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松井宏佑 神奈川 S級1班
とてつもない大物だ。

 松井宏佑、27歳。スピードスケートで鍛えた肉体を武器に、競輪養成所では在校3位。その実績を引っさげ、2018年7月にデビューした。爆発的なダッシュとパワーで瞬く間にS級へ。競輪だけではなく、松井の凄いところは競技も一流だというところだ。国際大会でも結果を残している。記憶に新しいところでは11月の「トラックワールドカップ」第1戦のベラルーシ大会ケイリンで、銅メダルに輝いた。何とこれは松井のワールドカップデビュー戦でもあった。「まさか銅メダルを取れるとは思っていなかった」と振り返ったが、世界に強烈なインパクトを与えたことは事実だ。
 その松井が8月のオールスター以来となるGIに参戦してきた。オールスターは4走して未勝利に終わったが、日々成長している松井の走り、ワールドカップメダリストの走りに、北九州メディアドームは大いに盛り上がった。「今の松井なら準決はいけるだろう」がファンの声だった。初戦の一次予選1。打鐘から先頭に立つ積極的な競走を見せたが、3番手の吉田拓にまくられ8着。悔しさをにじませた。予選2は前団がもつれたところを最終2コーナーから仕掛ける絶好の展開。だが、柴崎淳に屈し4着。準決進出は消えた。
 ただここでへこたれないのが松井だ。3走目から先行、まくりで何と3連勝。最終日を前にして「3連勝で締めくくります」。その通りの結果に、笑顔がこぼれた。今開催は5走して3勝。そのうち4回、最終バックを先頭で通過しているのだから、着順以上の評価と言っていい。競輪祭の勢いは衰えず、続く別府記念で嬉しいGIII初制覇を飾った。「まさかこんなに早く勝てるとは」と謙遜したが、優勝してもおかしくない力は、誰もが認めていた。今後もナショナルチーム優先のスケジュールが組まれるが、もっと多く松井の走りを見たい。


別府競輪場より