『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪レポート』 最終日編

配信日:5月31日

 豊橋競輪場を舞台に開催された全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪は5月31日に2日間の熱戦に幕を下ろした。最終12レースに行われたメインの「スーパープロピストレーサー賞」は清水裕友が打鐘で平原康多を叩いて主導権奪取。これで絶好となった松浦悠士が鋭く追い込んだ。

スーパープロピストレーサー賞 レース経過

 最内枠の浅井康太がスタート争いを制して正攻法をキープ。浅井-坂口晃輔、清水裕友-松浦悠士、村上博幸、平原康多-諸橋愛-木暮安由、菅田壱道の並びで周回を重ねる。
 青板4コーナーから動き出した平原はホーム過ぎに誘導員を下ろして先頭に立つと、清水の仕掛けを受けて打鐘で中団を確保する。諸橋にからまれ、中国コンビと口が空いた村上は4コーナーで諸橋をキメにいったが、押し込まれた諸橋はホームで落車(村上は押圧で失格)してしまう。村上は押し込んだ勢いで平原の内をすくって松浦後位へ。平原は4番手で立て直すが、落車を外へ避けた菅田や浅井は前と車間が空いてしまう。松浦は1センターから車間を空けると、バックまくりの菅田や3コーナーから踏み上げた平原に合わせて踏み込んでスーパープロピストレーサー賞を制覇。2着には平原、3着には諸橋の落車で平原の番手になっていた木暮が入線した。







<7R>

渡邉一成選手
渡邉一成選手
 松尾信太郎の欠場で8車立て。7番手の渡邉一成(写真)が、打鐘の2センターからカマして最終ホームで主導権を奪う。3番手で立て直した稲毛健太のまくりは不発。渡邉が逃げ切った。
 「初日もいいレースができましたし、今日(最終日)は逃げて1着なので、これが起爆剤になれば。落車したあとにすぐに無理やり復帰して点数を落としてしまった。ダービーがなくなってモチベーションを保つのも難しい時期もあったけど、ここに来る前の1週間、10日くらいで上がってきた感じですね」
 外にけん制して稲毛のまくりを阻んだ内藤宣彦が流れ込んで2着。
 「稲毛君は切っても流す癖があるから、チャンスがあるかなって思っていたらその通りの展開に。渡邉もキツそうだったし、自分がしっかり仕事して(ラインで)決めたかったので良かった」

<8R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
8R
 野田源一が逃げる意外な展開に。この3番手を確保した山崎芳仁(写真)が力強くまくって快勝した。
 「前だけは取らないようにして、あとは流れのなかで先行も含めて考えてました。(野田)ゲンさんが来たので、しっかり3番手はキープしようと。初日は内から来られたので、そこだけしっかり注意して仕掛けました。最近は自力で1着が取れてなかったので、お客さんに少し貢献できて良かったです」
 守澤太志はからまれながらも山崎を懸命に追いかけたが、3着に入るのが精いっぱいだった。
 「意外な展開になったけど、山崎さんがうまく組み立ててくれました。山崎さんがまくっていった時に3車併走みたいな感じになって、キツかったですね。しのげたら良かったんですけど。ワンツーは決めたかったですね」

<9R>

古性優作選手
古性優作選手
 林慶次郎が先行態勢も、打鐘の3コーナーから巻き返した伊藤裕貴が主導権を奪取する。好位をキープしていた古性優作(写真)は、最終2コーナーからのまくりで力の違いを見せた。
 「全然、アカンすね、初日も今日(最終日)も。脚は上がっているけど、ずっとカーボンフレームで練習していたから、(競走用の)ピストに力が伝えられていない。体と自転車がバラバラですね。まくっていくときも踏み方を変えながら試したけどダメでした。やっぱり、松浦(悠士)や清水(裕友)はダメでも強い。自分はまだまだですよ」
 東口善朋がソツなく続いて、人気の近畿ワンツー。
 「(最終)ホームのところで(佐藤博紀を)張って、あとはお任せって感じでした。3コーナーくらいまでは抜けるかなって思ったけど、そのあとまた(古性が)伸びていきましたね。強かったです」

<10R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 新山響平、三谷竜生の主導権争いを単騎の渡邉雄太(写真)が豪快にまくって圧勝した。
 「見て見てのレースになったので。あとは位置だけ取って、我慢して仕掛けました。調子はいいと思っていたので、それが出て良かったです。トップスピードはついてきていると思います」
 渡邉を追いかけるようにまくり上げた原田研太朗が2着に。
 「何もできなかったですね。ただ前を追いかけただけです。今回は久しぶりのレースだったけど感触は悪くなかったです」

<11R>

山田英明選手
山田英明選手
 8番手の松井宏祐が打鐘の4コーナーから襲いかかるが、河端朋之が合わせて逃げる。松井は中団の外で力尽きる。3番手の山田英明(写真)が車間を詰める勢いでまくって、後続の強襲も退けた。
 「初日は久々に凡レースをしてしまったので、今日(最終日)はしっかり走ろうと。河端君が久々のレースだったので、動きが読めなくて探り探りでしたけど。(河端の)掛かりは良かったけど、園田さんもついていたし行くしかないと思って仕掛けました」
 山田マークの園田匠は、半車輪差の2着。
 「すべて前のおかげですね。河端君もかかっていたけど強かった。今回久々に走ってレース感覚もつかめたので、次はもう少し良くなると思う」

<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 打鐘で平原康多を叩いた清水裕友が先行策。松浦悠士(写真)まで出切る。4コーナーで村上博幸に押し込まれた諸橋愛は、落車に見舞われる。最終ホームで村上が3番手に入り、平原は4番手からの立て直し。逃げる清水との車間を大きく空けた松浦が、詰める勢いで直線で抜け出し優勝。
 「(周回中の位置取りは)本当は前が良かったんですけどね。前を取って引いて巻き返す方が、(清水)裕友の持ち味も出せるので。裕友の仕掛けがちょっと早くなってしまったし、平原さんもジャンで踏んでいたので隙を与えないようにだけ考えてた。(最終)ホーム前に後ろで音がして、自分も気をつけないとすくわれると思った。平原さんは脚を使っていましたけど、菅田(壱道)さんや浅井(康太)さんもいるので警戒していた。いいスピードだったので気配を感じながら踏みました」
 菅田のまくりに合わせて追い込んだ平原康多が2着に入った。
 「もう2周から踏みっぱなしでキツかったですね。村上さんにすくわれちゃったんで。落車もありましたけど、3番手だったらまた違ったんでしょうけど。もういっぱいでしたね。無理やり仕掛けたけど、あれで精いっぱいですね」
 平原ライン3番手の木暮安由は、前の諸橋の落車を避けて平原後位に追いついて3着。
 「目の前で落車があったのでガクンって脚にきましたね。平原さんに付けてからは、回りを見られてはいましたね」

次回のグレードレースは6月6日~9日まで久留米競輪場で開設71周年記念「第26回中野カップレース」が開催されます。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から「地区内あっせん」が実施されます。S級S班から中川誠一郎、松浦悠士、清水裕友が参戦します。山田英明、三登誉哲、紫原政文、曽我圭佑、坂本亮馬、吉本卓仁ら各地区から強豪が参戦する見どころ十分な開催です。
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