『第31回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 3日目編

配信日:2月13日
 久留米競輪場を舞台に開催されている第31回読売新聞社杯全日本選抜競輪(G1)は13日から後半戦に突入。生憎の雨模様とはなったが、その雨を吹き飛ばす激しい戦いが繰り広げられた。準決勝3個レースでは昨年のGP王者・浅井康太や武田豊樹が脱落する中、村上博幸、近藤隆司、佐藤慎太郎がそれぞれ勝利し決勝へと弾みをつけた。明日14日はいよいよ決勝戦。今年最初のG1覇者が決まる。
 最終日はイベント目白押し。手裏剣戦隊ニンニンジャーショー(2R、9R発売中)やスタジオMJのダンスパフォーマンス(3R発売中)、メイプル超合金のお笑いステージ(5R、10R発売中)など様々なイベントが予定されています。今年初のG1覇者は果たして誰か? 注目の決勝戦をぜひ本場でお楽しみください。
仮面ライダーゴースト ショー
仮面ライダーゴースト ショー
パンクブーブー お笑いステージ
パンクブーブー お笑いステージ
江藤みき、平田崇昭、競輪小僧 久留米競輪名物トリオ 予想会
江藤みき、平田崇昭、競輪小僧
久留米競輪名物トリオ 予想会
<1R>
鈴木裕選手
鈴木裕選手
 前受けを選択した櫻井正孝が青板バックから上昇してきた鈴木裕を突っ張りそのまま先行態勢に入るかと思われたが、中団にいた伊藤保文が残り1周手前から一気に踏み込んで櫻井を叩き切る。6番手まで下げて立て直した鈴木裕(写真)は1コーナーから仕掛けて前団をひと飲み。追走した内藤秀久と南関ワンツーを決めた。
 「突っ張られるかもって思いながら行ったので冷静に下げられました。思いっきり行ってたら打鐘前に終わってた。(伊藤のカマシに)櫻井君も慌てて踏んでたけど、あれは難しいですよね。自分の位置なら動きが見えたから余裕もあった。なんとか4日目につながったし良かった。風もなかったしバンクも軽かった」
 伊藤の動きに対応し切れなかった櫻井正孝は「鈴木さんだけみてたから…。まさかあそこから伊藤さんが来るとは思ってもいないし、立ち上げる前にこられたんでどうしようもなかった」と悔しさを噛み締める。

<2R>
古性優作選手
古性優作選手
 南関勢の上昇に合わせて出た北津留翼は、片寄雄己を阻んで突っ張り先行。ラインのアシストで片寄が中団に収まると、古性優作(写真)が追い上げて4番手で併走。最終2コーナー手前からまくり上ると前団を飲み込んだ。
 「(先行した)昨日はあれはあれでいいんですけど、結果的に3着までに残れてないんで。もうG1で力を出し切って終わりっていうのでは…。本当に何でもしていきたい。先行もまくりも番手も何でも。(外で併走してても)今日は楽でした」
 逃げた北津留マークの小岩大介は、古性のまくりを止められずも古性を追った片寄をブロックして2着に食い込んだ。
 「(北津留が)頑張ってくれたんですけどね。(北津留)翼もペースで踏んでいたんで、自分は付いていて楽だったし余裕はありました。7番(古性)を止めて、翼を残したかったんですけど…」

<3R>
池田勇人選手
池田勇人選手
 高橋陽介の当日欠場によって城幸弘と中村一将の2分戦に。中国勢が付いてライン4車となり後ろ攻めを選択した城が、赤板でゆっくりと上昇して打鐘でハナに立つ。番手の池田勇人が踏み出しで口が空いてしまうと、叩きに行った中村は城と池田勇の間に切り込み内をすくって主導権を奪う。再度、踏み上げる城を追わずに、冷静にまくりに構えた池田勇人(写真)が最終3コーナーから前団を飲み込みシリーズ初白星をゲットした。
 「踏み出しに遅れてしまった…。反省しかありません。ちゃんと追走できていれば、車間を切ったり巧く連係できたはずなのに。これからは番手を回る機会も増えると思うので、その辺り(番手として)の技術を高めたい」
 中村の番手を回り3着に入線した林巨人も「城君は点数以上の脚があるが、しっかりさばいていたら違っていた。全て中村さんがやってくれた」と、反省の弁を口にした。

