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―第36回読売新聞社杯全日本選抜競輪編―
川崎でのGI開催は私の記憶にもありません。私がデビューした昭和64年では「競輪のメッカ川崎」と言われていた時代です。お客さんが多すぎて本場に入れない事に加え、周辺の交通がマヒするためにGI開催を見送っていたと聞いています。当時記念はもとより、普通開催ですら混乱回避のために決勝戦は最終レースの一つ前のレースでした。時代と共に場外車券売り場や、ネットでの購入が出来る様になり今回の川崎GI開催となったと思います。そこに地元南関勢の躍進も感じます。和田健太郎がグランプリチャンピオンとして、地元のエース郡司浩平が完成形となりです。その中で迎える今年最初GIです。久々の川崎開催です。
初日の見せ場として深谷と郡司の連携がありました。両者にとって今後を占うレースになります。深谷はしっかり掛けられるか。郡司は番手からですが単純に1着では意味がないレースでした。結果は清水が伸び1着でしたが、両者の滑り出しは上々でした。強風でのレースでしたが深谷自身もその事に意識を置いていたと感じる早めの仕掛けでした。
そして2日目12R「スタールビー賞」。深谷がここも外連味なく先行しました。清水は前受から引いての巻き返し。近況の動きは一瞬のキレはある清水と、積極的な先行選手らしい攻めの深谷。清水は巻き返せないと思いましたが、郡司が番手まくりしなければならない程のスピードでした。久々に強い清水が帰って来ました。勝った郡司の判断も良くそして連携も噛み合っていました。
3日目「準決勝」。10R深谷が打鐘過ぎの先行で逃げ切りました。強風の中でも、深谷に迷いを感じさせず上がりタイムも抜けていました。山崎との気持ちの差が明暗を分けた。
11R清水裕の立ち回りは流石でした。そこからまくり松浦を寄せ付けず完全復活ですね。
12R高橋のカマシ先行。郡司は打鐘で山田を受け入れました。その5番手でもまくる自信があったのでしょう。しかし何とか届いたレースでした。
準決勝を振り返ると深谷の迷いの無い先行と、清水の完全復調と言った感じです。そして地元郡司が最低限のノルマを達成と言った感じでしょう。
4日目「決勝」スタールビー賞の再戦と言えるメンバーとなりました。スタールビー賞では清水前受から引いてカマス作戦で2着には入りましたが、郡司の後ろが空き、救われたレースでもあります。決勝では清水の初手に位置取りはどうなるのでしょうか。そして深谷が先行すれば、郡司があっさり優勝するのでしょうか。
展開予想
スタールビー賞では平原が1番車で中団と取れたが、ここは外枠。平原は後方になるので前受選択かもです。それなら清水が中団で深谷が後方からだと予想。深谷が動き出した時に合わせて清水が動くなら中団もある。深谷の動きに合わせないなら初日同様のカマシ選択です。ならば叩き合い。深谷の気持ち一つだが、番手郡司を引っ張る様な形なら、あっさり郡司が優勝する。清水が4番手なら郡司、清水、松浦の争いになるかです。平原は今回気配を感じないので叩き合いでも、番手がどちらも自力があるので厳しいと感じる。
決勝番組
1番 和田 健太郎 千葉
2番 松浦 悠士 広島
3番 平原 康多 埼玉
4番 深谷 知広 静岡
5番 守澤 太志 秋田
6番 園田 匠 福岡
7番 郡司 浩平 神奈川
8番 諸橋 愛 新潟
9番 清水 裕友 山口
車券推理
7-1-9358
7=9-1258
9=2-758
レース結果
 7-1-5  43.9倍(8番人気)

レース経過
スタートはどのラインも取りに行ったが、平原が取り関東勢前受。そして中四国ラインで、地元南関ラインに守澤で周回。深谷が赤板で上昇し、そのまま先行態勢。4番手に南関ラインを追走していた守澤がそのまま納まり、平原が5番手。そして7番手に中国勢でバックを通過。スタールビー賞同様に清水が打鐘4コーナーで仕掛けると思ったが躊躇した様に見えた。しかし行くならそのタイミングだったと感じる。そしてホーム過ぎから仕掛けるが平原も仕掛けた。そして郡司が番手まくり。後は和田が交わすかどうかだが、その気配はなく郡司が後続を振り切り優勝。地元GIに花を添えた。
深谷が南関に移籍しその挨拶状の様な先行でした。そしてその番手郡司がそれをしっかり受け止めたかの様なレース。深谷が移籍し中途半端なレースをするぐらいなら早めに主導権を奪いに行くレースが連日続きました。それは深谷にとっても非常に良かったと感じます。逃げっぷりと力の両立を成しえていました。この事は今後のレースに大きく反映されていきます。そして清水ですが、敵ラインは2段掛け体制である以上、それを破るには自身も捨て身を選択しないと南関ラインを崩せないでしょう。昨年までの松浦とのコンビとは少し様相が変わったと感じます。以前はライン先頭が少し捨て身でしたが、現在はライン先頭が勝負をしに行く割合が増えてきたと感じます。ラインが変化し熟成してきたと言う事でしょう。
勝った郡司は昨年競輪祭からGI連覇です。深谷との連携が印象に残りますが準決勝を自力でクリアをしています。力に強い味方を手に入れた郡司ですが、次回の深谷は獲りに行く事が許しを得るためのシリーズだったかもですね。これからのGI戦線は激戦ですね。