『被災地支援競輪全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪レポート』 最終日編

配信日:5月22日
 伊東温泉競輪場を舞台に開催された平成28年熊本地震被災地支援・東日本大震災被災地支援・障害者スポーツ支援「全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪(F2)」は、5月22日に最終日が行われた。SS班5人をはじめとした豪華メンバーで熱戦が展開されたメーンの「スーパープロピストレーサー賞」。武田豊樹が、平原康多の番手から追い込み4度目の同レース制覇。賞金315万円(副賞含む)を手にした。


ミカリン・ミカリン娘・ミカ坊と遊ぼう
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地元新人選手 大石剣士・長谷部翔トークショー
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動物戦隊ジュウオウジャーショー
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ヨッシーのバルーンアートショー
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スピーチーズ ミニライブ
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スーパープロピストレーサー賞出場選手特別紹介
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スーパープロピストレーサー賞ダイジェスト
 号砲で単騎の村上義弘が誘導員を追い正攻法の位置へ。以下隊列は、新田祐大―渡邉晴智、原田研太朗、浅井康太―金子貴志、平原康多―武田豊樹―諸橋愛の並び。
 青板の1センターから平原の上昇を制して浅井が先に動く。その上を平原が押さえ、赤板から主導権を奪取。中団は関東勢に続いた原田と浅井で併走。平原は赤板の2コーナーからピッチを上げて全開で逃げる。外併走の原田は打鐘の2センターで位置取り争いに負けて後退。すると、中団を確保した浅井が間髪を入れず最終ホームからスパート。しかし、車間を空けて別線の反撃に備えていた武田が、浅井をブロックして不発に追い込む。新田も外が被ってしまい仕掛けられない。絶好の展開となった武田は直線で抜け出しを図ると、中を割ってきた諸橋の強襲を凌いで優勝。あと一歩まで迫った諸橋が2着。直線で鋭く伸びた渡邉が3着に入る。


ゴール
ゴール
ファンと握手する武田選手
ファンと握手する武田選手
表彰
表彰
<1R>
鈴木謙太郎選手
鈴木謙太郎選手
 大西祐が赤板から先制。中団を確保した坂本貴史が濱田浩司のけん制を乗り越えて先まくりを決めたが、8番手から大まくりを打った鈴木謙太郎(写真)がまとめて前団を飲み込み、白星奪取に成功した。
 「展開は最悪でした(苦笑)。ただ、感じが良いので後方になっても落ち着いて走れましたね。それでも、上のクラスで良い勝負するには、やっぱり中団にはいないと。その辺りが今の課題です」
 中団まくりで見せ場を作った坂本貴史だったが、鈴木の強襲に屈して惜しくも2着。
 「今日も先行基本に組み立てたんですけど、大西さんが結構踏んでいたので。ホームで行くチャンスはあったけど、そこで行けなかったのは反省点です。あそこまでいったら1着がほしかったですけど、これが良いキッカケになればと思います」

<2R>
坂上樹大選手
坂上樹大選手
 赤板手前で出た永井清史の態勢が整う前に、すかさず野口大誠が襲い掛かる。しかしながら、永井に主導権を譲る気配はなく、野口を突っ張りそのま先行策。浮いた野口が3番手に入り、後続は一本棒。別線のまくりは不発で、永井の番手から坂上樹大(写真)が抜け出した。
 「永井が強かったし、恵まれました。俺は(野口を)出させてもいいと思ったけど、永井は出させる気がなかった。気持ちが強かったですね。俺は余裕がなくて、(後続に)一気に来られたくなくて4コーナーから強めに踏んでしまった。永井に申し訳なかった」
 中団に位置した石丸寛之は伸びずも、付けた三宅達也は最終2センターからコースを縫って差し脚を伸ばし2着。
 「石丸さんが1回切っていい位置を取ってくれた。そのおかげです。最後は野口君に当たって悪いことをしたけど、余裕もあった。いろいろ悩んで、乗り方を変えたら腰痛が出たりした。でも、もう戻したし、腰痛が出なければもっと練習できるようになっていいと思う」

<3R>
山田久徳選手
山田久徳選手
 赤板で叩いた雨谷一樹が徐々にペースを上げて先行態勢に。打鐘前で山田久徳(写真)が雨谷後位へ潜り込み番手奪取を図ったが、河野通孝が位置を守り、山田は3番手へ車を下げて立て直す。最終ホーム手前から佐藤博紀がまくり返して前団へ迫ると、合わせて山田がスパート。河野のけん制をしのいでまくり切り、中村一将と近畿ワンツーが決まった。
 「あのままペースを上げられたらキツいので番手まで行ったんですけど。とにかく前へ前へという感じでした。(3番手に入って)1周くらい脚をためられたので、もう一度行けました。久々にまくりの決まり手が付いたので嬉しいです(笑)」
 まくった近畿勢を追い掛ける格好で山形一気が3着に入線。しかしレース後は反省しきりだった。
 「動いて位置は取りに行ったんですけど。山田さんが番手まで行ったと思ったら下げて3番手だったので…。3番手は確保しないと、付けてくれた高原(仁志)さんも納得しないでしょうし、後ろに迷惑かけました。外に佐藤さんがいて、中村さんも内を空けなかったので(仕掛けて)いけませんでした」

