『第33回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 3日目編

配信日:2月11日

 18年、GI戦線の幕開け。四日市競輪場を舞台に開催されている第33回読売新聞社杯「全日本選抜競輪(GI)」は、2月11日に3日目を迎えた。ファイナルのキップをかけた準決では、熾烈なバトルが繰り広げられスタンドは沸いた。ファンの声援を受けて、吉澤純平、山田英明、新田祐大が白星で決勝にコマを進めた。シリーズもいよいよ大詰め、12日の最終日には決勝の号砲が鳴らされ、第33回の全日本選抜のチャンプが決まる。
 本場では最終日も様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。「浜口親子」によるトークショー、「チアドラゴンズ2017」のパフォーマンスショー、先着1000人にベビースターラーメンをプレゼント。トレンチコート、またはマフラー着用の女性限定で先着50人にオリジナルクオカードをプレゼントします。「バーチャル自転車競走」、「B級グルメがやってくる!」などが予定されています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

スピーチーズ ライブ
スピーチーズ ライブ
長田真友子 ライブ
長田真友子 ライブ
初心者向け講習
初心者向け講習

<1R>

園田匠選手
園田匠選手
 佐藤友和が切った上を小川真太郎が出て、打鐘で主導権を握る。小川は一本棒になった後続を確認して、落ち着いて徐々にペースを上げる。5番手からまくった松岡健介は3番手までで、番手の園田匠(写真)が絶好の展開もモノにした。
 「(小川が)冷静だったし、強かった。自分が車間を空けようとした時に踏んでくれました。さすがに(最終)4コーナーの横山(尚則)は見えなかった。競輪は展開一本。感触が悪いわけではないんで。連日、後方になったり、落車の(あおりで)影響があったりとか…。(自転車を)大幅にいじったんで、初日よりも良くなっている」
 3日目からの補充の小川真太郎は2車ラインのハンデをものともせず、逃げて園田と確定板入りを決めた。
 「練習の延長線みたいな感じで走れたんで良かった。(GIで)初めて確定板にあがれた。そう思えばうれしいですね。まだまだ全然、良くなってくると思う。今度は1着を取れるように」

<2R>

齋藤登志信選手
齋藤登志信選手
 後ろ攻めから坂本貴史が赤板で先頭に立つと、前受けの関東勢は後方まで下げる。徐々にペースを上げる坂本に対し、打鐘過ぎから金子幸央が巻き返す。金子の踏み出しに阿部大樹は遅れ気味となり、中団にいた畑段嵐士が内からどかしてタテへ踏む。坂本が金子の合わせたが、1センターからまくった畑段が最終バックで先頭に躍り出る。畑段が懸命に粘り込むが、坂本を入れた齋藤登志信(写真)が4コーナーから鋭く伸びてアタマまで突き抜けた。久しぶりにGIで勝ち星を挙げた齋藤は前を任せた坂本に頑張りを真っ先に称える。
 「すべては(坂本)貴史の頑張りです。作戦も含めてね。畑段君にまくられたけど、まだ踏めていたので入れました。今回は前2走で流れがかみ合わなかったけど、調子自体は悪くないですよ」
 坂本貴史はレース内容で一応の納得はするも、自らに課題を与えるとことも忘れない。
 「バック数が減っていたけど、先行基本にやるスタイルは変えていない。風の強いコンディションで押さえて逃げる展開だったけど、打鐘であの流れならば駆けますよ。金子君の巻き返しは8割程度の力で合わせられたけど、バックで2回のキツい風があり大変でした」
 3日目からの補充となった畑段嵐士も自在性の高さを見せた。
 「準備はしていたので、戦える状態で入れたと思う。気温が低く、風も強いコンディションが厳しかったですね。レース展開はほぼ想定通りだったけど、金子君の仕掛けが思ったより遅かったので、さばいてまくる形になりましたね」

<3R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 赤板の手前からじわりと上昇を始めた渡邉雄太(写真)が、2コーナーから踏み込んで主導権を握る。松浦悠士が中団を確保して、長島大介は8番手で最終ホームを通過。松浦はようやく3コーナー過ぎに踏むが伸びは一息で、渡邉が二の足で後続を振り切った。
 「風がキツくて…。(赤板の)ホームで押さえに行ったけど、全然出なかった。それで押さえるのが遅れました。永澤(剛)さんなら粘るかなっていうのがあったけど、松浦さんは中団かと思っていた。東(龍之介)さん、江守(昇)さんが付いてくれて、(逃げ切れて)3日目が一番感じが良かった」
 すんなり番手を回った東龍之介は、1輪差の2着に苦笑い。
 「自分の脚がない。(渡邉)雄太君が強かったです。番手を回してもらって、すんなり(渡邉が)駆けてですから、言うことはない。雄太君が全部やってくれたし、自分は現状の脚がわかった。やっぱり脚ですね」

