『第31回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:2月14日
 久留米競輪場で開催された第31回読売新聞社杯「全日本選抜競輪(G1)」は2月14日に最終日を迎えた。今年最初のG1戦を制したのは渡邉一成。打鐘の4コーナーからカマした新田祐大の頑張りに応え、見事G1初タイトルに輝いた。

手裏剣戦隊ニンニンジャー ショー
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スタジオ MJ ダンスパフォーマンス
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意気込みを語る決勝戦出場メンバー
意気込みを語る決勝戦出場メンバー
メイプル超合金 お笑いステージ
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柳 ゆり菜 トークショー
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歓声が響く久留米競輪
歓声が響く久留米競輪
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると新田祐大がいち早く飛び出して誘導の後ろを取った。初手は新田―渡邉一成―佐藤慎太郎―菊地圭尚、脇本雄太―稲垣裕之―村上博幸、岩津裕介、近藤隆司の順で並ぶ。
 周回が進み、レースが動いたのは青板周回の4コーナーから。まずは脇本が後ろから一気にカマしていく。新田も誘導を下ろして踏み上げたが、脇本が強引に出切って先頭に立った。岩津、近藤も近畿ラインに続き、新田は6番手となる。先頭の脇本がややペースを落として打鐘を迎えると、今度は新田が2センターから反撃に出る。脇本も懸命に合わせていくなか、新田はダッシュ良く近畿勢に襲い掛かる。すると、稲垣が1コーナーでブロックにいったが、新田の勢いは止まらない。すると、稲垣はもう一度持っていくと、今度はスリップして転倒。村上、岩津が巻き込まれて落車してしまう。援軍を失った脇本も余力はなく、これで大勢決し勝負あり。新田はバックで脇本を抜き去ると、最後は渡邉が抜け出して初のG1制覇。続いた佐藤が2着に入り、新田は3着となる。


ゴール
ゴール
胴上げ
胴上げ
表彰式
表彰式
<1R>
渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
 川村晃司が押さえて出て先行態勢を取ると、川村ラインを追った岩本俊介は一度は中団に入りかける。が、内から盛り返す櫻井正孝を確認して最終ホーム手前から再発進。呼吸が合わず岩本に遅れた渡邉晴智(写真)は、まくり気味に追い上げ最終バックでドッキング。ゴール寸前で岩本を追い込んだ。
 「自分の判断ミス。(岩本を)入れようとして中団に降りようとしたら、行っちゃったから。もう必死で追いかけた。まずいと思ったけど良かったです。今回は初日(落車)がすべてだった」
 中団でひと呼吸入れた岩本俊介だったが、力強く踏み出すと川村を強引にねじ伏せ南関ワンツー。
 「(川村に)突っ張られちゃうくらいなら、(中団に)降りちゃおうと思った。あのくらい行っていると、櫻井の位置が空くんで。でも、車輪が掛かっているのが見えたから行った。練習の強度を上げて、まだ仕上がりのコツがつかめてない。でも今日は少しホッとしました」

<2R>
石井秀治選手
石井秀治選手
 青板2コーナーから上昇した後ろ攻めの小埜正義が、赤板で前団を一気に叩いて男気先行に。打鐘から服部克久が巻き返しにくるも、最終ホーム前から石井秀治(写真)も小埜の心意気に応える番手発進で服部を合わせ切る。石井は片寄雄己の追撃もしのぎ最終日を白星で締めた。
 「小埜が頑張ってくれました。キツかったけど、小埜のおかげで1着取れました。今シリーズはコンディション作りが難しかったですね。まだまだ特別競輪慣れしていないんで、場馴れしていかないと。徐々に慣れて力を出し切れるように」
 片寄雄己は石井を差せずもしっかり南関ワンツーを決めた。
 「とりあえず俺と石井で決めないと小埜の意味が無くなるんでよかったです。最後は余裕がありすぎましたね。石井がタレてきてちょっと内に差し込んだ分抜けなかったです。(G1)初勝利は取れなかったけど、でもワンツーなんで。今開催は(渡邉)晴智さんと2人で4日間良い話をしてすごく良い開催になりました。南関も若い子が出てきているし盛り上げていきたいですね」

