―第61回朝日新聞社杯競輪祭GI編―
昨年からナイター開催となった競輪祭。男女共にグランプリシートが決まる大事な一戦でもあります。女子は2組。それぞれの優勝者が権利獲得。小林優香が一発勝負と言っていい参戦で見事に優勝しグランプリを決めました。そしてもう一人の優勝者は梅川風子でありましたが、こちらはすでに獲得賞金ランキング上位で権利を持っていました。その結果賞金ランキング6位の奥井迪までがGP出場で決まりました。そして男子は競輪祭に入るまでにタイトルを取った選手に加え、佐藤慎太郎、清水裕友の賞金ランキング上位者がほぼ確定。競輪祭優勝者と残り2つのシートを郡司浩平、平原康多、松浦悠士が争う形で競輪祭を迎えました。1次予選はトライアルで、2次予選への振り分けです。1次予選で目に付いたのは昨年脇本雄太の番手を回り経験不足が露呈しタイトルを逃した柴崎淳です。一走目は4番手を獲りに行きそこから捲っての1着。2走目は8番手に置かれはしたものの一気に捲り切り1着。ダイヤモンドレースに駒を進めました。郡司、平原、松浦も勝ち上がりましたが、それぞれ置かれている立場に変化しました。郡司が安泰と思われていた戦前ではありましたが、2次予選B回りで厳しい戦い。そしてその2次予選で落車し、しかも欠場となり結果待ちになりました。平原と松浦は準決勝に駒を進めました。準決勝の勝ち上がりメンバーを見ると、清水がレースっぷりでリードしている感じです。そして競輪祭で抜群の結果を残す平原、スピードで圧倒している柴崎が抜けた存在と感じます。準決勝9Rでは吉田拓矢が先行し逃げ粘り。10Rここは清水、松浦の両者が抜けた存在で結果もその通りとなりました。11Rは平原が番手戦を活かし1着。柴崎は8番手から捲り返せず夢ここで破れたりでした。その結果決勝は清水率いる中国ラインと、吉田先頭の関東勢の二分戦となりました。この時点で平原と松浦は無事に走り切ればグランプリ決定。残る1つのシートは優勝者か、優勝者がすでにグランプリを決めている選手なら、郡司に決定します。
展開予想
二分戦の一戦。先手ラインが圧倒的に有利になります。ゆえにスタートは非常に重要であります。先行一本で走るのは吉田。先行も考えて自在に戦うのが清水です。昨今の競輪では二分戦でスタートを取った選手が先行する事が多いです。誘導が上がり後方の選手は早めに前団を斬り一息ついた所を、下げた選手がカマすパターンです。それはこのレースでも当てはまると思います。よって吉田が前受。後方に中国ライン。単騎の選手は中団に和田、坂口の順か。木暮は中国勢の後ろと考えます。清水が押さえ、単騎の選手が切り替える。ただ坂口は関東勢追走を選択すると思います。その理由は他の単騎の選手とは違い、マーク選手の色合いが一番強いからです。木暮は自在選手。和田は追い込み自在選手と感じるからです。そして引いた吉田が打鐘前のカマシ先行です。このタイミングなら清水もそれを許しますが、清水もすでに引けないタイミングであります。飛び付きになります。吉田の掛かり次第ですが、清水がそこから出る可能性もあります。そして清水の番手、松浦にチャンスが巡って来ると思います。仮に清水が出なくても、清水は平原との競り合いで脚力を消耗している事も考えられます。松浦有利と思います。関東勢がすんなり出切った場合はライン3番手の諸橋の優勝もです。少し注意しておきたいのは、木暮、和田の内すくいです。
決勝番組
1番 |
松浦 悠士 |
広島 |
2番 |
和田 健太郎 |
千葉 |
3番 |
平原 康多 |
埼玉 |
4番 |
吉田 拓矢 |
茨城 |
5番 |
清水 裕友 |
山口 |
6番 |
柏野 智典 |
岡山 |
7番 |
木暮 安由 |
群馬 |
8番 |
坂口 晃輔 |
三重 |
9番 |
諸橋 愛 |
新潟 |
レース経過
前受は迷わず松浦が取りに行き、中国勢が前受。そして単騎の和田。関東勢が続き、坂口、木暮の並びとなった。前受を選択した清水は吉田の上昇で下げるのか、それとも飛び付くのかである。清水の突っ張り先行はないので、どちらかだろうと感じた。そして赤版前に清水が後方を警戒し始めたので、最初から飛び付き作戦と思った。そして番手に飛び付いた。飛び付かれた平原は縦脚重視のセッティングであり、粘られる展開もここ最近は無かった事もあり、そのようになっていったと思う。そして清水が競り勝った。そこからすかさず捲りに出た。先行した吉田自身も赤板から出ているため出ないと単騎の選手に捲られる可能性もあるので、この選択は正解だろう。少し待っても良かった気もするが、それが清水のスタイル。そして中国勢が抜け出した。ただ3番手の柏野は諸橋に位置を奪われた。バックで優勝は松浦に確定したと言っていい展開。2着は清水が残るかどうかだったが、松浦が初タイトルにも関わらず、しっかり清水を残した。松浦の初タイトルとなった競輪祭であった。
この時点で賞金ランキング9番手の郡司がグランプリシートを獲得しました。
今シリーズは6日間激戦と言っていいレースが連日展開され、見応えがありました。そして優勝した松浦と、攻め続けた清水は本当に連日いいレースを展開してくれました。特に清水の外連味ない攻めは感心します。この勢いでグランプリでも、脇本や新田を撃破して欲しい。これが本来の競輪と感じた決勝戦でした。