<4R>
井上昌己選手
井上昌己選手
 赤板過ぎに前団を押さえた吉本卓仁が後ろの動きを警戒しながら打鐘からペースを上げた。最終1コーナーから8番手まで下げた岩本俊介が仕掛ける。岩本は好回転でまくっていくが、車間を切って待ち構えていた井上昌己(写真)のけん制で失速。最後は番手有利に井上が抜け出した。
 「(吉本)卓仁が気合入ってたね。先行するつもりって話していたし、あれだけ行ってくれたんで一生懸命仕事しようと。もっと余裕があれば車間を切ってもう少し引き付けてからいけたんですけどね。僕としては昨日まで腰が痛かったんですけど、今日はそれがなくて軽かったですね」
 九州勢追走の筒井敦史がゴール前の接戦を制し2着に入った。
 「(井上)昌己も仕事して卓仁も頑張ってくれた。地元地区の2人が頑張ってくれたおかげです。ずっと内を締めながらなんでキツかったけど、余裕はありました。でも最後は外踏みたかったけど、あそこしかコースがなかったですね」
 単騎の松谷秀幸は3着に入ったが納得した表情は見られず。
 「全然まだ走れている感覚ではないですね。まずはレースの流れに乗ることだけを心掛けています。ああやってまくりになったときのタイミングがまだわからないです。レースの中で戻していくしかないですね」

<5R>
守澤太志選手
守澤太志選手
 赤板過ぎに山田英明が上昇。山田に合わせて動いた郡司浩平は中団を確保していたが、山田が流しているところをホームから一気に叩いて主導権を握る。守澤太志(写真)は神奈川3車に乗る形から1コーナー手前で外に持ち出すと、逃げる郡司を勢いよくまくり切った。
 「自分のスピードじゃなくて郡司君のスピードをもらえたから。でもあそこで待たずに仕掛けたのが良かった。ダメ元で行ったけど巧く(スピードに)乗せてもらえたし出ましたね(笑)。展開も向きました」
 一旦は中団取りのような動きから、残り1周手前からスパートした郡司浩平は「山田さんが押さえに来るのが遅かったから。鐘でドカンと踏まれると、その上を叩くのは厳しいと思ったから先に斬ってから」と瞬時に考えた作戦だったようで、「結局、守澤さんにスピードを与える形になってしまったけど、自分のタイミングで仕掛けられているので悪くない」と結果は3着でも内容には納得している様子だった。

<6R>
吉澤純平選手
吉澤純平選手
 野田源一、石井秀治の順で動いた上を吉澤純平(写真)が打鐘から叩いて主導権を奪う。上手くペースに持ち込むと、最後は神山雄一郎の追撃もしのいで押し切った。
 「後ろが神山さんだし、安心してペースで駆けられた。抜かれると思ってたので残れたのはビックリ。ゴールまでもう一回踏み直せました。(神山と)どんだけ勝負できるかと思ってたので負け戦でも(逃げ切れて)よかったです」
 わずかに交わせなかった神山雄一郎だが、復調の手応えをつかんだか表情は明るい。
 「(吉澤の)粘りがすごかったです。いい感じで1周駆けてたし、粘られたっすね。強かった。でも僕もだいぶ生き返ったかもしれないです。ちょっとよかったです」
 関東ライン3番手を確保した野田源一だったが前をとらえることはできず。
 「柏野(智典)もついてたし、早めに行きたかったけど、なかなかタレてこなかったので。いいペースで駆けてましたね。3着までが特選だったし、大事にいきたくて中途半端な仕掛けになってしまった」

<7R>
松岡健介選手
松岡健介選手
 初手8番手に位置した桐山敬太郎が、前受けを選択した小松崎大地を下げさせようと早めに上昇。小松崎は一旦は桐山を出させたが内を突いて先頭に立つ。打鐘で松岡貴久が小松崎を叩くも、内を警戒しながら一気にペースダウンすると、九州勢の後ろにいた松岡健介(写真)が大カマシを決めてそのまま後続を千切り2日目に続いての逃げ切りを決めた。
 「2日目の走りが今日につながった。あれだけピッチ(ペース)が落ちれば行ってしまおうと。番手を回る機会が増えてきたが、与えられたメンバーの中で力を出していきたい」
 中途半端な組み立てになってしまった小松崎大地は「(ライン)2車だったので難しかった。突っ張ってしまった方が良かった…。次に伏見(俊昭)さんと連係することがあったら、しっかり主導権を取りたい」と反省しながらレースを振り返った。