<3R>
和田圭選手
和田圭選手
 前受けの佐川翔吾は池田勇人の上昇に対して車を下げると、打鐘から一気のカマシ先行。単騎の渡部哲男まで4車が出切って、ラインで決着するかと思われたが、池田後位から2コーナーで佐川ラインにスイッチした和田圭(写真)が大外を鋭く突き抜けた。
 「実力どおり。嘘です。僕はずっと真ん中で吸い込まれる感じだったので。(フレームは)踏んだ感じやっぱり重いですね。お蔵入りです」
 佐川マークの林巨人は2着の結果にも表情は硬い。
 「連日、前が行ってくれて番手だけど、僕が連日余裕がないんで…。余裕があればもっと動いて、みんなを止めてってできるけど動けてない。せっかくいい流れで来てたのに…」

<4R>
吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
 インを盛り返して突っ張りの態勢をつくった松岡貴久だったが、結局、4番手に下げて鈴木裕の主導権。最終2コーナーからまくった松岡は、番手の中村浩士と絡んで不発。松岡の動きを見極めて追い込んだ吉本卓仁(写真)が、ホームのG1で2勝目を挙げた。
 「自分たちが前を取る作戦がなくて…。吉田(敏洋)さんが前だと思った。そこからは(松岡)貴久は五分五分で内に行くかなって思っていた。もうちょっとうまく追走できたらよかったけど。自分はとりあえずこの前の(久留米の)F1よりも進みました。2勝させてもらったし、本当に今できることはすべてやった。(二次予選敗退で)悔しいけど、悔いはないです」
 「もうヒロシさんのおかげです」と、落ち着いた組み立てから2着に逃げ粘った鈴木裕。番手の中村浩士の仕事に感謝して汗をぬぐう。
 「自分だったらあそこで突っ張ったかもしれないですけど。(松岡の)突っ張りはないと思いました。今日は(バンクが)重たかったし、それで自分が残れたんじゃないかと」

<5R>
東龍之介選手
東龍之介選手
 2日目から補充参戦の東龍之介(写真)が最終日を1着で締めた。後ろ攻めの根田空史が青板2センターから上昇し赤板で深谷知広を押さえる。古性優作も根田ラインに続いていくが、下げた深谷は中団は譲らない構え。古性と深谷で中団を取り合う中、打鐘4コーナーから根田がスパート。中団争いは古性に軍配が上がる。最終2コーナーから古性がまくっていくが、東のけん制で2センターで後退していく。最後は番手の東がゴール寸前で差し切った。
 「根田さんがすごい行ってくれて。あれだけ行ってくれたんで後ろで休めてました。松坂(英司)さんも本当はあの位置は松坂さんの位置なのに回してくれて。それがプレッシャーでもあったけど、力に変えることができました。ラインで決まってよかったです。フレームを自力型のときのに戻して感じが良いですね」
 根田空史は東には交わされたが2着に逃げ粘る。ラインで確定板独占に導いた。
 「すげぇ重かったです。今日が一番重く感じましたね。後ろの併走はモニターを見て分かってました。かなりやり合ってましたね。ラインでワンツースリーなんでよかったです」

<6R>
原田研太朗選手
原田研太朗選手
 後ろの競りも構わず原田研太朗(写真)が最終ホームから一気のカマシ先行。井上昌己がバックで再び追い上げ原田の番手で併走になると、カマした原田がそのまま押し切った。
 「バックで誰かがまくって来たと思ったら井上さんだったんですね。見えてなかったです。桐山さんは誰か来たほうに粘るかなと思ったら突っ張ったんで。最終日に力を発揮できたんでよかった」
 2着には天田裕輝マークから2センターで内に切り込んだ諸橋愛が突っ込んだ。
 「厳しかったね。押さえ切ってハラケン(原田)が来るか来ないか、アマちゃん(天田)が合わせ切れるかだったけど。アマちゃんももう一回、2コーナーで行ってくれれば面白かったけどしゃーないですね」
 井上との併走をしのいだ守澤太志は好気合の走りを見せた。
 「キツいです。何とか付いて行けてよかった。(競った)2人で離れたんじゃね。(追い込みに転向するかは)考え中です。難しいところですね。まだ勉強中なんで」

