かして主導権を握ると、車間を斬っていた稲垣裕之(写真)が敵の反撃に合わせて番手発進。そのまま力強く押し切った。
 「今日はすべて(稲毛に)任せていたし、作戦も話してなかった。頑張ってくれたし、あとはその気持ちに応えようと必死でした。後ろの様子はすべてわかってたし、新田(祐大)君が来たのが見えたので合わせて出たけど、踏み出しがギュンといく感じではなかったので、自分で自力で行ってるみたいにきつかった。今日はホント稲毛君のおかげです」
 近畿勢に付けた大塚健一郎が2着に入る。
 「あの展開になったし、後輪しか見てなかった。ハンドルとサドル、セッティングをいじり過ぎて感触がわからなかった。でも、自分にできる最大限のことはできたと思う。もっとスコンと踏めればアタマまで行ってたかも。状態としてはまだまだですね」
 浅井康太は深谷知広と後方に。しかし、浅井は切り替え策からうまくコースを踏んで3着に滑り込んだ。
 「深谷君が立て直すときに重たそうだったし、自分で仕掛けられる位置と思って、悪いけど切り替えました。道中は余裕があったので、コースが空けば行けるかと。深谷君の頑張りのためにも決勝も頑張りたい」
 天田裕輝は新田の後方から懸命に踏んだが伸びを欠いて5着に。
 「スタートでみんな前を取りに行ったから、ああいう展開になると思った。だからイチかバチかのレースかと。新田君がまくり切ってしまうかと思ったけどね。止まったのがわかったけど、そこで内か外か迷ってしまった。あそこで内は難しいんですけどね」

<12R>
桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
 赤板で武田豊樹にフタをした川村晃司は、外併走から再度踏み上げて逃げる。単騎の桐山敬太郎(写真)が、京都コンビを追走してすんなり3番手を確保。中団の山崎芳仁、7番手の武田と同期のタイトルホルダーを後方に置いて、桐山が最終2コーナー手前から先まくりを敢行。勇気の仕掛けが功を奏し、G1準決の壁を打ち破り大舞台でのファイナルをつかみとった。
 「単騎戦だったんで、いろいろ作戦が思い浮かんだけど、いいイメージしか湧いてこなかった。あとは出し惜しみをしないようにと思っていた。自分が初めて(G1の決勝に)乗れたことがうれしい。ギア規制で一番苦労するだろうって(周りに)言われてたんで、みんなの期待を裏切りましたね(笑)。まさか(ギア規制後)最初のG1で決勝に乗れるとは。1着はデキすぎだし、言うことはない。自分の後ろが山崎さんでも、武田さんでも、あの位置だったら(仕掛けて)行くつもりだった。あれで後ろに抜かれたら仕方ないと思って行きました」
 後方の武田を警戒していた山崎芳仁。桐山のまくりに一瞬反応が遅れ伊藤保文にからまれるも、スピードの違いで乗り越えて2着。
 「あの展開はある程度想定していたんで、あとは周りに踏ませてと思っていた。そこからは桐山があんなに早く行くとは思わなかった…。それで慌てて追いかける感じになってしまった。明日の決勝は自分が前でやります。最近は俺の方が(菊地圭尚よりも)先行しているし、ファンの方々にもこの並びが普通かなって思うんで」
 7番手の武田豊樹は打鐘の2センターから反撃に出るも、逃げた川村の掛かりが良く1車しか進まない。再び7番手での立て直しを強いられるピンチ。そこから強靭なメンタルと底力を発揮して辛くも3着で決勝へと進んだ。
 「ちょっと僕が組み立てをミスした感じです。油断をしたわけではないけど…。G1に来て初めてギア規制(の影響)を感じます。組み立てにしてもまだまだ勉強しないといけない。(昨年のグランプリからのローテーションに)ひと休みしたいところだけど、やっぱりダービーが終わるまでは頑張らないと。(決勝も)チャンスがあるんで一生懸命やります」
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