山口拳矢(岐阜・117期・S級2班)
S級に特進を果たした山口拳矢選手。早期卒業の寺崎浩平選手に次いで、117期で2番目のS級選手になりました。S級初戦でも1着1着で勝ち上がり、決勝戦は残念ながら落車してしまいましたが、S級でもしっかり戦っていけることを証明してくれました。自力だけでなく、何でもできる選手を目指して、さらなる強さを目指す山口選手。その強さはまだまだ計り知れません。
もっと対応力をあげていき、結果を出せるように頑張りたいと思います!
-まずは、ファンの皆さんが心配していますが、落車は大丈夫でしたか?
「擦過傷だけなんで大丈夫です」
-S級の初戦、1レースずつ振り返ってください。まず、予選はどうでしたか?
「初戦ということで色々な人が注目して見てくれていると思うので、多少、強引でも先行しようと思っていました」
-その結果、1着でしたね。
「やっぱり出切るまでの脚の使い方がA級までと違うなって思いましたね。そこまで踏んで出切ることが今までなかったので」
-そこで踏んでも、しっかり逃げ切れたことは自信につながったのでは?
「そうですね。番手の(山口)泰生さんも調子がよかったので、差されるなら泰生さんかなと思ってたんですけど。結果、同着でしたけど(1着で)印象は残せたかなとは思います」
-準決勝は、位置を取りにいく動きをみせつつ、捲りで勝負でしたが、いかがでしたか?
「(志智)俊夫さんが1番車だったので、中団からの組み立てがよかったんですけど、スタート牽制になった時にどうするかは、全部俊夫さんに任せていたので、前を取ったら引いて中団で粘ってという考えでした。(嵯峨)昇喜郎君があんなに早く行くと思わなかったので、とりあえず追いかけつつスピードをもらってカマしに行こうかと思ったら、いい感じで中団が空いていたので、まずはそこに入って落ち着いてって感じでしたね」
-先行でも、捲りでも強いところを証明してくれましたね。
「そこは、両方できる選手を目指しているので。良く言えばどっちもですが、悪く言えば強みがないというか両方とも得意意識はないので、状況に応じて動ければと思いますね」
-両方ともできるから、得意意識がないのでは?
「いやいや(笑)」
-決勝戦は、どう組み立てようと思っていたんですか?
「2分戦だったので絶対に前がよかったんですけど、南(潤)君のスタートが早すぎて(苦笑)、ちょっと前を取れなかったので、その時点でちょっと…、後ろ攻めっていうことをあんまりしてこなかったので、切った後の流すスピードだったり、そういうのが勉強になりましたね。やっぱり南君はダッシュがすごいので、僕もけっこうダッシュはある方なので合わせられるかなと思ったんですけど…、ちょっと、南君はS級トップで戦っているし、そんなに甘くはなかったですね」
-本当は合わせるつもりだったんですね。
「突っ張るつもりだったんですけど、それで合わせられなくて、番手で粘るか引くか迷っていて、ちょっと畑段(嵐士)さんが離れていたのが見えたんですけど、完全に技術不足でした、あそこで転んだのは」
-S級とA級で違うと感じるところは?
「もちろん自力が強いのはありますけど、何よりマーク選手のレベルが違うなっていうのは感じますね。2日目もブロックが来るのはわかっていたので避けていたんですけど、それでも確実に当ててきますからね」
-S級を走ってみて感じた課題はありますか?
「自分の想定と違った時の対応力というか、全部が全部、作戦通りにいくわけじゃないので、最初の位置取りに失敗した時とかも柔軟に対応していけるかですね。結局、上の選手は先行、捲りと強いと思うので、そういう位置取りが大事になってくるのかと思いますね」
-対応力は今もかなりできると思いますが、それをさらに伸ばしていくわけですね。
「あの決勝みたいに、突っ張れなかった時とかみたいに、ヨコもしっかり対応していかなきゃいけないと思うので。やっぱり力だけではどうしようもないというか、身体も大きくないので、技術の面で上で戦っていけたらと思います」
-それに心強いのはお父さん(山口幸二)、師匠のおじさん(山口富生)も競る技術はすごいですからね。
「そうですね、身近にそういう人がいるので教えてもらえるのは大きいですね!」
-S級の初戦について、父や師匠からは何かアドバイスはありましたか?
「師匠からは、連勝をしている内は狙っていけばいいと言われていたんですけど、連勝が止まったので、ここからどういう走りをするのか先を見据えてという風に言われました。決勝で引くんじゃなくてああいうところで粘るのも大事だとは言われました。父親からは『とりあえず休め』って言われました(笑)。色々とメンタル面とかも自分が気づいてないだけで疲れとかあるって言われて、これでちょっと落ち着いたんじゃないかって言われました」
-山口幸二さんは落車もかなり経験していますからね。
「そうですね、ケガのケアもしてもらっています。『何回、落車していると思っているんや』って言われました(笑)」
-S級で走ってみたい選手は?
「岐阜の選手には、ずっとアマチュアの時から面倒を見てもらっているので、そういう人たちの前で、前を任せてもらって走れたらいいなと思っています。やっぱり初めて会う人よりも知っている人と組む方が心強いですし、気持ちも入りますね!」
-先ほど、S級はマーク選手の技術があるという話でしたが、自分の後ろもそうだと心強いですよね。
「そうですね、何をしても離れないと思うし、思い切っていけますね」
-今の目標は?
「まずはFIで優勝することですね。そういう目の前の一戦一戦、1勝1勝が大きいレースの出場にかかわってくると思うので、そのチャンスのため、優勝を狙っていきたいと思います」
-かなり注目されていますが、その辺はどうですか?
「ないと言ったらうそになりますが、そんなに周りの人が思っているほどは感じてないですね。もともとレースは1着がいいって思って走っているので。なんというか、あんまり連勝とか(こだわってないというか)、特進するには9勝しないと上にあがれないので考えてましたけど、結果も、S級にあがって結果も大事ですけど、これは養成所の頃から父に言われたことなんですけど『ただの1着よりも、強いと思われる2着の方が価値がある』って言われていたので、それを意識して走ろうかなと思います」
-見る側にインパクトを残すレースを心がけているんですね。
「インパクトを残せているかはわからないですけど」
-ルーキーシリーズもありますが、1人で赤いパンツでの参戦になりますね。
「それは狙っていたので(笑)しっかりS級は違うぞっていうところを見せたいと思います」
-ファンにメッセージをどうぞ。
「前回は落車と残念な結果に終わってしまいましたが、しっかり次の開催では決勝に乗って、そこで結果を出せるように頑張っていきたいと思います」
PROFILE
山口拳矢 (やまぐち・けんや)
1996年1月26日生まれ。身長166.7cm 体重70.2kg
Q山口選手を目指して頑張っているだろう同期の皆へメッセージをするとしたら?
「やっぱりレース中は周りを見ることが大事だなって思います。こうするって決めたら、それだけを考えるんじゃなくて、それがダメだった時にどう動くかが先につながっていくと思います。先行で脚をつけるというのもわかりますけど、1レースの先行で脚はつかないですから。僕は養成所から色んなことをして、自転車競技の経験がなかったので、そういう一戦一戦を自分の経験値にしていくことが大事かなと思いますね」