第48回競輪祭
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レース展望

1月25日(木)~28日(日)小倉競輪場 新たな歴史の誕生日を目撃せよ!
 第48回競輪祭が小倉競輪場で開催される。昨年は新世代の旋風が競輪界を吹き荒れ、不世出の大スター・吉岡稔真が引退してひとつの時代が終わりを迎えた。そして今、競輪発祥の地を舞台に新たな歴史が作られようとしている。
 
新たな歴史の誕生を目撃せよ!
吉岡を失った地元・九州勢の戦いぶりが見どころ
 
 昨年暮れのグランプリ06(京王閣)では、新世代の旗手である山崎芳仁が北日本勢を引き連れて最終ホームからスパート、有坂直樹が3番手から直線伸びて初優勝を飾ると同時に、涙のラストランとなった吉岡稔真は7番手から巻き返せずに9着に終わっている。レース展開そのものはやや単調だったが、この一戦によって確実に一つの時代が終わりを迎え、すべての競輪ファンの記憶に残るレースとなった。
 そして新しい時代の初戦となる競輪祭では、吉岡稔真という大きな柱を失った地元・九州勢の戦いぶりが一番の見どころになる。
 現在の競輪界では、北日本と関東が機動力や選手層の面で他地区を一歩も二歩もリードしているものの、昨年はライン的には決して有利とはいえなかった九州から3人ものGⅠ競輪優勝者が出ており、今回も地元勢の奮起に期待が持てる。
   
 今九州で最もタイトルに近い男といえば荒井崇博だろう。昨年12月の広島記念に続き年頭の立川記念も制覇してノりにノっている。とくに圧巻だったのは準決勝で、冷たい雨の降る悪条件の中、8番手からの捲りで武田豊樹の先行を捕らえ、立川のバンクレコードタイとなる10秒9の上がりタイムを叩き出している。荒井は例年冬場になると調子を上げてくるタイプで、今回も優出はもちろん初タイトルも十分に狙っていける。

荒井崇博 佐賀・82期
荒井崇博 佐賀・82期
   
 合志正臣も引き続き調子はいい。グランプリでは8番手の展開となってしまったが、そこから4着に突っ込んできた脚勢はさすがのものがあり、今回も目標や展開に関係なく順当に勝ち上がっていくことだろう。
合志正臣 熊本・81期
合志正臣 熊本・81期
 
 
北日本が優勝目指して奮起する!
今年一番の急成長が期待できる佐藤友和
 
 機動力の面で他地区を圧倒しているのが北日本だ。今や北日本を代表する先行選手に成長した山崎芳仁、暮れのヤンググランプリで同地区同士ながら駆け引きなしの叩き合いを演じた佐藤友和と渡邉一成などなど、GⅠ競輪の上位戦で戦える若手が目白押しだ。
 昨年のGⅠ戦線ではせっかくの豊富な機動力を生かし切れていたとはいいがたく、結局優勝者は山崎芳仁ひとりだった。最後のグランプリで有坂直樹が優勝してなんとか面目を保てたが、今年の北日本勢は、中でも佐藤慎太郎や伏見俊昭らの福島勢は気合いを入れ直して優勝を獲りにくるはずだ。
敢えて不安材料をあげるとすれば、小倉ドームは先行よりも捲りのほうが圧倒的に有利ということだ。山崎は掛かってしまえば簡単には捲られないが、後掛かりタイプなので、グランプリのときのように掛かる前に巻き返されると、内に詰まって力を出し切れない恐れがある。
   
  山崎はすでにタイトルホルダーの仲間入りを果たしているが、競輪選手としてはまだ新人の部類に入るので、やはり佐藤慎太郎らの追い込み勢の的確なリードや援護が受けられるかどうかが今年のGⅠ戦線での勝ち上がりのカギとなるだろう。
山崎芳仁 福島・88期
山崎芳仁 福島・88期
   
 今年一番の成長が期待されるのが佐藤友和だ。佐藤はレース運びがやや単調で、上位相手のレースでは脚を余らせたまま凡走してしまうことが少なくなく、強いときと弱いときの差が大きい。それでもやはり、ヤンググランプリで渡邉一成との一歩も引かぬもがき合いの末に2着に粘り込んだ脚力は見事としかいいようがない。年頭の立川記念でも優出は逃したが、2度連絡みを果たしている。こういう若手は勢いに乗ると怖く、3連勝で勝ち上がった昨年のふるさとダービー防府のように、今回もトントン拍子の勝ち上がりが十分にありうる。
佐藤友和 岩手・88期
佐藤友和 岩手・88期
   
 関東も武田豊樹、平原康多らの若手が充実していて選手層も厚い。やはり北日本と同様に昨年のGⅠ競輪優勝者は後閑信一ひとりだったが、今年は昨年以上の盛り上がりがきっとあるはずだ。
   
 一番の活躍が期待できるのが昨年念願のグランプリ出場を果たした手島慶介だろう。全日本選抜の決勝戦はミエミエの追い上げ狙いで、待ち構えていた番手の神山にあっさり捌かれてしまったが、グランプリでの意表を突いた早めの巻き返しで山崎芳仁を抑え込んだレースは素晴らしかった。結果は2着だったが、今後も対戦相手の裏をかく自在戦に磨きをかけていけば初タイトルも遠くないだろう。
 
手島慶介 群馬・75期
手島慶介 群馬・75期
   
 神山雄一郎も好調だ。追い込み型として、ときに無駄脚を使いすぎて失敗することもあるが、直線の伸びはさすがのものがある。立川記念の準決勝Aでは目標の佐藤友和が不発の展開から中割り強襲で1着と調子も上々で、通算17回目のGⅠ競輪優勝も決して夢ではない。
神山雄一郎 栃木・61期
神山雄一郎 栃木・61期
 