<4R>
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
 守澤太志、柴崎淳が雁行状態で前に出ようとするが、内をすくった和田真久留が赤板過ぎから主導権を握る。追い上げた内藤秀久、勝瀬卓也が和田に付け直すと、4番手が柴崎、神山拓弥で併走に。そこを目掛けて守澤が仕掛けると、離れながらも守澤を追った伏見俊昭(写真)が追いつきざまに逆転した。
 「危なかった。赤板から全部反応が遅れてました。でも、ゴールのところで届いたんでよかった。守澤君があそこで行くとは思わなかったし、前でからんでるのも見ちゃいましたね」
 ホームから豪快にまくった守澤太志だが組み立ての甘さを反省する。
 「前の併走を目掛けて行きました。カミタク(神山拓弥)も締め込むだろうし、そこしかないなと。でも組み立てが甘かったですね。ヘッポコ。伏見さんに迷惑かけなくてよかったです」

<5R>
高橋陽介選手
高橋陽介選手
 赤板手前で先頭に立った古性優作が、後ろを警戒しながら徐々にペースを上げ打鐘から全開で先制。後位の競りは池田憲昭をキメた中村淳に軍配が上がる。松川高大も早めに巻き返して出たが、中村の横で止まってしまい中村と併走。すると今度は松川の仕掛けに乗る形でまくり上げた高橋陽介(写真)が好回転で前団へ接近する。外へ膨れながらも持ち堪え、粘る古性をゴール寸前で捕らえた。
 「かなり膨れてしまったし、3車併走の一番外で登り坂だったからキツかったけど、なんとか粘れました。松川君を目掛けていったんですけど、タイミングはあまり良くなかったかもしれません。それでも調子が良いので行けました。調子も点数も戻ってきたし、これから大きいレースでも活躍できるように頑張っていきたいです」
 古性優作は果敢な先行策でレースを支配し2着に逃げ粘った。
 「後ろで競ってもらっていたし、今日はそれなりのレースをしようと思ってました。後方に置かれたらダメですからね。最後はいっぱいで、もうひと踏みがききませんでした」

<6R>
桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
 山田英明が赤板から佐川翔吾を突っ張るが、佐川も力任せに叩きに出る。山内卓也が連結を外して、主導権を奪った佐川の番手には山田が入る。前団の踏み合いを冷静に見極めた桐山敬太郎(写真)は、目標にハグれて浮いた中部勢に割り込まれることなく5番手を確保。最終ホームからロングまくりを放つと、逃げる佐川の番手から出た山田をとらえた。
 「(佐川が仕掛けて)山田君が突っ張っているのを見て、落ち着いて5番手キープでしたね。山田君と中団勝負かと思ってたし、7番手はないなって感じでした。(松岡貴久の)けん制で1回後輪が飛んでキツかった。チェーンを戻したら、(初日より)感じが良くなった。自力の1着はうれしいですね」
 最終2コーナーで桐山のまくりに合わせて番手から出た山田英明は、自らも桐山を外にもっていくが桐山は止まらず。2着を振り返る。
 「今日は佐川君が動く選手としては中心になるし、その動きだけを見ていた。(突っ張って佐川が)やめるかと思ってペースに入れたけど、やめなかったですね。あれで踏み合っても自分が9着になっちゃうんで、ハコで勝負と思いました。あそこから出ていったのは(ラインの)みんな付いていたし、仕掛けるのが仕事なんで(笑)」

<7R>
岡村潤選手
岡村潤選手
 レースが動いたのは青板周回。中団に構えた川村晃司が前と車間を空けながら後ろの渡邉雄太をしきりに警戒する。川村は青板バックから仕掛けていったが、その上を渡邉が強引に叩いて主導権奪取。7番手から打鐘で反撃を試みた小松崎大地は渡邉に合わされ不発に終わる。川村が2コーナーまくりで前団へ迫ると、渡邉の番手で仕事をした岡村潤(写真)が川村に合わせてタテに踏み、好展開をモノにした。
 「恵まれました。渡邉君はペースをつかめば本当に強い。しっかり踏めていたし、作戦通りに行ってくれました。もう少し残せるかなとも思ったけど、川村さんが横まで来ていたので…。(最近の結果は)流れやラインのおかげ。うれしいです」
 立て直して2角まくりを放った川村晃司だが惜しくも2着まで。
 「遅かったら突っ張ろうとも思ったけど、(渡邉が)結構踏んでいたので、行かして中団。作戦はうまくいったんですけど、結果的には前まで行けてないので…。ただ、感じは少しずつ良くなっています」

