『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪レポート』 最終日編

配信日:5月28日

 和歌山競輪場を舞台に行なわれた全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪は、5月28日に最終日を迎えた。SS班6名を含む強豪が激突した「スーパープロピストレーサー賞」は、古性優作が初制覇。まくり切った平原康多の後位をさばくと、直線で追い込んで激戦を制した。

長田真由子 ミニライブ
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スーパープロピストレーサー賞 特別選手紹介
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マロン陵 おもしろものまねショー
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スマイル お笑いライブ
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スーパープロピストレーサー賞ダイジェスト

 号砲で浅井康太が飛び出し、浅井-金子貴志の中部勢が前団から。古性優作-岩津裕介、渡邉一成-新田祐大、平原康多-武田豊樹に単騎の中村浩士が続いて周回を重ねる。
 平原は青板のバックから早めに上昇を開始。浅井が下げて平原が赤板で誘導後位に収まると、その上を古性、渡邉の順で押さえて出て2コーナーで渡邉の主導権。勢い良く飛び出した渡邉に新田、車間が空いて古性-岩津で打鐘を通過する。5番手の平原に、外から仕掛けた浅井が併せ込み併走。浅井はさらに踏み込んで逃げる渡邉に襲い掛かり最終回へ。
 渡邉が懸命に合わせるが、浅井、さらにその上を平原が1センターからまくって出る。北日本勢の後ろにいた古性はバック手前でこじ開けるように浅井を追って、最終的にまくり切った平原後位にスイッチ。2センターで外の武田を弾いた古性が、直線で抜け出し1着。古性マークから追い込んだ岩津は2着まで。3着は立て直して外を踏んだ武田。

<1R>

井上昌己選手
井上昌己選手
 松川高大が動いた上を打鐘で叩いた河端朋之が主導権。河端のかかりに3番手を確保した松川もなかなか動けず仕掛けは2センター過ぎから。松川マークの井上昌己(写真)はそこから車を持ち出すと外を鮮やかに突き抜けた。
 「まっつん(松川)のおかげ。どこで行くかと思ってたけど、河端もかかってたからね。やってみたかったから最後、内に行くのも考えたけど、余裕もあったんで外。伸びましたね。ショートは戻ってきたんで、あとはロングが行けるようにですね」
 逃げた河端朋之は直線で失速して6着に。
 「バックの追い風でめっちゃ流れたんで、調子に乗ってそこで踏みすぎた。2車なんで柏野(智典)さんが仕事して内外を来られるよりは踏んで残れればと思ったんですけどね」

<2R>

山田義彦選手
山田義彦選手
 山田義彦(写真)、山本伸一の順で前に出る。その上を取鳥雄吾が打鐘の3コーナーで強引に叩いて主導権を握った。一本棒で最終ホームを通過すると、5番手の山田が後方からまくってきた西村光太に合わせて踏み上げる。先まくりを放った山本を力でねじ伏せて快勝した。
 「今日は取鳥君と山本さんが主導権争いで、自分と西村さんで位置取り争いだと思っていました。予想通りの展開になりましたね。もがき合ってくれたし。自転車もセッティングも見てもらって、よくなりました」
 合わせられた西村光太は、山田を追いかける形で2着に入る。
 「ジャンで取鳥君がいって、それに付いていく作戦だったんですど…。でも、山本さんもだいぶ踏んでいたので、ちょっと無理でしたね。ジャンで行けなかった分、早めにまくりにいこうと。もっとタテ脚を鍛えつつ、位置取りも厳しくしないと」

<3R>

早坂秀悟選手
早坂秀悟選手
 打鐘で勢いよく山田庸平が飛び出したが、そこからペースを上げないと見るやホームから野原雅也が叩き返す。その上をすかさず仕掛けた早坂秀悟(写真)が前団を一気に飲み込み押し切った。
 「切り合いというより、雅也がすんなり(山田を)出させたし、山田も先行し慣れてないから、また雅也に叩かれた。僕はそこで行く準備はしてたので。昨日が中途半端だったんで、その反省を生かせました」
 逃げた野原雅也は1車で出切った早坂を懸命に追ったが逆転はならず。
 「自分のペースで踏んでたけど、早坂さんが来てて気づいたときには軽く行かれてた。追いついてと思ったけど、無理でしたね」