<4R>

新山響平選手
新山響平選手
 打鐘で切った杉森輝大を新山響平(写真)が押さえて先行策を取る。杉森が4番手、内をすくった阿竹智史が6番手に収まり、北津留翼が8番手で最終ホームを通過する。後続の動きを確認しながらペースで駆けた新山が力強く逃げ切り、今年初勝利を挙げた。
 「本当に和田(圭)さん、武井(大介)さんのおかげです。後ろがいないとダメな先行でした。脚を使わずに出れたし、すんなり先行でしたからね。2日目の踏み方がダメだったので、自分のペースでフォームをしっかりキープして最後まで踏み切ることができました。2日目からシューズを元のものに戻して感じも良くなってます」
 4番手確保からまくった杉森輝大は和田圭のブロックで不発に終わった。
 「しっかり位置は取れたんですけど、仕掛けてから思ったより出なかったです。前もペースで踏んでましたからね。ホームがすごい緩んでたから、あそこで仕掛けるべきでしたね。判断ミスです」

<5R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 竹内雄作の阻んで、中団から合わせて動いた飯野祐太が打鐘から全開で駆ける。外に浮いてしまった竹内が再度仕掛けるが、内藤秀久の横まででいっぱい。飯野がタレてくると小松崎大地(写真)が最終バック過ぎから自力に転じて、今年初勝利を挙げた。
 「(飯野との前後は)その都度で決めていますね。僕が前の時もありすますし。それはお互い自力選手なので。全部任せていたし、流れのなかでああいう形になりました。張って戻ろうとしたときに祐太が下がってきたので。今回は調子は良さそうですね」
 福島勢に続いた内藤秀久がしぶとく2着に流れ込んだ。
 「自分のやれることをやろうと思ったけど全部前の2人がやってくれた。(先行した)飯野君の気持ちがうれしかったですね。どこかでスイッチが入ったんでしょう」
 飯野祐太は竹内を出させない先行策を披露したが、最終バックで力尽きた。
 「先行基本という考えはなかったが、(竹内)雄作がこなかったので。先行でつぶそうとは思っていなかったし、あれ以上は待ってられないので」

<6R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 外併走から前団を押さえた清水裕友(写真)を野原雅也が打鐘で叩いて主導権を奪取。清水は3番手に入り、6番手に天田裕輝、早坂秀悟は8番手に置かれて最終ホームを通過。最終バック手前から清水が力強いまくりを決めた。
 「風が強くて、打鐘でかなりキツくあそこから野原君を突っ張るのは…。最終ホームでは脚がいっぱいで、あのあたりでなにかあればもう対処できなかった。最後にまくったのは、自力型として仕掛けなくてはいけないタイミングなので。脚に余裕があったわけじゃないけど、無理やり仕掛けました」
 早坂秀悟は8番手に置かれる苦しい展開となったが、スピード感あるまくり追い込みで2着に届いた。
 「清水君は俺にフタをして、その後は一気に先行しちゃうと思ったけどね。野原君と力勝負をしたいのだろうと思ったから、その勝負を邪魔しないつもりだったけど、清水君が3番手に下げてしまって(笑)。最終ホームで巻き返すタイミングもあったけど、向かい風の影響を受けない場所まで待って仕掛けました」


<7R>

稲毛健太選手
稲毛健太選手
 中団の外併走から踏み込んだ吉田拓矢が打鐘の3コーナーで主導権を握ると、郡司浩平が粘って隊列は凝縮される。後方の稲毛健太(写真)は、仕掛けどころを逃さず最終ホームから反撃。逃げる吉田を稲毛、東口善朋の和歌山コンビでのみ込んで、稲毛がそのまま押し切った。
 「一本棒になったら脚を溜めてと思っていた。もつれたんですかさず行こうと。練習の感じは全然ダメなんですよね、椎木尾(拓哉)さんに聞いてもらえればわかりますよ(笑)。調子がいいと構えてしまうけど、逆に悪いからああやって行けてるんだと思います。ただ、(同県の若手が出てきて)僕もやらなアカンっていう感じにはなっている」
 稲毛を交わせず2着の東口善朋は、思惑通りの展開に抜かりなく反応した同県の後輩を絶賛する。
 「ああなるか、3番手の取り合いをするから、ラインが短くなるんじゃないかと。そうなって緩んだところを(稲毛が)行けばっていう感じだった。強くて抜けなかったけど、ワンツーを決められたんでよかった」

