―KEIRINグランプリ2019編―
2019年もいよいよグランプリを残すのみとなりました。2月の全日本選抜競輪で中川が単騎での圧巻の逃げ切り優勝。5月ダービーでは脇本が他を寄せ付けず捲って優勝。6月高松宮記念杯で脇本の番手から中川が抜け出し今年2つ目のタイトル。8月オールスターで新田が展開を活かし優勝。10月寬仁親王牌は村上が連日の落ち着きで久々のGI優勝。11月競輪祭は松浦の初タイトル。振り返ると今年も脇本の勢いは止まらずの感でありましたが、中国勢の台頭が印象的でした。
脇本は競技中心で状況は読めませんが、このGPは脇本の先行一車と言えます。上手く仕掛ければ逃げ切り十分です。そして中国勢。清水の本格化に、松浦の安定感は群を抜いています。両ラインの対決は何度かありましたが、このGPでは力関係は変わっているでしょう。脇本はオールスター以降の競輪には出走していません。それに加えオールスターでは準決勝敗退している事も脇本自身の不安材料であるかも知れません。その事は新田にも言える事ですが、新田の場合は捲り勝負ですから、車券を買う側からは出来が良かろうが悪かろうが同じですね。注目はやはり中国勢になります。清水は年頭の立川記念で優勝し、S級S班として順調にスタートしました。しかし全日本選抜競輪での落車骨折で奈落の底に落とされた様な状況になりましたが、そこから見事に立ち直りました。以前に増して積極的な競走スタイルで結果も想像以上です。松浦は競輪祭でタイトルホルダーの仲間入りをしました。その決勝戦でも初タイトルにも関わらず、捲った清水をいつも通りの抜き方をしました。GIの決勝であのタイミングで抜く事は中々出来ません。普通は早めに確実に抜きに行きます。このGPでも初出場ですが落ち着いていつも通り走るでしょう。
展開予想
スタートは近畿ライン。中川がその後ろ。中国勢が4番手で、その後ろに福島勢。そして郡司、平原の並び。郡司が中国勢の後ろに潜り込めるなら、その位置になるかもです。そこから新田から動き出し上昇。郡司と平原が追走。そして清水が新田を斬り郡司と平原が切り替える。そして脇本がカマス態勢になります。ここで脇本の仕掛けが遅ければ清水の性格なら先行でしょう。脇本は後方7、8番手になりオールスターの二の舞を踏む形です。しかも中団に新田がいるので厳しい状況になる。それを避けるなら早めにカマシ気味の先行を選択するでしょう。昨年と同様の展開です。しかし昨年と違うのは近畿ラインが2車となった事。清水は5番手でなく、3番手になります。昨年のスピードなら捲る可能性も十分です。ただ郡司と平原が近畿勢を追う形なら、昨年同様に5番手です。しかしそれを清水は受け入れないでしょう。3番手確保は脚を使ってでもするでしょう。脇本は結構駆けると思うので、早めに取り切り清水は仕掛けると感じます。仮にスタートを新田が取ったとしてもこの展開になると考えられます。脇本が押さえ中団をしっかり清水が取り切りの展開です。そして4コーナーからは立川の長い直線が待ち構えています。展開は近畿ライン。それを跳ね返す一番手は中国ラインです。個人的には清水が抜け出し松浦2着か、清水の仕掛けで松浦が抜け出す。
決勝番組
1番 |
中川 誠一郎 |
熊本 |
2番 |
松浦 悠士 |
広島 |
3番 |
脇本 雄太 |
福井 |
4番 |
佐藤 慎太郎 |
福島 |
5番 |
清水 裕友 |
山口 |
6番 |
郡司 浩平 |
神奈川 |
7番 |
新田 祐大 |
福島 |
8番 |
平原 康多 |
埼玉 |
9番 |
村上 博幸 |
京都 |
レース結果
4-3-8 1439.2倍(410番人気)
レース経過
福島勢がスタートを取りに行き前受を選択。そして中国勢で平原、中川。その後ろに近畿ラインで最後方が郡司で周回を重ねる。そして赤板を過ぎ清水と平原が少しインを斬るタイミングを探す感じになり、そこを脇本が仕掛けた。そのタイミングで清水が新田を斬ろうとしたが、新田に合わせられた。目に見えていた結果。確実に早めに斬らなかった。平原に更に斬られるのを嫌がったのかも知れないが、強気な攻めが身上とも思える清水としては珍しいレース運びであった。中国勢にとってはそれが全てである。そして新田が下げずに脇本の先行に飛び付いた。村上が遅れていた事もあり難なく番手を確保。この時点で新田の優勝と思った。そして脇本とのタイミングで3コーナー過ぎから新田は仕掛けた。全く伸びない。脇本に完全に合わせられた。そして新田の番手佐藤が中を割り4コーナーから脇本との直線勝負を制し佐藤が優勝。
今年のGPは脇本の先行一車。レース自体は単調に流れスタートを取った新田が飛び付きレースが前団で決まりました。今年後半戦から誘導が上がる事で道中の動きで脚を使う事、それを嫌がる選手が増えてきました。その傾向が徐々にありましたが、拍車が掛かった感じです。このGPでもそうでした。そこは少し残念でしたが、佐藤慎太郎が優勝したのは喜ぶべき事だと思いました。佐藤はGI決勝で9番手が多い選手です。我慢と培ってきた技術が最高の形の結果となりました。GPチャンピオンがいない競輪は寂しいです。来年、佐藤慎太郎は重責かも知れませんが競輪界を引っ張って行ってくれるでしょう。