『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪 レポート』 最終日編
 
配信日:5月10日


 全プロ選手権記念競輪の最終日を迎えた奈良競輪場はあいにくの雨模様となったが、場内には熱い声援がこだました。メインのスーパープロピストレーサー賞では平原康多の番手から鋭い差し脚を発揮した武田豊樹が同賞を連覇。「明日の競技にも全力で頑張ります」と笑顔を見せた。
  明日は第55回全日本プロ選手権自転車競技大会が開催されます。大会のスタートは9時半。スプリント予選が第一種目です。豪華プレゼントが当たる抽選会などもございます。プロ選手たちが能力の全てを賭けてチャレンジする競技の迫力を、ぜひ本場でご覧ください。
 


スーパープロピストレーサー賞ダイジェスト

  スタートでかなり牽制が入ったが、村本大輔が誘導員を追い掛ける。したがって平原康多―武田豊樹―村本の東軍が正攻法に。単騎の岡部芳幸がこの後ろで、岩津裕介―石丸寛之―三宅伸の岡山コンビに渡部哲男―小倉竜二が続き周回が進んでいく。
  赤板前の2センターから岩津が一気に踏み込み平原を叩いて主導権を奪う。出切った岩津は一旦ペースを落とし、引いた平原は六番手に抜け出す。岡部は切り替えきれずに最後方。打鐘はフカした岩津に石丸―三宅―渡部―小倉―平原―武田―村本―岡部で一本棒。平原は仕掛けかけたが、思いとどまり態勢を立て直す。最終二角から平原が踏み出すと、石丸も後ろを見ずに番手まくりを敢行。石丸のかかりも悪くなかったが、4回転の平原がぐんぐん前団に迫る。三宅が2センターで平原をブロックしながら踏み込み、両者並んで直線へ。マッチレースかと思われた瞬間に、平原後位から大外を伸び切った武田が昨年に続きスーパープロピストレーサー賞連覇を達成。2着は写真判定の結果、差し返した三宅が入り、平原が3着となった。

ゴール
ゴール
表彰式1
表彰式2
表彰式1
表彰式2

<4R>
小橋秀幸選手
小橋秀幸選手
   小橋秀幸(写真)は金澤竜二との連係を離してしまったものの、立て直して自らまくって1着をもぎ取った。
  「金澤くんは出切れる感じじゃなかったので切り替えてしまいました。ムリヤリ行ったようで、タイミングもちょっと厳しかったですね。この1着は嬉しいですよ。全プロ記念を走るのは初めてみたいなものですから、明日頑張って親王牌に出場したいですね」
  先行策に打って出たのは内田慶。意外な展開に場内はどよめいた。
  「勝つレースをした結果ですから仕方がない。もう少し遅めに押さえてくれれば面白かったんだけど。番手戦も少し頭にあったけど、これからは何でもできる選手を目指したいし、展開に応じて柔軟に走っていきたい」


<5R>
新田祐大選手
新田祐大選手
   北日本勢が上位を独占した。新田祐大(写真)が絶妙なペース先行で1着。昨日の雪辱を果たした。
  「今日はうまくいったって感じですね。三宅さんのカマシが見えたので思いきり踏んで、けん制したら体が当たった。それで勢いを殺せたんだと思います。早めに巻き返されたから、きつかった」
  一方、三宅達也は悔しさを隠せない。出切れる態勢に入ったが…。
  「うまく持ってこられたね。自分としては最高のタイミングで仕掛けられたと思うし、もう一伸びがあれば出られたと思う。これが現状ですね」


<6R>
志智俊夫選手志智俊夫選手
   ダイナミックステージ初戦は浅井康太が気っ風の良い先行で完全に主導権を握った。番手無風の志智俊夫(写真)が余裕の1着。
  「いやあ良かった。浅井は全然まくられる感じがしなかったし、掛かってましたよ。こんなにスンナリした展開はまずないね」
  中団の友定祐己は動けず。浅井の強さに脱帽した。
  「強いね。最終1コーナーではそんなにスピード感がなかったけど、そこからグングン踏み上げられた。車を外したけど、一車も出なかったですよ…」


