インタビュー

酒井拳蔵 大阪 109期 A級2班
だんじり魂をぶつける
だんじりの街から、期待の先行スプリンターが躍り出た。16年7月松阪でデビューすると無傷の9連勝で逸材がそろう109期の中、一番乗りで特別昇班を決めた。昇班後2場所目の8月には岸和田で完全V。地元デビューを華々しく飾った。その後はS級への特別昇級も期待されたが、翌年1月の防府決勝で9連勝を逃した。特別昇級を先に決めた太田竜馬や竹内翼に抜かれた悔しさあるが「これが今の実力。5年後にS級上位で活躍するためにも結果よりも内容を求めて走りたい」と前を向く。

酒井拳蔵 大阪 109期
3月6日からの岸和田FIが2度目の地元戦となった。初日予選は強烈な踏み出しに後続が離れ1人旅となった。準優は徹底マークに合い、仕掛けが遅くなったが、最後は抜け出した。決勝は、ホームからカマして主導権を奪ったが失速して6着に終わった。デビューからほぼ大崩れのなかった中の大敗に「決勝は位置取り争いに気を使い過ぎて足を使った。それに練習でも調子は下降気味だった。やっぱり練習は嘘をつかない」と冷静に分析した。
物心ついたころからだんじり祭りと競輪は身近にあった。小学校の時にみた岸和田で行われたGI決勝の激闘に感動。「将来は競輪選手になるもの」と自然と思い込んだ。同時に地元のだんじり祭りにも積極的に参加した。自転車競技部がある高校に進学してからは迷いはなくなった。高校時代は競技で負けても「プロになったら負けない」と負けじ魂でのめり込んだ。「今は寝ても覚めても競輪のことばかり考えてますね。それは遊びに行っても彼女とデート中でもそうですね。次の日の練習に影響しないように抑制している自分がいる。大好きだっただんじり祭りの参加もいつのまにか封印してしまいました」と競輪一本の生活となった。
強くなるための環境は申し分ない。岸和田バンクでは若手中心の練習となるが、月2回は引退した郡山久二さんの特別指導で稲川翔、古性優作らS級で活躍する選手が集っての特別訓練もある。さらに村上義弘が中心となって作り上げた近畿の絆の強さも目の当たりにする。「自分も強くなって近畿の強い先輩を引っ張りたい」。豪快で勇壮な「やりまわし」にも劣らぬ、〝だんじり魂〟を競輪にぶつけて、もがく日々が続く。


岸和田競輪場より