―2021競輪祭「決勝」 ―
今年最後のGI競輪祭は例年同様にグランプリシートの決定戦でもあります。ほとんどの選手がタイトルを獲っての出場しかない状況です。その筆頭は脇本雄太でした。小倉バンクに脚質、戦法共にマッチしています。しかし早々に欠場を表明。グランプリにも脇本の姿は見られない事になりました。そして競輪祭自体も混沌とした争いになると感じました。
今年もナイターの6日制でガールズも例年通りグランプリシートを争う最終戦。2個トーナメント。1組目は児玉碧衣が25連勝で乗り込み、そして圧勝。そして2組目は混戦模様でしたが、優勝でしかグランプリ出場権が得られない小林優香が優勝しました。
男子は一次予選2走のトライアル形式。この一次予選は上位陣にとってもかなり神経を遣う戦いです。結果、清水が落車し、そして守澤が失格で勝ち上がれず。グランプリ争い渦中の選手では、山口拳矢が落車で姿を消し、グランプリシートは結果待ちとなりました。厳しい一次予選でした。そして2次予選は順調に流れ主力所は順当に勝ち上がり、準決勝を迎えました。
10R佐々木悠葵にラインが出来ず、取鳥雄吾の先行一車。その番手の松浦が圧倒的に優位な構成でした。問題は郡司と古性の位置取りです。古性が前受で郡司が斬り、そこに取鳥が付いて来なかったので、古性に斬るチャンスが訪れましたが、郡司が外に張った事でタイミングがずれ下げました。しかし郡司が3番手に山田英明を入れなかった事、そして郡司の番手和田真久留をすくった事で圏内の位置を確保しました。結果も番手松浦から郡司、古性で決まりました。取鳥もラインが3車なら乗っていたとは思いました。
11Rは新山響平の先行有力で、ここもその3番手を巡っての争い。前受の吉田が脚を遣って位置を確保。しかし仕掛けるまでの余力は残っておらず、3着確保の形になった。新山にとっては楽なレース運びだった事もあります。12Rは眞杉と北津留の力勝負を捲る新田の構図。眞杉が前受から突っ張り北津留は新田の追い上げもあり万事休す。新田が4番手確保した事で、新田で決まったと思いました。その新田はホームで眞杉を叩きました。窮地に立たされた北津留でしたが、さらにその上を捲り場内をどよめかせました。あの新田の上を行けるとは想像もつきませんでした。地元勢のワンツーにそのラインを追う形になった山田久徳が3着で初優出でした。
決勝メンバーが出揃い、ラインは3つ。単騎が3選手となりました。新山が先行しやすい構成で、 その北日本ラインの3番手を巡ってのレースと感じますが、3番手より番手の方が取りやすいので番手以降は混沌とするでしょう。そしてその展開を北津留が捲れるかが注目のレースです。
展開予想
前受に地元ライン北津留。その後ろに松浦。そして近畿ライン古性。郡司、吉田で、北日本ライン新山と予想する。古性が前段を斬り位置を作りに行く。古性が斬っているなら新山は慌てず打鐘先行。しかし、古性やその他の選手が斬らないなら新山は早めに動かなければならない。そこで古性、郡司の位置取り争い。3番手でやり合うぐらいなら番手もある。松浦は一発狙い。吉田は5番手までなら我慢し展開を待つだろう。やはり問題は古性と郡司。古性はラインもあり闘いやすいだけに、古性が1番位置を狙うと思います。番手以降が混沌とする状況を北津留が捲り優勝か。しかし不発なら位置を取った古性に山田、郡司、吉田が絡むだろう。
車券推理
1=4-972
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1=9-724
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9=7-245
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9=2-745
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レース結果
7-5-4 553.7倍(284番人気)
レース経過
前受に北津留、園田の福岡ライン。すぐ後ろに新山、渡邉の北日本ライン。松浦、郡司で古性、 山田の近畿ライン。そのラインを追う形で吉田が周回を重ねる。そして古性から動き始めるが、合わせて郡司が動きインを斬る。その上を古性が更に斬り、飛び付き体制。郡司は古性の後ろで良いと判断したと思います。そして新山が仕掛けた。タイミング的に古性と打鐘4コーナーになり、外が山下ろしでスピードが加速し古性は3番手、その後ろに山田を飛ばした郡司の体制になった。後方になった北津留が仕掛けたが、同じタイミングで松浦が仕掛ける。北津留はこの動きで不発になり、松浦も伸びを欠いた。ただその後ろにいた吉田が松浦のスピードを貰い、中バンクを仕掛けた。逃げた新山も粘り良く番手の渡邉を寄せ付けず一瞬逃げ切りかとも思った。しかし吉田の伸びが良く、いっきに突き抜けた。そしてグランプリシートを最高の形で手に入れたレースであった。
今回の開催は上位陣で本当に出来の良い選手がおらず、中堅所の出来の良い選手の活躍が目立ち、戦前の予想通り混沌としたシリーズでありました。そしてグランプリシート最後の一枠は渦中の吉田拓矢が見事優勝という最高の形で決めました。先行から自在に変わりながらも決して積極性も失わず成長しました。そして力も付け場数も踏んだ結果です。宿口、平原はこの吉田の頑張りでタイトルを獲りました。後ろに文句を言わせない状況も作ってきました。グランプリでは関東ラインの先頭で変化ありの積極果敢な姿を見せてくれるでしょう。ここからの活躍にも期待です。