<7R>
稲垣裕之選手稲垣裕之選手
   松岡健介が赤板過ぎからフカして先行。最終バックで金子貴志が迫ると、稲垣裕之(写真)が番手まくりを敢行して1着を手にした。
  「松岡君が『前で頑張ります』って言ったから、彼の心意気に全て任せていました。目一杯行ってくれましたね。かかりは良かったけど、後ろを見たら金子さんが凄いスピードで来たように見えたから合わせて出ました。松岡君は落ち着いていたけど、自分の方が余裕がなかった。松岡君をもう少し残すこともできましたね。番手戦はまだまだ勉強が必要ですね」
  合志正臣が流れ込んで2着に入る。
  「最後に武井君と接触してしまった。前を抜くどころか、今の調子を考えたら2着で上出来ですよ」
  武井大介は中団を取るも最後は伸びを欠いた。
  「前を斬ってから中団を取る作戦でした。終始脚に余裕があったから、最後の4コーナーで合志さんにもっと強く当たるべきだった。稲垣さんも外を踏んでいたから内側を突こうと思ったけど、ちょうど松岡さんが下がってきてコースがなくなってしまいました」


<8R>
成田和也選手成田和也選手
   このレースも近畿の二段駆け。中村一将のカマシに乗った村上義弘が渾身の番手まくりを放ったが、成田和也(写真)がうまく内をすくって1着をもぎ取った。
  「タマタマですよ。あんな展開になることなんて滅多にない。矢口くんが頑張ってくれたおかげです。今年に入ってずっと良くなかったけど、今開催は自分にとって大きいですね」


<9R>
石橋慎太郎選手石橋慎太郎選手
   石橋慎太郎(写真)が渡邉一成の内をすくって先行。鈴木誠は追走できず、石橋と追走した渡邉でスプリント勝負の展開に。3コーナーで渡辺が外に車を持ち出すと、石橋が合わせて踏み直し、2連勝で締め括った。
  「一旦単独で番手に入ったけど、有坂さんが来る前に出ようと思っていた。でも、追い上げてきたのでマズいと。そうしたら一瞬だけ内が空いたので思い切って行きました。あとは後ろがどうなっているのかわからなかった。最後は自分でも良く合わせられたなと思います。今回は疲れがたまっていたし、全プロ記念は毎年成績が悪いんです。今回は恵まれ過ぎですね。点数が上がったし、次につながるレースができました」
  合わされた渡邉一成だが何とか2着に踏み止まった。
  「赤板で佐々木さんが押さえてきたけど、あんなに早く引くとは思わなかった。早駆けはしたくないし、上にあがって様子を見たら石橋さんに内から行かれるし。最後は巧く合わされてしまいました」


<10R>
加倉正義選手加倉正義選手
後閑信一選手後閑信一選手
   伏見俊昭が当日欠場し、8車立でのレースとなった。先手を奪った北津留翼がグングン加速すると、叩かれた山崎は最終ホームからまくり発進。だが加倉正義(写真)が好ブロックを見せ山崎を止めると、そのままの勢いで北津留を交わした。
  「今日は北津留が強かったね。落ち着いて駆けていました。今日は翼が先手を取れば、新田か山崎がまくってくるだけと思っていたので、ブロックすることにだけ集中していましたよ」
  苦手の短走路を克服することが出来なかった山崎芳仁はレースをふり返りながら、「昨日は早めに仕掛けて、今日は遅め。どちらのタイミングにしても、踏みたいところでコーナーに掛かってしまいますね。奈良バンクは特殊ですよ。松戸や小田原、伊東なら対処できるんですけどね。あとは位置取りですね」
  今シリーズから4回転を使った後閑信一(写真)は、「平原に勧められて(4回転を)使ってみたけど、疲れも残らないし本当に良いですね。たぶん、他のギヤだったら今日は山崎に離れていたと思います」


<11R>
三宅伸選手
三宅伸選手
平原康多選手
平原康多選手
渡部哲男選手
渡部哲男選手
   武田豊樹の連覇という結果に終わったスーパープロピストレーサー賞は、二段駆けの岡山勢と4回転の平原康多の真っ向勝負という構図。番手まくりに出た石丸寛之は、「(番手から)出た時点でイッパイでした。今日は重かった。精一杯やった結果だし、力は出し切れた」と語る。
  一方、悔しいのは目の前で大魚を逃した三宅伸(写真)だ。
  「中四国でこんなにそろうレースはなかなかないからチャンスだったんですけどね。石丸のカカリも良かった。シビアに踏んでいたら突き抜けていたのかも知れないけど、平原が来たタイミングが微妙だった。前に踏むか、止めに行くか考えた分、踏むのが遅れたね。悔しいな」
  平原康多(写真)は、「あれだけの人数で結束されたら厳しいですよね。相手も突っ張られることを警戒して早めに押さえに来るのは仕方がない。よく武田さんが勝ってくれたと思います」と武田豊樹を称えながら、やはり悔しさは隠せない表情だ。
  「やりにくかった」と話すのは渡部哲男(写真)。「中四国で連係することもあるからね。顔見せでも(岡山ラインに)付いたし、自分たち二車が先に動くのも…。ただ今回は良く踏めていたと思うし、これで流れが変わってほしい」。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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