<4R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 後ろ攻めから上昇した雨谷一樹が、赤板で誘導を降ろす。この動きに松浦悠士も続き、ペースはスロー。前受けの堀内俊介は後方に下げるも、1センターから一気に加速。3コーナーで主導権を握った。叩かれた雨谷は態勢を整えると、最終2コーナーから仕掛ける。しかし、伏見俊昭のブロックもあってなかなかまくれない。すると、最終バックを7番手で通過した松浦悠士(写真)が、3コーナーから踏み上げる。大外を一気にまくって勝利した。
 「一回斬って、堀内さん待ちでもよかったんですけど、雨谷君が赤板前で踏んだから突っ張ると思いました。そしたら出させてしまって。でも、後ろが長島(大介)さんだから仕掛けるとは思いましたけど。(3番手に)黒田(淳)さんも付いているし、しっかり仕掛けたかったですね。ただ、届いているから脚は上がっている」
 長島大介は2センターから車を外に持ち出すと、直線で追い込む。しかし、ゴール寸前で松浦に交わされて2着。
 「今日は取った位置次第でと話していました。雨谷はダッシュもすごいし、あのパターンでカマシはないと思ったけど。(雨谷の仕掛けに口が空いたのは)松浦が来たら張ろうと思っていたんですけど、自力の間合いになってしまいましたね。余裕があったので。思い切りいけば、抜かれなかったと思います。中途半端でした」

<5R>

嶋津拓弥選手
嶋津拓弥選手
 打鐘で松岡篤哉ラインの3車を受けた嶋津拓弥(写真)はすんなりと4番手を確保。バックからまくると続いた岡村潤とワンツーを決めた。
 「あんなにすんなり4番手が取れるとは思わなかった。取り切ってからも落ち着いてました。松岡さんのかかりもよかったんで行ける感じではなかったけど、後ろに岡村さんもいるし行かないことには。コーナーで浮きかけて焦ったけど、まくり切れてよかったです」
 嶋津マークの岡村潤は逆転ならず。
 「作戦があの位置を取ってだったし、2車だから嶋津の仕掛けでいいよと言ってた。想定どおりでしたね。あとは抜けるかどうかだったけど、2センターで内行くか外行くか迷ったんで。結果抜けなかったのはしょうがない。もうちょっとですね」

<6R>

永澤剛選手
永澤剛選手
 後ろ攻めの新山響平が、合わせて踏んだ山田久徳を制して前に出る。そして、別線を警戒しながら徐々にピッチを上げて先行態勢へ。番手の永澤剛(写真)は、3番手からまくってきた山田久徳を2度のブロックで仕留める。最後は直線で抜け出した。
 「粘られると思っていたし、余裕もなかったです。早駆けだけはしないでくれと。後輩の頑張りのおかげですよ」
 前受けから後方に下げた金子幸央は、最終バックを8番手で通過する大ピンチ。それでも、3コーナーから大外をまくり上げて2着。
 「(新山が早くからピッチを上げていて)あれをカマすのはきついかなと。落ち着いて、一発勝負にいこうと思いました。出脚は良くなかったけど、伸び自体は良かったですね。最後は届いたと思ったけど。ちょっと外を行きすぎました。でも、調子は良いので、明日の競技はビシッと決めたいです」

