『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪レポート』 初日編

配信日:5月27日

 和歌山競輪場を舞台に全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪が5月27日に開幕した。晴天の下、豪華メンバーによる激しいレースが繰り広げられた。 初日のメーン優秀3個レースでは、岩津裕介、浅井康太、渡邉一成が勝ち名乗り。明日の28日は、優秀を勝ち上がった9人によって、「スーパープロピストレーサー賞」が争われる。
 明日は元砂七夕美選手、山本レナ選手のトークショーや長田真友子さん、スピーチーズのミニライブ。山口幸二氏、井上薫氏のトーク&予想会などイベント盛りだくさん。明日もぜひ和歌山競輪場で迫力あるレースをお楽しみください。

山本知佳選手、布居大地選手、南潤選手トークショー
山本知佳選手、布居大地選手、南潤選手トークショー
スピーチーズ ミニライブ
スピーチーズ ミニライブ
ストロベビー お笑いライブ
ストロベビー お笑いライブ
プラスマイナス お笑いライブ
プラスマイナス お笑いライブ

<1R>

天田裕輝選手
天田裕輝選手
 後ろ攻めの金子幸央が打鐘で押さえて先制すると、すかさずカマして来た取鳥雄吾を合わせ切る。山田庸平が踏み合いをまくりに行くが、車の出は一息。取鳥、山田を封じ切った金子の番手から、最後は天田裕輝(写真)が抜け出した。
 「ホームで口が空いてしまい(金子に)悪いことをしましたね。彼はダッシュがいいですね。勝手に残ると思ったけど、やっぱり(坂本が)伸びて来ましたね。(ワンツーが)決まったかと思ったけど、もったいないですね。感触は悪くないけど、自分は付いていって1着を取らせてもらっただけです」
 脚をタメていた坂本貴史が大外をまくって天田に迫った。
 「金子がやる気だったので、脚をタメていて思ったような展開になりましたね。脚を使っていなかったし、調子はよかったので届くかと思ったけど天田さんも強かったです」
 金子幸央はゴール前で末を欠いたが、別線を出させずレースを支配した。
 「取鳥君が来て合わせて踏んで、ホームからずっと踏みっぱなしでキツかったです。もう必死でしたね。できれば2着に残りたかったけど、力は出し切れたので良かったです。次につながる競走はできたと思います」

<2R>

戸田康平選手
戸田康平選手
 打鐘で前に出た渡邉雄太に対し、5番手の山本伸一が最終ホーム手前で反撃に出る。後方になった戸田康平(写真)は山本の仕掛けを追うと、1センターから大外をまくり上げる。軽快なスピードで前団をひと飲みした。
 「僕のところだけ3車なので、先行できたらと思ったけど、渡邉君も踏んでいたので。8番(山本伸一)がいかなかったらきつかったですね。踏んだ感じは、そこまで悪くなかったです。最近も良いですね。(好調の要因は)タイヤ引きくらいしか思いつかないです」
 続いた渡部哲男は、戸田を交わせずマークの2着。
 「戸田君は先行したかったみたいだけど、無理矢理いっても。組み立ては理想と違ったけど、柔軟に対応したと思う。(山本の仕掛けを)見たらなかったし。(直線では)抜きたかったけど、抜けなかった。踏み出しもしっかりしていたし、強かった」
 最終3コーナーで渡邉がまくられると、小原太樹は口の空いた渡部後位にスイッチ。直線で懸命に追い込んだが3着。
 「今日は渡邉君が勝てるようにやってくれと話していました。志村(龍己)さんが3番手に入っていたし、空けたら入ってきちゃうと思って。せっかくいってくれたのに申し訳ない」

<3R>

三宅達也選手
三宅達也選手
 インを切った西村光太を河端朋之が叩くと、そこを打鐘過ぎから堀内俊介が叩いて主導権を奪う。後方となった早坂秀悟も巻き返すが、3番手の横でスピードが鈍る。8番手で立て直した西村が2コーナーからまくるが、武井大介のブロックに遭い不発。すかさず番手から柴崎俊光が外へ持ち出したが、河端後位で脚を溜めた三宅達也(写真)が武井と西村の間を突いて鮮やかに突き抜けた。
 「ホームでバタやん(河端)のダッシュに踏み遅れて迷惑をかけるパターンだと焦ったけど、何とか追いついてからは余裕が出て直線は伸びてくれた」
 2着に突っ込んだ柴崎俊光は前を任せた西村を労う。
 「早い展開になることは想定できたので、西村君が自分のタイミングで仕掛けてくれればそれで十分。一旦は後方になったけど、いい感じでまくってくれた」
 人気を集めた河端朋之は3番手の内で早坂と併走になり持ち味を発揮できず。
 「う~ん、打鐘からこのメンバーで(堀内と)踏み合うわけにもいかないので…。内に詰まり自分らしさを出せなかった。脚が余ったまま終わってしまい、もどかしいですね」

