『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪レポート』 前検日編

配信日:5月28日

 広島競輪場で「全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪」が、5月29日に幕を開ける。2日間の短期決戦にS級S班の6人をはじめとした輪界のトップ選手たちが熱戦を繰り広げる。前検日の28日は、地元の松浦悠士らスター選手たちも、翌日からの戦いに備えて入念な調整を行った。
 今シリーズは、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、無観客での開催となりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

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野口裕史選手
野口裕史選手
 野口裕史(写真)は、前回の函館記念を逃げ切りの3連勝で優出。2度目の記念制覇こそならなかったが、その存在感はピカイチだった。
 「そこ(前回)までは自転車の感じを良くっていう練習をしていた。そうなるとフィジカルが落ちる。だから、自分のなかで一区切りつけて、(今回かからは)強度の強い練習をやってきた。疲れが抜けてないところもある。ただ、冬場とかの風が強い時に風を切らないといけないので、その体力をつけるにはいまからやっておかないと」
 谷口遼平は前回の函館記念を4776着と一息に終わった。
 「前回はダービーの疲れが残っていて、全然、良くなかった。ここまではしっかりと練習ができて、直前はタイムも出てかなり良かった。ここ最近のなかでは一番の状態だと思います。あとはそれをレースで出せればおもしろいんですけどね」

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皿屋豊選手
皿屋豊選手
 大垣FIの633着から中6日の皿屋豊(写真)に変わり身が期待できそうだ。
 「大垣は動きも悪かったし、体も重かった。だから、ケアを中心にやってきた。それで体の方はだいぶ良くなってきた」
 前回の久留米FIの541着の反省をふまえて久米康平がこう言う。
 「(前々回の)ダービーで2回ほど人の後ろを回ったことで、車間の幅の感覚が前回は雑になっていた。準決も(最終)ホームで仕掛けられたのに、車間を詰めすぎていけなかった。これから人の後ろも増えるから、そういうのは勉強ですね。今回はセッティングを変えます。いままではハンドルを流行りの遠くにしていたけど近くに戻した。その方が感じが良かった」

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根田空史選手
根田空史選手
 前回の小倉FIで昨年9月以来の優勝を遂げた根田空史(写真)だが、満足のいくシリーズではなかった。
 「(小倉は)ダービーの疲れもあって絶望的な感じだった。初日は力が入らなくて、自転車も出なかった。ヤバいなっていうのがあったんだけど、そのあとは自転車が出た。ただ、準決も踏み遅れてフワフワした。小倉のあとは2日間くらい休んで、いつも通り練習をしたら感じが良かった」
 三谷竜生は、前回の大垣FIでも初日予選、準決を連勝。復調の手応えをつかんでいる。
 「だいぶ良くなっている。いい練習ができているし、練習でもスピードに乗れている。だから比較的楽にレースでも走れている。あとはこのまま練習をできれば(もっと良くなる)」

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坂井洋選手
坂井洋選手
 前々回のダービーでは一次予選敗退もその後は3連勝。前回の前橋記念でも3連対の太田竜馬の動きが軽快だ。
 「(前回から中4日で)日にちがあんまりなかったけど、しっかり練習をしてケアをした。結果はもうひとつだけど、なにかがかみ合えば結果が出るのかなと思います」
 まだまだ本来の力を出し切れてない坂井洋(写真)だけに、伸びシロはある。
 「練習ではいい感じなんですけど、それがレースでは出せないんですよね。マッチすれば良くなると思うし、モチベショーンも上がってくる。最近、成績が良くないんで、それで気持ちも下がってきちゃいますから」

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竹内雄作選手
竹内雄作選手
 竹内雄作(写真)は、前回の前橋で久々に記念の決勝にコマを進めた。 
 「(中4日で)疲労はあるけど、そのなかでどれだけ動けるかっていうのもある。だいぶ戻ってきている感じもある。先行が増えてきているけど、先行だけにこだわらないように心がけている」
 久留米FIから中4日の坂本貴史は、広島に直行でシリーズに臨む。
 「福岡にいてそのまま来たけど、自転車にも乗ってたしいい感じでやってこられた。引き続きいいかなと。準決で島川(将貴)、吉田拓矢を相手に先行して粘れたのは自信になりました」

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山口拳矢選手
山口拳矢選手
 3月ウィナーズカップ以来の9車立てになる山口拳矢(写真)は、6月の高松宮記念杯の初GI出場も見据える。
 「(前回から)いつも通り練習してきたんで、とくに変わらないかと。(調子は)維持できている。まだ9車の経験も足りないけど、GIの出走もあるんでいいイメージで走れれば」
 前回の函館記念で2勝を挙げた近藤隆司は、復調ムード。
 「前回は準決まで上がれたけど、二次予選で(野口裕史の)番手に付いて、もったいないことをした。番手に慣れていないのもあるけど、ワンツーを決められる展開だっただけに後ろにも迷惑を掛けた。そういうところはひとつひとつ勉強していきたい」

