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小原丈一郎 青森 A級2班
競い合う「黄金世代」
ライバルと呼べる人がいる人生は幸せだ。その存在が、確実に自分を高みに導いてくれるのだから―。12月8日の佐世保「レインボーカップ・チャレンジファイナル」で3着に入り、A級2班に特別昇班した小原が、1・2班戦初戦を12月16日からの和歌山FIで迎えた。「追加が来ると思ってしっかり練習していた。自分の中では(昇班は)早かったと思うが、佐世保でしっかりチャンスをモノにできたのがうれしい」と、新しいステージに心を躍らせて競輪場へ乗り込んできた。長くS級で活躍し、現在は青森競輪場でレースアドバイザーを務める父・則夫さん(57期・引退)を追って輪界入り。昇班を決めた直後には、祝福の言葉とともに「早く9車立ての競輪に慣れるように」と、父から助言も受けた。
青森山田高時代には、スプリント系種目で活躍。2016年のアジア自転車競技選手権では、ジュニア男子チームスプリントで銀メダルも獲得した。だが、初めて受験した113期は不合格。1年間の雌伏を経て、115期生としてプロへの道を歩み出した。デビュー後も連戦連勝とはいかなかったものの、地元・青森のデビュー戦でVを飾り、順調にスタート。チャレンジ10場所(レインボーカップを除く)で優勝5回、準優勝4回と力を見せつけた。迎えた和歌山初日・A級予選は打鐘過ぎに仕掛けて先頭に立ち、そのまま押し切って白星。「ほっとしました。踏み直しは物足りない感じでしたが、チャレンジの時よりは緊張しませんでした。チャレンジでは、ずっと負けられないと思っていたので」。翌日の準決勝も逃げて3着に粘り、見事決勝へ駒を進めた。
決勝戦は、同い年の福永大智(大阪・113期)との対決に。2015年のJOCカップ・ケイリン決勝、小原は果敢に逃げたが福永にゴール前で差されてVをさらわれた。いわば因縁の相手、あるいはライバルだが、準決勝後は肩を組んで健闘を誓い合った。「高校時代から仲がいいんです。今は差を付けられているけど…」。レースでは福永が果敢に主導権を握り、小原は7番手。最終ホームからまくり上げたものの、及ばず5着。福永は4着で、JOCカップのリベンジとはならなかった。
S級に特進する同期生も出てきたが、焦ることはない。「同期の活躍は刺激になりますね。今は冬季移動で、伊豆の日本競輪選手養成所で練習しています。先輩方と一緒に、スピード練習中心ですね。目標は同県の新山(響平)さんだけど、一番のライバルは嵯峨(昇喜郎)君。嵯峨君も同い年で、高校時代には何度も戦った。先にデビューしてもうS級で活躍している。今は手の届かないところにいるけど、追いかけていきます」と、目を輝かせる。〝ゴールデンエイジ〟の一員として、来年の今ごろは同じステージで切磋琢磨しているかもしれない。


和歌山競輪場より