<4R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 ライン3車の野原雅也が主導権。4番手の杉森輝大がまくった上を、6番手から仕掛けた太田竜馬(写真)が力で飲み込んだ。
 「(コーナーで浮き気味になって)あそこがキツかった。でも併走でも我慢できれば下りだし、感覚的には行けるなと思った。感触的には悪くないと思う。悪ければ外で止まってると思うんで」
 逃げる野原雅也を懸命に援護した川村晃司だったが、太田に山おろしで伸び切られてしまった。
 「太田君は外で止まったと思ったけど難しいですね。あそこは僕の技術のなさです」
 太田の仕掛けに離れてしまった橋本強だったが、内からリカバリーすると直線コースを縫って3着に食い込んだ。
 「僕はバック踏みながらの踏み出しだったし、全然ムリ。1ミリも付いて行けなかった。2着に行きたかったけど、どうにか。2センターから行けそうな雰囲気はあったけど、うかがいながらだったので」

<5R>

阿竹智史選手
阿竹智史選手
 後ろ攻めの松川高大が根田空史にフタをして九州勢を追った阿竹智史もそれを見てペースは上がらず。前受けからホーム前まで誘導を使った雨谷一樹が先行態勢を築く。8番手に引いた根田がすかさず巻き返してジワジワと伸びてくるが、3番手に追い上げた阿竹智史(写真)が2センターから外を踏むと根田との伸び比べを制して白星を挙げた。
 「根田がカマしたらキツいし、雨谷も駆けたら強いのでスンナリではキツいと思ったのでホームで追い上げていきました。根田に被ってしまったけど、脚が整っていなかったし、タイミングもなかった。その後は外を踏んでいくしかないと思ったけど届いてくれましたね。脚は悪くないです」
 まくった根田空史はゴール寸前で阿竹に交わされ惜しくも2着に。
 「踏み出した感じはいいけど、なんか体がフワフワしていますね。ダメですね、仕上がっていない。内に阿竹さんがいたのは分かっていたけど、締めたら落車してしまうし仕方ないです。ずっとカーボンフレームに乗っていたので体がおかしくなっています」
 別線の動向をうかがいながら主導権を握った雨谷一樹が3着に逃げ粘る。
 「順番がくれば駆ける気ではいました。あの展開になったら行くしかないですよね。駆けてからはずっと踏みっぱなしで、最後まで踏み切ることはできました。1周だし、いつもより駆ける距離も短かったので」

<6R>

松岡健介選手
松岡健介選手
 嶋津拓弥が後ろ攻めから上昇して前に出る。その上を稲毛健太が押さえ打鐘で主導権を握った。この動きに続いた黒田淳が4番手、併走を嫌った嶋津は引いて6番手。井上昌己が8番手で最終ホームを一本棒で通過。番手の松岡健介(写真)は、バックからまくってきた黒田をけん制して勢いを殺すと、最後はゴール前で差し切った。
 「(稲毛は)踏まなアカンところで踏んでくれた。最後も残ってくれたし、強かったですね。できれば、(渡辺)十夢を3着までに入れたかったけど…。付いていただけなので、調子はつかめなかったけど、1着が取れてますからね」
 稲毛健太が粘って2着。積極的な競走で、地元ファンを沸かせた。
 「ペースでいけました。流しすぎて、まくられないように気を付けて。でも、距離が長くて不安でした。バック(追い風)で流れるのはわかっていたし、粘り切れましたね。一個上(ダイナミックステージ)に上がれるのでよかった。競輪の方は良くなってきたので、あとは競技です」

