第47回競輪祭
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レース展望

 2006年のタイトル戦線が競輪祭からスタートする。加藤慎平のグランプリ初優勝で幕を閉じた昨年に引き続き今回も小嶋敬二率いる中部勢が主導権を握っていきそうで、関東勢や北日本勢の巻き返しが一番の見どころになるだろう。
 
今年も小倉の地からGI戦線が開幕
小嶋の超人的なパワーで中部王国が蘇る
 
 
 今の競輪界で一番強い男はと問われれば、誰もが迷わず小嶋敬二と答えるだろう。寛仁親王牌の逃げ切り優勝から昨年後半戦をリードしてきたパワーは超人の域に達しているといっても大げさではない。グランプリでは後閑信一や神山雄一郎から執拗なブロックを受けて捲り不発に終わったが、新春第一弾のGI・競輪祭も小嶋を中心にレースが動いていくことはまずまちがいない。
小嶋敬二
小嶋敬二(石川)
   
 全日本選抜競輪での初タイトルに引き続きグランプリ初制覇も成し遂げた加藤慎平。もちろん、グランプリでの巧みなコース取りは賞賛に値するが、ビッグ連覇は小嶋との連係があってこそだし、勢いと波に乗るというのはまさにこういう状態をいうのだろう。加藤は競輪祭との相性がいいのにも注目したい。03年が決勝4着、昨年が決勝2着になっており、加藤のビッグ3連覇も夢ではないかもしれない。
加藤慎平
加藤慎平(岐阜)
   
 当然、小嶋と加藤のパワーと勢いにうまく乗れれば、中部のほかの選手たちにも優勝のチャンスが出てくる。昨年のビッグレースで大活躍の金子貴志、競輪祭を得意にしてい松岡彰洋(ドームになってから3回優出)らの機動力も充実しているので、長らく待たれていた中部王国の再建が現実のものになりそうだ。
 ただ、競輪祭はこの数年、ビッグネームが勝ち上がりの早い段階から次々と脱落していく波乱の展開が続いている。昨年も小嶋敬二、伏見俊昭、村上義弘らにグランプリ04覇者の小野俊之も二次予選で敗れている。グランプリからわずか1カ月足らずの開催で、毎年グランプリレーサーたちの成績が芳しくないので、この点には注意が必要だ。
   
 
武田豊樹が再び旋風を巻き起こす
本来の鋭い伸び脚がようやく戻ってきた小橋正義
 
 関東勢は神山雄一郎の悲願達成はならなかったが、武田豊樹が大一番のグランプリできっちり先行して3着に粘り込めていたのは光明といえる。
 武田は昨年前半は競輪界をリードする活躍ぶりで初タイトルも真近と思われていたが、後半は勝ちにこだわりすぎる走りが目立つようになって失速してしまった。その反省の意味も込めてのグランプリでの積極的な走りだったとすれば、今年前半は再び大活躍が見られるだろう。
 小嶋が唯一苦手意識を持っている相手が武田であり、常日頃から武田とだけは戦いたくないと公言しているだけに、先手ライン有利の小倉バンクで再び積極的な走りを見せれば今度こそは関東ラインでの上位独占が可能だろうし、一気のタイトル獲りも十分にありうるだろう。
武田豊樹
武田豊樹(茨城)
   
 小橋正義が復調してきた。小橋は一昨年の競輪祭覇者だが、同年の寛仁親王牌優勝後はGIでの優出がぱったりとなくなり、長い低迷状態に入ってしまった。しかし、全日本選抜競輪で久しぶりに優出を果たして復活した。暮れの平塚FIでも優勝こそならなかったが、勝ち上がりは小橋らしい鋭い差し脚を発揮して連勝しており、今回も順調な勝ち上がりが期待できる。
小橋正義
小橋正義(新潟)
   
 グランプリの北日本勢は伏見俊昭が車体故障、佐藤慎太郎が落車と力を出し切れずに終わってしまった。ファンとしても近況やや低迷していた伏見の仕上がり具合を見極めてみたかっただけに残念な結果といえる。ただ、武田と小嶋の叩き合いを後方待機で待ち構えていたレースぶりからすると、未だ本調子とはいえないのかもしれない。北日本には山崎芳仁のヤンググランプリ優勝という明るい話題があり、山崎の競輪祭での活躍にも期待が持てるが、伏見や佐藤らの主力選手の調子はまずは一走目をみてから判断したほうがよさそうだ。
   
 昨年は鈴木誠と村本大輔の2人をグランプリに送り込んだ南関東勢にとっては、海老根恵太の急成長が心強い。海老根は昨年のふるさとダービー豊橋でビッグ初優出を果たすと共同通信社杯でも優出、全日本選抜競輪ではGI初優出も達成と波に乗っている。一時は勝つ競走に徹していた時もあったが、近況は再び先行主体の競走に戻しており、暮れの岐阜記念では連日逃げまくっていた。また、全日本選抜競輪では村本大輔が海老根にぴったりマークで2度目のGI優出を決めており、今回も南関東の追い込み勢の勝ち上がりが侮れない。
海老根恵太
海老根恵太(千葉)
 村上義弘は後掛かりの地脚型なので小倉バンクとの相性はあまりよくないが、12月の広島記念では節目の300勝を逃げ切り優勝で達成して調子は上向いてきている。全日本選抜競輪では二次予選で2着失格という不運に見舞われているだけに、今回はより一層の固い決意で優勝を目指してくるだろうし、バンクとの相性の悪さを吹き飛ばすような力走を見せてくれるだろう。
村上義弘
村上義弘(京都府)
   
