シュテファン ボティシャー ドイツ S級2班
東京オリンピック優勝候補
見るからに勝てそうもない。きっと、日本人選手はそう思ったに違いない。まさに世界トップクラス。短期登録制度で来日しているボティシャーのことだ。初戦の松戸は期待通りに完全優勝。2戦目の高知は予選、準決を1着でクリア。決勝は準優勝だったが、連日圧巻の走りを披露していた。
そして今回。予選、準決は8番手から一気に発進し、後続を千切る圧勝で、ファンの度肝を抜いた。決勝はボスと連係。2日間同様に、仕掛けのポイントは最終ホーム。7番手から発進したが、そこは決勝、そう簡単には出られなかった。それでも3コーナーで抜け出すとボスとゴール前勝負。僅差の2着だったが、改めてその強さを見せつけたレース内容だった。外国人2人が連係した時は、ほぼ2番手の選手が勝利を収める。
2014年に初来日し翌年も参加。爆発的なスピードは競輪だけでなく、母国・ドイツ期待の星であった。リオ五輪では種目は何にしても金メダル最右翼と言われていた。しかしながら左膝を痛め、オリンピックを断念した経緯がある「左太ももの両側を痛めて、それをかばったため、膝に悪影響が出た。自分でもここまで回復できたことが信じられない」と笑った。今となっては笑って話せることだが、当時はそれこそ人生の終わりと感じたことだろう。
弥彦後は宇都宮に参加。その宇都宮から新ルールが適用になった。333メートル、400メートル、500メートル走路での、先頭誘導員をどこで追い越していいのかが、大きなポイントとなっている。500メートルなら打鐘前に先頭誘導員を抜いてはならないと定められている。予選では「ルールのこともあったし、考えて後ろから攻めていった。スタートを決めて引いてからではなく、バリエーションを持たなくてはダメだからね」。準決をクリアし迎えた決勝はなんと失格。まっすぐ走ればいいものを、まくってきた宗崎世連を張って自らが落車。今年はブフリを初め、東京オリンピックの優勝候補がずらりと来日している。今後、滞在中に何度優勝するのか、楽しみだ。
弥彦競輪場より