『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪レポート』 最終日編

配信日:5月27日

 青森競輪場を舞台に開催された「全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪(FII)」は、5月27日に最終日が行われた。メインの「スーパープロピストレーサー賞」は、3車で結束した関東勢がレースを支配。平原康多が浅井康太に合わせて番手まくりで制して、賞金315万円(副賞含む)を獲得した。

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スーパープロピストレーサー賞ダイジェスト

 号砲で各車見合った状態から中村浩士が出て行く。それを追った浅井康太が正攻法の位置に収まる。浅井-吉田敏洋が前団、吉澤純平-平原康多-木暮安由で中団を形成、単騎の中村がこれに続き、古性優作-佐藤慎太郎-成田和也が後攻めの形で落ち着く。
 残り3周の青板から古性が上昇。古性に並ばれた浅井は車を下げる。今度は吉澤が踏み上げ、赤板から先行態勢を取る。単騎の中村が4番手、古性は5番手、浅井は8番手の一本棒に。ペースを上げる吉澤に対し、打鐘の3コーナーから反撃に出た古性は3番手に追い上げる形で木暮と激しくからむ。そこを浅井が2コーナーからまくり上げる。3コーナーから番手まくりを打った平原が浅井を合わせ切り、先頭でゴールを駆け抜けた。平原後位を死守した木暮が2着に続き、浅井の後ろから伸びた吉田が3着。





<1R>

牛山貴広選手
牛山貴広選手
 打鐘手前で坂本貴史が押さえて出て先行態勢を取るが、佐藤幸治が巻き返して最終ホームでは両者で先行争い。単騎の牛山貴広(写真)は、後方で脚を溜めて一撃にかける。2コーナーからの大まくりを打って前団をのみ込んだ。
 「(初日に)内に行って失敗してるんで、ここは一発っていう感じでした。コースっていうより、詰まったところで行こうと。前がモガき合ってくれたんで、あそこで(まくって)行きました。(まくりを出すって)なんかちょっと決めていたのがよかった。ああいう風に動ければいいですね」
 佐藤幸ライン3番手の戸田洋平は、前団の踏み合いを見極めて最終バックからまくりを放つ。牛山にのみ込まれたものの2着に入った。
 「自分は余裕があった。(佐藤幸が)出切れるのか、出切れないのかっていう感じで、バックを踏むくらいならと。申し訳ないけど、踏ませてもらった」

<2R>

芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 後ろ攻めから動いた根本哲吏が先行態勢に入ると、3番手外併走から単騎の荒井崇博が前に出る。はまった根本が山賀雅仁の巻き返しに合わせて番手からでると、この両者でバックから踏み合いに。山賀ラインの動きに乗った芦澤大輔(写真)が直線で外を突き抜けた。
 「もう少し早めに仕掛けるつもりがあのタイミングになってしまった。後ろの須賀(和彦)君には迷惑をかけてしまいました。1着まで届いたので伸びは悪くなかったと思う」
 根本との踏み合いを制した山賀雅仁だが、芦澤の強襲に屈した。
 「初日が全然(自転車の)進みが悪かっただけに出てくれた方だと思う。でもジャンで荒井さんが行ったところですぐに追っかけることができなかったし、細かいところの判断が甘い。踏み勝ったこと自体は悪くなかったけど反省が残るレースでもありますね」
 荒井の奇襲カマシで番手にはまり思わぬ好展開となった根本哲吏だが山賀にまくられてしまった。
 「荒井さんのカマシは予想外だったけど、それでいい展開になったことで逆に慌ててしまった。もう少し落ち着いて仕掛ければよかったし、山賀さんにもすごい嫌なタイミングで来られた。これで自分の展開に持っていけないのはダメですね」

<3R>

小岩大介選手
小岩大介選手
 スタートでけん制が入り前受けになった久米康平は上昇してきた飯野祐太を突っ張ると、谷口明正のカマシを受けて中団を確保。2コーナーからまくると、続いた小岩大介(写真)が好展開を生かした。
 「恵まれました。これで初日の(7着が)チャラになった。前になったらあれも考えてたし、久米があそこでいい判断をしてくれた。突っ張って飛びついて、キツかったと思うけど、よくまくってくれました」
 突っ張られ7番手になった飯野祐太は大外を伸びるも2着まで。
 「(突っ張られたのが誤算)それのみですね。初日といい、最近は若い子にしてやられてる。バックで松尾(信太郎)さんが追うのか追わないのか分からなくて仕掛けるタイミングが難しかった。最後は松尾さんが内に行ったんで、俺が伸びた感じです」
 久米康平はうまいレース運びで中団を確保した。
 「飯野さんに切らせたら、僕らは7、8、9番手。脚使ってでも突っ張って、谷口さんがジャンで来るなら行かせてって作戦でした。(まくるときに)ケツ上げてみたけど、上げなくてよかったですね。出切れるとは思ったけど、最後は飲まれると思いながら走ってました」


