―第29回寬仁親王牌 世界選手権記念トーナメント「決勝」編―
昨年は村上博幸が三谷竜生の先行に乗り番手から抜け出し優勝しました。三谷も前橋バンクの特性に当てはめた展開を作り2着に粘り込みました。昨年は参加しなかった新田祐大、脇本雄太が今年は参戦です。今年の流れは中国勢、松浦悠士と清水裕友の連携を脇本が力でねじ伏せるか。清水が復調気配なだけに、この前橋でもその事は言えると思われました。初日「理事長杯」全プロが行われなかったため、昨年のGPと全く同じメンバーでの再戦となり、並びも中国勢の松浦が前になっただけです。ただ33バンクになった事。そして何より選手のモチベーションが違う事。勝ち上がりの初日と言う事があります。その中で脇本と新田の先行争いに、郡司が仕掛け壮絶なもがき合いとなりました。その全てを脇本が合わし切り1着。見応えのあるレースでした。
2日目「ローズカップ」清水が先行。郡司が早めに叩きに行く。優秀競走と言う事があり、どの選手も位置よりも積極的に仕掛けました。それでも清水が先行で合わせ切りました。その結果、番手松浦と後方にいた新田との争いになったレースでした。
3日目「準決勝」10R。新山を叩き太田が先行。すかさず新田が切り替えまくりました。郡司は位置を作り良く伸びましたが、権利取りにも見えたが仕方ないか。
11R。松浦が展開を活かし番手まくりで決着。山田は平原との位置取り合戦を制した事が全てでした。
12R。脇本が後方から赤板先行。前受になった清水は番手飛び付きを狙ったが遅れました。こちらもそれが全てでありました。
準決勝までを終え、やはり脇本が抜けた存在には変わらない状況でした。松浦、山田、郡司と自在選手の動きも良く、決勝は脇本と新田の力比べに加え、自在選手に位置取りにも注目が集まる一戦となります。
基本は脇本の先行を巡り誰が良い位置を獲るか。新田は前受なら昨年のGPの様な事も視野に。しかし積極的に位置を獲りに行く選手が多く、やはり後方が濃厚。そこにはチャンスがないでしょう。新田は先行でしか勝てないと感じます。中団争いは先行も出来る松浦が入る可能性が高い。脇本本命は揺るぎないですが、かく乱されれば郡司にチャンスが訪れると感じます。
展開予想
前受にやはり新田と守澤の北日本ライン。その後ろが1番車の脇本、東口の近畿ライン。後は枠なりに、山田兄弟ライン、単騎の郡司。そして松浦と橋本の中四国ラインと予想する。松浦が動き、郡司が乗り、新田をしっかり斬る。その流れに山田が切り替えるが叩くまではない。なぜなら松浦の先行も考えられるからです。ただこの様子見は山田にとっては当てが外れれば後方になり優勝から遠のく事になるでしょう。そして脇本が松浦を叩きに行く。この時に松浦は脇本に抵抗するか、それとも3番手を選択するかで、結果は大きく変わります。松浦が優勝を狙う、もしくは脇本に一泡吹かしGPへの布石にするかです。おそらく自然に3番手になる。新田はGPには優勝が条件と思っています。それとここで優勝すれば史上3人目のグランドスラム達成となります。意識していないコメントを出していますが、かなり意識していると感じます。それゆえに仕掛けは躊躇する可能性が高いと感じます。ただ先行が一番優勝の近道にも思えます。基本路線はその結果、脇本の先行を3番手から松浦が追い込めるかです。もし松浦が脇本を合わせに出たら、郡司にチャンスが生まれると感じます。
決勝番組
1番 |
脇本 雄太 |
福井 |
2番 |
山田 英明 |
佐賀 |
3番 |
郡司 浩平 |
神奈川 |
4番 |
東口 善朋 |
和歌山 |
5番 |
新田 祐大 |
福島 |
6番 |
山田 庸平 |
佐賀 |
7番 |
松浦 悠士 |
広島 |
8番 |
橋本 強 |
愛媛 |
9番 |
守澤 太志 |
秋田 |
車券推理
1=7-32
|
1=5-732
|
1=3-72
|
1-4-732
|
3=7-21
|
レース経過
スタートけん制から仕方無しに松浦が前受。そして新田ライン。郡司が5番手。脇本ライン、佐賀勢で周回。しかし早めに山田が動き出す。その動きに脇本が乗らず、郡司が追走。脇本はおそらく後方からのカマシ先行狙いと読めた。そして松浦が上昇しインを斬る。脇本のカマシに対応するために、それなりに踏んでいたが、脇本のカマシに遅れた。脇本にとっては狙い通りの仕掛けになったと思う。松浦が遅れ3番手に脇本ラインを追う形から新田が入った。新田なら3番手でも届くと一瞬思った。しかし、脇本のペースは衰えず新田を寄せ付けなかった。脇本圧勝のレースとなった。
脇本に先行のライバルがいなかった事もあるが、仕掛けたい時に仕掛け、そしてペースでゴールを迎えた様に感じてしまう程でした。松浦は脚を遣いイン斬りから飛び付きを狙う作戦だったと思いますが、自分のタイミングで来た脇本にはさすがに厳しい。脇本は構えて仕掛ける展開なら敵はいないと感じさせるレースでした。競輪は縦脚勝負に変化して来ていますが、脇本と対戦するなら直か追い上げしかない様に思えます。ただし、それは2着狙いになります。33バンクであった事は脇本に味方したと言えます。ここから先も競輪祭と平塚GPと先行有利なバンクが続きます。脇本は優勝へのモチベーションさえ保たれれば、ここから先も脇本の一人舞台と感じさせる圧勝の内容でした。