<7R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 前受けの新山響平が松浦悠士の上昇に反応して突っ張り先行。松浦が後退すると、木暮安由は内をすくいソツなく中団をキープする。神山雄一郎は木暮を追えず、追い上げを試みるも中国勢に阻まれて後退した。2コーナーから木暮がまくると、松浦を飛ばして木暮に切り替えた佐藤慎太郎(写真)が直線で木暮を逆転した。
 「最後はホームの向かい風で木暮君が止まってくれればと。2周以上も先行するんだから(新山は)すごいよね」
 木暮安由は注文通りに中団をキープして、新山の逃げをまくり切った。
 「新山君は突っ張るような雰囲気を出していましたね。スピード的に悪くはなかったけど、慎太郎さんのブロックで少し鈍った」
 さすがの新山響平も赤板前から駆けてはさすがに苦しかった。
 「今日は最初から全部突っ張るつもりでした。まだ、3.92のギアを使いこなせていない。このギアを踏み切れるようになると決めたので、少し時間はかかるかもしれないが取り組んでいきたい」

<8R>

稲川翔選手
稲川翔選手
 山崎芳仁、長島大介が動いた上を中井俊亮が叩いて主導権を握る。大きく車間を空けていた番手の稲川翔(写真)は車間を詰めながらまくって来た長島をブロック。そのまま直線抜け出した。
 「できることをやりたいなって思ってました。車間を切っても余裕はあった。(中井が)しっかりした先行をしてくれると思ってたし、後ろが博幸さんだったのも気持ちが入った。これに満足せず頑張ります」
 近畿ライン3番手を回った村上博幸が2着に続いた。
 「今日は安心してました。(別線のまくりは)翔が何とかすると思ってたんで。言い方は悪いけど気楽でした。諸橋(愛)さんが降りてくるとは思ってたし、からむのはしょうがない。ワンツーでよかったです」
 2センターから外を回した山崎芳仁が3着に。
 「長島が浮いちゃうと思ったし、あの外を踏んでたら僕も一緒に張れちゃう。長島がやめてから、その間を行こうと思ってました。長島ももうちょっと踏むかと思ったら、あっさり中井を出させちゃったし、あの展開であれ以上は厳しいですね」

<9R>

松岡貴久選手
松岡貴久選手
 打鐘前に切った山田久徳を根本哲吏が叩いて出るが、さらにその上を菅田壱道がカマして出る。8番手で脚をタメていた松岡貴久(写真)が仕掛けどころを逃さずにホーム過ぎからスパート。和田圭のけん制を乗り越えて鮮やかにまくり切った。
 「作戦的には前を取って流れで組み立てていこうと。あまり脚の感触は良くないけど、前で(別線が)脚を消耗していたので行けただけです。状態的にはまだ戻ってないです」
 根本後位から熊本コンビを追う形で外を回した守澤太志が2着に突っ込んだ。
 「みんな内に行っていたのでうまくコースが空いてくれましたね。脚に余裕はあったので。ただ、疲れが残っているし体がフワフワしている」
 合志正臣は松岡を追走するもゴール前で和田にからまれて伸びを欠いた。
 「からまれたのもあるけど、終始(松岡)貴久に千切れっぱなしでいっぱいでした。貴久が強かったです。疲れはあるし、キツいけど3着に入れたので頑張っていきたいです」

<10R>

岩津裕介選手
岩津裕介選手
 単騎の竹内雄作が、先に前に出た吉澤純平を赤板の1センターで押さえる。しかし、吉澤は後方から踏み上げた山田英明に合わせて先頭に躍り出た。後方で戦況をうかがっていた吉田敏洋は打鐘の3コーナーからカマして吉澤を叩く。番手の武田豊樹は、吉澤の余力を見極めて愛知コンビにスイッチ。3コーナーから山田の仕掛けに合わせて踏み上げる。その後ろの岩津裕介(写真)は空いたインコースを突くと、最後は愛知コンビの中を割って突き抜けた。
 「(吉澤が山田に合わせて踏んで)遅れてしまいました。下げるのかなって思ってしまって。でも、何とか連係を外さずに。(最終2センターでは)あの位置になったので内かなと。重い感じはあるけど、1着は取れているので、思ったほど悪くはないかな」
 金子貴志は直線で追い込むも、岩津に屈して2着。
 「(吉田は)すごいですね。気持ちも感じられたし、今日はその頑張りに尽きます。(武田が)来ていたのもわかっていて、ギリギリまで待っていたら、外も来ていて。何とか2人で決めたかったですね」
 3コーナーから踏み上げた武田豊樹だったが、車の進みはいま一つ。それでも、懸命に踏み続けて3着に入った。
 「吉澤君と連係を外しそうになって危なかった。(その後は)吉澤君も厳しそうだったし、切り替えました。毎年(和歌山バンクを)走っているけど、3コーナーは伸びないですね。疲れもあるのかもしれない。ここまで取手記念に向けて練習もしてきたので。期待に応えられなかったので、明日またしっかり頑張ります」
 竹内と別線を選択した吉田敏洋は、直線で失速して4着に敗れた。それでも、力を出し切り納得の表情。
 「最近の中で、一番長い距離を踏んだし、全身がきつい。でも、自分がこうしようと思っていたテーマはクリアできた。あとは我慢して、結果が伴うのを待つしかない」

