『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪 レポート』 最終日編
 
配信日:5月16日


 花月園競輪場で開催されている全プロ選手権記念競輪は本日が最終日。昨日とは打って変わり、あいにくの曇り空がバンクを覆ったが、場内には多くのファンが来場し各戦に声援を送った。メインのスーパープロピストレーサー賞を制したのは山崎芳仁の先行策を利した伏見俊昭で、明日の競技大会に向けて大きな弾みを付けた。
  明日は第56回全日本プロ選手権自転車競技大会が開催され、大会の開始時間は9時30分からとなっております。プロ選手たちが競う激戦の数々を、本場でお楽しみください。


スーパープロピストレーサー賞ダイジェスト

 伏見俊昭がスタートを取ったが、結局は渡邊晴智を入れて南関勢が前攻めとなった。海老根恵太―渡邊の南関勢の後ろは、山崎芳仁―伏見―岡部芳幸、石丸寛之―大塚健一郎、佐藤友和―加藤慎平の順で並んだ。  青板周回の3コーナーから佐藤が上昇をはじめ、赤板で前の海老根を押さえた。ジャン前で海老根が車を下げ、中団の三番手で外の石丸と併走する。そのままの隊列でジャンが鳴ると、佐藤は誘導との車間を空けてペースを緩めた。すると、山崎が一気にカマして主導権を奪った。佐藤は巧く三番手に入ったが、巻き返した海老根が外にかぶってしまい、仕掛けを逸して終了。その海老根は番手を上げていったが、伏見の横で力尽きた。結局、車間を空けて山崎を援護した伏見が、直線で追い込んで1着。海老根後位から渡邊が鋭く伸びて2着に入り、逃げた山崎は3着に踏み止まった。

ゴール
ゴール1
表彰式1
最終ホーム
表彰式
最終ホーム

<4R>

金子貴志選手
   4レースは大西祐が先制すると、番手の渡部哲男が車間を空けて徹底援護。ところが、中団四番手をキープした金子貴志(写真)が出脚抜群のまくりを決めて1着をさらった。
  「今日は前受けから組み立てたかったけど、取れなかったので仕方なしに後ろからになりました。二角で仕掛けるタイミングがあったけど、見てしまいました。だけど、その後はうまく仕掛けられたし踏み出しも良かった。明日につながれば良いですね」


<5R>
坂本亮馬選手
坂本亮馬選手
   5レースは細切れ戦の様相で、単騎の坂本亮馬(写真)がバック手前からスパートすると、前団をあっという間に捕らえて快勝した。
  「細切れはある程度読めるし、順番的にも(渡邊)一成さんが駆けそうだったからその後ろからと。ただ、周回で良い位置に入れてもらえずに焦りました。一成さんの車体故障は予定外でしたけど、今日は先行の三番手になってもバックを付けるくらいの気持ちで走ったから、仕掛けるタイミングに迷いは無かった」


<6R>
矢口啓一郎選手矢口啓一郎選手
   6レースからはダイナミックステージ。レースは矢口啓一郎(写真)が後続の反撃を封じる圧巻の先行策でそのまま押し切り1着を手にした。
  「佐々木(則幸)さんが(中団の)自分を押さえずに松岡(健介)さんを押さえたから、一旦前に出て様子を見ようと思った。そうしたらすぐに松岡さんが来たから落ち着いて合わせました。3コーナーで踏み直そうとしたら、後ろで高木(隆弘)さんがまくりを止めてくれているのが分かったし、これならもう大丈夫だろうと。直線に入っても余裕がありましたね」
  その高木隆弘は矢口にしっかりと食い下がった。
  「ブロックして戻ってと動きっぱなしだったから、もう脚は残っていませんでした。(矢口を)抜くなんてとてもとても。ただ、昨日と今日と展開をしっかりと生かせているんで、流れはつかめたと思います」


<7R>
浅井康太選手浅井康太選手
   7レースは木暮安由と浅井康太の主導権をめぐる攻防が続くと、最終ホームで浅井の後位に木暮がはまる展開に。結局、そのまま逃げた浅井を木暮が直線で追い込んで1着をさらった。
  「浅井君を下げさせたかったんですけど、行く気満々だった。どうしようかなと思っていたら、内をしゃくられてしまった。連結が外れた稲村(成浩)さんを一旦は待ったんですけど、浅井君も駆けていたから仕方なしに付いていった。だけどあれはホームで自分が駆けるべきでしたね。そうすれば(追い上げてきた)稲村さんとドッキングできていたかもしれませんし」
  浅井康太(写真)は山口富生との連結を外したが、腹をくくって風を切った。
  「先行は初めから考えていました。富生さんとはぐれてしまい木暮君が入ったのは分かったけど、もう先しか見ていなかった。木暮君とは同級生だし、若手二人でやり合って見せ場は作れたかな」


