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林大悟(福岡109期)S級2班
同期や弟が押してくれた背中
 さながら同期のミニ同窓会の様相を呈した。19年2月20日からの大垣S級シリーズには、同じ日に卒業した110期のガールズ3人を含めて9人が集結した。レースが終わるたびに、みんなが車座になって、レースの反省会やら近況を話し合い、おやつの〝もぐもぐタイム〟が敢行された。レースの緊張感とは裏腹に楽しい時間を過ごせた。
 その中で堂々と主導権を奪い風を切る自分のスタイルを貫いてS級決勝に進むことができた。何よりも同期の誰よりも遅い出番で、みんなが見守る中で発走台に立てたのが誇らしかった。決勝も先行に迷いはなかった。中団を狙う松浦悠士が内を掬って先頭に立つのをみて、同県の坂本亮馬を連れて打鐘から一気にたたいた。ラインは2車。松浦に巧みに3番手を奪われたが4コーナー、直線と粘り込んだ。最後は松浦にとらえられ、先輩の坂本を2着に導くまでの6着が精いっぱいだった。
 「3日間自分のレースができたし、内容には納得しています。準決で格上の坂本(亮馬)さんを連れて逃げ切れたのも少し自信になりました。それと後から師匠の中井大介さんにも言われた『4コーナーからの粘り』という課題がはっきりしたレースでした」。
 祖父・雄幸(期前)、叔父・一郎(46期)、父・孝成(59期)さんが選手だった親子三代に渡る競輪一家だ。競輪は常に身近にあったが小学校から続けてきた新極真空手に高校まで夢中だった。高校卒業時の選択肢のひとつとして競輪選手の道があった。父の姿に憧れはあったが、厳しい世界であるのも目の当たりにしていた。そんな背中を押してくれたのは空手も「やろう」といっしょに入門した弟・慶次郎の存在だったか。弟は111期生として後に続き、兄を追い越さんとA級でも頭角を現している。
 弟はスプリンター、自分は地脚と脚質は違うが互いに徹底先行を貫いているのは同じだ。「太田(竜馬)を筆頭に学校時代強かった同期には先を越されて焦りはあったけど、こうしてS級という同じ舞台に並べた。弟もすぐに上がってくる。もちろん負けたくないし、いい刺激になっている」。夢はでっかくホームバンク小倉の競輪祭優勝。もちろん逃げ切りVだ。「自分が勝つ確率が1番高いのが先行」と言い切る強い気持ちで、もがき続ける。


大垣競輪場より