 
安定性を増した市田が得意の捲りで初優勝を狙う
稲垣裕之の徹底先行ぶりが見逃せない
 
 常に大捲りの一発の魅力を秘めているのが市田佳寿浩だ。昨年の市田は1月の和歌山記念、7月のサマーナイトフェスティバル、12月の佐世保記念を優勝と年間を通して安定した成績を維持することができた。ビッグレースでもサマーナイト以降はオールスター、共同通信社杯、全日本選抜と連続で優出と好調だ。
 ただ、全日本選抜の決勝戦がそうだったが、一発狙いでレースを見すぎて、結局は仕掛けられずに終わってしまうケースが多々あるのが反省材料だ。しかし、ツボにはまったときの捲りのスピードはますます磨きがかかってきており、展開が向かなければ自分がレースを作っていくような攻めの姿勢がもっと出せれば、今すぐにでも初タイトルに手が届くだろう。
市田佳寿浩 福井・76期
市田佳寿浩 福井・76期
   
 近畿では稲垣裕之の徹底先行ぶりにも注目してみたい。直近4カ月のホーム回数が19回、バック回数が20回と先行マニアぶりは半端でなく、対戦相手やレースの種類に関係なく必ずといっていいほど先手を取りにいってくれるので近畿の選手にとっては実に頼もしい存在になっている。市田佳寿浩のサマーナイトフェスティバルの優勝も稲垣の先行に乗ってのものだった。10月の千葉記念では稲垣の先行に乗って濱口高彰が優勝しているし、全日本選抜では一次予選で敗れているものの、4日間とも先行しており、今回も連日の主導権取りを狙ってくるだろう。
   
 海老根恵太は昨年の競輪祭決勝戦では、先行一車の利を生かし切れずに準優勝と悔し涙をのんだ。その後も東王座戦、ふるさとダービー小松島、寛仁親王牌と順調に優出していたが、後半に入ってからリズムを崩し、ビッグレースでの優出もなくなった。11月の名古屋FⅠで今年2度目の優勝を飾っているが、近況はやや消極的な走りが目立ち、12月のアジア大会での落車の影響も気になるところだ。それでも、得意のカマシ気味の捲りは今でも破壊力十分だし、小倉ドームは海老根のようなスピードタイプの選手にはもってこいのバンクなので、やはり侮れない存在といえる。
海老根恵太 千葉・86期
海老根恵太 千葉・86期
 
昨年の競輪祭決勝戦ゴール
昨年の競輪祭決勝戦ゴール。
(5)小倉竜二が逃げる(4)海老根恵太を必殺のハンドル投げて捕らえ約6年ぶりのGⅠ競輪V。
   
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ついにライバル・吉岡を捲り切った神山
競輪祭の思い出

 引退した吉岡稔真と数々の死闘を演じてきた神山雄一郎が最も印象に残っているレースとして挙げていたのが96年の競輪祭だ。吉岡の逃げを神山が捲って優勝したレースで、神山は「吉岡君を捲るのに長い年数がかかりましたが、やっと捲れました」とコメントしている。並びは神山雄一郎-後閑信一-内林久徳-金田健一郎、吉岡稔真-加倉正義-紫原政文-佐々木昭彦の2分戦で、児玉広志が後閑のインで並走して周回。打鐘前で金田がインを切り、続いた吉岡が前に出ると金田は加倉のインで粘る。打鐘後から吉岡がスパート、吉岡の番手は加倉が取り切り、神山の番手も後閑が取り切る。最終3角から6番手の神山が捲っていき、4角からは懸命に逃げる吉岡と神山で激しいもがき合いとなるが、ゴールラインでは神山が1車身半の差をつけて圧勝、2着が吉岡、3着が紫原だった。


スピードタイプに向いた高速バンク
勝ち上がり戦では捲りのラインが圧倒的に有利

小倉バンクの特徴
 小倉バンクは全国に34場ある400走路の中では最もきついカントを有した高速バンクであり、ドーム内にあるので天候に左右されることなく常にベストコンデションに近い状態で走れるので、先行でスピードのある選手に向いているといわれている。
 しかし、脚力上位の選手たちが集うGⅠ戦では定説通りにはなかなかいかない。確かに2年前の大会では先手ラインのスジ決着が多かったが、3年前の大会では捲りのラインの方が圧倒的に有利だったし、昨年の大会でも1着の出現率が高かったのは捲りのラインの方だった。80期代の選手が急激に台頭してきて、若手の早逃げや先行争いが増えてきたのも理由のひとつと思われ、今年も捲りのラインが有利な大会になりそうだ。
 昨年の1着、2着の決まり手を見てみると、全47レースのうち1着は逃げが3回、捲りが16回、差しが28回、2着は逃げが11回、捲りが9回、差しが17回、マークが10回となっている。先手ラインの選手が1着になったレースは23回あるが、先手ラインは敗者戦での1着が多く、一次予選二次予選、準決勝、決勝の勝ち上がり戦では全23レースのうち8回しかなかった。

走路にクセはなく走りやすい

周長は400m、最大カントは34度01分48秒、見なし直線は56.9m。96年10月に全天候型のドーム型競輪場として生まれかわったが、走りやすいと評判の高い名古屋競輪場を参考にしたといわれており、どんな戦法でも平等に力を発揮できる。無風の高速バンクは先手有利が基本だが、カントがきつく捲っていってコーナーを踏み切るのに力を使ってもなかなか飛ばないので、捲りも決まりやすい。

小倉ドーム


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