『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪レポート』 最終日編

配信日:5月19日
 岸和田競輪場で開催された平成25年度 全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪は2日目、最終日を迎えた。「スーパープロピストレーサー賞」は武田豊樹をダッシュよく合わせた新田祐大が逃げ切りで制した。
 明日の岸和田競輪場では全日本プロ選手権自転車競技大会が開催されます。競輪選手の普段とは違う顔が見られる大会。もちろんロンドン五輪出場メンバーも参戦します。明日も岸和田競輪場へご来場ください。
スーパープロピストレーサー賞ダイジェスト
 号砲で鳴ると、外枠の大塚健一郎が、武田豊樹や新田祐大を制して正攻法の位置を確保。大塚の前に菅原晃が入り、道中は、菅原―大塚、武田―神山雄一郎―飯嶋則之、藤木裕、新田―渡邉一成―伏見俊昭の順で隊列が落ち着く。
 レースが動きだしたのは赤板から。まずは単騎の藤木から上昇を開始し、これに福島トリオも続く。引いた菅原に代わって正攻法の位置に入った藤木をすかさず押さえた新田が打鐘手前から主導権を奪取。出切った福島勢の後ろは武田と藤木で一瞬併走となりかけるが、武田は2センターからちゅうちょなく仕掛ける。しかし、この武田の動きを確認した新田は即座に反応。一気にペースを上げた新田と襲い掛かる武田とで壮絶なモガき合いが始まる。新田を叩き切れなかった武田は一旦渡邉の外まで下がって態勢を整え直すと、2コーナーから再度新田をまくりにかかる。新田も譲らずモガき合いのまま直線へ。さすがに武田は一杯で、続いた神山が内で踏み遅れた渡邉をキメつつ、新田、武田の中を割って迫る。だが、これもこらえた新田が堂々の逃げ切りで優勝を飾った。

 
 
 
<1R>
 篠原忍が主導権。番手の山内卓也が永澤剛のまくりをブロックすると、直線抜け出した。
 「カマされんように踏んでくれてたし、前が強かった。昨日がアレだったんで今日は1着が取りたかった。篠原君を2着までに残したかったけど、ラインで決まってよかったです」

<2R>
 打鐘で坂本貴史が先行態勢に入ったが、3番手外併走の阿竹智史がホームから一気にカマして押し切った。
 「直線だったら持って来られんでしょう。出切ったと思ってひと息ついたら、まだ坂本の前輪が差さってたので、もう1回踏んだ。そしたらラインで決まると思ったんですけどね。今日は勝たないかんでしょ。勝ててよかったです」

<3R>
 伊原克彦の先行に対し、筒井敦史はすんなり中団位置を確保。バック手前からまくると、ゴール寸前で番手の佐々木則幸が逆転した。
 「桑原(大志)さんから『(筒井は)自力選手じゃないからタレてくる』とアドバイスされたから、遅めに抜きに行ったら抜けないかと思いました(苦笑)。強かったですね。僕が前でもあれはなかなかまくれませんよ。今回でまたちょっとは僕が追い込みってアピールできたかな?」

<4R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
 4レースは松川高大が主導権。後ろ攻めから巧く中団を取った矢口啓一郎(写真)が、バックまくりを決めて快勝した。
 「調子が悪いときこそ自分から動いていかないと。今日は思ったより落ち着いていけましたね。十文字(貴信)さんが走り易く導いてくれたし、小野(大介)君が3番手を固めてくれたのも大きかった。明日、もう1日(1キロメートルTT)頑張ります」
 小野大介が直線で外を鋭く伸びて2着に入る。
 「昨日も今日も伸びましたね。インフルエンザになって前々回の玉野はレースに参加してるだけだったけど、玉野が終わってからしっかり練習ができてたし、力が入るようになった。成果がすぐに出てくれてよかった。気持ちも乗っているし、これから楽しみです」
 松川高大は直線で失速し、5着に沈む。
 「出切るまでに脚を使いましたね。出切ってから流すと大ギアだから掛からなくなるんで、踏みっ放しだった。このギア(4.17)で先行していけばいずれは慣れていくと思います。2日間出し切りました」

<5R>
根田空史選手
根田空史選手
 根田空史が斬った上を松岡貴久が叩いて主導権。引いて7番手になった根田空史(写真)だったが、ホームから巻き返すと後続を千切って快勝した。
 「全然ダメですね…。風邪なのか、疲れなのか体調がおかしいです。自転車は伸びてくれたけど、駆け出しで後輪が滑って外しか踏めなかった」
 2着には逃げた松岡貴久が粘った。
 「みんなにはかかってないと言われたけど、あれが今の精一杯です。今が一番練習をやってるけど、疲れが残ってるし色々見直さないといけないですね。今の競輪用に体を作り直さないと。でも、みんな強すぎでしょ」