<11R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 後ろ攻めから先行態勢に入った吉田拓矢に打鐘過ぎから脇本雄太が襲い掛かる。平原康多のけん制をしのいだ脇本がホームで吉田を叩き切ると、平原は南修二を飛ばして3番手にスイッチする。深谷知広は内に切り込んでコースを失ったが、マークの浅井康太(写真)は石井秀治のバックまくりに切り替えて直線外を突き抜けた。
 「深谷が内に行ったけど、詰まって終わると思った。外を踏もうと思ったら石井さんも行ったんで付いて行った。行かなければ自分で行くつもりだったんですけどね。最後は出ましたね、意外に。古性のけん制で石井さんが止まって厳しいかなと思ったけど、よく伸びた。今日は冷静に判断できたと思う」
 脇本の逃げを利した古性優作は石井を張りながら前に踏んだが浅井の強襲に屈した。
 「脇本さんが強すぎです。今日は脇本さんと南さんのおかげ。石井さんが見えたので張ったけど、平原さんも内に来るだろうと思った。締めてと思ったけど難しいですね。できることはできたと思うけど、また明日ですね」
 平原康多は厳しい展開をしのいで3着で「スーパープロピストレーサー賞」に勝ち上がった。
 「あれ行かれちゃうんですね。援護するつもりだったけど、脇本が強かった。南さんのとこ(に飛びつくの)で精一杯だったです。(脇本のカマシ、石井のまくりと)全ていいタイミングで来られて、タイミングが取れなくてかぶっちゃった。最後は内しか踏み場がなかったです」
 バックからまくった石井秀治だったが、惜しくも4着で勝ち上がりを逃した。
 「南が放っぽり上げられるのが見えたし、そこから仕掛けたけど最後は古性の振りも効いた。今回、シューズを新しくして感じを完全につかめてなかったのも残念。3着かと思ったけど、4着でしたね」
 内に詰まって出し切れずに終わってしまった深谷知広は「吸い込まれた。技術不足以外の何ものでもない。勉強ですね」と肩を落とした。

<12R>

渡邉一成選手
渡邉一成選手
 打鐘で前に出た郡司浩平はすかさず仕掛けてきた三谷竜生を懸命に合わせる。4コーナーで自ら三谷をけん制したが、この動きで三谷が落車。村上義弘、椎木尾拓哉も乗り上げてしまう。落車を避けた原田研太朗だったが、なかなか車間は詰まらず。バックから新田祐大がまくると続いた渡邉一成(写真)がゴール寸前で逆転した。
 「アクシデントはお互い力を出し切ってのものだし仕方ない。素直に喜べないけど、今日は新田がよく仕掛けてくれました。4コーナーから踏み込んだ時は抜けないかと思ったけど、最後抜けたんで。久しぶりに1着が取れたし、本当に久しぶりに新田を抜いた感じ」
 渡邉に差されはしたが落車を避けて2コーナーまくりを打った新田祐大の走りも力強かった。
 「三谷君と郡司君が先行し合う感じになるとは思わなかった。(仕掛ける)タイミングが来たなと思ったら始まったので。落車を避けてからは冷静に対処しようと思ってたし、自分のタイミングを取ってしっかり力を出し切るレースができたと思う。その場に応じて考えながらやっていきたいねって言ってたので、明日(スーパープロピストレーサー賞)は一成さんの番手を回ります」
 郡司浩平の逃げに乗った中村浩士が3着で「スーパープロピストレーサー賞」に滑り込んだ。
 「(郡司は)どうするのかな?引くのかなと思ったけど、けっこう踏み込んで行ったし、落車でビックリした。郡司君は車輪がブレながらだったし、後ろを警戒しながら付いてったけどやっぱりあの2人は来ましたね。あのスピードじゃどうすることもできなかった」
 3番手という好ポジションに入った原田研太朗だったが、落車を避けた時点で一杯だった。
 「誘導を切りに行くのもキツかったし、落車を避けて脚が一杯になった。どっちに避けるか迷ったし、あれなら先に内に下りて中村さんを追ったほうがよかったかな」