―第35回読売新聞社杯全日本選抜競輪編―
2020年のシーズンがスタートし記念5開催が終了し、松浦悠士が2連覇で勢いが増す中での全日本選抜競輪です。その松浦はレース内容も良く、今回も優勝候補筆頭です。開催地豊橋は初のG1開催。地元代表選手の深谷知広は東京オリンピックを控え不参加。勿論ナショナルチーム主力が不参加の大会となります。豊橋に深谷がいないのは寂しい気はしますが、これも仕方なしです。豊橋の記念開催は8月であり、あまり風の印象はない様に思いますが、豊橋の冬場は風が強いバンクです。しかもバックは向かい風で、先行選手にとっては苦しい展開が予想されます。バンク形状自体は平均的なバンクで、どんな戦法にも有利不利は感じません。ただやはりこの時期は風との戦いになります。
そして初日。やはり先行選手が風に苦しめられました。その中で逃げ切ったのは新山響平と松井宏佑。新山はあれよあれよと言う感じではありましたが、松井は力強い先行で良く粘った印象です。特選組ではやはり松浦の出来は群を抜いている感じです。その盟友である清水裕友の力強い走り。そして怪我明けの郡司も問題なく好調時と変わりない印象でした。2日目は山田英明の先行が目を惹きました。逃がされた形ではありましたが、その中で良く粘り準決勝に駒を進め、昨年とは一味違うと感じました。3日目準決勝10Rでは展開上、吉田敏洋が先行。吉田拓矢の捲りを封じたのは流石です。ただその上を来た清水は強かった。2着に入った山田英明もラインである山崎賢人に離れはしましたが、結果的に自分で捲る様な形で出来の良さが光りました。11Rは宮本隼輔と松井宏佑の113期対決。宮本は普段しっかりした組み立てをしていないと感じます。しかしここでは松浦が付けます。その事で先行の意識が高まり普段は流動的での先行が、ここではそこに考えが傾き、結果的に残る駆け方にならない。しかも松井がいるので何が何でもに。松浦絶対です。結果もそうでした。松井に関しては勝ちを意識しすぎている感がします。12Rは原田研太朗が先行。それを岩本俊介が捲る展開。吉澤純平が前々に踏んで平原が中団に位置し自身で捲る形になった。三谷竜生が平原の後ろにいたが、岩本に乗る郡司が勢いで平原の番手にスイッチし1着。郡司も平原も隙がなかった。準決勝を終え、やはり出来は松浦です。2日目の優秀競走「スタールビー賞」で松浦、清水の順で並びました。そこには松浦に自信と、競輪祭での借りを返そうとする意志を感じました。2日目は少し失敗した感じでした。先行の組み立ての様に感じていましたが、松浦は早めに動いた事で中団狙いになったのか。それとも先行の作戦だが、叩かれたのか疑問が残っています。決勝でも松浦がライン先頭です。2日目の事が他の選手を迷わせます。結果的に良い2日目になったのではないでしょうか。
展開予想
本格先行不在の細切れ戦。スタートは郡司、和田の南関勢。そして1番車のいる平原、佐藤ライン。後は枠なりに三谷、村上の近畿ラインで、松浦、清水の中国勢に、単騎の山田が最後方。郡司の前受は外枠を嫌って。その結果、前から引いて展開を見ての仕掛け。今の状態にマッチもしているからです。まず後方から松浦が動く。その動きに合わせて三谷と平原の中団確保のための攻防戦が始まる。その事で松浦自身の仕掛けは遅くしやすくなる。そして前団が脚を使った所で松浦が一気の仕掛け。打鐘3コーナーと考える。清水絶好の展開。山田は恐らく3番手にいるが、その展開でのカマシなら3番手に納まるだろう。平原と三谷の中団の攻防は平原が獲るが、平原に今現在優勝までのものは感じない。清水が番手から抜け出し優勝。2着は松浦、山田、郡司の争い。
決勝番組
1番 |
佐藤 慎太郎 |
福島 |
2番 |
村上 博幸 |
京都 |
3番 |
松浦 悠士 |
広島 |
4番 |
和田 健太郎 |
千葉 |
5番 |
平原 康多 |
埼玉 |
6番 |
山田 英明 |
佐賀 |
7番 |
郡司 浩平 |
神奈川 |
8番 |
三谷 竜生 |
奈良 |
9番 |
清水 裕友 |
山口 |
車券推理
9-3-6751
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9-6-3751
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9=7-3615
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レース経過
前受を三谷が選択。そして松浦ライン。平原がしっかりこの後ろを取り、後方に郡司ライン。最後方が山田で周回を重ねる。まず郡司が動き平原が切り替え更に叩く。松浦がタイミングをずらした事で平原は計算が狂った。そこで三谷が平原を斬り松浦ラインを迎え入れる。郡司の動き出しから平原の斬るタイミングが早くなった。2日目の優秀競走では松浦が早めに動きタイミングが早くなり失敗した事がここで活きた。松浦ラインの3番手を山田が追走していたが三谷に飛び付かれるのを避け、5番手に入りに行った。この動きは、このレースでは正解である。しかし3番手追走から競りの覚悟が必要。このレースで競り負け大敗しても、今後それはタイトルに近づく。こんなレースをしていたらタイトルは獲れない。3番手に三谷が納まり、捲りに行こうとしたが思い切りが足りず迷った。そこで5番手の山田が捲りをさく裂させたが、清水がいいタイミングで出た。そして山田を振り切り優勝。2着には山田を追う形で平原が入った。
清水の初タイトルは時間の問題でありましたが、勝つべき事をやってきた選手が勝ったのは私自身非常に嬉しいです。これからも清水、そして松浦は競輪ファンの心を掴んでいくと感じます。今年も大暴れして競輪を活性化して欲しいですね。
豊橋でG1初開催となったが、連日沢山のファンが競輪場に詰めかけた。久しぶりに活気のある場内でありました。ファンの方の質も変わってきています。競輪を楽しんでいる人が多く盛り上がりのある場内であり、生の競輪は素晴らしいと改めて感じました。そこは選手もそうだが、イベント内容が普段とは一味違った事が要因だったと感じます。風が吹き寒さを感じながらの競輪でありましたが、新しい競輪のスタイルと感じたシリーズでした。