『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪 レポート』 初日編
配信日:5月14日
全プロ記念競輪は初日のレースを終えた。優秀戦はいずれも力の激突となり、強烈なサバイバルレースの様相を呈した。早くも明日は最終日。スーパープロピストレーサー賞をメインに激戦が繰り広げられる。
明日(15日)も函館競輪場では様々なイベントをご用意しています。天装戦隊ゴセイジャーショーやバンクーバー五輪出場の皆川賢太郎氏によるトークショーなどもりだくさん。ぜひ本場でご観戦ください。
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人気を集めた金子貴志ラインが不発。4コーナーで前団が大きくもつれたところを
伊勢崎彰大
が大外を一気に伸びて通算200勝を達成した。
「もうちょっと(200勝には)時間がかかるかなと思ったけど、最高の場面で勝てましたね。今日の1着は124点ですから、僕にとっては大きいですよ。栗田もカマしたかったんだろうけど、行けない感じだったので、落ち着いて脚を溜めていました。朝練習の感じは重かったんですけど、弱気にならなかったのが良かったですね。函館は相性のいいバンクなんで、明日も気を抜かずに頑張りたい」
<2R>
菅田壱道選手
北津留翼のペース駆けを
菅田壱道(写真)
がバックから一気まくり。目の覚めるような切れ味で初日を快勝した。
「北津留さんはペース駆けだったので、(まくるのは)厳しいかなと思ったんですけど、伊原さんが中団からカマしてくれて最高の展開になりました。全く脚を使わずに中団が取れるなんて滅多にないですからね。まるで外国人のレースみたいでしたよ。スピードも出ていたと思うし、調子はいいと思います。函館は優勝もあるし、落車したこともあるバンクなんですけど、この1着で好きな競輪場になりました」
<3R>
深谷知広の先行をフルに使った
坂上忠克
が余裕の勝利。レース後も、深谷を賞賛する言葉に終始した。
「あれで20歳なんだから末恐ろしいですよね。無理矢理叩く形になったから、後ろで見ていてドキドキしていたんですよ。何しろ連係するのは初めてだから、どんな踏み方をするのかも分からないし、どれぐらい踏み直せるのかも未知数ですからね。こういう選手が出てくれるのは、中部にとって大きいですよ。引っ張っていってもらいたいですね」
<4R>
鈴木謙太郎選手
鈴木謙太郎(写真)
が得意のカマシで押し切った。
「風が強くて、周回中から重かったんですけどね。ホームの向かい風を踏んでいったから、スピードに乗り切らなくてフワフワした感じでした。最後は踏み直して、小野に“差させなかった”んですよ(笑)」
小野大介
は「謙太郎が強かったですね。まくりに対処するために車間を空けたんだけど、ギリギリで交わせませんでした」と悔しそう。
<5R>
菊地圭尚選手
函館のエース・
菊地圭尚(写真)
が堂々の初日勝利。竹山陵太の先行に乗って勝ち星を収めた。
「やっぱり地元は緊張しますね。でも、最近は番手の競走も増えているので、落ち着いて走れました。とにかく今日は竹山君の頑張りに尽きます」
3着に食い込んだ
松本大地
も笑顔が絶えない。
「松岡君とは特に作戦を話していなかったんですが、北勢が二段駆けだから無理な仕掛けだけはしないようにという話でした。彼も地脚タイプだから、外にへばりついて進んでいくので、自分はコースが探しやすかった。この3着は大きいね」
<6R>
渡部哲男選手
渡部哲男(写真)
が鮮やかなまくりを決めた。松岡健介をあっさりと抜き去り近況通りの脚を見せる。
「前から2番目の位置を取れたのが勝因ですね。後ろか前になってしまうと思っていたんだけど。脚を使わずにあの位置が取れました。踏んだ感じは良いですね。来る前、色々と忙しくて練習不足だったので心配だったけど、大丈夫そうです」
松岡健介
は「木暮君に思ったよりも踏まれてしまった。あれが誤算でした…」と渋い表情。
<7R>
武井大介選手
渡邉一成が残り1周半からの先行で他の仕掛けを封じた。番手有利にレースを進めた
武井大介(写真)
が会心の勝利。落車続きの流れを断ち切った。
「前回、前々回の落車は左右それぞれ打ったので、かえってセンターが出たみたいです(笑)。でも、いつもの練習メニューはこなせていないので、心肺機能は落ちていますね。渡邉君が頑張ってくれたんで、僕もしっかり仕事をしようと思いました。中村先輩が三番手を固めてくれたのも心強かったですね」