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菅田壱道選手
菅田壱道選手
 菅田壱道(写真)は近況、一進一退の状況。
 「ダービーは1走目が良かったんですけど、2、3走目と体がまた…。そのあとも体の調子が良くなかったので、(小倉を欠場して)様子をみた。そこからは期間もあったんで普段通りですね」
 防府FIでV奪取から中1週間の小川真太郎は、コンディションはどうか。
 「前回いろいろとセッティングをやりながらで、感じも良くなかった。練習も普段と違ってバンクにも入れず、優勝は獲らせてもらった感じ。セッティングは前回の決勝のままでいこうと思っているけど、バンクで乗ってみてどうするか決めたい。前回が終わってからは高松バンクで乗って、外でも乗れたから前回よりも状態は良いと思う」

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渡邉一成選
渡邉一成選手
 前回の前橋記念を88着で3日目以降を欠場している渡邉一成(写真)が、北日本ラインをリードする。
 「腰をやってしまって…。そのあともやれることはやった。(前橋の前は)4日間くらい乗れなかったけど、今回は様子を見ながらでも練習ができた」
 前回の小倉FIを571着の原田研太朗は、いたってマイペース。
 「雨が多かったんで室内を多めにやって、晴れたら外で感じでやってきた。バンクでは全然乗れてないですけど、ボチボチかなと」

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寺崎浩平選手
寺崎浩平選手
 ダービーから20日間近く空いた寺崎浩平(写真)は、ゆとりのローテーションで短期決戦に臨む。
 「ナショナルチームの方で、いつも通りしっかり練習をしてきました。少し自転車のポジションをいじったので、それがしっくりきているか(指定練習で)乗って確かめたい。(初日は)自分のやることは決まっている。(ラインが)3車なんで、先手をとってしっかりやりたい」
 前々回のダービーから中4日だった函館記念を2383着の中本匠栄
 「ダービー(の1走目は特選だったの)で体が動いてなかった。あのクラスで走る経験がなかったってことが大きいのかと。そのあとは1着も取れているんで。函館が終わったあとは、しっかりと練習をしてきました」

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郡司浩平選手
郡司浩平選手
 松浦悠士、佐藤慎太郎とダービーの決勝で僅差の勝負を演じて準Vだった郡司浩平(写真)は、函館記念を欠場して間隔が空いた。
 「体のダメージが大きくて、腰痛が出ちゃったので大事を取って(函館を)休ませてもらいました。(最近の状態は)練習は4、5日はできているので、問題はないと思います。良くも悪くも変わらずという感じです」
 函館記念の勝ち上がりの3走では、北日本勢を付けて奮闘した鈴木庸之は、4442着の成績以上に動けていた印象だ。
 「(函館記念のあとは)ちょっと疲れていたので休んで、直前まで練習を強めにやっていた。だいぶ脚が落ちているんで、練習をする脚に戻す練習をしてたって感じです。ダービーの段階でちょっと疲れてた。肉体的というより気疲れですかね」

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清水裕友選手
清水裕友選手
 優勝こそ逃した決勝だが、小倉竜二とワンツー。シリーズをオール連対で責務を果たした清水裕友(写真)の初日は、松本貴治の前で自力勝負に出る。
 「疲れはあると思いますけど、たぶん大丈夫だと思います。(最近の状態は)そんな調子がいいという感じではないですけど、それなりにやれてると思います」
 平原康多はダービーでの落車が尾を引いてようで、関東地区の前橋記念の欠場を余儀なくされた。状態はどうか。
 「(ダービーでの落車で)外傷的なのは走れるぐらいだったんですけど、胃腸炎になっちゃって、胃腸の調子がすごく良くなかったので欠場しました。(最近の状態は)まだ100%ではないが、ほぼ大丈夫だと思います。練習自体は同じだけやれてるんですけど。栄養面でいえば取れていないのかもしれないし、吸収も悪いのかもしれませんね」

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松浦悠士選手
松浦悠士選手
 武雄記念、京王閣ダービー、函館記念とグレードレースで3場所連続優勝を遂げている松浦悠士(写真)は、無観客でも地元シリーズに気持ちを込める。
 「(感触は)函館と同じか、それ以上かなって感じです。4連続(優勝)は目指していきたいです。(無観客でのシリーズですが)いまの状況では仕方がないかなと思うので、ネットなどの放送で見ていただければなと思っています」
 3車の近畿ラインの番手は稲垣裕之。重責のポジションなのは、誰よりもわかっている。
 「思い通りに練習ができたし(感触も)上々でした。(自転車やセッティングは)前回からはとくに大きくは変えてません。(広島は)久しぶりですけど、走りやすいイメージがあります」