<8R>
早坂秀悟選手
早坂秀悟選手
 前団に構えた北日本ライン。赤板で根田空史が押えて出ると、早坂秀悟(写真)は3番手に下げて佐川翔吾と併走。根田が同期の佐川を警戒しながら徐々にペースを上げて逃げる。打鐘の4コーナーから仕掛けて出た佐川だったが合わされ不発。コースが開けた早坂は最終ホーム過ぎから態勢を整えて、2コーナーからグングンと加速。逃げる根田をまくりでとらえてラインを上位独占に導き白星を飾った。
 「ただラッキーでした。調子が悪いというか、絶好調っていうわけじゃないけど。そのなかで崩れないで走れた。(2日目と)一緒みたいな感じの並びだったし、(3番手で)粘っていけば佐川さんなら、絶対にどこかで行くと思った。自分の違う面を見せられたからよかったです」
 8分の1輪差での2着に佐藤友和は、早坂を称えて目を細める。
 「強かったですね。自分はもうどうなっても(早坂に)任せるだけなんでね。(早坂は)スリップして心配していたけど、そのわりにすごく出ましたよ」
 「ちょっと早坂君を意識しすぎました」と、静かに振り返ったのは佐川翔吾。結果的に根田に突っ張られてのシンガリ惨敗を反省する。
 「自分が根田の立場でも突っ張りますよね…。ただ、最近根田はそこまで(先行する)とは思ってなくて…。(最終日は)中途半端にならないように頑張ります」

<9R>
林雄一選手
林雄一選手
 中団の天田裕輝がバンク上段に上がって深谷知広の上昇を封じると、打鐘でも誰も来ないことにしびれを切らせた飯野祐太が前受けから主導権を握る。深谷は最終バックからまくり上げるも、雨の影響もあってなのか車の進みはイマイチ。中団の天田も伸びを欠く。これで番手絶好になった林雄一(写真)が直線抜け出した。
 「自分達のラインが前を取った理由は飛び付き狙いでした。深谷君を出させたらまくれないので、天田君を出させないように、深谷君が来たら飛び付こうと。でも誰もこなかったから飯野君が思い切って仕掛けてくれたし恵まれました」
 2着に突っ込んだ芦澤大輔は「天田君がいい位置を取ってくれたし、展開に助けられました。状態は変わらず良いので車は伸びてますよ」と納得の仕上がりを強調する。 
 中団を確保しながらもまくり不発に終わった天田裕輝は悔しそうにレースを振り返る。
 「深谷君を後方に置く作戦だったし形は作れたけど、そこまででした。状態が物足りないのもあるけど2コーナーから仕掛けていけるようじゃないと上では勝てませんからね」

<10R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 赤板で先頭に立った竹内雄作の上を武田豊樹ラインに続いて、菊地圭尚も押えて出て、前受けの稲垣裕之(写真)に2コーナーでタイミングが訪れた。
 「あそこは行くタイミングだったし、やっぱり竹内君にすんなり逃げられたら苦しいと思っていた」と、稲垣が迷うことなく踏み込んで主導権を奪取。すかさず巻き返す竹内を固い結束力の村上博幸とのあうんの呼吸で不発に追いやり、村上が稲垣を追い込んだ。
 「ジャン前に稲垣さんが前と接触してバック入って、コケかけました。それで(稲垣と)空いてしまったけど、冷静に対処はできた。稲垣さんは大舞台でしっかりこういうレースをしてくれる。後ろ(菊地圭尚)もわかっていたし、竹内君がへばりついていたのも、自分たちに向きましたね。正直、今回感じはいいです。余裕はすごいあったんで、ゴール前もギリギリまで(踏み込みを)待ちました。(稲垣とのワンツーは)ホンマ、うれしいっすね」
 およそ1周半を逃げて竹内、武田らを着外に沈めた稲垣裕之は、これ以上ない秀逸なレース内容で優出。悲願のタイトル獲得を目指す。
 「なんとか竹内君を後方におければと思っていた。キツかったですけど、(村上)博幸が何とかしてくれると。博幸も怪我で苦しかっただろうし、(ワンツーは)すごくうれしい」
 脚を使いながらも武田を押えた菊地圭尚は、京都コンビに飛び付いて3番手をキープ。読み通りの展開で3着に入った。
 「相手も相手だから、できれば(竹内が先行しないような流れが)理想でした。昨日の(竹内)雄作と稲垣さんの走りを見て、稲垣さんも考えて先行するだろうなって。その辺をうまく引き出して、自分の位置取りをと思っていた。稲垣さんの掛かりが良かったですね。自分は(初日の)落車の影響も少しあるんですけど、いい着が取れることが一番のクスリだと思います。それに久留米は相性がいいんで」
 別線に警戒され主導権を握れなかった竹内雄作が、反省の弁。
 「みんな強いんで、どういう流れになるのか見えてなかった。やっぱりもっと積極的にいくべきだったです。不甲斐なかった…」