渡邉一成
は「あんなに長い距離を踏むとは思わなかった。僕のスタイルじゃないですよ(笑)」と満面の笑顔でクールダウン。
<8R>
稲垣裕之選手
特選競走最後の一戦は
稲垣裕之(写真)
の逃げ切りで幕を閉じた。力を出し切っての結果に満足げな表情でレースを振り返る。
「南君がしっかり番手で仕事をしてくれたおかげです。今日は僕も南君もお互いの役割を果たした上でのワンツーなので嬉しい。この重いバンクで逃げ切れたのも自信になりますね。競技は1000mに出場するんですが、それに向けてかなり乗り込んできたし、調整もうまくいっている。競輪にもプラスになっていると思います。前回の静岡に比べても調子は上向いていると思います」
南修二
は審議の結果セーフ。思わず胸をなで下ろした。
「もうちょっと上手にブロックできればね。諸橋さんに入ってこられて締めたけど、もっとギリギリを交わしに行くべきでした」
<9R>
岩津裕介選手
ここからステージが変わり、今開催の最高グレードレースのスーパープロピストレーサー賞進出を目指してSS班勢を中心に争われる優秀競走がスタートする。まず最初に勝ち名乗りを挙げたのは
村上博幸
だ。自力含みのレースとなったが、冷静に立ち回って快勝。まさに充実一途だ。
「中部勢が先行する組み立てを考えていました。でも、まずは流れの中で俊敏に立ち回ることが第一ですからね。坂本君が動かないのを見てから踏んだ感じです。ただギアが3.85だったので、思ったよりも半テンポぐらい動きがずれましたね」
村上に任せてレースを運んだ
岩津裕介(写真)
も思わず舌を巻く。
「村上さんは本当に余裕がありますね。付いていても分かります。さすがタイトルを2つ獲っているだけありますね…」
成田和也
は不発の山崎芳仁後位から伸びた。
「山崎が前に踏んでくれたおかげですよ。展開的には山崎がアタマで、僕が2着かなと思ったんですけどね。競技で実戦から離れていた分、ちょっとレース感覚にずれはあります」
<10R>
平原康多選手
佐藤友和の突っ張り先行で、他の自力型の思惑は大きく外れた。中団で外併走となった
平原康多(写真)
は、キツイ展開を乗り切り、最後は鋭い差しで1着をもぎ取る。
「友和の突っ張りは予想外でしたね。出られると思って踏み込んでいたので、かなり脚をロスしてしまった。でも、必死に踏んで諦めず追ったのが結果につながりました。最後、抜いたのは根性ですよ。あれだけ苦しい展開で勝てたのは練習の成果だと思います。前回より状態はいいですね」
市田佳寿浩
は3着に食い込んで上位勝ち上がりを果たした。
「僕はどうなっても村上さんの後ろから離れないつもりでした。でも佐藤君の先行は意外でしたね。4コーナーからは、自分の踏むコースを探して突っ込ませてもらいました」
村上義弘
はレースを振り返って、「もうちょっと入れ替わりの激しいレースになるかと思ったんですけどね。僕は平原君に行ってほしくてあそこの位置で勝負すると判断しました。あそこで下げても僕の脚ではまくれないからね。判断としては間違ってなかったと思います」。
<11R>
伏見俊昭選手
最終レースで主導権を握ったのは千葉勢だ。これを武田豊樹が強引に叩くと、番手の
伏見俊昭(写真)
が必死の援護。最後はグッと踏み込んで1着をもぎ取る。
「武田さんも無理矢理行った感じで、自分のタイミングじゃなかったからきつかったでしょうね。海老根君ともからんでいたし。小嶋さんのまくりが思ったより早かったですね」
中バンクを突き抜けた
小倉竜二
が2着。
「石丸さんの外は行けないし、2センターで空いたコースを踏みました。でも、周回中はちょっときつかったね」。
番手での戦いとなった
海老根恵太
は「山賀君は頑張ってくれたけど、2車で先行は厳しいですよね。どうなっても真後ろに他のラインが入っている訳だし。経験不足が出てしまいました」。
小嶋敬二
は強烈なブロックを耐えて3着入線。「あれ(ブロック)がなかったら行けてましたね」と話す。
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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