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―第73回日本選手権競輪編―
今シリーズも脇本雄太を中心にシリーズが始まりました。初日から脇本は大垣でのウィナーズカップ同様に、松戸33バンクでも力を見せつけ好発進でスタートを切りました。大垣では少し疑問視しながら初日を見ていましたが、松戸では絶対王者と認識しながら初日から見る事が出来、準決勝までその通りに結果も残しました。問題は番手です。初日と準決勝は村上義弘で、ゴールデンレーサー賞は単騎。村上自体に調子の良さも感じられないままでの形で迎えたダービーではありましたが、初日の脇本の動きは読みやすく流れに乗った仕掛け、村上は離れました。33バンクで追走は400バンクより格段と難しくなります。決勝では更にその事は言えます。それは脇本が勝ちたいからの故です。
準決勝を終え振り返って見ると、深谷知広が危なげない押さえ先行で勝ち上がったのも目を引きます。深谷にとって初日の組み合わせがひとつのポイントだったと感じます。ナショナルチームに所属する現在は、3月の世界選手権までは競輪に参加出走する事は出来ずでしたが、4月の川崎G3で久々にファンの皆さんの前に姿を見せました。そこでは決勝に乗れなかった事、レースが受け身で積極性を感じられなかった事もありました。しかし一次予選は深谷が先行しやすく、しなければならない構成でありました。そこで先行し、手応えをつかんだと思います。その証拠の連日カマシ先行でなく、押さえ先行での組み立てでした。
そして平原康多は仕上げて来た雰囲気はありましたが準決勝をクリア出来ずで、ダービー王のタイトルは先送りです。後はやはり松浦悠士です。ここ最近の走りは目を引きます。自在選手ではありますが、先行でも戦える自在型です。松浦の勝ち上がりも安心して見ていられました。それに加え清水裕友がまだ100%とまでは言えませんが、力強い走りが戻り準決勝も逃げ切り堂々の決勝入りです。松浦にとっては清水が100%でない事が追い風です。それは清水が勝ちに行かないからです。勝ちに行く時は100%になってからと感じるからです。
決勝は脇本に古性優作の近畿ライン。清水に松浦の中国勢に原田研太朗がライン重視の3車。渡邉雄太に田中晴基の南関ライン。そして深谷と菅田壱道が単騎となりました。
展開予想
前受けに近畿ライン。中団に中四国勢。そして南関ライン。後方には深谷、菅田での初手と読む。渡邉から動き出し、単騎の選手が続く。菅田はとりあえず流動的に深谷の後ろにいると想定します。そして清水が先行態勢。この時点で脇本は8番手になるが、6番手には深谷がいるので、いつもほど構えられないのではないかと感じます。番手絶好は松浦になる。準決勝は取りこぼしと言っていいが、決勝はシビヤに動く。番手捲りまでは無いとは思いますがそれも頭に入れてはいるでしょう。その展開なら原田にもチャンスは訪れますが、3コーナー回ってからの勝負と感じるので厳しいか。原田にとって有利な点は、このレースには内を突っ込んで来る選手はいないので余計な神経は使わなくてよい事です。後方では深谷と脇本での見合いも少しある。脇本は「同じナショナルチームの深谷を意識している」とコメントしました。両者の捲り同士の両立も考えられるが、この二人では脇本の勢いが勝る。33バンクは番手が圧倒的有利。それは松浦になります。そして勢いがあるのは脇本です。
決勝番組
1番 脇本 雄太 福井
2番 松浦 悠士 広島
3番 渡邉 雄太 静岡
4番 原田 研太朗 徳島
5番 清水 裕友 山口
6番 田中 晴基 千葉
7番 古性 優作 大阪
8番 深谷 知広 愛知
9番 菅田 壱道 宮城
車券推理
1=2-478
1-7-28
2=4-81
1=8-792
レース結果
 1-5-9  223,6倍(72番人気)

レース経過
菅田が中四国勢の後ろ以外は予想通りの並びで周回を重ねる。渡邉が動き、その動きに清水も乗る。脇本がいつも通り簡単に下げた。清水の先行と読んでいたが、3番手にとどまる。渡邉も清水待ちだったと思うが、成り行きとも言える先行になった。脇本を意識する前団の選手達は気持ちが外になり空いた内を深谷が救い清水から3番手を奪った。そこからホームまくり。ただタイミングは悪い。その仕掛けなら番手と1コーナーで合う。捌き頃である。そこは競輪である。そして清水がそのあおりを受けながらもまくる。8番手脇本も同じタイミングの仕掛け。清水が深谷のあおりを受けないか、3コーナーで張っていれば清水の優勝もあったとは感じる。優勝した脇本は深谷を意識するコメントはあったが、気にせずいつも通りのパターンだった。
脇本絶対王者は不動と感じた一戦であった。

今回の番組は非常に良く感じました。それは私の経験もありますが、選手はやはりG1に参戦するまでの過程が重要です。勝負をある程度参加する前に地区の序列や力関係を決めて一流選手は参加しています。戦いぶりです。G1での一番大事なレースは準決勝です。勿論、決勝は大事ですが、そこにどうつなげるかは準決勝です。例えば特選からゴールデンレーサー賞に勝ち上がれず2次予選回りとなった時です。私の場合マーク選手ですから位置は重要です。同地区の2次予選回りで一番強い選手と組まれ危なげなく勝ち上がったとします。そのまま準決勝で同じラインでの組み合わせは番組のマンネリを避けるために組まない事が多かったのです。それで地区の自分より劣る選手がいい位置を回り決勝に勝ち上がる事があります。層の厚い地区ならともかく、薄い地区では準決勝は厳しい戦いとなります。参加するまでに勝負を着けてきたつもりが、そうでなくなるのです。しかし今回の番組構成は地区の自力とマーク選手のNO.1ラインを崩さなかったのです。これはG1では当然と思います。タイトル戦ですから運で勝ち上がった選手を少なくし、実力ある選手を勝ち上がらせる事になるからです。