<8R>
井上昌己選手
井上昌己選手
 赤板前に先頭に立った野原雅也を吉田敏洋が打鐘過ぎに叩いて主導権を奪う。8番手に置かれた北津留翼だったが、2コーナーからまくるとグングン加速。直線で吉田を飲み込み続いた井上昌己(写真)がゴール前逆転した。
 「後方になってうわーっと思いましたよ。敏洋に付いて行けって言ってたのに、構えてバックまくりでしょ。ダメダメです。結果ワンツーだからよかったけど」
 北津留翼も外に持ち出したスピードは圧巻だった。
 「もう必死でした。なかなか厳しいですね。なかなか詰まらなかったし、仕掛けるところもあそこしかなかった。あれで飛んでたら目もあてられないですからね。何とかよかったです」

<9R>
三谷竜生選手
三谷竜生選手
 松浦悠士が斬った上を、根田空史が叩いて赤板から先行態勢に入る。しかし間髪入れずに三谷竜生(写真)が反撃開始。根田と三谷で踏み合いとなる。合わされた三谷は内の片寄雄己をキメて番手奪取に成功。すかさず番手まくりを打ち、抵抗する根田を捕らえて力比べを制した。
 「ちょっと失敗レースになってしまいました。引くタイミングも遅かったし。(根田に突っ張られたが)あそこから車を下げるわけにはいかないので。キツかったけど、最後は気持ちでなんとかなりました」
 しぶとくまくり追い込んだ松浦悠士が、三谷マークの南修二を交わして2着に強襲。
 「引こうとしたら南さんにからまれたりしてキツかったです。でもシューズを換えた効果が出たと思います。初日より馴染んできた感じがあったし。これからが楽しみです」

<10R>
竹内雄作選手
竹内雄作選手
 一度は郡司浩平ラインに出られた竹内雄作(写真)だったが、内からすくって主導権を奪い返して赤板を迎える。岩津裕介が追い上げるが、郡司も引かずに竹内後位は併走。早坂秀悟が巻き返すと、竹内は打鐘過ぎに北日本の2車を受けて3番手。最終2コーナーからのまくりで前団を仕留めた。
 「郡司君を行かせないように駆ければ、なにも問題はなかった。早坂さんのことを気にしすぎました。もっと自分のレースをすれば良かった。ずっと昨日みたいなレースを続けていかないとダメですね。そこからは(まくって行ったけど)必死で、なにがなんだかわからなかった」
 岩津に競り負けはした郡司だったが、そこからもしぶとく前々に踏んで粘り強い走りを披露。郡司マークから園田匠が、直線で外に持ち出しシャープに伸びた。
 「(郡司は)よく頑張ってくれた。中団に引いてくるかと思ったけど、勝負してくれた。レース勘がいいですね。自分では回している感じでした。そこからは内に行きたかったけど、昨日内に行って詰まってなにもできないで終わっている。だから、外に行きました。昨日も外に行けば、なんてことはなかったと思います」

<11R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 青板1コーナーで後ろ攻めの深谷知広(写真)が上昇を開始すると、中団に構えた山崎芳仁もこの動きに反応し、青板バックで一度斬る。この上を叩いた深谷が赤板からペース駆けに持ち込んだ。7番手まで下げた稲垣裕之が打鐘2センターからまくり返すが、これを大塚健一郎が好ブロック。後ろの援護もあって、深谷がそのまま力強く押し切った。
 「今日は力を出し切れました。でも1着を取れたのは後ろのおかげです。踏んだ感じも悪くなかったですね。また次も頑張りたいです」
 稲垣マークの村上博幸は、大きくけん制した大塚の内に切り込んで2着を確保した。
 「(稲垣が)まくりになった時は、サンサンだし(膨れることもあるから)どこかコースを突っ込まなきゃと思ってました。なので準備はできていたし、余裕もありましたね。ただ、まだまだ修正点もたくさんある。これからもっと上げていきたいです」

<12R>
諸橋愛選手
諸橋愛選手
 「スーパープロピストレーサー賞」を制したのは、当大会との相性が抜群な武田豊樹だった。主導権を握った平原康多の番手で浅井康太らの巻き返しを封じると、最後は諸橋愛の中割りもしのいだ。
 中を割って一度は武田を交わした諸橋愛(写真)だったが武田に差し返されて僅差の2着という結果に。
 「武田さんだったし、ちょっと遠慮があった。最後は頭がひっかかって、ハンドルを投げられなかった。容赦なくいかないとダメですね(苦笑)。そこだけが心残りです」
 任せた新田祐大は内に詰まって仕掛けられず。それでも渡邉晴智は直線で空いたコースを鋭く伸びて3着に突っ込んだ。
 「みんな強かったです。僕は連日、コースが空きましたね。(伸びたかどうかは)VTRを見ないと分からないけど、3着ならいいですね。昨日は伸びたけど、今日はちょっと分からないです」
 レースの主導権を握ったのは平原康多。4着には敗れたが、出し切ったレース内容には満足げだ。
 「半分くらいは(自分が逃げる)あんな展開になると思った。踏むポイントだけ決めておいて、そこで(別線が)来なかったので思い切っていきました。残れなかったのは今の力だけど、ラインの競走はできたんじゃないですかね」
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