インタビュー

石塚輪太郎 和歌山 105期 A級2班
〝輪〟太郎が行く!
 薄曇りのまだ花冷えの高松バンクで鮮烈なスーパーダッシュを魅せた。2015年3月16日のFI戦のA級決勝。打鐘(ジャン)の音と同時に前に出た。ライン2車でも一気に後続を突き放すつもりだった。しかし、S級経験者で歴戦の雄の佐藤幸治(長崎)が簡単に許してくれるはずもなく、すぐに巻き返してきた。ただ佐藤には主導権は渡さなかった。最後は別線の自力選手のまくりにのみ込まれた―。

石塚輪太郎 和歌山・105期
 輪界屈指のハードトレーニングで知られる和歌山の池田智毅グループからまた活きの良い先行屋が現れた。先行に迷いがない。14年7月に和歌山でデビュー。12月広島のチャレンジファイナルで3着に入り、A級2班に特別昇班。徹底先行を貫き、高松はA1、2班戦で初の決勝進出だった。父・正浩(56期・14年1月引退)譲りの長身から繰り出されるダッシュ先行でここまで順当に結果を出してきたかに思えた石塚だが、逡巡と挫折はあった。
 身長を生かして子供の頃はバレーボールや陸上を楽しんだが、父の職業の競輪や自転車競技には興味がなかった。しかし高校卒業時に進学か、就職かで迷った選択肢に競輪レーサーが加わった。慣れないピストのセッティングにそれまで進路には何も言わなかった父の手が加わり練習で瞬く間にタイムが出た。学校は2度目の受験で合格。並み居る自転車競技の選手に交じり上位で卒業した。「タイムはすぐに出ましたね。学校でもすぐにトップタイムを出せた」。〝輪〟太郎と名付けられた血と縁はどこかに潜んでいたのだろう。
 デビューから2カ月後の9月福井で9連勝の特別昇班に失敗してリズムが狂った。「その後は迷宮に入りました。ただ苦しんだ数カ月が結果ではなく『先行で力を付けてから上に上がる』という目標に切り替えられるきっかけになりました」と乗り越えた。
 目標は同じ練習グループの稲毛健太。「稲毛さんのように徹底先行のままでS級1班でも活躍する選手になりたい」。父も「今のスタイルを守っていけ」とアドバイスをくれた。今後も先行を貫くには何度も壁にぶち当たるのは覚悟の上。父が果たせなかったS級昇進へ、今はひたすら風を切る。


高松競輪場より