<6R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
 永井清史が主導権を握ると、園田匠が内から番手を奪う。引いて8番手の小嶋敬二(写真)は2コーナー手前からまくり発進。合わせて番手から出る園田を力で飲み込んだ。
 「牛山(貴広)が仕掛ける前に仕掛けなきゃと思ってた。永井の後ろ(に園田がいるの)は行ってから分かった。合わせて出られたけど、スピードに乗ってたので大丈夫だなと。今日はタイミングがよかったね」
 園田匠は2着に敗れたが「4コーナー勝負で楽しようと思ったら小嶋さんが来てた。行かれたけど、大分いいですね」と自身の状態に手ごたえをつかむ。
 3着の大竹慎吾も「いい感じで詰めたけど、小嶋が降りてきたので。今回もまたトレーニングのヒントがあったんで頑張ってみます」。別府記念に続き収穫のある開催となった。

<7R>
川村晃司選手
川村晃司選手
 中団から合わせて上昇した荒井崇博の狙いはイン粘り。東口善朋のところで勝負する。しかし、川村晃司(写真)は、神山拓弥のまくりを許さずに逃げ切った。
 「イン粘りは意外でしたね。(競りになったので)あとは神山だけを見て駆けました。今日は何としても主導権が取りたかった」
 荒井崇博は「抜きたかったなあ」と悔しがる。
 「苦しかった…。あれなら自力のほうが楽ですね。でも今日のメンバーで俺の自力なら2着には入れん。けっこう押し込まれたけど、絶対負けられないでしょ。抜けると思ったけどなあ」

<8R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 稲垣裕之が2連勝で締めくくった。8レースは松岡篤哉が主導権をにぎり、中団5番手を取った稲垣裕之(写真)は三宅達也とのまくり合戦を力でねじ伏せた。
 「今日は松岡君が積極的にいくだろうし、あとは2人(三宅、飯野祐太)を見ながらのレースだったけど、3番手の前田(拓也)さんにもチャンスがある仕掛けをしなければいけなかった。大外でキツかったけど、ギアが掛かってるんで後半伸びてくるだろうと信じて諦めずに踏みました」
 稲川翔が続いて近畿ワンツー。3番手から先まくりを放った三宅達也が3着に入る。
 「ホームで来るかなと思ってたけど来なかったんで、そこからは来たら無理矢理でも行く態勢を取ってました。それにしても1着がほど遠いですね。今年は1月(静岡記念)に1勝しただけなんで」

<9R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 佐藤友和がインを斬ると、打鐘で山崎芳仁がハナに立つ。そこを一気に深谷知広(写真)がカマすと1周21秒9という脅威のラップで押し切った。
 「雨は気にならなかったです。昨日がダメだったので、今日は長い距離を踏みたかった。タイムも出たし、ラインで決まってよかった」
 村上博幸も直線激しく詰め寄ったが、逆転はならず。
 「久しぶりに勉強やと思って走りました。(深谷は)脚が2枚、3枚上だから、口を空けずに番手を守る意識が強かった。ダービー初日に失敗した分、今日は気合いも入ってました。2コーナーで差せるかなと思ったけど、ブロックしたり守りきることを考えてちょっと気持ちが弱かった。次からは強い気持ちを持ってね。でも、とりあえずホッとしました」
 離れた3番手で追った山崎芳仁だが差は詰まらず。
 「俺の後ろから深谷が来るのは分かってたけど、上がり11秒フラットですよ。無理です。深谷が強かった」

<10R>
平原康多選手
平原康多選手
 脇本雄太が主導権を握るが、4番手を確保した平原康多(写真)がバックから豪快にまくった。
 「打鐘のところでペースが上がったから離れてヤバイと思ったけどね。そこから何とか詰めて行って無理やり行ったらまくれました」
 直線鋭く突っ込んだ成田和也だが3着まで。
 「最後はあそこしかないですよね。(村上義弘を)抜けば1着と思ったら、まだ前がいた。上手くいかないですね。今回はいい着で終われなかったけど、また来月(宮杯)頑張りたい」
 鈴木謙太郎は岸和田の苦手意識を克服できず9着9着に終わった。
 「ダメですね…。最近は落車が続いてるからビビッてレースになってない。気持ちで負けてる感じです。あと1カ月、宮杯までには何とか戻したいですね」

<11R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
飯嶋則之選手
飯嶋則之選手
 「スーパープロピストレーサー賞」を制したのは新田祐大。自慢のダッシュで武田豊樹を合わせると、そのまま押し切った。
 武田の仕掛けは不発に終わったが、そこから上手くコースを突いた神山雄一郎(写真)が2着に。
 「武田が外で頑張ってくれたので、内にコースがあった感じ。伏見と接触? それは分からなかった。それどころじゃないからね。もうちょっとだったけど、コースが狭かった。でも、武田が頑張ってくれました」
 3着には飯嶋則之(写真)が続いた。
 「踏んだり止めたりのレースでコースを判断する余裕はなかったですけどね。こそっと3着に入れました。まだ課題は毎レースあるけど、いいレースはできたと思います」
 新田に合わされながらも外々を耐えた武田豊樹だが、最後に力尽きた。
 「外から仕掛けて出切れなかったのはしょうがない。でもダメなレースではなかったと思う」
 終始、内に詰まる形になった渡邉一成にとっては苦しい展開だった。
 「遅いかなと思ったけど、合わせるんだから新田は強いですね。でも、もう少し早く踏んでくれれば僕たちは楽だった。1コーナー、1センターで武田さんを飛ばせてればよかったですね。技術不足です」
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