   
近況好調な九州勢が地元ファンの期待に応える
ダッシュ力のある石丸寛之のカマシが侮れない
 
 中・四国勢は三宅達也と石丸寛之の2人が相変わらずの捲りで好調だ。
 ただ、三宅の場合は2連発目まではばっちり決まるが、3連発目で大敗というパターンが多いのが致命的で未だにビッグレースでの優出がない。ツボにはまれば小嶋敬二や武田豊樹の先行ですらひと捲りできる破壊力を有しているだけに、今度こその準決勝突破を期待したい。
 
 侮れないのが石丸のカマシ先行だ。本来は捲りを十八番にしており、11月の観音寺記念でも捲りでうれしい記念初優勝を達成しているが、近況は最終ホームから一気にカマシての先行も多い。全日本選抜競輪でも一次予選は伏見俊昭を相手に先行して3着に粘っているし、3日目特選では武田豊樹相手に主導権を取り切っている。昨年の競輪祭の二次予選でも武田を不発に終わらせる逃げを打って3着に粘り込み、三宅伸の1着に貢献している。
 ここ数年の競輪祭では、先手ライン有利のバンクの特性もあるのか、佐々木則幸、友定祐己、加藤慎平らのダッシュ力のいい若手の活躍が目立っており、石丸のカマシ先行での大躍進も十分に狙えるだろう。 
石丸寛之
石丸寛之(岡山)
 
 地元・九州勢は昨年はグランプリへの出場は果たせなかったが、吉岡稔真や小野俊之の近況の調子は決して悪くないし、荒井崇博や井上昌己が相変わらずの積極的な走りで頑張っているので、今回の九州勢には地元ファンの声援にきっちり応えてくれそうな予感がある。
 吉岡は全日本選抜競輪ではまさかの一次予選敗退、次場所の佐世保記念も準決勝で4着と敗れているが、初日特選は逃げて2着で紫原政文とワンツー、2日目優秀も逃げて紫原とワンツーを決めており、脚力も積極性も申し分ない。10月の京王閣記念で3年8カ月ぶりの記念優勝を達成してからは、観音寺記念で3勝、花月園記念で2勝、防府記念で1勝と優勝こそないものの着実に勝ち星を重ねているので調子は上々と見ていいし、今回も地元のエースの名に恥じない走りを見せてくれるだろう。
吉岡稔真
吉岡稔真(福岡)
   
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絶妙のハンドル投げで小倉竜二が初タイトル
競輪祭の思い出
 98年の競輪祭決勝で吉岡稔真は無念の1着失格に泣いた。翌99年、リベンジに燃える吉岡は連日の積極的な攻めで勝ち上がり、決勝では会心のバック捲りを放ったが、番手の小倉竜二に8分の1輪差し込まれて再び無念の涙を飲んだ。並びは金古将人-有坂直樹-東出剛、松岡彰洋-山田裕仁-鰐渕正利、吉岡稔真-小倉竜二-西郷剛の3分戦。赤板で吉岡が上昇すると松岡も合わせて上昇して先行態勢に入る。吉岡は打鐘から松岡を抑えにいくが、松岡も突っ張って2人の踏み合いになる。そのとき、松岡の番手から山田が離れてしまい、吉岡が松岡の番手にはまる。そのままの態勢で松岡が最終ホームからスパート、絶好の展開になった吉岡はバックから番手捲りを放つ。ゴール前は吉岡と小倉の一騎打ちになったが、小倉が絶妙なハンドル投げでわずかに差し切り、初タイトルを獲得した。

99年競輪祭表彰


先手ラインでのスジ決着が多く、捲りは苦戦
小倉バンクの特徴
 小倉バンクはドーム内にあるので天候に左右されることなく、常にベストコンディションに近い状態で走れる。走路も走りやすくてタイムが出やすい高速バンクなので、先手ラインが絶対的に有利だ。昨年の競輪祭の結果を見ても、全47レースのうち30レースで先手ラインの選手が1着になっている。
 ちなみに昨年の1着、2着の決まり手を見てみると、1着は逃げが8回、捲りが8回、差しが31回、2着は逃げが10回か捲りが5回、差しが12回、マークが20回となっている。
 昨年の競輪祭はビッグネームが早い段階で次々と敗れていき、波乱続きの4日間となった印象が強いが、競走結果だけを見てみると、先手ラインのスジで堅く決まったレースが圧倒的に多かった。昨年は全47レースのうち30レースがスジで決着している。
 小倉バンクは400バンクのなかではカントがきついほうなので捲りも決まりにくいということはないはずなのだが、昨年の競輪祭では捲りのラインは苦戦続きだった。初日の一次予選こそは捲りのラインの選手が5回1着にきているが、2日目は2回、3日目は1回のみで、最終日も3回だけだった。

 周長は400m、最大カントは34度01分48秒、見なし直線距離は56.9m。98年10月に全天候型のドーム競輪場として生まれ変わった。無風の高速バンクなので先行有利が基本だが、同じ先行型でも後掛かりの地脚タイプには向いていない。高速バンクではダッシュ力と仕掛けのタイミングが勝敗の分かれ目になるケースが多いので、やはりスピードタイプの選手が有利だ。

小倉ドーム


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