<4R>

横山尚則選手
横山尚則選手
 赤板の2コーナーで押さえて出て先頭に立った石塚輪太郎が、嶋津拓弥を突っ張り主導権を死守する。が、今度は早坂秀悟が反撃に出て、石塚と壮絶な踏み合い。最終2コーナーからまくった横山尚則(写真)が、近況の大敗にピリオドを打った。
 「本当に進まなかったし、苦しかった。でも、ここの1着はめちゃくちゃうれしい。展開に救われた部分もあるけど、お客さんの声援がすごくうれしかった」
 横山との連結を外した天田裕輝だったが、再度追い上げてドッキング。2着に流れ込んだ。
 「切り替えようと思った。それで無駄に脚を使った。(追い上げて海老根恵太と)併走になって、そこから(番手を)守り切ったけど。差せなかったのは悔しい。あれでまくっちゃうんだから、横山が強かった」

<5R>

永井清史選手
永井清史選手
 合わせて動いて来た和田真久留を打鐘で杉森輝大が叩くと、その上を永井清史(写真)が踏み込んで主導権を奪う。和田の巻き返しに合わせて、杉森がバックから仕掛けるが、きっちり踏み直した永井が末よく押し切った。
 「初日はペース配分を間違えたけど、きっちりと修正ができた。うまく踏めたし最後も踏み直せた。初日よりも軽かったですね。初日5着が悔やまれますね。上のレースで戦いたかった。こういうレースを毎回できればなと思う」
 番手絶好も交わせず2着の西村光太は先輩の力強い走りに脱帽する。
 「超一流はすごいですね。バック前で少しだけ離れてしまって3コーナーで少しペースを落としてくれたから追いつけたけど、かなり冷や冷やした。直線でもきれいに踏み直されてこれは差せないなと。連日、いい展開ばかりですごく勉強にもなるしすごさを実感できた」

<6R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 金子幸央、小松崎大地の順で動くと、そこを渡邉雄太が一気に叩いて打鐘から主導権を握る。番手の郡司浩平は車間を切って金子の巻き返しをけん制するなど、渡邉を援護しながら抜け出しを図ったが、金子ラインに続いて外を回した中川誠一郎(写真)が直線鋭く突き抜けた。
 「前が行ってくれて流れに乗っただけ。あそこまで金子君が進んでくれたんで、たぶん届くなと思いました。でも連日、重いっすね」
 ギリギリまで渡邉を援護した郡司浩平はゴール寸前で中川に1着をさらわれた。
 「あれが精いっぱいですね。金子君の勢いはそんなによくなかったので張れば何とかなるなと思った。でもあそこ(直線での中川)は張るうんぬんじゃない。あれなら2センターから踏まないとダメでしたね」
 2コーナーから先まくりを打った金子幸央は郡司のけん制をたえて3着に食い込んだ。
 「キツかったです。郡司さんは余裕があるし、強いのは分かってたけど、小松崎さんより先に行かないとなと思った。長島(大介)さんとワンツー決めたかったですね」

<7R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 近畿ラインを警戒しながら、根田空史は赤板2コーナーから踏んで迷いなく逃げる。稲毛健太をさばいた井上昌己が、3番手を確保。中団で立て直した稲毛、脚を溜めた佐々木豪のまくりは不発。好位の井上も動けず、番手の和田健太郎(写真)が37歳のバースデーを白星で飾った。
 「(自分の感じが)初日よりはマシになった。よくなってはいるけど、修正すべき点は山ほどある。根田のヤル気と掛かりがハンパじゃなかった。すごい仕上がってる。抜けたのはアイツ(根田)が早く行ってるから。自分は調子があんまりよくないのに1着、1着。競輪は不思議ですね、前のおかげです」
 井上の余力を確かめつつ踏んだ大塚健一郎は、直線で伸びて2着。
 「ジャンからホームは間違いなく(スピードが)出てた。(井上)昌己も追いつくのに脚を使った感じですかね。あとは昌己の踏み場所だけ。自分は待って、待ってから踏みました」

<8R>

中井太祐選手
中井太祐選手
 打鐘で先頭に立った取鳥雄吾に対し、伊藤裕貴はカマシを試みるがダッシュよく取鳥が合わせて出させない。池田憲昭が踏み出しに遅れると、そこに柴崎淳が下りて3番手を確保。2コーナーまくりの堀内は松浦悠士がけん制するが、前でまくった堀内のスピードをもらってバックから外に持ち出した中井太祐(写真)が直線で前団を抜き去った。
 「自分で切りにいって結局後方になっていてはダメですね。内容がよくなさ過ぎる。前がごちゃごちゃしていたのでまくれた感じですね。車の進みも納得がいくものではなかった」
 松浦悠士の援護もあり3着に逃げ粘った取鳥雄吾だがレース内容を反省しきり。
 「打鐘で結構踏んでいたので、誰も来ないだろうと思っていたら伊藤さんが来たので慌てて踏んでしまい後ろがかなりキツかったと思う。結果的に池田さんが離れてしまったし。最後も内を空けて柴崎さんのコースを空けてしまった。ダービーでも同じことをして自分が大敗したのに全く反省をいかせなかった。ミスが多すぎました」

