―第36回共同通信社杯編―
かつては新人選手の登竜門と呼ばれていた共同通信社杯。
しかし自動番組のオール予選となった事で若手が勢いで勝ち上がってくる事が厳しくなりました。ただ今回は伊東33バンクです。番組の運にも左右されますが、積極的に仕掛ければチャンスは訪れてくるでしょう。その筆頭は寺崎浩平になりますが、戦法的には自身のスピードを活かしたい思いが強く、カマシ中心の戦法ですから、33では結果は厳しいかも知れません。
結果的には2次予選で同県脇本雄太と同乗し、無理なレースを強いられたため敗退しました。ただ行き詰まり感がありますが、本人は恐らくそれは感じていないと思います。
今後を考えるなら戦法を変えるべきと感じます。
初日を終えインパクトがあったのは郡司浩平でした。タイム的には脇本が良かったのですが、番組構成などから、郡司強し。快速、好調振りをアピールしました。勿論、脇本もですが、こちらは圧倒的な力を見せつけ、好調な滑り出しでした。
松浦悠士と清水裕友に関しては、今年の前半戦の様な充実感はありませんでした。ただレースは以前同様確固たる物がありました。
2日目の10Rは新田が押さえ先行逃げ切りで力を感じさせました。11Rは脇本が同県寺崎の番手戦を避けて捲る展開にもって行きました。付ける以上は付く。ラインを重んじて無いと感じました。オッズの人気には応えましたが、ファンの期待には応えてなかったと感じます。あの展開を捲れるのは並大抵ではありません。それなら外並走も苦でないはずでしょう。12R混戦模様を松浦が力で跳ね除けました。安定の松浦ですね。対して郡司は前受で苦しかったが、策を感じませんでした。出来が良いだけに勿体ない。
3日目準決勝は順調に本命視されていた選手が揃って勝ちました。ただ流石に準決勝になるとラインで決まる事は厳しかったですね。10Rは新田が力の先行。11Rは脇本雄太が捲りで制圧。清水に関しては1年通して調子を維持する事は不可能で、その中でも良く先行した。12Rは松浦が自在に立ち回り1着。流石でしたね。前を任せた島川にも期待しましたが、新山との先行争いで仕方なしでした。そして決勝メンバーが出揃いました。九州が4車結束。その他は全員単騎自在戦です。今の制度なら。ファンの方が望む望まないかは別として、これからもこんなメンバー構成の決勝は増えると思います。展開上脇本の後ろに入った選手は追走の形になるかも知れません。九州4車ですが、脇本とその後ろの選手の1、2着決着と感じます。
展開予想
まず先行するのは山崎率いる九州ライン。それを分断するなら吉澤しかいません。松浦はコメントで「九州分断は考えていない」「脇本の後ろも付かない」と言い切りました。展開上流れでそうなる事はあると思います。
スタートは山崎に関してはどこにいても先行出来るので、こだわりはないでしょう。単騎の選手が九州ライン5番手を、脚を使わずに取れれば一番いい位置になりますが、脚を使ってまで取る位置でない事も理解していると思います。その理由として山崎の出来が良い事です。脚を使っていたら、捲れない可能性が高いからです。その事があり単騎の選手のスタートの位置取りは重要になります。特に松浦と吉澤はそう考えるでしょう。
スタートは岩本、松浦、吉澤と考え、その後ろに九州ラインで新田、脇本の並びで考えます。まず九州ラインが動き、松浦がインを斬り5番手確保そして脇本、新田が後方になり早めの巻き返し。それに合わせ松浦が動き、脇本の番手ハマりを狙う事もあると思います。
脇本は2日目先行寺崎の番手から捲った松井の上をさらに捲りました。ただ、ここの先行は山崎の1車です。山田の番手捲りや中団にいそうな松浦も気になるので、脇本は早めに巻き返すとおもいます。松浦がハマれば脇本と1、2着。すんなり新田が脇本の後ろにいるなら、新田、脇本で入着と感じます。
決勝番組
1番 |
新田 祐大 |
福島 |
2番 |
脇本 雄太 |
福井 |
3番 |
山崎 賢人 |
長崎 |
4番 |
岩本 俊介 |
千葉 |
5番 |
山田 英明 |
佐賀 |
6番 |
中本 匠栄 |
熊本 |
7番 |
松浦 悠士 |
広島 |
8番 |
園田 匠 |
福岡 |
9番 |
吉澤 純平 |
茨城 |
レース結果
6-7-8 1963.8倍(281番人気)
レース経過
前受に九州勢で5番手に松浦、脇本は最後尾。誰の目にも山崎の突っ張り先行は明らかと感じました。脇本がそれに対処するため赤板カマシ。強引に感じましたが、それでも優勝の自信はあったと思います。ただ山崎の出来は本物でした。脇本不発。脇本に切り替えていた松浦もスピードが鈍り苦しい仕掛けになった。その後ろにいた新田にはいいタイミングで優勝かとバックで感じました。
しかし、番手山田のブロックに沈んだ。吉澤がそのあおりで落車。山田は1着通過でしたが失格の判定。繰り上がりで中本の優勝となった。
山田は山崎があれ程の先行をした以上通す訳にはいきません。1着失格でしたが、ライン番手の責任は果たしました。これが無ければ山崎も納得出来ないでしょう。
そして、それがあっての中本の優勝です。その中本は自在選手として、まだまだこれからの選手です。色々な事を学ばなければならない。このレースでは肌で感じた事は多かったと思います。そして課題も出来ました。それは繰り上がり優勝のフレーズを自ら消す事です。中本はこのタイトルに負けない選手になって欲しいです。
レース事態は九州勢が単騎の選手達の波状攻撃を凌ぐレースで、落車含みのレースではありましたが見所満載の、いいレースでした。