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三谷竜生 奈良 S級S班
目を覚ました王者
やっと長かったトンネルを抜け出すことができた。昨年のグランプリチャンピオンでMVPの三谷が、千葉記念(松戸)で、今年の初Vを飾った。この開催は、システム障害の影響を受け、2日間順延になるというアクシデントの中、開催された。モチベーションが心配されたが、そこはMVP。しっかり気持ちを落ち着かせていた。更に言えば、この後、中1日でGI寬仁親王牌世界選手権記念トーナメントGIが控えていた。並の選手なら、GIを優先させて欠場も考えられたが、三谷は最後まで戦うことを選び見事栄冠に輝いた。
千葉記念(松戸)初日特選は赤板からスピードを一度も緩めることなく、一気に先制した。結局は9着に敗れたが、この開催に賭ける意気込みはしっかりと伝わってきた内容だった。二次予選はまたもや赤板で前に出たが、ホームは7番手。何とかまくっていき5着で準決への切符を手にした。2日間、9、5着と状態に関しては判断が難しいところだった。
しかし、準決になると動きが明らかに良くなった。ここでも赤板で動き、ホームは中団をキープ。バックからまくり、2着で決勝進出を決めた。迎えた決勝だが、三谷は単騎の戦いを余儀なくされた。先制する南関勢を追走する流れも、外併走が長く続いた。それでも力負けをせず、7番手からのまくりでVを射止めた。このレースで小埜正義が暴走による失格を犯した。それだけ、ペースが速かった。
9月はペナルティーによる配分が止まり「逆にゆっくりできた」というように、自分を見つめ直す時間を得られた。それが、松戸でいきなり出た感じだ。「グランプリに出ることは諦めていない。タイトルを獲って出る、その気持ちは変わらない」と力強く言い切った。けがの影響などで低迷していたが、やっと覚醒した。締め切りの関係で、寬仁親王牌世界選手権記念トーナメントGIの結果は分からないが、松戸の戦い方を見ていれば、少なくとも決勝には名を連ねていると確信できる。もっと言ってしまえば、優勝してグランプリ出場を決めているかもしれない。一度目を覚ました王者は、止めることができない。今の三谷にそれを見た。


松戸競輪場より