<9R>

新山響平選手
新山響平選手
 3番手で新山響平にフタをして高橋和也が打鐘から前に出たが、2センターから仕掛けてきた中井俊亮と踏み合いに。すんなり中団を確保した松岡貴久が2コーナーからまくって短くなった前団を飲み込むが、その外を新山響平(写真)が力強くまくり切った。
 「あんな形になるかなと思ってた。すんなり中井さんが出てたら無理やりでも行かないといけなかったけど、レースが見えてたのはよかった。でも後ろに自力の先輩(佐藤博紀)をつけてたので、先行したかったし、しないとダメだった。出はよくなかったけど、コーナーで伸びましたね」
 高橋を強引に叩いた中井マークの東口善朋は西川親幸をさばいて松岡後位に切り替えるとゴール寸前で松岡をとらえた。
 「僕は新山が目標になったし、貴久は力が抜けたんでしょうね。とりあえず西川さんをさばけて、抜けたんでよかった」
 中団から先まくりを打った松岡貴久だったが3着に沈んでしまった。
 「位置がよすぎた(苦笑)。あやうくバック取るところでしたね。仕掛けが早すぎた。まくって3着なんて弱えーな」

<10R>

原田研太朗選手
原田研太朗選手
 竹内雄作が強引に主導権を握って出るが、遅れて中部勢を追った諸橋愛をさばいた稲垣裕之が3番手から最終ホームで反撃。稲垣は1車しか出ない。村上義弘が自力に転じるも、その上を原田研太朗(写真)がまくりでのみ込み四国トリオで上位独占を果たした。
 「展開がよかった。(外に浮いた諸橋が下がってきて)そこだけを見て、しっかり仕掛けようと思った。このバンクだと(調子は)よくわからないですね」
 原田、小倉竜二の3番手から直線で外を伸びた渡部哲男が2着。
 「キツかった。脚にきてましたね。諸橋さんのところを越えるのに脚を使った。でも、よく伸びた。あんなに伸びるとは。稲垣さんが後手を踏まないだろうから、(自分たちのラインが)前からでもチャンスはあると思っていた」

<11R>

村上博幸選手
村上博幸選手
 後ろ攻めから動いた太田竜馬は前受けから下げた三谷竜生の動きを確認しながら打鐘前から先頭に。すかさず三谷も叩きに行くが、香川雄介のブロックで前に出られない。村上博幸(写真)のアシストで中団に入った三谷は休むことなくリスタート。今度は香川の横を乗り越えると、続いた村上が逆転した。
 「ホームで(三谷を)迎え入れたけど、結構踏んでいたので逆に迷惑かなと思った。迎え入れてから、もし無理なときを考えて自分で踏むコースを探したけど、その考えは間違いで間髪入れずにまくりに行くんだからすごい。余裕はあったけど、とりあえず(三谷が)強かった」
 立て直して強引にまくり上げた三谷竜生は村上に交され2着に。
 「(香川さんに)一発もらってキツかったが入れてもらったのでもう一回いこうと。内容はあれだけど、村上さんと決まってよかった」
 まくれず5着の山田英明は仕掛けどころを逃がしたレースを反省する。
 「あれだけやってくれれば本来なら自分の展開。ホームで行かないといけないのに準備ができていなかった。その後も(三谷君より)先に動かないと行けなかった。三谷君はいい意味で普通の選手じゃないので勉強になる。もっと練習して力をつけないと」

<12R>

平原康多選手
平原康多選手
 「スーパープロピストレーサー賞」を制したのは平原康多(写真)。先行態勢に入った吉澤純平の番手を回り、後ろが木暮安由と古性優作でモツれる。2コーナーからは浅井康太が巻き返して横まで迫られたが、合わせて番手から出るとそのまま押し切った。
 「古性の動き出しが非常に早くて、その結果(吉澤が)早いスパートになった。結果、浅井のまくり頃になって、どの辺まで待っていいかと思った。(番手から)出る予定はなかったんで、引きつけ過ぎましたね。でも踏み勝てたんでよかったです」
 巻き返して来た古性にからまれ平原の内に差し込まされた木暮安由だったが、平原の仕掛けにつけ直すと浅井を飛ばして2着に続いた。
 「(古性にからまれた)あそこはしのぎました。純平も頑張ってくれてたし、しのがないと着がないんで。ちゃんと臨機応変にできたと思う」
 浅井のまくりに乗った吉田敏洋が3着。レース後は前を任せた浅井の走りを褒めちぎった。
 「いや、強い浅井が。タラればだけど、平原じゃなければまくってましたね。俺もよく付いて行った。後ろに付いてたのに脚が痛いのは初めてかも。みんな強えー」
 平原に合わされ5着の浅井康太だったが、出し切ったレースを納得の表情で振り返る。
 「自力を出していいレースはできたんで。吉田さんも自力があるので、それ以上のことができるか、しっかり仕掛け切るかだった。見せ場は作れたかな? まだまだ上を目指してですね」

次回のグレードレースは、6月2~5日まで函館競輪場で開催される、函館競輪開設68周年記念「五稜郭杯争奪戦(GIII)」となります。
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