小嶋敬二(石川・74期・S級1班)
第73回日本選手権競輪(以下ダービー)でS級700勝を達成した小嶋敬二選手。続く平塚GIIIでも1・1・9・1と好調さを見せている。
49歳にして若手選手に負けない魅力ある自力を見せてくれる小嶋選手に、好調の秘訣などを話してもらった。
好調が少しでも長く続くように努力をしていきたいです
ダービー2日目
-好調の秘訣は?
「ダービーの前に4日間くらい集中して練習ができたので、それがよかったのかなと思います。ダービーは強い子がたくさんいるじゃないですか。自分の中で(自分が)弱いと思って一生懸命にやったことが、ああいう結果に繋がったという感じです」
-…小嶋選手が弱いなんて、ツッコミどころはいっぱいありますけど(笑)。
「いえいえ、競輪はやっぱり点数上位者が強いので。点数が高く強い若い子たちは、自分もそうだったけども勝たなきゃいけない部分もあると思うんですよ。点数が低い時は低いなりに、チャレンジャーじゃないけど思い切って走れるっていう開き直りみたいなところがあって、このクラスのレベルだったらこういうレースをしてもいいんじゃないかなというのが、偶然いいようにハマりました。合宿の調整や、内容がよかったのが上手くかみ合ったんだと思います。一緒に練習に付き合ってくれた方にも感謝ですね」
-合宿はダービーに向けて?
「そうですね。ダービーの出場権に関しては賞金(取得額)で、ここら辺までくると毎年出られるっていう安心感はないので、出る時はこれが最後かなって思って頑張っていますね。それでダービー前に合宿するんですよね」
-合宿のメンバーなどは?
「いつもバイクを引っ張ってくれる宮地(一夫)さんと、たまたま(鈴木)奈央がいました。奈央は…まぁ癒しだけでしたけど(笑)。あの子の周回練習は強いなと思ったけど、あとは癒しだけです(笑)」
-やはり宮地さんのバイク誘導がよかった?
「もう長年やってもらっているので、こういうペースで引いてくれっていうと引いてくれるし、それで自分がついていけなかったら、そこが弱いんだなって思いますからね。同じ内容を他の人にしてもらっても違う物差しになってくると思うので。そういう意味では、同じ人に同じ感覚で同じようにやってもらうということが自分の中で一番いい感覚になると。それは大事だと思いますね」
レース後に見せた爽やかな笑顔
-S級700勝という偉業に関しては?
「それは名誉だと思っています。一度もS級から落ちてもいないですし。A級やチャレンジの方でも、700勝を目指そうという方やもうすぐ手が届きそうっていう方はたぶんいると思うんですけど、S級でというのは価値があると思うんですよね。それは頑張ってきてよかったなと思っています」
-次の目標は?
「今、通算757勝なので、キリのいいところで777勝をできればいいなと思っているんですけど、少し年内は難しいかもしれないですね。頑張りたいと思います」
-ダービーの時には、令和の大型先行選手という素晴らしいキャッチコピーが生まれていましたが(笑)。
「はい(笑)。(ダービー2日目の)新山(響平)とかにしても、若い子たちは負けることを拒むというか、『魅せてやる』っていう競走が少ないので、そこは経験として自分の方があったのかなと思います。結果は4着で上には上がれなかったけど、インパクトはすごかったので。ああいう(2周先行する)ことがちゃんとできると、若い子たちももっと一皮むけるような気がしますね」
-ファンにメッセージを。
「ダービーでの活躍が1日でも長く続くように努力をしていきたいと思いますので、ぜひ本場で応援してください!! やっぱり本場にたくさんお客さんが来ると選手は盛り上がりますからね!」
-声援が選手を後押ししてくれる。
「ダービーがすごいお客さんでしたからね。僕たちは昔のお客さんが多い中で走っていた経験あるけど、若い子たちがすごく興奮していました。2日目、伊勢崎彰大の後に僕のレースでしたけど、あれですごく場内が盛り上がっていて、自転車を取りに来た若い子たちが『こんな中で走れたら感動するよね』って口々に言っていたんですよ。本来、スポーツとしては当たり前というか、いいプレイには称賛があって、若い子たちもいい走りをして、応援してもらって、もっと強くなるというのが理想だと思うんです。本場に来てくれることは(お客様からの)愛情だと思うし、ぜひ本場で、いい走りをした選手をたくさん応援してください」
PROFILE
小嶋敬二 (こじま・けいじ)
1969年11月9日生まれ。身長174cm 体重90kg 太もも74cm
感動したことは?
「自転車を色んな角度から見ることによって、色んなモチベーションが上がって、これからも頑張っていける気がします!」