<8R>
萩原孝之選手萩原孝之選手
   8レースを勝ったのは萩原孝之(写真)。山賀のマークから抜け出し、バック手前からスパートすると、逃げた村上義弘をゴール寸前で捕らえた。それでも、打鐘後に山賀の踏み出しに離れたプレーを悔やむ。
  「あそこで僕がしっかりと付いていれば山賀の展開になったはずでしょう。本当に悪いことをした。結果的に自力を出したけど、競走内容としては、誉められたものではありません」
  村上義弘は山賀と萩原を分断し、そのまま主導権をにぎった。
  「身体が反応したし、あれはとっさの判断でした。ややこしい展開になったけど、三宅(達也)君の巻き返しにも合わせられたし、しっかりと1周近く駆けられたし状態は悪く無いと思う」
  山賀雅仁は村上の動きにしてやれた格好。それでも村上と2着同着を分け合い、納得の表情を浮かべる。
  「村上さんが来たら合わせて駆けようとしていたんですけど、気が付いたらもう内に(村上が)いた。その後、何とか立て直したけど、本当ならば萩原さんより早く仕掛けるべきでした」


<9R>
神山雄一郎選手神山雄一郎選手
   9レースは武田豊樹がマイペースで先行。番手絶好となった神山雄一郎(写真)が荒井崇博のまくりをけん制し、直線鋭く追い込んだ。
  「(ラインの)3人で決まったと思ったけど、やっぱり井上は強いね。武田も打鐘でけっこう踏んでいたからきつかったと思います。今日は勝ち上がりのレースでもないし、しっかり1着を取りにいかせてもらいました」
  井上昌己は目標の荒井が不発となったが、直線外を伸びて3着に入った。
  「荒井さんがいい感じでまくってくれたんですが、神山さんに上手く止められてしまった。脚にはまだ余裕があったし、スピードももらっていたのでアタマまでいけるレースだったんですが…。これが今の現状ですね」
  逃げた武田豊樹はゴール前で末を欠いて4着。
  「ホームで一呼吸置いてから駆けられました。神山さんがブロックしてくれているのは分かったし、ラインで決まると思ったんですけどね。でも逃げる展開でしっかり逃げられたし、悪くはないです」


<10R>
小嶋敬二選手小嶋敬二選手
   10レースは永井清史の先行に乗った小嶋敬二(写真)が番手まくりでファンの支持にきっちり応えた。
  「北津留と永井がやり合う展開になりそうだったけど、打鐘前に永井があまり脚を使わず先手を取れたし、いけると思ったんですけどね。やっぱり平原も脚があるし、いいスピードで来たので、タイミングを計って番手まくりになりました。こういう展開のときは、しっかり1着を取らないとダメですからね」
  外を自力で踏み上げて3着に入った三宅伸のスピードも光っていた。
  「ギリギリまでラインを大切にしたかったけど、前が少しゴチャついたし、詰まったから仕方なく踏み上げていきました。永井がタレてきていたし、タマタマですよ。でも、ちょっと嬉しいね」
  逃げた永井清史は「小嶋さんに任されたし、先行しか考えていなかった。調子はいいんですけど、後半のスピードが落ちてしまいますね。押さえ先行のときはギアを落とした方がいいかも」とレースを振り返った。



<11R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
渡辺晴智選手
渡辺晴智選手
   11レースはスーパープロピストレーサー賞。ライン3車と隊列が一番長くなった山崎芳仁(写真)は、ここでは先行策に打って出た。
  「先行したのは作戦の中のひとつです。あとはとにかく(佐藤)友和より先に仕掛けようと思っていました。駆けた感じも悪くなかったし、次につながると思います」
  渡辺晴智(写真)が2着に。海老根恵太のまくりを利すと、直線では巧みなコース取りを見せた。
  「今日はスタートの位置だけ取って、あとは海老根任せでした。山崎のホームカマシで厳しい展開になったけど、海老根は強かったよ。ただ、普通の追い込み選手なら良い勝負になったでしょうけど、相手が伏見でしょう。ああなるときついですよね。自分はコースを見て、直線入口から踏みました」
  海老根恵太は後方からまくり上げるも不発に終わった。
  「今日は緩んだら行けるところから行こうと思っていました。だけどタイミングも悪すぎましたね。良く考えてみれば、山崎のカマシに1コーナーから仕掛けてもまくれるわけがない。落ち着いて2コーナーから踏んでいればまくれたかもしれませんね」
  石丸寛之はゴール寸前に大外を強襲したが、結果は4着まで。
  「友和のラインに付いていくまでは予定通りでしたけど、山崎のカマシはあまり意識していませんでした。一番強い選手に駆けられたらきついですね。その辺の判断が甘かった」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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