<7R>

和田真久留選手
和田真久留選手
 中井俊亮の上昇に対して、前受けの太田竜馬は誘導員を残して車を下げると打鐘過ぎから一気に叩きに行く。合わせて踏む中井をダッシュよく叩き切ったが、離れ気味だった小倉竜二は村上博幸にさばかれ番手には中井が。その中井は詰めた勢いで太田をまくりに行くが合わせた太田が出させない。激しく踏み合った末、そのまま太田が押し切るかに、単騎で近畿勢後位にいた和田真久留(写真)が外を一気に突き抜けた。
 「単騎だし、前々に踏んで緩んだところからと思ってた。でもバックで小倉さんに全体重で押し込まれたのが誤算でした。キツかったですね。けっこう脚に来てたけど、最後は何とかって感じです」
 逃げた太田竜馬は2着。裸逃げになる展開を力でしのいだ。
 「あのタイミングで行く作戦ではなかったけど、緩んだしホームで行ったら合わせられそうな気がした。小倉さんが千切れてるかなと思ったけど、(中井が)あんなにすぐ来るとは思わなかったですね。でも合わせ切れたんで。もうちょっとだったけど、やっと感じは戻ってきました」
 3着の村上博幸は小倉を飛ばして中井を迎え入れるなど番手で好アシストを見せた。
 「あんなに誘導員を使う展開になるとは思わなかった。(ホームの動きは)単純に外を飛ばすんじゃなくて、うまく対処できたと思う。次につながりますね」

<8R>

諸橋愛選手
諸橋愛選手
 赤板の2コーナーで先頭に躍り出た根田空史が、すかさず巻き返してきた川村晃司を突っ張って出させない。最終ホームから8番手の阿竹智史も反撃に出たが、中団までが精一杯。番手の海老根恵太が最終2センターから車を外に持ち出すと、初手から南関勢に付けた諸橋愛(写真)は空いたイン突いて抜け出した。
 「(千葉コンビに付けたのは)根田の先行なら、なかなかまくれないし。でも、展開によっては、エビちゃん(海老根恵太)のところも考えていました。最後は必ず追い込んでくるので、いつも通り(インコースに進路をとった)。落車の影響もなくなってきましたね」
 2着の海老根恵太は、諸橋に交わされてがっくりと肩を落とす。
 「根田はカカっていましたね。川村さんも合わせちゃうし。(諸橋が)来るのもわかっていたんですけど…。もっとゆっくりいけばよかった。でも、阿竹も来ていたので。実力不足です。こういうのをなくしていかないと」
 逃げた根田空史は、3着に粘った。
 「(川村がすぐ巻き返してくるのは)予想していました。一人で来てくれれば出させたけど。付いてきているから、合わせて良かった。状態はすこぶる良いですね」

<9R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 天田裕輝が上昇したうえを動いた山崎芳仁(写真)は、戸田康平を受けて3番手を確保。巻き返してきた稲毛健太を張りながらそのまま踏み込むと、守澤太志とワンツーを決めた。
 「良かったですね。今回はレースができてるから。誰か来るだろうし、出た方が話が早いかなと思って行った。上手くいきましたね。状態は悪くないので、このままキープできるようにしたい」
 守澤太志は稲毛と三宅達也の間でアンコになりながらも何とか山崎を追走した。
 「ヘッポコで踏み遅れました(苦笑)。山崎さんが稲毛を振ると思わず、下にいたのもあったので。山崎さんがいいレースをしてくれたし、強かったです」
 不発に終わった稲毛マークから3着に突っ込んだ東口善朋は「健太に任せてたのでしょうがないですね」と言葉少なにレースを振り返った。