<8R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 後ろ攻めから早めに動いた脇本雄太(写真)が青板の3コーナーで誘導を下ろして前に出る。前受けの太田竜馬は中団で粘ろうとするが、菊地圭尚が譲らず7番手まで下げる。後続の動きを確認しながら脇本が徐々に踏み上げると、打鐘の3コーナーで内をすくった太田が中団まで進出。しかし、菊地が厳しく内に押し込む。太田も内から盛り返して、最終バックを過ぎても中団はもつれたまま。脇本のスピードは最後まで衰えることなく、力強く押し切った。
 「競技用とこっちのかみ合いが悪い。気持ちだけはしっかり持って、できる限りのことはやっている。中団争いなら(菊地)圭尚さんに叩かれないように、脚を使ってでもスピードを上げて勝負したほうがいいと思ってました。(太田の動きは)見えてました。2日目よりはマシだけど、まだ全然ダメですね。日に日に良くはなっています」
 中団外併走の態勢から外を追い込んだ菊地圭尚が2着に。
 「2日目に悔しい思いをしたし、前を任されたんで、気持ちだけは切らさないようにと思ってました。(中団は)譲れないですからね。(太田は)もう少し新人らしいレースをするかと思ったけど、おかげで自分は助かりました。すごい風で止まるような感じでした。体重があって良かった。たまにはいいこともありますね。みんな脚があるし、展開ですよ」

<9R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 赤板の2コーナーで切った桐山敬太郎を三谷竜生(写真)がすかさず押さえて出る。最終ホーム手前で4番手から桐山が巻き返すが、三谷に合わされて不発。両者の踏み合いで松岡貴久のまくりごろかと思われたが、4コーナーで勢いが止まり、そのまま三谷が力強く逃げ切った。
 「ホームで桐山さん見て(合わせて)踏んだが、金子(貴志)さんがかぶってしまいラインで決められずに申しわけない。(二次予選で敗退して)勝ち上がれなかったけど、しっかり長い距離を踏めているし、調子は悪くない。次につながる競走はできました」
 後方から大外を鋭く伸びた岡村潤が2着に入る。
 「前の2人が頑張ってくれたおかげ。(和田)真久留が内に行ったので、ダメ元で外を踏んだ。3日目から新しいシューズにしたのが良かったのかな。調子も悪くないし、かみ合ってくれた」
 三谷をまくりきれなかった桐山敬太郎だが、S班に力勝負を挑んだ。
 「三谷君のペースにさせても仕方がないと思った。(三谷の)番手勝負にいかなかった以上はホームから勝負しようと思ったけど、三谷君が強かった」

<10R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手
 赤板の2コーナーで古性優作が押さえて出ると、8番手の吉澤純平(写真)が一気の巻き返し。合わせて古性も踏み上げるが、最終ホームで吉澤が主導権を奪って逃げる。飛び付いた古性は、1センターで諸橋愛を張って踏み勝つ。が、前をの吉澤のスピードが良く、なかなか差は詰まらない。落車のアクシデントもあって、もつれた後続も追いつかず、ひとり旅を演じた吉澤が1着。初のGI優出を果たした。
 「あの(2日目の)レースで行ってまくられてしまったんで、その反省を生かして、(準決は)ちょっと待ってから(仕掛けて)行った。これ(GI決勝)を目標にずっとやっていたんで、うまくいってよかった。(後ろは)どうなっているかわからなかったけど、もつれているのかなっていうのがあった。諸橋さんが絡まれていたら、古性君が入っているんだと。(シリーズを通しては)しっかり自力を出して、勝ててるんでいいと思います」
 諸橋を相手に踏み勝った古性優作は、持ち味を生かして一昨年以来のGIファイナルのキップをつかみ取った。
 「ラインを組んだ坂口(晃輔)さんと(決勝に)乗れていないので…。吉澤さんが来た時は僕も全開で踏んだけど、向こう(吉澤)の勢いが良くて。その結果で番手をどかす動きになった。前回よりは良くなっているかなと思います」
 諸橋の落車を内に避けた原田研太朗は、守澤太志をすくって最終3コーナーで外に持ち出し3着に届いた。
 「自分でなにもできなかった。落車を避けるのに精いっぱいだったし、キツかった。山崎(芳仁)さんに締め込まれてバックを踏んだ時に、(古性に)踏み込まれてた。そのあとも吉澤さんも絶対に来るだろうし、難しい判断でした。(ラインの岩津裕介と)2、3着とか、1、2着ならいいけど、自分たちで3着争いをしているんで…。まだまだ組み立てが甘いですね」

