―高松記念杯「決勝」2019―
ダービー王、脇本雄太が絶対王者の雰囲気が漂う中で迎えた今回の高松宮記念杯。昨年も脇本の打鐘からのカマシ先行で、その番手三谷竜生が交わし優勝。昨年はそんなシーンが多く今年もそうなるかとも感じました。しかし初日の脇本にはダービーの時の様な出来は感じませんでした。ホームから捲り切りはしましたが、踏み出しももたつきを見せ、そして3着に沈む結果です。ダービーは33で番手が追走しづらい事もあり、その事が有利に働いたのかも知れないです。
2日目白虎賞も同じ様な展開。出来の良い竹内雄作が番手から出た事はありましたが、脇本は初日同様に動きが良くなく、合わされる形でした。そして迎えた準決勝。番組的に脇本が苦しい構成です。スピードのある選手が揃っています。しかしスタートを柴崎淳が取った事で脇本が楽になったと感じました。そして竹内の先行に乗る形で上昇。柴崎がイン待ちの様になり脇本がはじかれ万事休すでしたが、柴崎の番手坂口が少し離れていたためそこに入れました。入れなかったら厳しい展開になっていたと感じます。柴崎もまくりに行き、さらにその上を捲った。展開的には苦しい場面がありましたが、1着でのち上がりです。ただやはり本調子とは思えません。
高松宮記念杯は東西2個ずつの、4つの準決勝。東西を総体的にみると、西は密度が濃く厳しい勝ち上がり。全体的には準決勝を見ると東西密度の差はありましたが、苦しい戦いを強いられた選手達がそれをクリアし今回は勝ち上がった印象です。しかしその中で清水裕友は少し違います。展開を作り、躊躇なく捲りました。深谷知の先行3番手なら仕掛けを遅らす選手がほとんどだと思います。清水の勝負強さは定評がありますが、これは自ら引き寄せているものだと言う事です。平原康多も8番手に置かれ、そこから強引に捲り、初日の落車の不安を一掃するかの様な勝ち上がり。新田祐大は自ら苦しい状況に陥りましたが、力技での勝ち上がり。各選手様々な形でしたが厳しい戦いを強いられた中での決勝への勝ち上がりで9選手が決まりました。
展開予想
細切戦。中心はやはり脇本。先行の観点から考えても脇本になる。しかしここ最近はカマシかまくりでのレースが多い。ここでは押さえ先行が他にいない。新田の一気の先行は考えられるが、早くて打鐘4コーナー。仮にそうなれば脇本の出番はない。脇本が打鐘過ぎの仕掛けなら中川に交わされる。それを嫌い押さえ先行なら清水か平原が飛び付き番手を奪っているだろう。どちらが番手を取っても4コーナー勝負。脇本にとってはその方が良いかも知れない。
スタートは新田。その3番手に脇本。そして清水ライン。後方に平原。単騎の小原は新田ラインの後ろか、最後方と考える。平原は清水より外枠な分、不利。まず平原が動き、そして清水が押さえる。そこで脇本が押さえ先行。タイミングが合わなければ清水は3番手で我慢。仮の小原がそこに脇本ラインに付いて来ているなら、無理してでも脇本の番手と思う。中川との競りになるが、時間は掛からない。新田は8番手になるが、受け入れるだろう。そして捲りに行くが脇本の先行一車の様な展開で不発と考える。
すんなり中川が回るなら中川優勝。番手もつれるなら、脇本の逃げ切りか、番手を獲った選手が優勝するだろう。
決勝番組
1番 |
脇本 雄太 |
福井 |
2番 |
新田 祐大 |
福島 |
3番 |
清水 裕友 |
山口 |
4番 |
小原 太樹 |
神奈川 |
5番 |
平原 康多 |
埼玉 |
6番 |
渡邉 一成 |
福島 |
7番 |
中川 誠一郎 |
熊本 |
8番 |
木暮 安由 |
群馬 |
9番 |
小倉 竜二 |
徳島 |
車券推理
7-1=352
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1=3-952
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1=5-8392
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3-9-1
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5-8-1
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レース結果
7-2-4 444.9倍(164番人気)
レース経過
スタートは平原が取りに行ったが、新田より前にいたい様な感じであった。そして清水は位置が後方過ぎるのを嫌って、平原を交わそうとした。そして平原も清水を迎え入れた。前受が清水で、平原ライン。そして新田。後方に脇本で単騎の小原で周回を重ねる。青板から誘導が上がり、どの選手も動かない。後方の脇本はカマシ体制をとる。そして打鐘前にカマシた。前受の清水の反応が遅れ、すんなりと脇本ラインとその後ろにいた小原が出切った。勝負あり。新田の8番手捲りもスピードは良かったが、中川には余裕があった。中川が脇本を交わし優勝。
新ルールで誘導が上がり、清水が前受なら他のラインは動きにくくなる。脇本はある程度仕掛けを決めていたと思います。結果、レースは清水が飛び付けるかどうかだけのレースになりました。脇本の番手は同地区の選手ではありません。確かに今年既にダービーを制していますが、中川に優勝をプレゼントする作戦に感じてしまいます。脇本に貪欲にタイトルを獲りに行って欲しかったのが本音です。近畿のタイトルであり、近畿の開催です。脇本はやはり抜けた存在です。しかしレース自体の組立は単調で脚力任せ。それをどう考えるかです。
今回から新ルール適用のG1でしたが、単調なレースが多かったと感じました。決勝がその表れでもありました。これから選手が対策を練り、変化が見えてくると思います。競輪は進化していると声を大にして言える事に期待しましょう。