<10R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 吉田敏洋(写真)がチャンスをモノにして白星。レースは先に前に出た脇本雄太を、深谷知広が打鐘で叩いて先行策に出た。態勢を立て直した脇本雄太は、後方から踏み上げた原田研太朗に合わせて仕掛けるも前団をまくれない。番手の吉田は車間を空けて深谷をアシストすると、直線で抜け出した。
 「今日は付いていただけ。でも、昨日があったからか楽に感じた。深谷もセオリー通りのレースをしてくれたね。最後は残そうと思ったら、(椎木尾拓哉に)食われたかと思った。できれば、残してワンツーが良かったけど。深谷も3着に残ってくれてよかった。結果は出せたので、あとは我慢してエネルギーを蓄えて。チャンスはくると思うので」
 脇本に惰性を貰った椎木尾拓哉が、直線で伸びて2着に入った。
 「今日の作戦は出たとこ勝負でした。脇本君が無理くりいってくれたので、チャンスができました。風を受けてなかったので伸びましたね。でも、今シリーズは落車もあって、きつかったです」
 深谷知広が粘って3着。しっかりと力を出し切った。
 「(主導権を握るのは)最低限ですね。昨日、脚を使えずに終わったので。でも、まだ伸びシロはあるし、しっかりと次のGIに向けて。状態も悪くないし、方向性も見えてきた」

<11R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 打鐘で吉田拓矢が飛び出すと、すかさず巻き返した竹内雄作は吉澤純平のけん制で出られない。吉田がペースに持ち込んで逃げるが、最終ホームから松岡貴久が早めの巻き返し。バックで前団をまくり切ると、続いた中川誠一郎(写真)が直線鋭く伸びた。
 「吉澤はハコまくりを打つのかなと思ったら僕にからんできたので大丈夫かなと。僕は余裕があったんで。でも竜生がすぐ横まで来てたんで締め込み気味に出切られるとまずいと思って踏んだら思った以上に出ましたね。貴久に悪いことをしました」
 熊本コンビのまくりに乗る形で外を踏んだ三谷竜生は稲川翔に交わされ3着に。
 「流れでああなったけど、(成田和也に降りられて)ホームであれだけバック踏んでるし、結局中途半端でした。(初日に落車したが)走ってるんで問題ないです」
 吉田の番手で献身的なアシストを見せた吉澤純平だったが、松岡のまくりには対応できず。
 「竹内を合わせたし、竜生も後ろにいた。油断もあったけど、松岡(の仕掛け)を考えてなかったですね。中川さんを飛ばせればと思ったけど返されたし、番手の経験不足です」

<12R>

古性優作選手
古性優作選手
 「スーパープロピストレーサー賞」は、古性優作(写真)が大立ち回りを披露して初制覇した。レースは渡邉一成が赤板の2コーナーで主導権。古性は福島コンビを受けて3番手を確保する。最終ホームから内に包まれるも、仕掛けてきた浅井康太に2コーナーでスイッチ。さらに、その上を平原がまくり切ると武田豊樹を捌く。最後は直線で追い込んで勝利した。
 「岩津(裕介)さんが付いてくれたし、頑張ろうと思いました。ホンマはいかないといけないタイミングが一杯あったんですけど、脚力的にちょっとキツい面があったんで一回見逃したんですけど。何とか展開が向いて良かったです。(強敵相手の1着だが)展開が向いただけなんで、しっかり力勝負ができるようになったら、もっといいレースができるんじゃないかなと思います」
 古性の動きにしっかり続いた岩津裕介は、ゴール前で迫るも交わせず準V。
 「前々にいってくれたし、しかたがない。良い位置を取ってくれたけど、みんな積極的で仕掛ける所がなかった。それでも前々にいってくれたので、踏むコースができました。流れに乗って走ってくれたのでよかった」
 2センターで古性に絡まれた武田豊樹は、直線で懸命に踏むも3着まで。大会3連覇はならず。
 「すごいスピードでしたね。ワンツーが決まると思って、油断があったかもしれない。(内から古性が来たが)締め込むと事故が気になってできなかった。勉強になりましたね」
 平原康多は2センターで前団をまくり切るも、直線で失速して5着。
 「ハナを切れただけ。収穫はそれだけですね。自分が何着だったかもわからない」
 番手回りとなった新田祐大は、被ってしまい前に踏めず。6着に終わった。
 「コースがなかったですね。前回も同じミスをしてしまっているけど…。(番手回りが)初心者でした。でも、今後もこういう(番手の)競走が増えていくと思うので、こなしていかないと」