<11R>
近藤隆司選手
近藤隆司選手
 後ろ攻めの原田研太朗は青板から早々と上昇を開始。赤板ホームで新田祐大が前に出ると、その上を上昇してきた脇本雄太を打鐘から突っ張る。脇本が3番手に入ると、単騎の近藤隆司(写真)は最後方から奇襲のカマシ。2コーナーで新田を飲み込むと、そのまま後続を振り切った。
 「いいところで行けた? そうですね。あそこ(9番手)にいたらマズイと思ったので、まずは行けるところまでと思った。どこも間が空いてなくて、新田の横まで行ったらやっと新田が踏んだ感じだったので前まで行った。バックでは落ち着きながら走って、4コーナーから踏み直せるようにと思って走りました。2センターで新田の口が空いてたのが見えたので踏みなおせば3着までには残るかなと思ったけど1着とは思わなかった。本当に嬉しい。人任せにせず行けたのがよかったですね」
 2コーナーから再度仕掛けた脇本雄太は新田との踏み合いを制して2着に食い込んだ。
 「後ろが競りだったけど、主導権を取れず反省点も多いですね。でも仕掛けてからは伸びもいいし、徐々に上向いてます」
 近藤を追った新田祐大は3着で決勝進出を決めた。
 「近藤君の動きが見えなかったので慌てて踏んだんですけど追いつかない状態で。ゴール前も追いかけてたけど、なかなかトップスピードに乗っていかなかった。それで結果、山崎さんと決められなかった。今日はいい感じだったけど、レース内容として油断してしまったのがダメです。でもレース自体は動かせてるんでいいんじゃないですか」
 新田マークの山崎芳仁は4着。4コーナーで村上義弘に締め込まれ、新田の内に差し込んだのが痛かった。
 「あのまま内を行けたけど、新田も頑張ってるからね。シビアに行ったら新田がこぼれてたでしょ。頑張ってくれたし、しょうがない」

<12R>
渡邉一成選手
渡邉一成選手
 8番手まで下げた渡邉一成は、赤板の2コーナーから仕掛けた中川誠一郎ラインを追いかけてその上一気。山おろしでスピードに乗せて最終ホームで主導権を奪うと、番手の佐藤慎太郎もしっかりとガード。柴崎淳のまくりを素早い動きでブロックした佐藤が、中割りを凌いで渡邉をゴール寸前で交わした。
 「(渡邉)一成は仕掛けどころもドンピシャだった。自分たちは2車っていうのもあって、変にもっていくと浅井(康太)が内に来るのもあるだろうし。そこら辺はうまく対処ができた。あとは中を割られたら一番まずい状況なんで、そこは気をつけていた。1着はオマケみたいなもんですから」
 持ち前のスピードを存分に発揮した渡邉一成(写真)が、逃げ残り2着。クールダウンを終えると、落ち着いた顔つきで口を開く。
 「僕以外(の機動型が)みんな動いていたんで、最後の最後でタイミングが来た時に踏みました。(シリーズの3日間で)良かったり、悪かったりだけど、そのなかでいい部分もありますね。レース勘がないぶん、積極的にやろうと思っていた。展開に恵まれているし、しっかりと仕掛けられていると思います」
 単騎の岩津裕介は、詰まって最終バックで9番手の最後方。万事休すかに思われたが、南修二と絡みながらも内を進出。直線でも狭いコースをしぶとく伸びて、昨年6月の高松宮記念杯以来のG1優出を遂げた。
 「最終ホームでこの位置はあんまり良くないなって。厳しい流れだなって思いました。だから、3着まで届いて自分でもビックリしています。今日は自転車の感じも良くなって、マッチしていたんで気持ち良くレースができました。あとは判断がどうかなっていう感じです」
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