<7R>
郡司浩平選手
郡司浩平選手
 赤板で併せ込まれた竹内雄作が車を下げて、郡司浩平(写真)は3番手に入って前団との車間を空ける。2コーナーから山降ろしで竹内が一気に巻き返すと、郡司も合わせて踏んで出る。山内卓也は離れて主導権を握った竹内の番手に収まった郡司が、追い込み1着をもぎ取った。
 「踏んで(竹内を)合わせられたら、合わせていこうと思ってました。行かれちゃったら、その位置しかないと思っていた。たまたま番手がすんなりだったけど、山内さんがいても取り切るくらいの気持ちでいた。しかし、竹内さんは強い。付かせてもらって、勉強になりました。バックが向かい風なんですけど、そこで(番手から出て)行ける勇気というか、脚なくて…。中川さんが見えて、必死でタテに踏んだんですけど」
 単騎ながらも最後方の9番手となった野田源一は、最終2コーナーからまくった中川を目標に仕掛けをワンテンポ遅らせてまくり上げた。
 「あれで(そのまま中川ラインに)付いていくとあおりを受けてしまうんで、1回待ちました。欲を言えば突き抜けたかった」
 郡司マークの神山雄一郎は、中割りを試みるも3着まで。
 「俺は郡司の内に行ったけど、自力型が強いからスパッとは抜けなかった。それでも十分ですね。(シリーズを通して)段々感じがつかめてきたんで」

<8R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
 レースは早めから動く。吉澤純平にフタをしていた松谷秀幸は、海老根恵太(写真)を連れて打鐘前に先頭に立つとそのまま全開で逃げていく。後方から吉澤が巻き返してくるが、海老根は2コーナーから番手まくりで応戦。海老根は吉澤をきっちり合わせ切るとそのまま1着でゴール。
 「今日は全部松谷のおかげです。作戦も全部松谷が決めてくれました。昨日(根田空史と)共倒れに終わっていたんで、今日は何とかそれだけは避けないと、と思ってました。今シリーズは特選回りも生かせなかったです。練習はちゃんとやってきたんですけど、ちょっと噛み合わなかったです。修正していきたいですね」
 吉澤純平は南関勢の2段駆けを乗り越えられず2着に終わる。
 「警戒されるとは思ってました。自分の中で(レース展開が)早かったら引いて、遅かったら前にと思ってたんですけど。早かったから引いたら押さえられて。難しくなってしまいました。4日間通してもう少し反応を早くしないと、組み立てをしっかりしないと勝てないということが分かりました。これを生かしていきたいです」
 先行した松谷秀幸はシンガリ負けに終わるも、表情は穏やか。
 「海老根さんが勝ってくれてよかったです。吉澤君と武田さんですから何か変わったことしないと勝てないんで。今回(4カ月の長欠明け)は4日間走れたことが収穫です。レース勘は戻ってきているので、一つでも上のレースで走れるように」

<9R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 4車の北日本勢は前受け。松岡健介の上昇に対し、早坂秀悟はサッと車を下げると打鐘から一気のカマシ先行。踏み出しで口が空いた山崎芳仁(写真)だったが、何とか追いつくとゴール前で早坂をとらえた。
 「秀悟のダッシュがすごかった。目の前でチュン、チュンって。あの音でやられましたね。(離れたが)見ながら自分のペースで。バックで追いつけばいいかなと思ってた。何とかよかったです」
 早坂秀悟はラインでワンツースリーの結果に笑顔が絶えない。
 「後ろだと突っ張られちゃうので前から。ズルイけど、後ろにSSがついてるし。ちょっとでも上のレースでいい着が取れるのは嬉しいですね。ワンツースリーでよかったです」
 伏見俊昭は前の二人にしっかりと続いた。
 「山崎君が離れてたんで僕は楽でした。あとは村上(義弘)さんにさばかれないでくれと思ってた。今開催は収穫があった。でも課題もあるんで、もっと調子を上げていきたい」

