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直送!競輪場便り
奥井迪 東京 L級1班
ライバルとの再戦に胸を躍らせ

 これまでダイナミックに攻め立てる戦法スタイルを貫き、徹底先行の看板はデビューからファンたちの多くの支持を集めていた。
 ところが今年8月のオールスターファン投票の結果を受け、「ファンの方たちも飽きてきたのかも…。先行だけにこだわるという考えはもう古いと思ったし新たな戦い方をしていこうと思っている」と戦法チェンジを心に決めた。

 とはいえ、長らく先行が体に染みついており勝手に反応してしまう。「もちろん、先行ありきで。ただ、まくりを意識して狙ってもそこまで違和感はなかった」
 元々の地力はあるだけに普通開催では普段通りに圧倒的な人気に応えている。ただ、更なる上積みを図りたい、きっかけが欲しい、との思いは日に日に増していった。
 そこで、荒療治を施すために、10月に「人生で初」という出稽古へ久留米競輪場に行った。

「(児玉)碧衣ちゃんと戦うといつも得られるものがあって。去年の競輪祭で力の差を感じ、それを克服する事がモチベーションになっていた。話をする中で『一緒にやろう』って気持ちになって、お世話になることにしました」

 10月は数日しかいられなかったが、11月に別府を走った後は、競輪祭(小倉)の「ガールズトライアル」まで九州に留まり、久留米で本格的に乗り込んだ。久留米は児玉の他にも小林優香ら多くのガールズ選手が所属する全国でも指折りのガールズ帝国として知られており、大きな刺激を受けたという。「東京もガールズが多いけど、また違う刺激があった。食事もおいしいし、すべての面で得るものがありました」

 「ガールズトライアル」はポイント制で、初日に7着を取り「色んな事を考えて夜も眠れなかった。厳しい…」といきなりピンチに陥ったが、2日目は児玉に先着こそ許したが「気迫で粘れた」と2着に逃げ粘って決勝へ。
 決勝はこれまでのポリシーを覆すかのような腹をくくった奥井らしい先行で見せ場をつくった。「変な話、今回はグランプリの権利を取りたいというよりも、碧衣ちゃんと力勝負がしたかった。だから悔いはなかった」と7着大敗にもレース後は納得の笑顔を見せていた。

 そんな奥井の頑張りを神様は見ており、賞金額順位で最後の7枠目に滑り込み、無事に年末グランプリ出場の権利をゲットした。
「もう一回、碧衣さんと戦えるチャンスをいただいた。碧衣さんと戦う事は勝負を超えて大事なもの。今から年末に備えていきます」
 今度は奥井が地元・立川バンクで好敵手、児玉を迎え撃つ番だ。


小倉競輪場より