<11R>

平原康多選手
平原康多選手
 赤板手前で誘導を降ろした山田英明は、京都コンビを受ける。稲垣裕之が先行態勢を取って、山田が3番手で平原康多は真っ中団の5番手。一本棒の7番手に置かれた山中秀将は、稲垣がペースを上げる前の打鐘の3コーナー過ぎからアタック。稲垣を叩いた山中に中村浩士まで出切って、3番手に稲垣が飛び付くが和田健太郎がキープする。最終2コーナーからのまくりで千葉トリオに襲い掛かった山田が、直線で抜け出して無傷の3連勝を遂げた。
 「平原君の前(の位置)で自力でを出して勝負をするっていうことを考えていた。自分のなかではいいレースができたと思っています。(昨年6月の高松宮記念杯以来のGI決勝で)去年、そのあともずっと決勝に乗りたかった。乗れると思って信じてやってきて、今年一発目のGIで乗れたんで自分を信じてよかったです。決勝はしっかり(優勝を)狙って、そのなかで自分のレースをしたい」
 稲垣は千葉勢の3番手に飛び付くも、さばかれて後退する。4番手に下がってきた稲垣の後ろの村上博幸は、まくりの山田が横を通過すると渡部哲男を弾いてスイッチ。外を伸びた。
 「(最終)2コーナーで稲垣さんが和田君をもっていった時に接触して、1回踏み込むのをやめた。そのなかで伸びたんで、(調子は)悪くない。でも、踏んだ瞬間はアタマまで見えた感じがした。大宮記念(決勝2着)もそうだけど、その差が大きいんですよね」
 最終バックでは予想だにしない8番手。万事休すかに思われた平原康多(写真)だったが、3コーナーから踏み上げる。直線では神業のハンドルテクニックで猛襲して、薄氷を踏む思いの3着で全日本選抜連覇に望みをつないだ。
 「まったく予想していない展開だった。ジャンのところは悩みました。自分が先にカマそうかと。そう思っている時に山中がカマして来た。稲垣さんが(山中を)合わせられるようだったら良かったけど、行き切られて苦しかった。もう誰がどこにいるかわからないような感じだったし、隙間を縫って誰にも当たらないようにと思っていた。あれは日ごろ出せる業ではない。人気にもなっていたし、あきらめない姿勢をと思った。なにもできず後方に置かれたレースになったんで意地ですね。ただ、武田(豊樹)さんには申し訳ない」

<12R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 赤板過ぎに切った木暮安由を山田久徳がすかさず押さえて主導権を握る。山田が徐々にピッチを上げて、後続は一列棒状でレースは流れる。最終2コーナーから村上義弘が番手まくりを敢行。ほぼ同時に7番手から踏み込んだ新田祐大(写真)が圧巻のスピードで前団を飲み込んだ。
 「(近畿勢の)2段駆けを気にしたというより、この時期の四日市の風向きとかを考えて走って、結果的に消極的になってしまった。1回目で(最終ホームで)行けずに、2回目に踏み込んだ時は行けても行けなくてもという気持ちで、ああいう形になりました。後ろには申し訳なかったです。迷惑しか掛けないで勝ち上がったので、その悔しい思いを結果につなげたい。競輪っぽい走りができてないんですけど、そのなかでできることを最大限に引き出して走ります」
 番手まくりを打った村上義弘は2着の結果にも表情が険しい。
 「(山田に)伸び伸びと走らせたかったんですけど相手も相手なんで。そこからの判断は自分がしっかりしないと(近畿ラインの)全員が倒れてしまうと思ったので」
 近畿ライン3番手の椎木尾拓哉が村上に詰め寄って3着。昨年10月前橋の寛仁親王牌以来、2度目のGI優出を果たした。
 「(山田は)いつも頑張ってくれる。前2人のおかげです。乗れるデキではないと思っていました。地元記念(の落車失格)で悔しい思いをしたし、決勝に乗れて良かったです」
 佐藤慎太郎は新田との呼吸が合わずに連結を外してしまった。
 「タイミングさえ合えば(決勝に)乗れましたね。(最終ホームで)行くと思って踏み込んだらアレって。バックを踏めなかったし、止めたと思って内に行った。自分のタイミングは取れていたけど、新田は準備不足だったのかな。新田に付け切れるように練習します」