月刊競輪WEB|KEIRIN.JP
―KEIRINグランプリ2020編―
今年のGPは新型コロナウィルスの影響をあらゆる所で受けての開催となりました。GPシート争いもその一つです。5月開催予定だったダービーが中止になった事。ダービーは一番賞金が高いGIです。ダービー優勝は勿論ですが、2着でもGPの権利をほぼ手中にする事が出来る大会です。また開催自体も限られたファンの方しか本場で見れなくなってしまいました。例年GPは生で見ようと多くのファンの方が詰めかけ、歓声とどよめきがなり沈まぬレースです。今年はそれが無い。和歌山で行われたコロナ下での高松宮記念杯は無観客レースでありました。ここでは普段あまり耳にすることのない選手の息遣いや走行音が聞き取れたシリーズであり、新鮮さはありました。しかしやはり競輪を後押しするのはファンの方の声援です。無観客では無いですが、今回は少し違ったGPになると思われます。その舞台は平塚です。ここは直線の短いバンクです。過去のGP、GIでも前団で決まるレースが非常の多い結果です。今回のGPもその傾向の中にあり、主導権を獲ったラインで決まる可能性は高いでしょう。
さて今年のメンバーを見るとやはり脇本の名前がまず飛び込んできます。しかし競輪祭の落車欠場からでGPが久々の出走となります。期間は十分ありコンディションは問題ないと考えられ、やはり脇本が軸となる選手です。地域的には単騎の可能性も高かったですが、平原が番手宣言をした事でより一層その事は言えるでしょう。ただ今年の競輪界を引っ張ったのは松浦と清水の中国勢です。どちらもファンの心を掴むレースっぷりは立派です。松浦がライン先頭になり組み立ては如何に。そして地元勢。郡司に和田の神奈川ライン。郡司は前回の平塚GPは惜しくも参加する事は出来ませんでした。その悔しさを胸に秘め突き進んだ3年。それは郡司を大きく成長させました。もつれれば郡司にチャンスが巡って来る予感がします。後は新田率いる北日本ラインとなります。昨年は新田がイン粘りを選択しました。その結果、番手佐藤が優勝し2019年を締め括りました。このバンクこそイン粘りかと思いますが、昨年の事があり警戒感がありイン粘りは難しく感じます。それより裏をかくなら先行勝負が良いとは感じます。果たして新田はいつもの7番手からになるのでしょうか。
展開予想
前受けはいつも通り新田率いる北日本ライン。そして地元ライン。脇本がその後ろに位置し、後方が松浦ラインと想定する。後方から松浦が上昇し脇本の位置を素通りするなら、脇本ラインの3番手狙い。ただ郡司がその動きを容認するかです。郡司が合わせて動くなら松浦がいったん待ち郡司を斬るタイミング的にはワンテンポ待った事により、松浦が仕掛けてもおかしくない状況なだけに、郡司は引く可能性が高い。そして脇本が一気に仕掛ける。松浦が叩き合いを避けないのなら郡司にもチャンスはある。しかし松浦が下げるなら、前団4車の中から優勝者が出る。後は新田です。このバンクで7番手からは不発しかない。それなら早めに自ら下げ、抜け出せる所から仕掛け先行が勝利に一番近いと感じる。番手の佐藤はその位置から優勝しているが、新田のミスがあり優勝が流れ込んで来たレース。佐藤の今年1年を振り返ると、伸びに欠くレースが目に付いた。後半戦の四日市記念辺りから前を交わすシーンが増えたが、新田の先行を交わせるかは疑問であると感じる。ゆえに新田は先行勝負が優勝に一番近いのではないでしょうか。この新田の動きがないなら、やはり脇本が叩き切り番手平原がしっかり付いているなら両者のワンツー。離れるなら脇本と松浦の一騎打ちになる。ただ展開がもつれた時は郡司が脚を貯めていて爆発させるだろう。
決勝番組
1番 郡司 浩平 神奈川
2番 脇本 雄太 福井
3番 松浦 悠士 広島
4番 和田 健太郎 千葉
5番 清水 裕友 山口
6番 守澤 太志 秋田
7番 平原 康多 埼玉
8番 新田 祐大 福島
9番 佐藤 慎太郎 福島
車券推理
2=7-135
2=3-51
1=3-458
1=2358-2358
レース結果
 4-2-9  2216.5倍(419番人気)

レース経過
前受に松浦ライン、郡司ラインと続き、北日本ライン。最後方に脇本ラインで周回。脇本を意識した動きはあるが、そのまま赤板を過ぎる。そして脇本が2コーナーから仕掛け松浦が合わすよりも、飛び付くつもりで踏み込む。脇本が4コーナーで出っ切るが松浦は踏み遅れ結局3番手に納まる。そこに郡司ライン、北日本ラインで想定通りの展開。松浦が仕掛けられない展開なので、1センターから郡司が仕掛けるが伸びはない。そして3コーナーから松浦が仕掛けるが無理矢理行った感じで不発。その番手の清水がそれを読んでかいいタイミングで仕掛けたが平原に牽制される。和田が清水のスピードを貰い、そのけん制で空いた内を突っ込み、和田が突き抜けた。

展開は読み通りであったが、和田がその位置にいる事も考えていましたが、そこまで伸びるとは考えていなかったのが車券的には全てです。レースは脇本がもう少し遅らせて仕掛けると考えていましたが、2018年の平塚ダービーと同じような仕掛けでした。番手を回った平原には絶好の流れでしたが、踏む対応をしませんでした。それはここ最近の脇本のイメージが強すぎたからだと思います。それがあり4コーナー勝負しか考えていなかった事が清水に合わせて踏む事よりけん制になったと思います。
和田がGP優勝しましたが、来年はこの事に負けない、それに相応しい競走を期待します。
ファンの皆さんにとっても2020年を締めるレースとなりました。2021年もすぐにこの日を目指し戦いが始まりますが、いい1年であります様に。