<10R>
浅井康太選手
浅井康太選手
 最終ホームで佐藤友和をあっさり競り落として、逃げる小松崎大地の番手は芦澤大輔が奪取。浮いていた佐藤を紺野哲也が3番手に迎え入れて、じっくり脚を溜めた浅井康太(写真)は5番手。浅井は最終2コーナー手前から踏み出すと、芦澤に仕事の隙を与えずスピードの違いで鮮やかにまくって1着。
 「自力でやればあれくらいは。べつに自分ではすごいもなにも、こんなもんです。普通です。今年は(ラインの)前でやった時は、まだ負けてないんで」
 ゴール勝負に持ち込まれるかに思われたが、付けた金子貴志はわずかに差を詰めただけの4分の3車身差で流れ込んだ。
 「浅井が強かったです。小松崎もすごい掛かっていたし、行けるかなって心配してたけど。それより自分の方を心配しなきゃいけないくらいでしたね。直線もまだまだ全然スピードが落ちてなかった。あれで浅井とゴール勝負できるように、ダービーでは仕上げていきたいです」
 小松崎の番手を楽に競り勝った芦澤大輔だったが、浅井の圧巻のまくりに成す術なし。
 「(小松崎)大地のところでやったからには、(番手を取って)ラインの仕事がしたかった。(浅井を止める)イメージでいたんですけど、ブロックの仕方が甘かった」

<11R>
佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
新田祐大選手
新田祐大選手
 今年最初のG1戦を制したのは渡邉一成。前を任せた新田祐大が脇本雄太の先行を、打鐘の4コーナーからの猛ダッシュで叩き切ると2センターから早めの抜け出しでG1初タイトルに輝いた。
 「ちょっと不恰好なレースでした。新田もキツそうで内に逃げ気味だった。新田が頑張ってくれたし、後ろに(佐藤)慎太郎さんもついてるので踏ませてもらった。新田が強かったですね。ホームのカマシのスピードは日本一だなと思った。後ろに付いてても安心して任せて付いて行きました。(G1の)決勝には乗るけど、チャンスをつかめてなかった。嬉しいですね。(ゴールして連係した)みんなが『おめでとう』と言ってくれて、それが一番嬉しかった。これからは責任ある立場になる。自覚を持って臨みたいです」
 2着には佐藤慎太郎(写真)が続いた。
 「あれを交わせば優勝だったけど、今日は力の違いを見せつけられました、一成と新田に。(菊地)圭尚が4番手についたことによってラインの絆じゃないけど、それで優勝が出せたと思う。一成はやっと優勝できて、これから何本も獲っていくでしょう。それを俺はずっと2着で(笑)」
 脇本を突っ張ることはできなかった新田祐大(写真)だったが、打鐘の4コーナーから巻き返すと近畿勢をひと飲み。渡邉の初タイトルに貢献した。
 「(スタートで)前に出て、流れの中でしっかり自分の仕事をしようと思ってた。(突っ張って)下がらない予定だったけど、脇本君がいい勢いで来てた。でも下げたときも考えていたので、(仕掛けは)ちょうどあのタイミングになった。落車は予想外で残念だけど、思い切り、気持ちよく走るレースでした。(渡邉が優勝して)ほんと嬉しい」
 脇本雄太は新田に出られ、後ろの稲垣裕之、村上博幸が落車でレース後は険しい表情。
 「しょうがないです。近畿のラインとしても僕が主導権を取らないといけないんで。打鐘までは頭の中で描いていたレースができました。このままいけばラインで決まったと思うけど残念です。北勢に上位独占されて悔しいです」
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